令和8年度市政方針
令和8年第1回市議会定例会において、石黒直樹市長が令和8年度に向けての考え方をまとめた「市政方針」を発表しました。
ここでは、令和8年度市政方針の全文を掲載します。
令和8年度市政方針 PDF版
令和8年度市政方針

令和8年第1回市議会定例会の開会にあたり、市政運営の基本的な考え方と主な取組について所信を申し述べます。
私が、令和4年5月に多くの市民の皆様の御信託を賜り、春日井市長に就任して以来、早いもので1期4年の任期も残すところ3か月となりました。この間、多くのイベントや地域の行事に参加する中で、市民の皆様の声を直接お聴きし、市政に反映することを心掛けてまいりました。「市民のために何ができるか」を常に考え、市民や事業者の皆様の思いを形にし、一つひとつの取組を着実に実現していく、その積み重ねが、強い信頼関係につながるものと考えております。
そして現在、社会のあり方が大きく変化する中においても、市民の命と暮らしを守ることは、市政を担う者としての最大の使命であり、その責任を果たすべく、全力で市政運営に取り組んできたところであります。
しかしながら、日本経済がデフレからインフレへと移行し、長期化する物価高騰は、私たちの生活に大きな影響を及ぼしていると感じております。本市では、その影響を受ける市民への支援として、全世帯へのギフトカード型商品券の配付と、こども一人あたり2万円の子育て応援手当の支給に向け、スピード感を持って準備を進めているほか、学校給食費の無償化のさらなる拡充やプレミアム付き商品券の発行支援を実施してまいります。
さらに、市民や事業者の皆様が安定した生活や事業活動を営むことができるよう、高齢者の移動支援として、75歳以上の皆様にバスやタクシーで利用できる交通共通利用助成券を配付してまいります。また、地域公共交通を担う事業者への支援として、路線バスやタクシーの運転手の確保に向けた取組を支援するなど、生活者等の視点に立ち、必要な支援を迅速かつ着実に進めてまいります。
近年、全国各地で自然災害が頻発化・激甚化する中、本市では、災害時における物資集配拠点の整備や避難所の備蓄資器材等の充実、新消防署の開設のほか、ポンプ場や調整池等の整備を進めてまいりました。さらに、愛知県の事業により整備された地蔵川の排水機場や八田川の堤防補強によって、浸水への備えが一層強化されたと考えております。
また、猛暑日の日数が年々増加傾向にある中、熱中症対策は喫緊の課題となっております。小中学校体育館への空調機の設置は、学校生活における学習環境や災害時における避難所の生活環境の向上につながることから、当初の計画を前倒しして、加速的に進めており、令和8年度で完了いたします。
いつ起こるかわからない災害への備えに、これからも最優先で取り組み、市民の皆様が安全安心に暮らすことのできる災害に強いまちづくりを進めてまいります。
さて、本市においても、少子化を起因とする人口減少が進行しており、まちの活力を維持していくためには、若い世代から選ばれるまちづくりが重要であります。このため、18歳までの医療費の無償化を始め、放課後児童クラブの整備と開所時間の拡大、就学援助の認定基準の緩和、保育園の整備、ICT教育を始めとする教育環境の充実など、子育てをしやすい魅力的な環境の整備を進めてまいりました。
私は、こどもたちへの支援は、未来への投資と考えており、こどもを安心して産み育てることができ、こどもが健やかに育つことができる社会を創ることは、本市のさらなる発展につながるものと確信しております。引き続き、こどもに優しいまちづくりを進め、「こどもまんなか」のまち春日井をめざしてまいります。
また、本市は、先人の皆様のたゆみない努力によって築かれた質の高い都市基盤を礎として、良好な住環境を形成してまいりました。現在進めている鉄道駅周辺の基盤整備や公園のリニューアル、クリーンセンターの施設再整備などは、住環境の質をさらに高め、皆様の暮らしをより豊かにするものであります。
こうしたことを踏まえ、本年は、まちづくりの基本的な指針である総合計画の基本計画の改定に着手いたします。第六次総合計画の将来像である「暮らしやすさと幸せをつなぐまち かすがい」を実現するため、幅広い世代からまちづくりへの御意見をお聴きしながら、市民の皆様の満足度や幸福度がこれまで以上に高まるよう、春日井の未来をしっかりと示し、次の世代へとつながる持続可能な都市を築いてまいります。
それでは、令和8年度の主な取組について、御説明申し上げます。
防災・生活安全
はじめに、防災・生活安全についてであります。
市民の皆様の安全安心な暮らしの確保は、あらゆる施策の原点であり、誰もが安心して暮らすことのできる社会の実現に向けた取組を積極的に進めてまいります。
