講演 かすがい「人・夢創り」文化スポーツ大使 室田伊緒 氏

ページID 1006720 更新日 平成29年12月7日

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講演内容

室田さんの講演の様子

室田さん

 こんにちは。将棋の女流棋士の室田伊緒です。春日井市には、小学校1年生から大学を卒業するまで住んでいました。大学を卒業して、すぐに結婚をして、今は、大阪に住んでいます。将棋の棋士には、高校1年生のときになりました。きょうは、私が夢を持って、夢をかなえるまでのお話をしたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、将棋を始めたきっかけは、私が小学校5年生のときに、弟が大会で将棋を指しているのを見ていて、「お姉ちゃんも一緒に指そうよ」と誘ってもらったことから始めました。最初は見ているだけで、大会には出たくないと嫌がっていたのですが、何度も何度も誘ってもらっているうちに、参加賞の鉛筆につられて参加しました。 その大会は初心者の大会で、私は駒の動かし方と、王様をとったほうが勝ちという、それだけしかわかりませんでしたが、しかし、参加しているみんなもそういう子どもたちばかりでしたので、その中で2勝2敗という好成績を残して、「私もできるんじゃないかなあ」と、そういうちょっとした勘違いをしたことから、どんどん将棋にはまっていきました。今思えば、そこで全敗してしまっていたら、多分、将棋の楽しさがわかっていなくて、続けていなかったんじゃないかなと思います。 

  小学生のころは、絵を描くことや、本を読むことが好きでした。運動は苦手でしたが、走ることとバドミントンだけはできたので、バドミントンクラブに入って、夏だけは陸上の選手として大会に向けて練習したりしていました。将棋を始めた5年生のころというのは、本にはまっていた時期で、その月に一番本を借りる数が多かった人として1位になったりもしました。しかし、その次の月では1、2冊くらいしか借りなかったりして、よく言えばめり張りがあるのですが、悪く言えば気分屋でした。今でもそれはあまり変わっていないような気がします。 あとは、習い事をたくさんしていました。ピアノ、水泳、習字、英会話といろいろしましたが、将棋を本格的に始めてからは全部やめてしまいました。でも、無駄だったことは一つもなくて、習字はこのころ1年ほどしか習っていませんでしたが、将棋の棋士になって、サインを書くのに役立っています。そして、今になって、またもう一度習字を習っています。ピアノも水泳も全部好きでしたが、本当に楽しいと思えたのが、私にとっては将棋でした。

  中学生になって勉強も忙しくなってからは、なかなか全部を習い続けるのは難しかったので、将棋一本だけに絞って、もっと上達しようと励んでいました。 子どものころの夢というのはたくさんありました。お花屋さん、ケーキ屋さん。小学校高学年のころになると、デザイナーになりたいなと思っていました。今思えば、何かをつくるというのが昔から好きだったんだなと思います。しかし、手先が不器用なので、同じつくるでも、将棋指しは天職だなと思っています。将棋は、ただ指して勝負をつけるという面以外にも、対局者の相手と一緒に将棋の棋譜をつくり上げるという一面もあります。プロになってからは、特にそういった面も重視して、下手な手は後世に残さないように努力しています。 

  将棋のプロになろうと思ったきっかけは、中学3年生の春に、全国大会の女性の部で優勝したからです。東京で全国大会があって、ちょうど修学旅行の最終日の次の日だったので、浅草まで母が迎えにきてくれて。友達と一緒に帰れなかったのは少しだけ寂しかったですが、それよりも、3日間の疲れで、ホテルに帰ってからすぐによく眠れたことを覚えています。 その大会は無欲の勝利でした。中学生だけの大会ではなく、全ての、大人の女性も参加する全国大会だったので、まさか自分が優勝できるとは本当に思っていませんでした。しかし、実際に女性の中で1位になってみると、やはりもっと強くなるためにはプロしかないなと、自然とそう思うようになっていきました。 そこからは、周りの方の客観的な意見も参考にしたりして、最終的には、中学生の全国大会でも優勝することができたらプロを目指そうと決めました。その大会は夏にあり、春に優勝してから短い期間でしたが、濃密な時間を過ごしたと思います。

  夏に向けて将棋の勉強をし、初めてプレッシャーというのを感じました。大会が近づくにつれて眠れなくなり、夜中に定跡書や問題を解いたりして過ごしていました。 そして、その大会でもなんとか優勝することができ、秋から、プロを目指す「育成会」というところに入会しました。その育成会には、私と同じようにプロを目指す女の子たちが集まっていて、その中で1位にならなければプロにはなれないという厳しい場所でした。 棋士になるために努力したことというと、基本的には定跡書を読んだり、実戦を積んだりといった、昔からしていることを毎日続けるということです。しかし、育成会に入会してからは、それまでとは違って、次に当たる相手が事前にわかっているので、その人その人の対策というのもしました。ほかの人よりも一つでも多く勝たなければいけなかったので、一局一局が勝負でした。そして、予習も大事ですが、終わってからの復習も重視しました。どう指していればよかったかとかあとで自分で考えたり、自分よりも強い人にアドバイスをもらったりなどしました。今でもそのようにしていて、次の対局につなげています。 

