コーポラティブハウス木附の里(第1回都市景観賞)

ページID 1008661 更新日 平成29年12月8日

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コーポラティブハウス木附の里

主要用途 長屋型住宅
構造 木造
規模 地上2階
建築面積 887.19平方メートル
延床面積 1,332.08平方メートル
完成時期 平成7年5月

 なごやかな風景である。軽やかな緑の田畑を前景に、重みのある緑の山を背景にして、なごやかなつぶやきがこだまする。木附の里に北側からアプローチするとそう感じる。長く伸びた道のような空間を通って近づけば、そのつぶやきはもう一段高く、明るくなった話し声や笑い声になっていた。わずか10軒の家の集まりでありながら、それは奥行きのある街のようであった。
 木附の里はコーポラティブ住宅として建てられた。それは簡単にいうと、あらかじめ住み手が集まって自分たちの意見を入れたオーダーメイドの集合住宅をつくることである。1軒の家がオーダーメイドになることは別段珍しくない。しかし集合住宅となると、あらゆることが共同作業となる。この木附の里が誕生するまでには、住み手を集めることに始まり、その意見調整、設計の工夫、役所との調整など、並大抵でないエネルギーが注がれた。こうしたプロセスが一般の開発住宅地からは聞こえにくい響きを生み出すこととなった。
 素材や形に別段大げさな嗜好が凝らされているわけではない。むしろそれらは質素といえよう。しかし中庭にあふれる緑とやわらかな土と水、表情豊かな玄関や窓、そして見え隠れする人影がここに香りを与えている。景観とは目に映るものだけではないということを改めて思う。ことに人が住む場においては。
 木附の里は現代の日本では特別な存在かもしれない。しかしそれはいかにも懐かしく、あたりまえにたたずむ。特別に見えるプロセスも、わずかに視線を変えてみればあたりまえの道であるかもしれない。ここに学ぶことは多い。
(佐々木 葉)

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