第2次障害者計画概要版 ともに生きるまちづくり 春日井市長 鵜飼一郎  21世紀に入り、障害のあるかたへの支援の枠組みは、各種福祉関係法の改正により精神保健福祉業務の市町村への移譲、身体・知的障害者に対する福祉サービスが選択利用できる支援費制度に移行するなど、大きく変化し、自立と社会参加を支援する取り組みが強化されています。  こうした新たな動向を踏まえ、第2次春日井市障害者計画の策定にあたりましては、実態調査を実施し、多様なニーズの把握に努めるとともに、障害者関係団体や市民公募による代表者、有識者などで構成する障害者計画策定委員会において策定いたしました。  今後は、この計画に基づき、障害のあるかたが住み慣れた地域の中でいつまでも安心して暮らせるまちを目指し、保健、医療、福祉、労働、教育など幅広い関係者が連携をとりながら、「ともに生きるまちづくり」について、地域の皆様方と一体となって取り組んでまいりたいと存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。 目次 障害者計画策定の背景 計画の性格 計画の対象 計画の期間 基本理念 基本目標 基本的視点 施策の体系 1 生活環境の整備 2 在宅福祉サービスの充実 3 保健・医療・療育・教育の充実 4 就労と社会参加への支援の充実 5 障害者施策と総合的な推進 重点的に取り組む施策 支援サービスの目標値 障害のある人を支える地域のイメージ 概要版本文ここから 障害者計画策定の背景 近年、少子高齢社会がますます進展するなかで、本市の障害者人口は増加傾向にあり、また、障害の重度・重複化や障害のある人の高齢化が進んでいます。また、個人の価値観や生活様式が多様化し、家族関係や地域社会が大きく変化する中で、障害のある人の意識が変化しており、地域での自立した生活を支援することがこれまで以上に重要となっています。 総人口と障害者手帳所持者数 総人口と障害者手帳所持者数の推移は、各年度10月1日時点で、総人口は、平成9年284,093人、15年297,463人、20年315,000人、25年321,400人です。身体障害者は、平成9年5,670人、15年7,324人、20年9,235人、25年10,859人です。知的障害者は、平成9年1,041人、15年1,315人、20年1,575人、25年1,883人です。精神障害者は、平成9年176人、15年548人、20年851人、25年1,160人です。 障害のある人を取り巻く動き 平成12年 「介護保険制度」開始 「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」公布 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(通称 交通バリアフリー法)」施行 平成14年 精神障害者保健福祉事務が県から市へ一部移譲 国の「障害者基本計画」策定 平成15年 「支援費制度」開始 「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(通称ハートビル法)」の改正施行 計画の性格 本計画は、障害者基本法第7条の2第3項に定める「障害者のための施策に関する基本的な計画」に基づくものであり、計画内容については、国の「障害者基本計画」、県の「21世紀あいち福祉ビジョン」などの関連する計画との整合性を図っています。 また、春日井市のなかでの位置づけとして、第四次春日井市総合計画が市の基本的な計画としてあり、各種施策別の計画として、高齢者総合福祉計画、児童育成計画、人にやさしいまちづくり推進計画、地域福祉計画、保健計画などが大きく関連します。 計画の対象 この計画の対象範囲は、障害者基本法の理念に基づき、身体障害者、知的障害者、精神障害者および難病患者などとします。このため、サービスの利用対象者は、各種手帳制度の認定による障害のある人だけでなく、より幅広く障害のある人を対象とします。 計画の期間 本計画は、平成16年度を始期とし、25年度を終期とする10年間の計画とし、中間年次にあたる平成20年度を当面目標として、社会情勢の変化や障害者施策の動向等を踏まえて計画を見直します。 基本理念 本市では、前計画において、「ノーマライゼーション」と「リハビリテーション」の2つを基本理念として「完全参加と平等」および「権利擁護(アドボカシー)」、「バリアフリー」の実現をめざしてまいりました。 