平成15年度第2回春日井市商工業振興審議会議事録

ページID 1007360 更新日 平成29年12月27日

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1 開催日時

平成15年11月26日(水曜日)午後2時~4時15分

2 開催場所

春日井市文芸館 AB会議室

3 出席者

会長
中部大学工学部教授 渡辺 純
委員

春日井商工会議所製造業第2部会長 松尾 隆徳
春日井市商店街連合会会長 伊藤 幹夫
愛知実業協会理事長 長村 教治
株式会社共立総合研究所調査部
副部長兼主任研究員 古田 千尋
名古屋造形芸術大学講師 白鳥 洋子
中部大学経営情報学部講師 寺澤 朝子
春日井市企画調整部長 藤田 康幸

事務局

市民経済部長 大矢 孝彦
経済振興課長 横井 秀徳
経済振興課長補佐 長谷川 章
経済振興課主査 長江 徹
経済振興課主事補 鈴木 章仁

4 欠席者

委員
春日井青年会議所理事長 大原 泰昭
春日井市建設部長 伊藤 保和

5 議題  

春日井市における商工業振興施策について

6 会議資料

  • 商工業振興審議会資料
  • 事業所・企業統計調査
  • 春日井市の工業統計
  • 春日井市の小売業統計

7 会議内容 

  1. 部長あいさつ
    本日の出席委員は7名であり、施行規則第42条により半数以上の出席を得ており、会議の成立を報告。併せて傍聴希望者1名を報告した。
    渡辺会長が急用で遅れるため、会議の進行を会長到着まで会長代理の松尾委員に依頼する。
  2. 会長代理あいさつ
    渡辺会長が到着するまで議長として会議を進めるとのあいさつの後議事に入る。
  3. 議事
    議題1議事録署名人の選任について
    署名人には議長及び白鳥委員を選任し、出席委員全員の承認を得る。
    議題2春日井市における商工業振興施策について
    前回に引き続き、「春日井市における商工業振興施策」について各委員から発言を求めた。
    途中、渡辺会長到着により、松尾会長代理が議長を辞し、渡辺会長が議長となり、議事を進行した。
    【古田委員】持参資料の事業所・企業統計調査、春日井の工業、春日井の小売業について説明し、以下の施策案について説明を行った。

    1.公的融資・補助制度ガイドブックの作成・配布
    融資の制度があっても知らない人が多いので、わかりやすいガイドブックを作成し、配布する。

    2.事業所用地の無償提供
    春日井市は地価が高いので、市の所有している土地を、雇用の多い企業に期限を決めて貸出すれば雇用の回復につながる。

    3.研修参加費用の補助・助成
    現在も研修の助成はあるが、中小企業が本当に必要としている研修に助成がないので、検討するべきである。

    4.企業再生への支援
    春日井市は民度が高いので、退職した技術者などの知識を生かして、企業を再生させるような支援策を講じる。

    5.プライバシーマーク取得企業への補助
    カードの個人情報の流失事件が頻繁に発生しており、このようなことを防止するため、個人情報を管理する企業が取得できるのがプライバシーマークである。プライバシーマークを取得する企業対して助成をすることにより、消費者が安心して買物できるようになる。

    6.地域経済全体の活性化を図る支援機関の設立
    後継者問題について、既存の企業に対して事業希望者を紹介するシステムを確立すれば、ベンチャー企業を育てるより効率的である。

    【白鳥委員】第1回審議会を終えて30代の市民の生の声を聞いた時に、商業に関しては「おしゃれな物、専門的な物は春日井市ではなく、名古屋市に買い物に行く。」、「駅前にもっと活気が欲しい。」などの様々な意見が出ている。それと比べると工業に対してはあまり意見がないが、市民の立場からすると公害の少ないエコロジーな企業が求められている。
    施策については、春日井市の特徴を出していくべきであり、特徴としてはエコロジー、子育てなどを挙げたい。

    1.工業振興について
    工業については、春日井市の特徴であるエコロジーをアピールしていくべきである。
    (1)スローインダストリーといった循環型社会に配慮した工業の模索
    (2)春日井市の特色を示すエコロジーや子育ての観点からの産業の育成
    (3)高級ブランド化等高付加価値化への対応

