令和3年度第2回春日井市文化財保護審議会議事要旨
1 開催日時
令和3年10月27日(水曜日) 午後3時30分~5時
2 開催場所
東部市民センター 多目的室
3 出席者
-
会長
-
春日井自然友の会会長 長縄 秀孝
- 委員
-
名古屋造形大学特任教授 池田 洋子
東海工業専門学校講師 岩田 敏也
東海学園大学教授 小野 佳代
春日井郷土史研究会会員 高橋 敏明
中部大学教授 永田 典子
星城大学特任教授 松原 隆治
中部大学教授 森田 朋子
- 欠席者
- なし
- 事務局
-
教育長 水田 博和
教育部長 西野 正康
文化財課 課長 村松 一秀
課長補佐 鵜飼 淳
主査 加藤 朝子
統括主任 松浦 徹
- 傍聴者
- なし
4 議事
(1) 郷土館のあり方について
(2) 市指定文化財の指定について(答申)(開催日当日は非公開)
5 会議内容
(1) 審議会の運営について
事務局から、議事(2)市指定文化財の指定について(答申)は、個人及び法人の財産に関する情報が含まれ、情報公開条例第7条第4号に掲げる不開示情報に該当するため非公開、議事録は要点筆記とすることについて諮り、全員一致で承認された。また、議事録等の作成に関する指針に基づき、長縄会長より高橋委員が議事録署名人に指名された。
6 会議資料(開催日当日は非公開)
7 議事内容
(1) 郷土館のあり方について
事務局より、10月に地元及び市内の郷土史家より聴取した主な意見について、口頭にて報告があった。
次のような意見があった。
- 森田委員
- 天皇の休憩所というものが、明治の段階ではどういうものだったのか、また、そこに天皇が来ることによって、春日井の請願運動に繋がったのだという、それを示す象徴的な建物ではあるわけです。せっかく残っているものを、一部なりとも残していく方がよいのではないでしょうか。
- 高橋委員
- 簡単に言えば、壊すか、今の状態で残すか、一部分でも残したいか、ということかと思います。
郷土館はもともと、春日井市に展示施設がないために、昭和48年に作ったものです。明治天皇の御小休所であった古い建物が残っており、せっかくだから郷土館として、展示施設として使用することになったという経緯があります。
郷土館という展示施設であるという側面と、明治天皇の休憩所であったという側面、これを分けて考えなければならないのではないでしょうか。両方がごちゃごちゃになって意見が出てきているように思われるので、整理が必要だと思います。
まだ他にも地元の意見を聞かれるということなので、我々はそれを聞いた上で、意見を言っていきたい。 - 岩田委員
- 地元の方や郷土史家の方のご意見は、概ね、建物の解体はやむを得ないが、歴史的・文化的なものを伝える施設としては、別の形で残してほしいという感じかと思います。私も、建物については、市の公開施設としては、安全性にも問題があるし、展示施設としてもひと昔前のものであり、解体もやむを得ないかと考えます。街道の歴史や聖蹟の歴史はきちんと伝えて残していかなければならないが、あの建物自体についてはどうなのかというところをよく吟味して考える必要があると思います。
郷土館の建物とそういった歴史を伝える施設とは別個で考えて、地域住民だけではなく春日井市全体の話として、文化財を残す施設としては近い将来、作ってほしいという声が出てくると思います。 - 松原委員
- 下街道がかつてここにあって、街道沿いの主な建物としてこういうものがあったということを知るためにはすごくいい建物ですが、明治天皇が休憩をされたということには、それほど重要性はないだろうと思います。
50年も前に既に寿命が来ていると考えられていた建物を、さらに耐震補強して今後どれだけ利用価値があるのか、費用対効果を考えたときに、やはり解体はやむを得ないのではないか。
ただ、やはり地元の歴史を知るために有効な施設は、何かの形で必要だろうと考えます。 - 長縄会長
- 郷土館につきましては、地元の方のお気持ち、また、下街道の位置づけが非常に大事になってくるのではないかと思います。
下街道は、勝川から鳥居松、坂下、内津と宿があり、鳥居松という狭い領域ではなく、「春日井の下街道」として考えたとき、他の宿のことも視点に入ってくるのではないでしょうか。
例えば、勝川の宿では地元の皆さんが「勝川資料館運営委員会」を作って歴史を皆で守っていこうと熱心に活動しておられます。このような地域の支えがあってこそ、今後下街道などの歴史を守っていくことに繋がっていくのではないかと思います。
それでは、事務局からご報告があったとおり、今回いただいたご意見及び地元のご意見を踏まえ、進めていただくということでよろしくお願い申し上げます。
(2) 市指定文化財の指定について(答申)
事務局より、審議対象となる彫刻について、資料に基づき概要説明があった。
次のような意見・質疑応答があった。
- 高橋委員
- 愛知県や尾張地域では、これくらいの時代の神像がそろっている例はほかにもあるのでしょうか。
- 小野委員
- 仏像は比較的残っているのですが、平安時代の神像は意外に無く、貴重なものです。平安期の神像と本地仏を含めて3体あることは非常に貴重です。
地形的にも、すぐ隣に白山神社があり、そこに平安時代に確かに白山信仰が勧請され、彫刻が作られ祀られていたということも価値があると思います。 - 高橋委員
- 白山信仰が勧請された時にどこか他で作られたものが移されたのではなく、地元で作られた像であると考えればよいでしょうか。
- 小野委員
- 少なくとも11世紀のなかばには像が作られているということは、その頃既に勧請されて白山神社が存在し、祀られたということ。愛知県や尾張は調査するとこの頃、仏像が盛んに作られていますので、地元で十分作ることができる環境であったはずです。
- 高橋委員
- 当時の都である京都での彫刻の様式から制作年代を判断すると、地理的に京都から離れるに従って彫刻の様式が伝わるのにタイムラグがあり、年代的に時代が下がる可能性はあるのでしょうか。
- 小野委員
- 尾張は地方とはいっても、徒歩圏内で来ることができるような近国に位置づけられていた地域です。仏像の様式もタイムラグ等ほとんどなく、年代差は心配されなくてもよろしいかと思います。
- 岩田委員
- 全体的な評価については、白山信仰や神仏習合の歴史的なことをしっかり表しており、3体まとめてあるという点でも非常に意義があると思います。ぜひ文化財に指定していただけるとよいと思います。
- 長縄会長
- 今回諮問のありました3件の彫刻の指定について、了承するということでよろしいですか。ご異議がないようですので、議事(2)市指定文化財の指定についてを了承し、教育委員会へ答申することといたします。
事務局より、指定に関する今後のスケジュールについて説明があった。
上記のとおり、春日井市文化財保護審議会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、会長及び出席者1人が署名する。
令和3年11月25日
会長 長縄 秀孝
署名人 高橋 敏明
PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。