地域社会を支える人たち
市では、誰もが住み慣れた地域でいきいきと安心して暮らすために、地域住民が支えあい、共につくる「地域共生社会」の実現を目指しています。今回の特集では、その社会の実現への一翼を担い地域で日々尽力している「民生委員・児童委員、主任児童委員」、「保護司」、「更生保護女性会」の活動を紹介します。
民生委員・児童委員、主任児童委員 ~地域の身近な相談役~
民生委員・児童委員は、担当する地域の皆さんの生活の困り事や心配事の相談に応じて、必要な支援を受けられるよう、行政や関係機関との「つなぎ役」を担ったり、高齢者や障がい者、子どもの見守りをしたりする、厚生労働大臣から委嘱されたボランティアです。市内では、現在365人が民生委員・児童委員として活動しています。
主任児童委員は、民生委員・児童委員の中でも、子どもや子育てに関する支援を専門に担当する委員です。
民生委員・児童委員の主な活動
相談
地域住民の相談に応じ、行政など関係機関へつないだり、福祉サービスなどの情報提供をしたりする。
訪問
ひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯を訪問して、生活の状況や緊急連絡先などを確認する。
見守り
高齢者世帯の安否確認や子どもの登下校を見守る。
地域活動
高齢者サロンを運営したり、地域行事へ参加したりする。
interview
求められていると感じることがやりがいに
私の子どもが中学生の頃、趣味の仲間から誘いを受けたことが民生委員・児童委員になったきっかけです。委員になることで誰かの力になれるならという気持ちで始めました。
活動の一つに、生活状況などを尋ねるため、ひとり暮らし高齢者の自宅を訪問する調査があります。初めての訪問では受け入れてもらえないこともありますが、話を聞いているうちにどんどん心を開いてくれます。思い出話などを嬉しそうに話してくれるときは、相手の心が軽くなったことを感じ、そして、「話を聞いてくれる人」が求められていることも感じて、活動をしていて良かったと思える瞬間です。
民生委員・児童委員の中には、ひとり暮らしで人との関わりが少なく不安に感じている人などの交流の場を作ることを目的に、高齢者サロンの立ち上げに携わっている人もいます。どのサロンでも、皆さん和気あいあいと明るい雰囲気で交流されていて、サロンの大切さを実感しています。
これまでに、もっとサポートができればと心残りに思うこともありました。本人がSOSを出せなくても、地域の人からの相談がきっかけでサポートできることもあるので、地域の人などとしっかりと連携しながら活動していきたいです。
顔の見える関係づくりを目指して
民生委員・児童委員への誘いを受けたときは、具体的な活動内容は知りませんでしたが、話を聞く中で、人と関わることが好きな自分にもできると感じて活動を始めました。就任して半年が経ちますが、私がしている仕事にもつながることから、楽しみながら活動しています。
委員になってからは、より多くの人に自分の存在を知ってもらえるよう、地域のイベントに積極的に参加しています。私自身も地域のことを理解できるように努力しています。
何かあれば、ぜひ気軽に声を掛けてください。
頼ってもらえる信頼関係を大切に
主任児童委員として、特に登下校の見守り活動に力を入れて活動しています。
始めた当初は、私に関心を持ってもらえなかったのですが、活動を続けるうちに、子どもやその保護者から話しかけてくれるようになり、活動に喜びを感じています。
子どもたちに何かあったとき、頼ってもらえる存在となれるよう、話し方や接し方に気を配り、安心して話ができる信頼関係づくりを心掛けています。
大雨や酷暑の中での活動は大変ですが、子どもたちの元気な姿を見るとまた頑張ろうという気持ちになります。子どもは日々成長していくので、地域の皆さんにも子どもたちを温かい目で見守ってほしいです。
保護司 ~犯罪や非行のない地域づくり~
保護司は、犯罪や非行をして保護観察を受けることになった人の生活を見守り、社会復帰や立ち直りの支援をする、法務大臣から委嘱されたボランティアです。
市内では、現在62人が保護司として活動しています。
保護司の主な活動
社会復帰支援
少年院や刑務所から釈放後、円滑に社会復帰ができるよう、居住先の調査や就職先の確保などを行い、受入態勢を整える。