災害対策については、被災者をより迅速に支援するため、基幹的な防災倉庫を新設するほか、引き続き、水道管の耐震化や老朽管の更新、下水道施設の耐震化や耐水化、マンホールトイレの整備を進めてまいります。また、住宅の耐震化率のさらなる向上を図るため、木造住宅の耐震改修については、設計への補助制度を創設するとともに、工事などへの補助内容を充実してまいります。
浸水対策については、西部第一・第二土地区画整理事業地内の雨水管や調整池を始め、坂下地区の排水路を整備してまいります。また、勝川地区では、勝西ポンプ場の更新に向けて関連工事に着手いたします。
防犯対策については、刑法犯の認知件数が増加傾向にあり、防犯意識が高まる中、家庭用防犯カメラの設置への補助制度を創設するとともに、町内会などが設置した防犯カメラの維持管理のための支援を拡充し、地域の防犯力の向上を図ってまいります。
消防救急については、これまで以上に迅速かつ的確に活動できるよう、通報者からの現場映像を確認できるシステムを導入いたします。また、増加する救急需要に対応するため、要請が多い昼間時間帯に活動する救急隊を1隊増やし、体制を強化してまいります。
交通安全対策については、引き続き、学校や地域、警察などの関係機関と連携し、グリーンベルトや防護柵の設置など、こどもを始め、地域住民の安全に配慮した道路整備を進めてまいります。
健康・福祉
次に、健康・福祉についてであります。
人生100年時代を迎えている中、社会的孤立を始め、子育てと介護のダブルケアや生活困窮などの複雑化・複合化する福祉課題を抱える世帯に寄り添いながら、関係機関や地域住民と協働し、予防的かつ包括的な支援体制の構築が重要であります。
総合的な福祉拠点については、地域共生社会の実現に向けた基幹的施設として、令和14年度の開設をめざし、整備に向けた準備を進めてまいります。
高齢者の健康づくりについては、社会とのつながりを保ちつつ、住み慣れた地域でより長く自立した生活ができるよう、健康寿命の延伸をめざして、生活習慣病等の予防支援を充実するとともに、フレイル対策等の介護予防を一体的に実施してまいります。
口腔ケアについては、誰もが歯と口腔の健康を維持できるよう、在宅医療や災害時に対応する訪問歯科診療の体制を強化してまいります。
障がい者福祉については、障がいのある人が安心して社会に参加できる環境を整備するため、地域活動支援センターに相談支援専門員を配置してまいります。
出産を希望し、不妊治療を受ける人には、治療の選択肢が広がるよう、全額自己負担となる先進医療費への助成制度を創設いたします。
市民病院については、医療機器の計画的な更新や導入を進め、地域の基幹病院として、今後も安全で高度な専門医療を提供してまいります。
子育て・教育
次に、子育て・教育についてであります。
こどもたちが健やかに、そして、幸せに成長するためには、家庭や地域、学校などとの連携を深め、社会全体でこどもたちを支えることが重要であります。
4月に施行する春日井市こどもの権利条例については、大人もこどももその意義を理解し、それぞれの役割を果たすことができるよう、こどもたちが企画し運営するイベントを開催するなど、様々な機会を通じて、こどもの権利を守る対話の重要性を周知啓発するとともに、こどもたちの声を市政に反映する機会を充実してまいります。
保育園については、質の向上と保育士の離職防止を図るため、保育士の配置改善やこどもの途中入所への対応などに取り組む私立保育園等を支援するとともに、施設整備を支援した認定こども園の開園により、4月から低年齢児の受入れを拡大してまいります。
また、全てのこどもの育ちを応援し、全ての子育て家庭を支援するため、昨年から試行的に実施している、こども誰でも通園制度については、4月から本格実施してまいります。
一方、保育を始めとするこどもを取り巻く環境が大きく変化していることから、今後は地域性や支援の専門性など、様々な角度から子育て支援ニーズを分析し、適切な施設数や機能のあり方を検討してまいります。
子どもの家については、不二・小野・西部・味美の4施設と、夏休み等の長期休業期間における全ての施設で受入れ人数を拡大してまいります。
学校教育については、こどもたちが、学ぶことが楽しいと実感することができる教育に積極的に取り組んでいくとともに、これからの社会生活で必要となる能力や自ら学ぶ力を育むため、ICTを活用した授業を始め、質の高い教育を提供してまいります。
学校の適正な規模や配置の検討については、坂下・藤山台・高森台・石尾台・岩成台の中学校区において最優先に取り組んでおり、保護者や地域の皆様の声を丁寧にお聴きしながら議論を積み重ね、地域ごとに具体的な方向性を示す基本方針の策定を進めてまいります。
