令和3年度第3回春日井市文化財保護審議会議事要旨

ページID 1027275 更新日 令和4年2月22日

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1 開催日時

令和4年1月14日(金曜日) 午後3時~4時

2 開催場所

中央公民館 第7集会室

3 出席者

会長 

春日井自然友の会会長   長縄 秀孝

委員

名古屋造形大学特任教授  池田 洋子

東海工業専門学校講師   岩田 敏也

東海学園大学教授     小野 佳代

春日井郷土史研究会会員  高橋 敏明

中部大学教授       永田 典子

星城大学特任教授     松原 隆治

中部大学教授       森田 朋子

欠席者
なし
事務局

教育長        水田 博和

教育部長       西野 正康

文化財課 課長    村松 一秀

     課長補佐  鵜飼 淳

     主査    加藤 朝子

     統括主任  松浦 徹

傍聴者
なし

4 議事

(1) 郷土館のあり方について

5 報告

(1) 市指定文化財の指定について
(2) 密蔵院の防災施設整備について

6 会議資料

7 会議内容

(1)  審議会の運営について
 事務局から、会議は情報公開条例に掲げる不開示情報は含まないため公開、議事録は要点筆記とすることについて諮り、全員一致で承認された。
 また、議事録等の作成に関する指針に基づき、長縄会長より高橋委員が議事録署名人に指名された。

8 議事内容

(1)  郷土館のあり方について
 事務局より、地元町内会・商店街、市内の郷土史家より聴取した意見を取りまとめ、口頭にて報告があった。
 次のような意見があった。