    2.労働力(女性、高齢者)の確保
    短時間でも正規で働けるように母親の労働力を確保する。よい条件で募集すれば、よりよい人材が多く集まる。
    (1)保育園、学童保育等育児支援施設の充実による育児との両立
    (2)若い母親の勤務や起業を支援するシステムの整備・PR
    (3)短期正規雇用制度の普及

    3.人口の増加について
    名古屋空港が縮小し、自衛隊のイメージが強くなってしまうとあまり印象が良くない。良い住宅地のイメージを崩さないための施策が必要である。
    (1)今後の名古屋空港への対応
    (2)住宅都市整備公団のような良質で安価な賃貸住宅が必要
    (3)設計のよい、質の高い集合住宅としての市営住宅の建設
    (4)良好な住宅都市としてのイメージ戦略
    (5)高級品、専門書等の需要を賄える商店づくり
    (6)JRの春日井駅、高蔵寺駅での駅前商店街づくり

    4.融資制度について
    融資制度については「5.広報について」と重なるが一般の人でもわかりやすいパンフレットを作成するべきである。
    (1)特色のある個性的な商業活動に対する若手後継者等育成事業補助
    (2)名古屋造形大学との産学共同研究事業助成
    (3)ベンチャービジネスに対する支援
    (4)福祉ビジネス、コミュニティビジネスの起業支援

    5.広報について
    若い人のビジネスチャンスを積極的に与えていくために、成功事例を紹介するなどしていくべき。
    (1)パンフレットの作成、ホームページの作成
    (2)成功事例等の紹介による若い人への啓発

    6.その他
    (1)農業と連携した商業振興策

    【寺澤委員】施策については、春日井市のよい特色を出し、他にない特色を伸ばすべきである。総合計画を見てもどの方向に進んでいこうとしているのか分かりにくい。メリハリのきいた施策にすれば効果的な資金の使い方ができる。

    1.工業振興施策について
    環境にやさしいまちのイメージを大切にしていくために、企業に対する税制優遇施策を考える。
    (1)環境対策を行っている企業に対する税制優遇施策
    (2)物流拠点としての可能性の拡大

    2.女性、高齢者がより活躍するために必要とされる施策
    雇用創出という点で注目したいのは、コミュニティビジネスである。NPO法人の活動は、高蔵寺ニュータウンを中心に活発になってきているので、賃借料などの支援を行う。NPO法人によるママさんショップなどについては、専業主婦が社会に出るための助走期間となっている。
    女性が仕事を続けられる条件としては、子供を預かってくれる施設が必要である。春日井市は、保育園まではとても充実しているが、学童保育が不足している。充実させた方が暮らしやすい春日井市のイメージができる。
    (1)コミュニティビジネスの拠点づくり
    (2)放課後児童クラブ(学童保育)の充実

    3.商業振興施策(人口増加につながる商工振興施策)
    商店街に市民が今何を求めているか。また、商店街が何を提供できるかを考える必要がある。例えば広島の女子大学生が商店街を掃除しながら、市民の人が何を商店街に求めているかを聞いた。その事を店主に報告して、市民が何を商店街に求めているかが分かった。このように、一度紙の上の情報だけではなく、実際に聞いてみることが必要だ。
    これから起業しようとしている人に対して、中部大学などが開講しているベンチャーマネジメントの講座を受けた場合に補助する制度を要望する。
    (1)商店街でのイベント開催に対する補助金制度の新設
    (2)商店街へのアクセスづくり
    (3)起業家育成のための産学連携の促進として「中部大学ベンチャーマネジメントスクール受講補助」4若い人の誘致施策

    【松尾委員】現在春日井市内で事業をしている立場から意見を述べる。
    1商業を中心とした街づくりは、勝川、鳥居松に特化、集中する。
    勝川、鳥居松を中心に商業の活性化をしていくべきで、助成もその2地区に集中すべきである。

    2.駅前立地を生かした勝川の街づくり
    勝川はJRの駅前に商店街があるので、その立地を徹底的に利用すべきである。商店街に加入する店舗についても、どんな店でも加入できるというのではなく、政策的誘導が必要である。

    3.中部大学生をターゲットとした拠点づくり
    学生は比較的お金を持っているので、学生をターゲットとする店舗づくりをすれば大きなマーケットとなる。

    4.やる気のない商店街の切り捨て
    意欲的に活動している商店街とそうでない商店街の差をつけ、メリハリのきいた助成をすべきである。

    5.従来型の多数雇用製造業は今後ない
    中国などとの賃金格差が縮まらないと、従来型の多数雇用製造業は今後成り立たないと感じる。10年後、製造業については半分くらいに減少すると想定し、工業施策を考えるべきである。

