文化フォーラム春日井(第2回都市景観賞)

主要用途 図書館、文芸館
規模　地上4階、地下2階
構造　鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造
建築面積　3,784.32平方メートル
延床面積　19,692.22平方メートル
完成時期　1999年11月

　「これはいったい何だろう」と思わせる建物である。市役所と市民会館に面して建っているから公共施設だろうというくらいの想像はつくが、初めてこの建物を見る人は、その幾何学的デザインに驚くかもしれない。大きなシリンダー状の円筒とルービックキューブを思わせる直方体の組み合わせは、確かに新鮮だ。それらを覆っている天井か屋根のような構造体が描く直線も、とてもシャープだ。このユニークな建物が図書館と文芸館からなる複合文化施設であると知ると、どんな中身の施設かいやがうえでも興味がそそられる。
　中に入ってみると、巨大な吹き抜け構造の交流アトリウムに圧倒される。自然光が大きな曲面ガラスから射し込んでおり、外部空間を内部化する意図が読みとれる。開放型エレベータで3、4階の図書館へ行くと、そこは広々とした読書空間。畳敷きの読書コーナーがあったり、絵画の貸出が行われるなど、通り一遍でない工夫が凝らされている。極め付きは4階の空中庭園であり、スカイフォーラムと名づけられたこの空間は「こんなところに庭が」と、来館者を驚かせる。建物の内部と外部を結びつける意図がここにも現れている。建物は時代とともに生きていく。斬新なイメージに満ちたこの施設は、市民に受け入れられ親しまれるにつれて、やがて新しい時代のシンボルとしてこの地域にとけ込んでいくであろう。
(林　上)