岩田委員
意見を拝聴して、個人的には残念だと思ったのは、どうしても郷土館を残して欲しいという人がいてもいいのかな、いて欲しかったなという気はします。
一つ誤解して欲しくないのは、あの建物そのものに価値がないというわけではなく、際立ってすぐれた高い質ではないというふうに僕は報告書でまとめていまして、決して、なくなっても全然構いませんというものではありません。
ただ、大きな流れとしては解体やむなしということだろうと思いました。
今後の活用計画、利用計画がきちんとできた後で、解体をされる、すべきということだろうというふうに考えました。
森田委員
私も解体やむなしというのは仕方ない流れだと思いますが、解体する前に、映像的に、例えばGISで、将来的に画像的に復元できるような形で、今の段階で、できる限りの調査をしておくことは必要です。
明治天皇がテレビもないような時代に全国を回って春日井も通ったというのはどういうことなのか、また、下街道、四九市通りが国道19号へと変わっていく昭和の歴史を、きちんと伝えていくことが必要だと思います。ただ単に江戸時代の歴史ではなく、町の計画そのものと連動させると、もっと意義があるものになるのではないかと思います。
松原委員
耐震補強工事をするとしたら、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。また、どれくらいの人数が見学に来ていますか。
文化財課長
一般的な耐震だと、基本的には壁を壊して基礎を打ってということで、耐震のみで約2900万円かかります。それに展示施設の整備ということになると、まだ上乗せになっていくという状況です。
見学者については昨年は17人、令和元年が44人。ここ何年かは2桁ぐらいの数字です。
松原委員
中へ入っていろいろ見ることができない状況だと、見学者も来なくて当然だと思うので、下街道の歴史を知ってもらうための施設としては、あまり意味をなさないように思います。
ですから、やはり解体やむなしで、できるだけの記録を残して、それを後世に伝えるということが大事ではないかと思います。
永田委員
先ほど森田先生からGISの話が出ましたが、そういう地理的なこともそうですし、建物の内部はVRでできますから、そうするとお子さんたちも非常に興味を持って接することができるのではないかなと思います。
文化財課長
文化財課もVRを活用して、古墳の石室内や古窯の中など、普段は入れないところを見てもらうという方向で進めておりますので、玉座等はデータをとって、見られるような形をとっていきたいと考えております。
岩田委員
やはり下街道の歴史を何とか伝えなければなりません。
郷土館がなくなっても、他にも下街道の歴史を伝える建物が、現在はまだ若干ですけれども残っていますので、こういう機会に今残っている建物の調査も、ぜひ、やっていただいて、それも反映されるような展示も、考えていただきたいなと思います。
高橋委員
多分今、解体やむなしという方向だろうとは思いますが、町割公民館を作って、その一角に郷土館の展示室を作るのが一番現実的かなと思います。
また、大切なのはいわゆる古い町並みの情緒が感じられる建物であることです。
明治天皇が休憩したということだけではなく、先ほど言われたVRはもちろん、もっと言えば、あの建物の外観そのもののレプリカを作って貼り付けるようなことも、今の技術なら可能ではないでしょうか。
皆さんが期待されるのはやはり、今の郷土館の外観が持つイメージ、シンボルとしてのイメージを、できるだけ残せるような建物を作っていただくのが、いいのではないかと思っています。
池田委員
VRにして残すのはとても良い案だと思います。
室内はもちろん残したいですが、建物の空間としてどんなふうにしてその敷地が使われていたのかというところまで踏み込んだ、下街道ではどういうふうにして、人々が暮らしていたのかということまで追求する、この建物は、日常的にはこういうふうに使って、その外側の空間、つまり庭とかそういうものは一体どういうふうに使われたのかまでを、VRで再現するような形で、室内だけでなくその外側の空間も残した方が良いと思います。
岩田委員
何を残すかは非常に難しい問題で、最近は建築科でも床の間は知らない、納戸も知らない、畳の部屋で暮らしたことがないという学生がいます。
だからやはり、玉座、床の間など、ああいうしつらえみたいなものは、ぜひ残して欲しいです。
それから、さっきおっしゃったように、外観を何となく復元するのを、修景といいます。どういう建物が作られるかはまた今後の問題になると思いますが、ああいう場所に建てるのであれば、歴史が感じられるような建物にしなければならないと思います。
その辺りも含めて、今後の計画をまず立案し、それをもって解体が始まるという、そこまでは何らかの形で我々も関係しなくてはいけないし、少なくとも文化財としてどうしなければいけないのか、どうして欲しいのかという意見は今後も発信し続ける必要があると思います。
高橋委員
VRの話が出ましたが、春日井の下街道で、代表的な建物は、内津や勝川の商家や、坂下あたりも外観は江戸ではないと思いますが、大正とかの建物が残っていますので、そういうものを、郷土館でVRで見られれば、今よりもずっと人が集まるし、良いと思います。
積極的に新しい施設として活用して、これを良い機会にして、今よりも良い展示内容にしていっていただきたいなと思います。
長縄会長
下街道は市内においては、勝川から内津まで、そして宿場があったのは、勝川、坂下、内津です。今回鳥居松に郷土館があるということでございますが、下街道の生活がどうだったかということが総合的に表現できるといいのかなと個人的には思っております。
松原委員
郷土館そのものとは関係ないですが、先ほど岩田先生が修景計画ということをおっしゃいましたが、郷土館と同じような作りをした建物がまだ何軒かありますので、持ち主の方に働きかけて、後の時代につけたしたパラペットを取って、元の形に戻していくというようなことも、長期的な考え方としては必要だと思います。
郷土館を解体してしまうことになるならば、余計そういうことは大事じゃないかなという気がします。
長縄会長
今先生方からたくさんご意見をいただきました。今後も検討する機会が多々出てくると思いますので、ぜひ今日のご意見を反映させていただけるように、事務局にはお願いを申し上げておきたいと思います。
それでは、郷土館のあり方については、現在の建物については解体をすることとし、今後の活用につきましては、一番大切であります地元の意向を踏まえて検討を進めていただくということ。そして、解体につきましては、史跡の利用活用ということで、今後話し合いが進められ、決定したのちに解体するということ。
以上3点について、承認することとして、質疑を終わりたいと思います。

9 報告内容

(1)  市指定文化財の指定について
 事務局より、令和3年12月22日付けで市指定有形文化財に指定された円福寺の木造十一面観音菩薩立像、木造僧形坐像、木造女神坐像について、別添資料に基づき概要説明があった。また、令和4年1月28日付けで愛知県指定有形文化財に指定される予定の密蔵院の鉄釣灯籠について、口頭で報告があった。
 市指定文化財の指定について、質疑応答・意見はなかった。

(2)  密蔵院の防災施設整備について
 事務局より、現在施工中の密蔵院の防災施設整備について概要説明があった。
 次のような質疑・応答があった。

長縄会長
密蔵院では毎年、文化財防火デーで放水訓練等やっておられますが、多宝塔の放水銃など全部変わるということですか。
文化財課長
今までは放水銃を消防団の方に開けていただいて、ポンプを回して放水するというシステムでしたが、今度は自動で放水します。放水銃も変わりますし、感知の方式も変わりまして、最新の設備となります。
小野委員
密蔵院さんといえば、一昨年仏像の調査を行いましたが、指定についてはどのように進めていらっしゃいますか。
文化財課長
調査結果をいただきましたので、他のお寺のものも含めて、順番に進めていきたいと考えております。

 上記のとおり、春日井市文化財保護審議会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、会長及び出席者1人が署名する。

令和4年2月10日

会長  長縄 秀孝
署名人 高橋 敏明

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