    6.従来型の製造業対象の工業用地は不要
    5で述べた理由で工業用地は必要ない。しかし、多様な業種を対象としていけばよい。

    7.現在の工場集積地をより充実
    現在の工業集積地としている工業団地などに重点的に振興策が必要であり、高蔵寺のインダストリー地区も宝の持ち腐れになってしまう。規制が問題ではないか。
    (1)高蔵寺ニュータウン高森台インダストリー地区
    (2)神屋・明知工業団地
    (3)鷹来・松河戸地区他

    8.内陸型エコタウンへ
    環境ビジネスや循環型企業を誘致する。

    9.空港問題
    旅客機を飛ばすことを考えずに、航空宇宙産業という形で活用していくべきである。

    10.製造業の知的産業への転換誘導・助成
    知的産業への転換をはかる企業への助成が必要である。

    11.ニュー産業リーダーの育成
    春日井市に入ってくる若い経営者の新しい発想を取り入れていくべきである。

    12.中部大学との連携

    13.春日井・小牧地域小規模事業活性化ビジョン(春日井・小牧リンケージプラン)の具体化
    春日井・小牧地域小規模事業活性化ビジョンの具体化へ向けた検討を行う。

    14.地場産業がないことがメリット
    春日井市は特定の産業を持っていないことが逆にメリットになり、様々な施策ができると感じる。

    【長村委員】春日井市が行う振興策について実施するのであれば、ハードよりソフトに力を入れるべきである。

    1.工業振興施策
    春日井市は周りの市に大企業があるので、その特性を生かして航空機産業などを誘致してみてはどうか。
    (1)新事業創出、育成に対する指導・支援
    (2)新製品・新技術の事業化に対する指導・支援
    (3)下請け企業の集団化による経営の合理化・近代化
    (4)情報機器及び航空機産業の下請け企業の誘致
    (5)中小企業の管理者及び従業員の人材育成

    2.労働力の確保のための施策
    中小企業のベテランの退職者を雇用することによって、即戦力となってもらうことができるので、積極的な雇用を促進するべきである。
    (1)地元学校への求人活動強化
    (2)男女差別の撤廃
    (3)定年退職者の雇用拡大

    3.人口増加につながる商工業振興施策
    ハード面として、勝川・春日井・高蔵寺駅にターミナル商店街を再開発する等都市計画の一貫として整備する。さらに上層部に高層住宅を建設することにより活性化を図る。
    (1)ターミナル商店街の設立
    (2)商店街の活性化

    4.若い労働力の誘致
    仕事の場に近いところに住宅があれば働きやすくなるので、市営住宅などを建設し、職住が近接したまちづくりを推進する。
    他に、万博が開催されるが、駅などで万博の記念品などを販売し、商業の活性化を図る。
    (1)職場に近接した単身者、小家族用住宅の設置
    (2)働きながら学ぶことのできる場の提供
    (3)職場に近接して公園、運動場、コンビニ等の配置
    (4)福利厚生制度の充実

    【伊藤委員】商業振興について自分が考えている施策をするには、県・市の条例を考え直さないと難しい。例えば、空き店舗対策で補助制度が設けられているが、民間の空き店舗対策には補助が出ないことなどが現実だ。現在の補助金は借主には補助がでるが、家主には補助がでないのであまり貸したがらない。チャレンジショップなども検討するべきである。
    用途地域について、工業地域、商業地域には大型店が出店できるが、現実はあまり用途地域に関係なく出店しているので規制が必要である。農業振興では農家に補助が出ている。商業振興でも商店に補助を出すべきである。
    大型店のチェーン店が出店した場合、各商店街、商工会議所などへ加入しないのが通例。東京などで加入の義務づけを行う事例がでているので、本市でも条例などで定めてほしい。閉店時刻についても遅くなるばかりで、私生活に悪影響が出るので、条例・法律で定めることが必要。商連は法人化を考えているが、空いている農地を借りて退職した人に働いてもらい農作物をつくり、商店街で販売すればすべての人に利益がでる。
    【藤田委員】春日井市の商工業に関して感じるのは特徴がないということである。御殿場のアウトレットのような特徴があったらと思う。
    商工業振興に対する公的支援のあり方について、基本的には公的資金注入には慎重になる。公的資金を注入することによって商工業が活性化し、市民にも利益が受けられたらよいと思う。しかし、儲かるところは儲かる。公的資金を注入すれば儲かるかといえば必ずしもそうではない。商工業振興という名のもとに生活保証になってしまう恐れがある。そうなると個人に対する支援ということになる。それが納税者全体の納得を得られるのかといえば疑問だ。
    公的な支援をするのであれば、その補助制度でどれくらいの効果があるのか、しっかりとシュミレーションをした上で行うべきである。