不登校対策については、引き続き、不登校相談や登校支援室の運営などの多様な支援を実施するとともに、不登校に不安を感じる保護者への講演会を開催してまいります。
中学校の部活動については、今後の地域クラブ活動の運営体制を検討し、その方向性を示してまいります。
学校施設のリニューアルについては、現在進めている4校に加え、新たに、勝川小学校、西部・中部中学校で工事に着手いたします。
学校給食については、小学校の給食費及び春日井市立中学校に同時に通う2人目以降の給食費を無償化するほか、引き続き、中学校の給食費の物価高騰分を公費負担してまいります。
西部地区新調理場については、令和11年度の開設に向け、関連工事に着手するとともに、PFI事業者による設計を進めてまいります。
市民活動・文化・スポーツ
次に、市民活動・文化・スポーツについてであります。
市民活動や文化、スポーツは、誰もが自分らしく、いきいきと活躍することができるまちづくりを推進していくための原動力であります。
いきいきポイント事業については、高齢者のいきがいづくりと継続的な社会参加を促進するため、対象とする施設や活動をさらに拡充してまいります。
生涯学習については、障がいのある人への講座を始め、家庭教育に関する講師派遣や親子講座などを充実してまいります。また、公共施設の利用については、新たな予約システムを導入し、利用者の利便性の向上を図ってまいります。
市民会館については、開館から約60年が経過し、施設の老朽化やバリアフリーへの対応など、様々な課題が顕在化していることから、良質な文化芸術に触れる機会の創出と、文化活動の拠点として、再整備に向けた検討を進めてまいります。
9月に開幕する第20回アジア競技大会では、ハンドボール競技とゴルフ競技が本市で行われる予定であり、市民の皆様にとってスポーツに親しむ機会となるとともに、競技会場では書道の体験イベントを開催するなど、本市の魅力を発信してまいります。
学校体育館の施設開放については、空調機の整備が完了した施設から、空調機を利用して快適にスポーツができる環境を提供してまいります。また、総合体育館については、民間資金を活用して施設の維持管理を行うため、ネーミングライツのパートナーを募集してまいります。
市民活動支援センターについては、多様化する市民活動を支援するため、引き続き、次世代のまちづくりリーダーを育成するセミナーを開催するとともに、令和9年度からの民間事業者による運営に向けて準備を進めてまいります。
郷土館の跡地については、歴史ひろばとして整備し、本市の経済や文化の発展の礎となった下街道の歴史を伝えていくとともに、地域の交流の場として活用してまいります。
都市基盤・産業
次に、都市基盤・産業についてであります。
快適な都市基盤と豊かな自然が調和した住環境は、本市が誇る強みの一つであり、市民の皆様の暮らしをより豊かにするため、魅力あるまちづくりを進めているところであります。
JR春日井駅周辺については、新たなにぎわいの創出をめざし、北地区再開発検討会の皆様との協議を重ね、市街地再開発事業の実現に向けて支援してまいります。JR高蔵寺駅周辺については、北口駅前広場の再整備の実施設計を進めるとともに、新たな自転車駐車場の整備に着手いたします。また、名鉄春日井駅については、令和9年度の完成に向け、土地区画整理事業と連携して、駅舎と自由通路の整備を進めてまいります。
高蔵寺ニュータウンについては、これまでの施策をさらに推進するとともに、UR団地の活用や再生、センター地区の魅力向上に取り組むため、市・UR都市機構・高蔵寺ニュータウンセンター開発が中心となり、新たなまちづくり構想の策定に着手いたします。
土地区画整理事業については、引き続き、熊野桜佐地区と西部第一・第二地区の円滑な運営を支援してまいります。
落合公園については、桜などの美しい景観を活かしつつ、にぎわいを創出するとともに、子育て世代を始めとする多くの人の憩いの場となるよう、再整備工事に着手いたします。
道路については、引き続き、鷹来線の用地取得を進めるとともに、愛知県による北尾張中央道の事業進捗にあわせ、東山大泉寺線を整備してまいります。
公共交通については、シティバスの利便性向上をめざし、土地区画整理事業により商業施設等が立地した地域などへの路線見直しを進めてまいります。
住宅政策については、子育て世帯や高齢者世帯など、誰もが安心して住まいを確保し、住み続けることができるよう、住まいに関する窓口を集約するとともに、居住支援協議会の設立に向け、関係機関と協議してまいります。