新しい世紀に入り、障害のある人が社会の一員として、不当な差別を受けることなく人権が尊重され、自己選択と自己決定をもとに社会活動に参加、参画し、住み慣れた地域社会で自立した生活が送れるような社会を築いていくことが求められます。 このようなことから、誰もが地域のなかであたりまえの生活が送れる社会をめざす「ノーマライゼーション」と全人間的な復権のために、障害のある人の自立と参加をめざす「リハビリテーション」のうえに、さらに誰もが住み慣れた地域で互いを尊重し合い、支え合う「共生社会」の実現をめざすことを基本理念とします。 ノーマライゼーション 障害のある人をはじめ、誰もが地域のなかであたりまえの暮らしができる社会をめざします。 リハビリテーション ライフステージ(人生の各段階)において、障害のある人がその能力を最大限まで引き出すことをめざします。 共生社会 住み慣れた地域で共に支え合いながら生き生きと安心して暮らしつづけられる社会をめざします。 基本目標 「ともに生きるまちづくり」 地域の特色を生かしながら、誰もが互いに尊重し合い、支え合い、助け合うことのできる福祉文化を培い、市民の意識を育み、ともに学び、ともに働くことができるまちづくりを進めます。 基本的視点 本計画では、施策の取り組む基本的な視点を次の5点に設定します。 社会のバリアフリー化 自己実現の支援 ライフステージに対応した施策の推進 多様化するニーズへの対応 社会全体での支援 施策の体系 「ともに生きるまちづくり」の実現をめざし、次の5つの施策の目標を掲げ、障害者支援のための具体的な施策を展開していきます。 基本目標 ともに生きるまちづくり 施策の目標 生活環境の整備 施策の項目 ○バリアフリーのまちづくりの推進 ○居住環境の整備 ○災害への対応 施策の目標 在宅福祉サービスの充実 施策の項目 ○居宅生活支援サービスの充実 ○外出移動のための支援 ○精神障害者保健福祉サービスの充実 施策の目標 保健、医療、療育、教育の充実 施策の項目 ○障害の予防・軽減 ○保健・医療サービスの充実 ○療育・保育の充実 ○障害児教育の充実 施策の目標 就労と社会参加への支援の充実 施策の項目 ○企業などへの就労の促進 ○福祉的就労の場の確保と充実 ○昼間の生活と訓練の場の確保 ○社会参加活動への支援 施策の目標 障害者施策の総合的な推進 施策の項目 ○啓発と福祉教育の推進 ○情報提供の充実 ○相談支援体制の充実 ○地域福祉活動の推進 ○良質なサービス提供のための環境整備 ○施策の円滑な推進 1 生活環境の整備 障害のある人に対する社会環境、生活環境のバリアを取り除き、社会活動への参加や安心して暮らせる地域生活ができるよう、建築物や道路等の公共的空間、公共交通環境、住居の整備・改善や災害への対応などを進め、バリアフリーのまちづくりを推進します。 (1)バリアフリーのまちづくりの推進 ○道路の整備・改善 ○交通バリアフリーの改善 ○バス交通の充実 ○公園等の整備 ○公共建築物の整備・改善 ○建築物の整備・改善 ○バリアフリーに関する情報提供 (2)居住環境の整備 ○障害のある人に配慮した市営住宅等の整備 ○障害のある人の住宅改修支援 ○グループホームの設置促進 ○入所施設の質的向上と地域生活への移行 (3)災害への対応 ○災害弱者に配慮した防災活動 ○災害情報の提供 ○災害時の支援 2 在宅福祉サービスの充実 障害のある人が、住み慣れた家庭や地域のなかで安心して潤いのある生活が送れるよう、ハード、ソフトの両面から障害の種別や程度に応じた多様な在宅福祉サービスの円滑な提供を進めるとともに、障害のある人の外出支援と精神障害者に対する施策の推進に努めます。 (1)居宅生活支援サービスの充実 ○支援費制度の適正な利用と充実 ○介護保険対象者へのサービス提供 ○障害者ケアマネジメントの推進 《支援費制度関係サービス》 ○居宅介護等(ホームヘルプサービス)事業 ○デイサービス事業 ○短期入所(ショートステイ)事業 ○知的障害者地域生活援助事業(知的障害者グループホーム) 《支援費制度外サービス》 ○移動入浴サービス ○寝具乾燥サービス ○高齢者福祉との合同サービス(「食」の自立支援、緊急通報システム) ○補装具交付・日常生活用具給付等サービス ○身体障害者補助(犬:ケン)制度の促進 ○家庭のごみ出し援助 ○各種制度の活用 (2)外出移動のための支援 ○タクシー料金・自動車燃料費の軽減 ○車いす対応タクシーの利用促進 ○シティバス運賃・駅前地価駐車場料金の軽減 ○外出支援のヘルプサービス(ガイドヘルプサービス) ○自動車利用のための支援 ○車いすの給付と貸出 ○リフト付車両の貸出 (3)精神障害者保健福祉サービスの充実 ○精神障害者ケアマネジメントの推進 ○居宅介護等(ホームヘルプサービス)事業 ○短期入所(ショートステイ)事業 ○精神障害者地域生活援助事業(精神障害者グループホーム) ○社会復帰のための支援 3 保健・医療・療育・教育の充実 障害の発生や障害の重度・重複化を予防し、障害の程度や症状をできる限り軽減するため、人生の各段階に応じた適切な保健や医療サービスの充実に努めます。 また、障害のある人の社会的自立とその可能性を広げるため、障害の状態などに応じた適切な療育、保育、教育の充実に努め、地域でともに暮らしていく自立の意識と能力向上に努めます。 (1)障害の予防・軽減 ○妊産婦への母子保健の啓発 ○妊産婦等への健康教育と指導の推進 ○乳幼児健康診査と指導の推進 ○成人の疾病による障害の予防 ○こころの健康への対応 ○事故による障害の予防 ○医学的リハビリテーションの推進 (2)保健・医療サービスの充実 ○日常的な健康管理の支援 ○更生医療給付 ○障害者医療給付 ○精神疾患医療給付 ○在宅医療・訪問看護の推進 ○訪問歯科診療の推進 (3)療育・保育の充実 ○療育への適切な指導 ○障害のある子どもと親同士の交流支援 ○児童デイサービスでの療育の推進 ○障害児通園施設での療育の推進 ○ことばの相談訓練 ○保育と療育との適切な連携 (4)障害児教育の充実 ○円滑な就学指導の推進 ○小・中学校教育の充実 ○養護学校との連携と交流教育の推進 ○就職等進路指導への支援 ○小・中学校の建物等の整備 ○放課後児童の健全育成 4 就労と社会参加への支援の充実 障害のある人の適性と能力に応じて、可能な限り就業することが望まれます。 このため、一般就労の機会の提供や職場への定着を支援するとともに、一般就労が困難な人に対して福祉的な就労の場の確保に努めます。 障害のある人の昼間の生活と訓練の場の確保に努めるとともに、障害のある人が様々な人たちと交流できる場を拡充し、社会のあらゆる分野に障害のある人もない人もともに参加し活動できるような機会の提供に努めます。 (1)企業等への就労の促進 ○職業的リハビリテーションの促進 ○雇用率向上の促進 ○障害者雇用を支援する活動の推進 (2)福祉的就労の場の確保と充実 ○身体・知的障害者通所授産施設の整備 ○地域の小規模通所授産施設の整備 ○精神障害者の福祉作業所等の充実 ○福祉作業所の充実 (3)昼間の生活と訓練の場の確保 ○重度身体・知的障害者の生活の場の充実 ○希望の家の見直し ○知的障害者の通所更生施設の充実 ○精神障害者の社会復帰教室等の活用 ○自助グループ活動の促進 (4)社会参加活動への支援 ○障害者スポーツの奨励 ○スポーツ・レクリエーション活動の促進 ○文化活動の促進 ○障害のある人が参加しやすい講座等の充実 ○図書館の障害者サービス ○手話通訳者の養成と派遣 ○要約筆記者の養成と派遣 ○地域の社会参加活動への支援 5 障害者施策の総合的な推進 障害のある人が住み慣れた地域の中で安心して生活できるよう、障害のある人を支援する基本理念の普及に努めます。 地域住民、ボランティア、NPO法人、民間事業者、関係機関との連携と協働により、障害者支援サービスの充実に努めるとともに、障害のある人の参加を図り、人材の育成、保健、医療、福祉、教育、労働等の関係者が役割を十分果たすことができる円滑な連携により障害のある人の多様なニーズに対応していきます。 また、障害の種類に応じた適切な情報提供、気軽に、かつ総合的に対応できる相談体制の充実に努めます。 (1)啓発と福祉教育の推進 ○広報などによる啓発活動の推進 ○障害者の日、障害者週間の啓発 ○障害者計画の広報活動 ○障害疑似体験(ハンディキャップシミュレーション)の促進 ○精神保健福祉に関する啓発 ○福祉協力校・福祉協力園 ○学校における福祉教育 ○生涯学習での取組 (2)情報提供の拡充 ○情報提供機会の拡大 ○情報バリアフリーの推進 ○視覚障害者への情報提供 ○聴覚障害者への情報提供 ○地域福祉情報の提供 (3)相談支援体制の充実 ○相談体制の充実 ○障害者相談員 ○総合的な地域生活支援 ○地域福祉サービスセンターによる展開 ○ピアカウンセリングの充実 ○精神保健福祉に関する相談 ○愛知県心身障害者コロニーとの連携 (4)地域福祉活動の推進 ○障害のある人の活動促進 ○ボランティアの育成 ○ボランティアセンターの機能充実 ○福祉NPO法人の活動促進 (5)良質なサービス提供のための環境整備 ○サービスの向上のための連携強化 ○関係事業者との連携 ○精神保健福祉への対応 ○支援サービス事業者の資質の向上 ○障害者ケアマネジメントの充実 ○家庭介護への支援 ○権利擁護への支援 ○処遇困難者への支援 ○円滑な苦情解決 ○総合福祉センターの拡充 (6)施策の円滑な推進 ○地域の福祉活動の推進 ○社会福祉協議会による展開 ○計画の推進 重点的に取り組む施策 当計画期間において、特に重点をおいて取り組むべき施策を掲げました。 支援費制度の円滑な推進 平成15年4月からスタートした支援費制度について、需要に応える支援体制の整備に努めるとともに、十分な情報提供と有効な利用を促進します。特に、居宅支援の充実とグループホームの設置を推進します。 精神障害者支援施策の充実 心の病をもつ人が潜在的に増加しているなかで、これまでの保健・医療的な支援のほかに、平成14年度からホームヘルプサービスなどの福祉的な支援が始まり、今後、居宅生活支援を中心として、精神障害者のための積極的な支援施策を推進します。 障害児への対応 障害のある子どもの施設は、県全体で少ない状況にあります。また、居宅支援も少ない現状にありますので、今後、愛知県児童・障害者相談センターなどとの連携を強化し、障害のある子どもへの支援策を推進します。 就労のための支援 雇用環境が厳しいなか、障害のある人の自立、社会参加、生きがいを支援していくため、就労に対する各種施策を推進します。 地域福祉の推進 障害のある人が住み慣れた地域であたりまえに暮らしていくためには、地域住民の支援が不可欠であります。このため、障害のある人を中心に、ボランティア、NPO法人、地区社会福祉協議会等との連携と協働により地域福祉を推進します。 支援サービスの目標値 種類 提供するサービス量 平成15年度の状況 平成20年度 平成25年度 身体障害者、知的障害者、障害児のサービス 居宅介護等(ホームヘルプサービス)事業 利用者 15年度 146人 20年度 249人 25年度 265人 利用時間 15年度 3,356時間 20年度 5,175時間 25年度 6,210時間 デイサービス事業 施設数 15年度 2か所 20年度 4か所 25年度 6か所 利用定員 15年度 45人 20年度 75人 25年度 105人 児童デイサービス事業 施設数 15年度 3か所 20年度 4か所 25年度 5か所 利用定員 15年度 50人 20年度 60人 25年度 70人 短期入所ショートステイ事業 利用定員 15年度 34人 20年度 38人 25年度 42人 知的障害者地域生活援助事業(知的障害者グループホーム) 利用定員 15年度 16人 20年度 40人 25年度 80人 通所授産施設 法定 15年度 30人 20年度 142人 25年度 202人 法定外 15年度 186人 20年度 82人 25年度 30人 精神障害者のサービス 精神障害者居宅介護等(ホームヘルプサービス)事業 利用者 15年度 19人 20年度 37人 25年度 47人 利用時間 15年度 218時間 20年度 426時間 25年度 541時間 精神障害者地域生活援助事業(精神障害者グループホーム) 利用定員 15年度 0人 20年度 16人 25年度 32人 精神障害者通所授産施設 法定 15年度 0人 20年度 19人 25年度 38人 法定外 15年度 25人 20年度 15人 25年度 15人 ※ 平成15年度の状況は、10月現在のもの。 ※ 利用時間は、1か月当たりのもの。 ※ 通所授産施設については、法定外のものが法定のものへ移行するため減少します。 障害のある人を支える地域のイメージ この障害のある人を支える地域のイメージは、障害のある人の生活のなかで必要とされる支援を家族や仲間・友人、社会福祉協議会やNPOといった地域の各種団体、県や市といった行政などが協働して行うことを表現しています。 問い合わせ 健康福祉部福祉課(電話0568-85-6184) E-mail : fukushi@city.kasugai.lg.jp Copyright 1997-2003 by kasugai City All Rights Reserved.