平成18年度第1回春日井市商工業振興審議会議事録
1 開催日時
平成18年9月20日(水曜日)午前10時~正午
2 開催場所
春日井市役所北館3館 303会議室
3 出席者
- 【会長】
- 中部大学工学部教授 渡辺 純
- 【委員】
- 春日井商工会議所副会頭 松尾 隆徳
春日井商工会議所
中小企業相談所所長兼振興課長 山田 眞平
春日井市商店街連合会会長 伊藤 忠和
春日井市青年会議所理事長 佐藤 千秋
株式会社共立総合研究所取締役取締役調査部長 古田 千尋
名古屋造形芸術大学造形芸術学部助教授 白鳥 洋子
中部大学経営情報学部助教授 寺澤 朝子
中部経済産業局地域経済部
企業育成総合支援室長 佐々木 昌子 - 【事務局】
- 市民経済部長 山田 孝幸
経済振興課長 池谷 一法
経済振興課主幹 伊藤 周広
経済振興課長補佐 河地 隆廣
経済振興課商工振興担当主査 細川 良孝
経済振興課主査 堀田 耕志
経済振興課主事 鈴木 章仁
4 議題
春日井市商工業振興条例及び春日井市商工業振興条例施行規則に基づく助成金について
5 会議資料
商工業振興審議会資料
助成金他市比較表(商店街の催事、街路灯、融資等)
市町の企業誘致優遇制度について
春日井市商工業振興条例・施行規則
6 議事内容
- 委嘱状交付
市長より委員へ委嘱状を交付。 - 市長あいさつ
商工業振興審議会の委員を引き受けていただき、お礼申し上げます。市長になり商工業の振興ということに力を入れ、春日井市として商工業振興に目を向けて実績を作っていきたい。商業と工業という形に分けると、商業では最近勝川で全国商店街サミットが開かれ、商店街が中心となり1年半に渡る努力などがあり新聞にも取り上げられ成功であった。しかしこれが一過性にならないように注意しなくてはならない。工業もいろいろな形で活性化していきたい。また観光に関しても、春日井市の現状を見ると難しいのは事実だが、春日井市政全般における商工業振興に欠かせないものであるので是非活性化したい。審議会では、それぞれの立場から、指導がいただければありがたい。 - 会長選任
会長には渡辺委員にとの発言があり、全員異議なく承認。 - 会長職務代理者選任
渡辺委員が会長席につき、議長となり会議を進行し、会長職務代理者の選任について松尾委員を指名。 - 会議の公開について
会議の公開について全員異議なく承認。
(注)傍聴者希望1人。 - 議事録及び署名人の選任について
議事録を要点筆記で作成することに全員異議なく承認。署名人は2名とし、今回の署名人には議長及び山田眞平委員を選任。 - 議事春日井市商工業振興条例及び春日井市商工業振興条例施行規則に基づく助成金について
事務局より別添資料に基き、本市商工業振興条例の現状説明の後、各委員より質疑がなされた。
【伊藤委員】平成17年度の助成金の実績はどうだったか。
【事務局】(助成金実績の説明)
【松尾委員】助成金の効果が出ているのか。
【事務局】ISOの助成金等、事業所へアンケートを実施して回答を得ています。実績一覧と併せて、資料を提示します。
【議長】信用保証料の助成は他の助成金に比べて多額なのはどうしてか。
【事務局】利用率が高く、高額な助成をしている。
他市との比較を別表にまとめてあるので、参考にしていただきたい。通常資金は90%、特別小口は100%の助成をしており、比較表で見ていただくように、他市より助成率が高いことが理解していただけます。
【佐々木委員】神屋と明知に工業団地があると聞いているが、現在利用可能な工業団地のスペースはどれくらいあるのか?