公共下水道事業については、令和8年度に完了を予定している上条地区の整備を進めるとともに、下市場地区の実施設計を行ってまいります。また、浄化センターの統廃合に向けて官民連携の手法を導入し、接続管の整備を進めてまいります。
産業振興については、地域経済のさらなる成長をめざすため、市公認のイノベーションプロモーターのコーディネート機能を活かし、春日井商工会議所や中部大学とともに、市内企業とスタートアップ企業との共創や変革気運の醸成を図ってまいります。また、人材の確保や定着を促進するため、製造現場の労働環境を改善する事業者を支援してまいります。
企業誘致については、春日井インター北企業用地の一部の土地を先行的に取得するとともに、引き続き、産業誘導ゾーン等への誘致を進めてまいります。
農業振興については、新たな担い手の育成や農地利用の効率化など、引き続き、農業生産者を支援してまいります。また、市職員による鳥獣被害対策実施隊を創設し、有害鳥獣による農作物への被害防止に取り組んでまいります。
環境
次に、環境についてであります。
年平均気温の上昇や異常気象の増加など、気候変動が進む中、ゼロカーボンシティかすがいの実現に向け、市民や事業者の皆様と一体となって地球温暖化対策に取り組むことが重要であります。
地球温暖化対策については、公共施設の省エネ化による二酸化炭素の排出削減量をクレジット化して市内事業者に販売するとともに、事業者にもこのJ-クレジット制度による環境価値の創出を促し、市域全体の温室効果ガス排出量を削減してまいります。
また、ごみの減量を推進するため、エコメッセ春日井において事業者と連携し、リユース品の販売や譲渡を試行的に実施してまいります。
クリーンセンターについては、長期的に安定したごみ処理を図るため、第2工場の基幹的設備の改良工事を令和8年度の完了に向けて進めるとともに、し尿等の安全安心な処理を継続するため、衛生プラントの移転整備に向けて基本計画を策定いたします。
行財政運営
次に、行財政運営についてであります。
本市の財政状況は、扶助費や人件費の増加に加え、建設コストの高騰などの影響により、これまで以上に厳しくなっております。限られた財源の中で、持続可能な都市を築いていくためには、選択と集中による効果的な予算配分を行うとともに、本市の未来に必要な事業を積極的に進めていかなければなりません。
老朽化が進む公共施設については、利用需要の変化が見込まれることから、施設利用者の安全を最優先としつつ、施設の稼働量や保有量の最適化を進めていく必要があります。未来を担うこどもたちに誇れるまちの基盤を引き継ぐため、公共施設等マネジメント計画を改定し、各施設の方向性を示すとともに、利用需要に応じた市民サービスの最適化を図ってまいります。また、施設利用における受益者負担については、公平性の維持と、安全な施設管理に必要な財源確保の観点から、使用料の適正化を進めてまいります。
水道事業については、災害対策をさらに強化するとともに、県営水道の値上げや維持管理費の高騰などに対応する必要があることから、料金改定に向けて準備を進めてまいります。
DXの推進については、複雑化・多様化する行政課題に対応するため、DX人材の育成及び生成AIの活用を推進し、市民の利便性や職員の労働生産性の向上、新たな事業の創出につなげてまいります。また、契約事務の効率化を図るため、電子契約を開始するとともに、市民や医療機関の利便性を高めるため、マイナンバーカードを活用した福祉医療費助成のオンライン資格確認を導入いたします。
「行かない・書かない・待たない」窓口の実現については、行政手続きのオンライン化をさらに進めるとともに、職員の働き方改革や業務効率化を図るため、市役所の開庁時間のあり方を検討してまいります。
変化の激しい現代において、将来にわたり持続可能で選ばれるまちを築くためには、良いところは伸ばし、見直すところは見直す。多様化する市民ニーズや社会環境の変化などを的確に捉え、市民サービスの質の向上や提供体制の効率化、民間活力の導入など、これからの時代を見据えた前進と変革のある行財政運営に強い決意と覚悟を持って取り組んでまいります。
そして、「命と暮らしを守り、幸せを創る」、その実現に向け、誰もがそれぞれの幸せを感じられるよう、ウェルビーイングの向上につながる未来志向の市政運営を進めてまいります。
本市には、市民の皆様の力、そして企業や団体のエネルギーがあります。地域コミュニティ、大学、企業といった多様な主体との連携を深め、皆様と一体となって春日井の輝く未来を創ってまいります。
市議会の皆様、並びに、市民の皆様の一層の御理解、御協力を心からお願い申し上げ、私の所信といたします。
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