ほあんプラザ(中部電気保安協会)※現在は管理者が変わり、名称も変更されています。(第1回都市景観賞)
主要用途 広報センター
構造 鉄筋コンクリート造一部屋根鉄骨造
規模 地上1階
建築面積 854.44平方メートル
延床面積 783.15平方メートル
完成時期 平成7年7月
ほあんプラザは、学習体験や研修を通して電気に関する知識を学ぶために設けられた施設である。付近一帯はニュータウンのサービスインダストリー地区であり、その一角を占める3,079平方メートルの敷地に建築面積854平方メートルの施設がゆったりと建てられている。敷地はなだらかな北側斜面の北西角地にあり、建物構造は鉄筋コンクリート造一部鉄骨造である。北斜面という立地上の不利があまり感じられないのは、この施設を含めてこの地区一帯の建物がどれも余裕をもって計画的に配置されているせいか。
かまぼこを思わせる丸みを帯びた平屋建ての外観からは、人を招き入れるやさしさが感じられる。エントランス部分のひさしもまたかまぼこ型をしており、建物全体のリズム感が伝わってくる。玄関アプローチとして、幅広い階段とともに車いす用のスロープが用意されているのは、公共的性格の強いこの施設ゆえの配慮であろう。濃い黒色の屋根部分と赤れんが模様の壁が一体となって落ち着いた雰囲気を醸し出しており、建物を取り囲む芝生や樹木の緑とほどよく調和している。
特筆されるのは北側と西側の緩い法面であり、ここは芝生と樹木の植栽で全体が覆い尽くされている。北斜面のこの地区一帯では法面に植栽を施すのが一般的であるが、その維持・管理は難しいようで、雑草が生い茂っている例が少なくない。その点、この施設では植栽の手入れが行き届いており、ボリューム感のあるグリーンベルトが建物を支えるように敷地を取り巻いている。道路に面した入口付近の樹木には電飾が施されており、大きなポール状の照明とともに夜の坂道を照らしている。電気保安協会ならではの演出である。
(林 上)