【事務局】神屋は募集が終わっているが、明知については今月中に1件契約がまとまる予定となっておりこれで、すべて企業へ土地が渡る状況。16年度の終わりくらいから、春日井に対して企業からの問い合わせが多くなり、17年度の初めには4つほど団地が余っていたが、順番に決まってしまったという状況で、その後も企業からは、大きな土地が欲しいという問い合わせが来ているのが現状です。
【山田委員】商業と工業の両方について、意見及び要望をしたい。
商業団体等に対する補助は、他の市町に比べて春日井市は充実している。ただし現状の中で、活用されていない助成金がたくさんある。費目として実際にもう使えないというのがある、例えば、商店街の活性化イベント事業は、春日井市のほとんどの商店街で使ってしまった。また、法人格を有しない団体へ対しての助成を幅広くしても良いのではないか。また、全国的に商店街が衰退している中、春日井市の商店街でも、がんばっているところもある。そんな中で、商店街単位だけではなくて、春日井の場合ではロードサイドに個店がかなり出てきているので、商店街と併せて個店に対する助成を、何か考えていかなくてはいけないのではないか。やる気のある商店街には、商店街に対する集中的な補助と併せて、商店街を形成するであろうチェーン店ではない個店に対する助成も必要だ。工業については、会議所の方にも、新しい土地を求めて、企業から問い合わせがある。土地が無いといわれている状況の中で、本当に無いのかというと、土地はあるけれど色塗りが違って、なかなかできないというものが多いと思う。できたら、そこらを限定解除してもらえないか。それと新設だけではなくて、市内企業の増設に対する何らかの助成があっても良いと思う。
最後に、産学連携に対する助成だが、現在は中部大学と商工会議所の技術交流プラザのメンバー45社だけを対象としていただいている。ありがたい思いはしているが、毎年毎年新しい研究ということはできなくて、実際のところ実績がなかなか上がらないので、商工会議所には工業関係の会員が約1200社いるが、対象範囲を工業関係の会員といわず工業関係の方に対しても、幅広く産学連携の窓口を開いていただけたらと思う。また、中部大学オンリーというのも良いのですが、ほかの大学もありますので、大学の方も幅広く考えていただきたい。市内の企業と連携を取った場合に対する助成ということで考えてもらいたい。
【佐々木委員】工業について三つ希望を申し上げたい。
一点目は、春日井市の中にたくさんの事業所を誘致しようとしても工業団地は満杯で、非常に希望も多いということになると、べつの所にも広げていただくということも必要だと思う。どうしてかというと、経済産業局は工業立地の調査をやっておりますが、今年の調査でも昨年の調査でも、岐阜県への企業立地が非常に進んでいる。これは、東海環状自動車道ができまして、愛知県の企業で土地が無い方々が岐阜の関の方に出ていかれる。この傾向は現在でも続いている。そうすると、この途中の春日井の地域が非常に重要ではないかと思っているので、そのあたりを考えていただければという観点と、山田委員の意見に追加させていただければ、工業の振興ということは非常に重要なことですが、それに加えて、事業所・工場だけを立地するのにとどまらず、本社機能が有る、あるいは本社機能を付加していただくことが非常に重要である。なぜならば、本社機能ができることによって、そこで研究開発が行われていくということも促進できるのではないか。今の現場で生産していくだけでなくて、新しい事業を生み出してもらえるという拡大活性策ができるのではないか、本社機能が一緒に誘致してくれるような、そういったことを促進するような工夫があるといい。
二点目は、自己紹介でも申し上げましたように、産学連携にも関係しているので、先ほどの山田委員からの意見に賛成です。中部大学は、非常にたくさんのシーズを持っているが、それにとどまることなく近辺の大学でも良いであろうし、場合によっては東京や大阪の大学と産学連携を拡大することも必要ではないか。ただ、50万円と金額を聞いたが、国の助成金ですと1000万円オーダーのものもあるし、場合によっては億というものもある。そういった、大型の本格的な産学連携を調査・研究開発する前に企業から要望があるのは、この研究開発をするだけの価値があるだろうかという、つまりテーマについてちょっとfeasiblety-study(可能性調査)をしたい、ということがある。経済産業局ですと、中部大学と勉強会を作ってやったりする場合があるが、個別に企業が大学とこのテーマでやりたいが、これがものになるかといったような時の予備調査的なことにも使えるようになると、50万円という金額が生きてくるのではないか。
三点目は、ISO取得について助成の利用率が高いということで、非常に良い制度だと思うのですが、それに加えて、最近だと知的財産権が非常に大事と言われている、いわゆる特許だが、特許を申請する時の助成があると、中小企業やベンチャーがこれから事業を打ち出していく時に非常に有効ではないか。国の方でも助成はあるのですが、なかなかきめ細かくもいかないので市のほうでご検討いただけると良いのではないか。