  最後に、皆さんへのメッセージです。小学生のころは、いろいろなことを浅く広く経験して、何事にもチャレンジしてみてください。私はいろいろな習い事の中から好きなことが見つけられましたが、誰もがそうやって見つかるとは限りません。なので、いろんなところへ行ってみたり、その季節にしかできない体験をしてみたり、毎日、何か一つ、新しい発見をしてみてください。 将棋もおすすめです。将棋は年齢関係なく楽しめるので、ふだん話さないようなお兄さん、お姉さんから、おじいちゃんたちまで、いろんな世代とかかわることができます。同じような年代の友達でも、違う学校だったり、違う市だったり、学校の友達とは違う友達ができます。そうやって幅広くつながっていくのはとてもいいことですので、ぜひ皆さんも将棋を始めてみてください。 私は将棋の棋士ですので、そう言いますが、もちろん何でも大丈夫です。とにかく、とりあえずやってみることが大事だと思います。

  私も初めは、「将棋なんてできない」と思っていたのが、こうしてプロにまでなってしまうのですから、本当にやってみないとわかりません。大人になるにつれて失敗ができなくなってきますが、今ならいくら失敗しても大丈夫ですので、怖がらなくても大丈夫です。そして、何か夢を見つけたら、それに向かって集中して、諦めないで頑張ってください。その頑張った経験が自信に変わるときがくると思います。夢を諦めざるをえなかった人たちを今まで何人も見てきましたが、ずっと夢を追いかけて一生懸命頑張ってきた人たちは、ほかの世界に行っても大丈夫です。とても強いです。なので、皆さんも何か好きなことに一生懸命になってみてください。これで終わります。ありがとうございました。

坂下小

 小学校から将棋を始め、中学校で全国大会に出場し、高校生ですぐにプロになったそうですが、実際にプロになってみて、苦労されたこと、うれしかったこと、驚いたことを教えてください。

室田さん

 プロになってから苦労というのは、やはり一番は、強い人が周りにいっぱい、ほんとに強い人ばかりで、なかなか勝てないことが一番苦労をしていることです。でも、それはほんとにありがたいことで、目標にできる人が身近にいるということは自分にとって成長できる場でありますし、悲観することばかりではないと思っています。

 ほかには、プロになりたてのころ、慣れない仕事をするのがほんとに苦労しました。それまでは将棋を指して楽しんでいただけなんですが、プロになってからは、ほかの人の将棋の解説をしたり、人の前でお話ししたりとか、そういう慣れないことが多かったので、それに慣れるのがほんとに大変でした。でも、何度も何度もやっていくうちにどんどん慣れてくるので、今ではもうそんなに苦労していないです。 

  次に、うれしかったことですが、やっぱり自分よりも格上の強い人にもときどき勝てるというのが一番うれしいことです。でもときどき、そうやってどんどん勝っていくと、いつかはそれが自分の実力になると思っていますので、そういったことも、自分の成長を測る上でも、すごくうれしいことだと思ってます。 

  あとは、いろいろな違う世界の人と話したり、日本各地に行けることがすごくうれしいことです。将棋というのは、日本全国、どこでも親しまれているものですので、その地方に行ってその地の将棋ファンの人と話したり、その土地のおいしいものを食べたりといった、今まで知らなかった土地に行けることが、ほんとに楽しいと思っています。 

  最後にプロになって驚いたことですが、みんな習字がうまいことが、ほんとに驚きました。それまであまり……サインをいただいたことはあるのですが。ほんとにいつもみんなうまくて……そうですね、私が実際にプロになってから、急に「どうしよう」と思って、また、プロになってから習字を始めました。しかし、「書のまち春日井」ですので、書道教室というのがほんとに、家の近所にもすごくたくさんありますし、習う場所がたくさんあって、あと、高校の授業でも習字というのがあったので、ほんとに助かりました。以上です。

上条小

 室田さんは現在、春日井の文化スポーツ大使で活動してみえますが、実際にどんな活動をされているのですか。また、今後、将棋を多くの人たちに、どのように広めていきたいかを教えてください。

室田さん

  まず、春日井の文化スポーツ大使の活動ですが、昨年は、まず春日井まつりのときに、市長さんと一緒にいろいろ回って、出展物を見たり、ステージを見学したりして、春日井市で活躍されている方々と触れ合って、お話ししたりして、そういった春日井のいいところを吸収して、私も勉強しています。その中で、私は将棋棋士であるということを、春日井市の皆さんにアピールして、春日井市民の皆様に将棋をアピールさせてもらっています。

 逆に、将棋の仕事で地方に行ったときに、「春日井市の文化スポーツ大使です」と御挨拶して、将棋ファンの方や、その地方の市長さんたちに、春日井市の魅力をアピールしています。なので、将棋と春日井市をどんどんつなげていけたらいいなと思っています。以上です。

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