人が地域を支え、地域が人を支える
「何かお困りですか?」
独り寂しそうに座っている高齢者に声を掛ける大学生。
これは認知症高齢者の捜索模擬訓練での一場面です。
近年、超高齢社会の進展や核家族化などにより、虐待、孤立死、認知症などさまざまな生活の不安が広がっています。
一人では不安でも、周囲の助けにより地域で安心して暮らし続けることができます。
ちょっと気に掛ける。声を掛け合う。
大切なのは優しい心と温かい思いやりかもしれません。
地域福祉の主役は市民の皆さんです。
まずは、地域福祉に関心を持つことから始めてみませんか。
今回は、「人が地域を支え、地域が人を支える」 取り組みについて、紹介します。
地域にあふれる孤独
市の高齢者単身世帯は20年で約4.4倍の1万1435世帯、高齢者夫婦世帯は約3.6倍の1万6329世帯に増加しています(表1)。平成25年に市の介護事業者へのアンケートで「地域の助け合いで必要なことは?」と聞いたところ、非常時の手助けに次いで2位は「話し相手や相談相手」と「安否確認の声かけ」でした(表2)。実際に、平成26年の高齢社会白書によると、「2、3日に1回」以下しか会話をしない人は、一人暮らしの男性で28.8%、女性で22%を占め、「困ったときに頼れる人がいない」と回答した人は、一人暮らしの男性では20%に上ります。
また、子育て世代に関しても、市が平成25年度に実施した子ども・子育てに関するアンケート調査によると、子育てが負担となり、社会から孤立していると感じている保護者の数は増えています。
核家族化が進み、地域での結び付きが希薄化していることで、介護や介助のような支援だけではなく、あいさつや世間話といった心の結び付きが重要になっています。