ほかにもう一つ、女性や高齢者などの創業ということを、私どもも応援させていただいていて、国民金融公庫などでも創業資金の貸し出しという制度もあるが、借りますと借りたお金ですから利子が若干でも付く。ですから、融資をしなくてもいいのですが、利子を少しでも補給していただくといったことも、少ない財源で効果があって、融資から少し踏み込んでいただけるような後押しができるのではないかなということで、融資に加えて利子補給的なところも少しあると、少ない予算で大きな効果が出てくるのではないか。
他の市町村の一覧を見させていただいたが、こういったところで少し特色を春日井市で出すといったことも良いのではないか。
【古田委員】前回の委員会の時に助成の対象に防犯カメラを対象に追加や、ISOの助成に加え企業へプライバシーマークの取得支援などの意見を言って事務局の回答は検討するということだったが、前回の委員会の経緯と、今回との関係というか流れが良く分からないので教えてほしい。
【事務局】前回、16年度に答申いただいた内容は、経済振興に関する全般的な提言でということで承知をしている。
その中で、何が具体的にできるのだろうかと考え、市長も話をしたが、工業に対する誘致をしやすくする条件とか、現在の助成メニューに加えこういう助成をした方がよいという話があった。逆に春日井は他の市に比べて出し過ぎではないか、こんな財政的にきびしい時には助成を減らしてとかいう意見の中で、企業誘致とか商業の活性化を促進する助成制度を、今回特に集中して意見を聞いて、大幅な中身の改正を考えたい。様々意見を出していただき、財政との関係もあるが、少しでも助成制度の見直し、条例・規則の改正につなげたい。
【寺澤委員】私も、前回の審議会に出席しているが、皆さんと確認したことは、春日井市をどういうまちにしたいかという、まずそういうビジョンがあって、その中で商工業の振興に関しては、どういうことをやっていけるのかということを考えましょうということで答申を作った。私の記憶だと、最初この委員会に呼ばれた時には、助成金の何を無くし、何を新しく作くるのかという意見を言えば良いのかと思っていたが、そこまでは踏み込む必要はない、全体的な方向で答申をすれば良いですよということだったので、春日井市をどうすればもっと良くなれるのかといったことを考えて意見を出して、その中で古田委員は経験の中からこんな助成金をつくっては良いんじゃないかといったことを言って我々もそのとおりだと思っていた、そこで終っている。
ということは、その時にやってきたさまざまな議論とか結論とかに対して、春日井市が何ができて何ができなったとか、もしくは渡辺委員が言ったように、春日井市自体の周りの状況が変わっているから、あれはとりあえず無しといったことにして、一から全部考えるということならばそれはそれで良いが、今言ったように工業の部分だけ特化して、そこだけありったけの知恵を出してくれと言われるならそれでも良いと思うし、結局この委員会を2年間やって最終的にどこに向かっていくのかということを、最初に具体的じゃなくていいけれど、ある程度でも示してもらわないと、前に私たちが春日井市のために出した意見は何だったのかなというような気持ちがある。こういう場でこういう発言をさせていただいて良いのかわからないが、前回やって、前にやったことの反省を踏まえて次に進むことも、ひとつ重要なことではないかなと思って発言した。
【議長】事務局の方で、前回のまとめを次回の冒頭でふれてもらい、寺澤委員の指摘に答えていただければよいと思います。
【松尾委員】先ほど、あるところに特化・集中したいということだが、それはこれからの市として考える目玉というところがある訳か?
【事務局】工業面については松尾委員からも指摘があったように、今までの市の対応は、企業から相談されても規制の部分でこういうことがあるからできませんというような対応であった。しかし、そうではなく、今我々としては企業が望んでいる考え方を、いかにクリアできる知恵を示すことができるかという対応に変わったと言える。前回と今で、我々の意識もずいぶん変えて対応している。
先ほど、佐々木委員からも質問があったように、工業団地としては土地が無い、だけれども春日井市の中には工場を辞めて、そこが空き地になる場所もある。それと企業が持っている敷地が、まだ十分に利用できる土地や、まだ全部利用せずに余っている土地があるというところもある。それともう一つは、よくいう「塩漬けの土地」で、土公社が持っている市の土地ですね。もう一つは、農地等などの調整区域の土地で、企業が出たいという場合で、今までなら簡単に断っていたのを、優良な企業であれば、そういった規制の中でも何とか進出できる方法がないのだろうかと考えるように取り組んでいる。そういう中のひとつとしての助成金で、企業として春日井市がこういう助成をしてもらえれば小牧に比べて出やすいだとかという、企業にとってもありがたい便利なものを作り上げたい。具体的に、工業団地を新たに作っていくというような問題ではなく、現在春日井市にある土地を、情報を仕入れた中で対応していきたい。団地を作ると7~8年先になる、おそらく2~3年後には、今のような活性化した状況は少し萎むんではないかという見方をしているので、ここ2年くらいの間で、いかに良い企業を春日井市に誘致するかということを意識したい。