立ち直り支援
犯罪や非行をした人に面接をして、生活上の助言や就労の援助など(保護観察)を行う。
啓発活動
立ち直り支援への理解と協力が得られるよう、地域の皆さんに啓発する〈「社会を明るくする運動」強調月間(毎年7月)など〉。
interview
立ち直っていく姿がやりがいに
私は、保護観察対象者の話し相手や相談相手となれるよう、仲良くなることを心掛けて活動しています。
ある青年を担当したとき、就職先を紹介したけれども出社しないことが多く、就職先に何度も謝りに行き、やるせない思いになったことがあります。しかし、その青年は結婚をきっかけに、人が変わったように真面目に仕事をするようになり、担当期間を終えた後も、仕事で近くに来たときは、挨拶をしに訪ねてくれました。
活動は簡単なことではありません。だからこそ、このときの青年のように立ち直っていく姿を見たときの喜びや達成感は大きいものがあります。
この活動には美談よりも困難な事例が多いですが、使命感と誇りを持って活動しています。時代も法律も変わり、保護観察期間が長くなっている今、市の機関などと息の長い支援が大切だと感じています。
心で寄り添うことを大切に
私の子どもが高校生の頃、知人から保護司の誘いを受けましたが、当初は、私にはできないと思い断っていました。しかし、専業主婦だった私は、話を何度か聞くうちに、「社会参加になるのであれば」という思いに変わり、引き受けることを決めました。
私はボランティアだからこそ相手と心がつながることができると思っていて、対象者にできる限り寄り添うことを心掛けて活動しています。
保護観察対象者の家族関係が良くなってお礼を言われたり、担当期間が終わっていても出産の報告をしてくれたりすると、活動をしていて良かったと感じます。
これまでに、学校や家族との信頼関係が築けずに挫折する子どもと出会ったこともあります。子どもたちの状況や家庭環境について情報共有するなど、学校などとの連携も大切にして活動していきたいと思います。
更生保護女性会 ~女性の立場で更生保護活動に取り組む~
更生保護女性会は、青少年の健全な育成を助け、犯罪をした人や非行のある少年の改善更生に協力することを目的としたボランティア団体です。保護司会と協力・連携して更生保護の活動に取り組んでいます。
市更生保護女性会は、今年結成50周年を迎え、現在54人の会員が活動しています。
更生保護女性会の主な活動
非行防止活動
市内の新中学1年生へ手作りのしおりを贈呈したり、「社会を明るくする運動」の際に手作りのマスコットを配布したりする。
更生支援
更生保護施設での清掃活動や食事作り、交流を行う。
子育て支援
市民講座などの託児ボランティアを行う。
interview
子どもたちに伝えたい「温かい気持ち」
私たちの活動の1つに、更生保護施設での清掃と食事作りがあります。あるとき、一緒に清掃した青年たちが「トンカツが食べたい」と話してくれたので、次の食事作りではトンカツを作って一緒に食べました。みんなが「美味しい、美味しい」と素直に喜んでくれて、私たちも心から嬉しくなりました。
その他にも、毎年、手作りのしおりを市立中学校の全新入生に贈っています。自身で育てた草花を使って1枚1枚心を込めて手作りしたしおりを贈ることで、「温かい気持ち」を感じてもらうための活動です。お礼の手紙をもらうこともあり、「不安だったが自分を応援してくれる人がいると感じて安心した」などの言葉を受け取ったときは、活動をしていて良かったと感じます。
不安や辛い気持ちを抱えながら生きていく子どもたちのために、安心と温かさを感じてもらえる活動を続けていきたいです。
より良い地域社会をつくるために
「民生委員・児童委員、主任児童委員」「保護司」「更生保護女性会」の皆さんは、それぞれの立場で少しでも地域に貢献したいという思いを持って日々活動しています。市民一人一人がこうした活動に対して関心を持っていただくことが、より良い地域社会をつくることにつながります。
現在、市内の民生委員・児童委員と保護司の候補者を探しています。どちらも資格や専門知識は必要ありません。更生保護女性会は、会の趣旨に賛同する女性であれば、どなたでも参加できます。活動に興味がある人は、福祉政策課まで連絡してください。