『伊勢湾台風の記憶』(令和元年9月1日)
60年前の昭和34年9月26日、伊勢湾台風が来襲し、全国的に、特に愛知県南部地域に未曽有の被害をもたらしました。春日井市でも人的被害が発生し、家屋の被害は全壊835戸、半壊1851戸という記録があります。
私は当時小学4年生でした。まだテレビも普及していない時代ですので、各地の状況を知る由もありませんが、その日のことは今でも鮮明に覚えております。
夕方から夜にかけ、徐々に雨・風ともに強くなってきました。雨戸が軋み、雨漏りにより天井から滝のように雨が降ってきました。わが家は8畳4間の昔ながらの農家の造りで、北側は土塀で囲われ、その一部が板塀でした。
家族が力を合わせて、南側にあった家財道具や畳を北側の2間に移し、必死に雨戸を押さえ床の板を剝がして雨水を床下に流し続けました。
屋根瓦が飛び、雨漏り以外の大きな被害はありませんでしたが、台風の怖さとともに、明治生まれの祖父の「雨戸が破られたら、風は板塀を壊して突き抜ける。みんなは腹ばいになれ」というその時の言葉が今も忘れられません。
大きな自然災害が毎年のように発生する今日、気象予報の精度が向上し、河川や堤防などの備えも徐々に行われ、建築技術も発達していますが、住んでいる地域のハザードマップを確認し、家族で「自分の身は自分で守る」という基本的な防災の話をしたいと改めて思っております。