【松尾委員】そういうスタンスを取られれば、おそらく助成しなくとも企業は来るのではないか。また高森台の工業団地の土地は余っているのか。
【事務局】全部埋まっている。
【松尾委員】あれだけ厳しい規制があっても埋まったということは、かなりの需要があったということ。
【伊藤委員】規制のかかった所を排除していく方針ということか。例えばインター周辺とかも、そういったことで考えているか。
【事務局】経済振興課としては、そこまでの判断をすべき部署ではないので、今の規制の中で少しでも企業の希望に沿えるような方法がないだろうかと、門前払いではないようにやっていく。
内部的には、経済振興調整会議を作ったと市長も宣伝しているが、実際には、経済振興課がアンテナを張って集めた情報を挙げて、各部の関係部長にそれをよく考えてもらうという席は作っている。内部的なことはこういうことでやっていくけれど、先程のように、工業団地を作るとか、何か規制を変えるというと、都計法の見直しも2年後の20年度に予定されているが、それまで待たないと話が進まないのかということになるので、当面課の中でできることをやろうということで、即効性のあること、多少私たちの課で働きかけて変えられるような条例・制度であればそこを見直していきたい。基本は外から元気のある製造業なり、外貨を稼ぐような産業を連れて来る、あと一方で、今は工業の話ばかりしましたが、その中で商業なり観光なりの人たちがどんどん高循環を生めるような環境を作りたい。これについてはいずれも、私たちのスタンスとしては、既存のところに幅広く水を撒くということではなくて、新しいことにチャレンジするということに支援し、そういう部分に特化したい。
【白鳥委員】先程、寺澤委員からあったように、前回の我々の話し合ったこととつながりが持てないということだったが、それについては同感。「春日井らしい」という意気込みを持ちましょうというようなことを話し合い、その中でコミュニティビジネスやベンチャービジネスなどを中心に考えていったらどうかという提案をしていったわけだが、前回の提案と今回の話しがどういった形で生かされていくのか着地点が見えない。次に、昨年の実績として金額を聞いて驚いたが、信用保証制度に1億という大きなお金が動いていたり、商店街の夏まつりなどで377万円、多くの人によっては小さいと感じるかもしれませんが、私にとっては大きな金額が動いていると感じた。貴重な税金なので、ていねいに使っていけば良いのではないかと思いました。あと、全般的には作戦が古いなという気がする。商店街の活性化で、街路灯・アーチ・アーケードなどこれでは活性化できない。工業のほうで、優良企業を誘致したいとあったが、さらに欲を言えば春日井らしさの基本理念に則った、特色を持った企業を集めていただきたい。「春日井といえばこれだ」というものを打ち出していかなければいけないという話が前回の審議会でも出た。これを念頭においた助成メニューを準備していかないと、結局実行されない。工業のほうでは、どんどん中国に進出して日本に工場が残らないという状況になっている。中国と台湾を例に取ると、自転車の中では、ママチャリは中国、スポーツタイプは台湾というふうに分かれている。私はトータルデザインをしてるが、そうすると最高級品はどこで作られるのかというと、イタリアだ。イタリアのカーボン製品を使った商品だが、そういった付加価値のあるものを作る会社が、西日本の中で春日井にも作っていく。そういった踏み込んだものを踏まえたうえで助成金を作っていかないとお金がもったいないという気がした。
【議長】白鳥委員の意見の中にもあったように、前回係わった者としては、発言の一部にありましたように差別化が必要、せっかく春日井なんだから他と違う特色のある春日井らしいものを、その観点も入れながらこれからは考えていかなくてはいけないという話だったが、私も同感。前の話の中に出てきた、チャレンジする気持ちのある人に対してより汲み上げてという話の中でも、法人格を持っていない人たちにも積極的に広げていくのも必要。
【議長】今日は、先ほど私から申し上げたように、今後のために収れんした意見交換という形ではないが、それぞれお思いになったことを発言する第1回目という形になった。次回以降は、事務局の方で精査して、実りのあるような方向づけの準備をしてほしい。
【事務局】いろいろと意見をいただき、ありがとうございます。各委員から意見をいただいたので、問題提議ということで受けさせていただく。この後、事務局で意見をまとめさせていただいて、次回までに案という形で提示したい。
【議長】以上をもちまして、本日の商工業振興審議会を終了させていただきます。
上記のとおり春日井市商工振興審議会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、議長及び出席者1名が署名及び押印する。
平成18年10月12日
議長 渡辺純
署名人 山田真平