    【渡辺委員】補助金を単に出してしまうのは、例えれば人の足をなえさせてしまって、杖を与えてしまうことになる。つまり、自立しなければならないのに、ただ補助金を出すことは疑問を感じる。
    春日井市がどのような市になるか、イメージを立てながら、それに対する施策を考えることが大切である。

    1.福祉、まちづくりを前面に打ち出した商工業振興
    春日井市は、ベッドタウンであるがゆえに民度がとても高い。
    高齢者については、ニュータウンで問題になっている。区画整理がとても発達している。このような市で全国で類似しているのは東京の武蔵野市である。武蔵野市は、福祉や助成制度などまちづくりにおいて参考すべき点がたくさんある。
    (1)コミュニティビジネス等小口事業独立開業資金融資
    (2)まちづくり情報センター設立・運営
    (3)コミュニティFM局開設
    (4)FM放送にスッポット宣伝を希望する企業に対する販路拡張事業助成
    (5)中部大学経営情報学部ベンチャービジネス講座受講希望企業に対する研修事業助成

    2.産学連携による地域商工業振興春日井市の一角にソフトウェア団地をつくる。高知市などに設けられている。小さい規模だが、かなり活気がある。春日井市にも工業団地の一角をソフトウェア団地として利用する方法もある。
    (1)ソフトウェア団地設置
    (2)ソフトウェア団地入居資金融資
    【寺澤委員】民度とはどのような意味なのか。またプライバシーマークに関して、現在どのような企業が取得しているか。取得した企業で情報を漏らした時は、資格がなくなってしまうかを教えてほしい。
    【古田委員】民度というのはGDP、道徳観などの国民のレベルのようなもの。
    プライバシーマークは、ISOの個人情報保護版。経済産業省が先頭にたち、個人情報が漏れては困るので、かなり厳しい審査をして取得する。大手の企業は大体取っている。個人の情報を扱う企業は取ろうとしている。今のところ国内でのみの資格となっている。
    【古田委員】この審議会において、どのような地点を目指しているのか。春日井市の財政を考えた施策を検討するべきである。
    役所は完全雇用を実現するためにある。施策を考える上で、あまり資金を使わずに効果が出る方法を考えたほうがいい。
    【事務局】目標は、振興条例の改正です。足をなえさせるものではいけない。助成に頼られてはいけない。
    春日井は中規模より小・零細企業が多い。その中で光るものを持つ企業の支援を考えていきたい。
    今日の意見を振興条例に該当できるか、方向性を出して、来年度には具体的な施策にしたい。
    【寺澤委員】商工業の振興条例の中で必要ないものは削除していくか。
    【事務局】振興審議会で報告をうけ、財政についても考え、条例を改正していきたい。
    【長村委員】振興条例の内容は県の規則に基づいて市の条例ができていると思うが、これから考えて行く上で市の独自の施策を考えていくのか。
    【事務局】今後は春日井市の特徴を出そうと思えば春日井市独自の制度を創っていく必要があり、市独自のものを進めていきたい。
    【寺澤委員】ここ5年間まったく使われてない施策もあるようだが、どのようにしていくべきか。
    【事務局】その点に関してもしっかり検証していただきたい。しかし、県の制度の補完の意味もある。
    【議長】本日は意見も出つくしたのでここまでとします。次回は短期的・長期的な施策を中間報告という形でまとめていきたい。
    【事務局】今日はいろいろな意見がでてとても参考になった。次回の審議会は年明け2月頃となる予定なのでお願いしたい。

上記のとおり春日井市商工振興審議会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、議長及び出席者1名が署名及び押印する。

平成16年1月16日
議長 渡辺 純
署名人 白鳥 洋子

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