令和7年度市政方針

ページID 1030938 更新日 令和7年2月14日

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 令和7年第1回市議会定例会において、石黒直樹市長が令和7年度に向けての考え方をまとめた「市政方針」を発表しました。

 ここでは、令和7年度市政方針の全文を掲載します。

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令和7年度市政方針

市長・議長写真

 

 令和7年第1回市議会定例会の開会にあたり、市政運営の基本的な考え方と主な取組について所信を申し述べます。

 本市は、市制を施行してから80年が経過し、現在では30万人余の市民が暮らす成熟した都市へと発展してまいりました。そして、良好な住環境や利便性の高い交通環境は、住みやすいまちとして、高い評価をいただいているところであります。
 わが国の人口は、2008年をピークに減少に転じ、現在の出生率や人口構造を踏まえると、今後、多くの自治体で人口減少がさらに加速することが推察されます。
 本市におきましても、市制施行以降、初めて人口減少の局面に入っております。地域コミュニティの衰退を始め、社会的孤立や労働力の低下など、地域社会を取り巻く環境が大きく変容し、市民の暮らしや地域経済に様々な影響が及ぶことが懸念されるところであります。
 本市にとって大きな転換期を迎えている今、市政を担う者として、将来に対しても責任を果たしていくという強い決意のもと、春日井の輝く未来を描くとともに、その実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 これまで本市では、人口の増加や市民ニーズの多様化にあわせて、多くの公共施設を整備してまいりましたが、これらの施設は老朽化が進み、更新の時期を迎えております。
 このような状況の中、人口減少に伴う利用需要の変化や今後の更新に要する経費などを踏まえると、将来世代に過度な負担が生じないように、施設のあり方を見直していく必要があります。
 それぞれの地域の実情を考慮した上で、施設の複合化や集約化などを多角的に検討し、効果的・効率的な行政運営を進めるとともに、将来にわたり持続可能な都市を築いてまいります。また、施設の運営を企業や団体に委託するなど、官と民が協力してサービスを提供できる体制を構築し、民間の多彩な視点を取り入れながらサービスを充実してまいります。

 さて、2024年に国内で生まれた日本人のこどもの数は、初めて年間70万人を下回る見込みであります。また、本市の昨年の出生数は約2,000人であり、10年前の約7割にまで減少しております。
 少子化が進む社会において、社会機能や地域活力を維持していくためには、若い世代から愛され、そして選ばれる魅力的な都市を形成していくことが重要であります。
 今後も、働きながら安心して子育てができる社会環境の整備に取り組むとともに、こどもたちが夢と希望を持ち、安全安心に学校生活を送ることができるように、教育環境の充実に力を入れてまいります。また、市の玄関口である鉄道駅周辺の整備や公園の再整備などを進め、魅力あふれるまちづくりに取り組んでまいります。
 私は、地域における活動は、参加される方の喜びや楽しみとなるだけでなく、様々な課題を抱えた方に寄り添い、そして、安心感につながる重要な役割があると考えております。しかし、多くの団体では、人材が高齢化あるいは減少している状況にあり、地域の持続的な活動を支えていくための取組が必要となっております。このため、地域で活動する団体への支援を充実し、活動しやすい環境を整備するとともに、活動される皆様のいきがいづくりや負担を軽減する取組を進めてまいります。
 市民の皆様が、10年後、20年後、さらにその先も、心豊かに幸せを感じながら暮らすことができるまちの実現に向けて、将来にわたり個人が身体的・精神的、そして、社会的にも幸せな状態であるというウェルビーイングを高めていくとともに、地域全体のウェルビーイングの向上に取り組んでまいります。

 それでは、令和7年度の主な取組について、御説明申し上げます。

防災・生活安全

 はじめに、防災・生活安全についてであります。

 本年は、阪神淡路大震災から30年が経過した年であります。また、昨年は、能登半島における大規模な地震や記録的な大雨を始め、全国各地で自然災害による甚大な被害が発生したほか、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されるなど、防災・減災対策の重要性を再認識した年でありました。被災地では、避難所における厳しい生活環境や長期にわたるライフラインの寸断などが大きな問題になったところであります。
 本市では、昨今の猛暑から児童生徒の命を守るため、暑さ寒さ対策として小中学校の体育館に空調機の設置を進めておりますが、災害時の避難所としての適切な環境の確保も急がれることから、全体の計画期間を短縮し、スピード感を持って取り組んでまいります。
 また、本庁舎の敷地内に基幹的な防災倉庫を整備し、緊急時の物資供給の迅速化などを図るほか、引き続き、水道管の耐震化や老朽管の更新、下水道施設の耐震化や耐水化、マンホールトイレの整備など、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
 浸水対策については、熊野桜佐地区の雨水管の整備が本年3月に完了する予定であり、西部第一・第二地区では、引き続き、雨水管や調整池を整備してまいります。また、坂下地区では、排水路の整備を進めるとともに、勝川地区においては、勝西ポンプ場の更新工事に向けて、河川管理者との協議を行ってまいります。
 防犯対策については、地域住民の防犯意識の高揚や体感治安の向上のため、町内会や商店街が設置した防犯カメラの維持管理のための支援制度を創設するとともに、警察やボランティア団体との緊密な連携体制のもと、安全安心なまちづくりを推進してまいります。
 交通安全対策については、学校や地域、警察などの関係機関と連携し、グリーンベルトや防護柵の設置など、こどもの安全に配慮した道路や自転車通行帯の整備を進めてまいります。

健康・福祉

 次に、健康・福祉についてであります。

 人生100年時代を迎え、健康で充実した幸せな人生を過ごしながら、必要な時に安心して医療や介護を受けられる環境づくりが重要な課題となってまいりました。また、地域社会においては、人口減少や少子高齢化などの影響により、複雑で複合的な福祉課題が顕在化してきております。
 こうした多様化する福祉課題に対応するため、支援機関や地域住民との連携を進めるとともに、困難を抱える方への包括的な支援といきがいの創出を推進する総合的な福祉拠点の整備に向けて、その手法を検討してまいります。
 高齢者の健康づくりには、フレイル対策などの介護予防と生活習慣病などの疾病予防の一体的な実施が効果的であることから、医療専門職員による健康測定会や健康教育などの取組を市内全域で展開してまいります。また、地域福祉を支える民生委員の負担を軽減するとともに、新たな地域福祉の担い手を育成するため、民生委員協力員制度を創設いたします。
 在宅医療については、高齢者が自宅で自分らしい暮らしを続けることができるように、春日井市医師会を始め、関係機関との連携体制を強化してまいります。
 市民病院については、地域の医療機関と連携し、この地域における基幹病院として、引き続き、高度専門医療の提供に努めてまいります。
 障がい者福祉については、住み慣れた地域で安心して日常生活を送ることができるように、医療的ケアの専門的な知識を有する相談員を配置した障がい者生活支援センターを新たに設置するとともに、地域生活支援サービスの利用者負担を軽減してまいります。
 生活困窮者への支援については、様々な理由により住居を喪失した方に、一時的な宿泊場所や食事を提供するため、市営住宅の空き室を活用するとともに、自立相談支援と連携した居住支援を実施してまいります。

子育て・教育

 次に、子育て・教育についてであります。

 こどもたちが自分らしく健やかに幸せな生活を送ることができる社会を実現するため、こどもの成長を支え、可能性を広げる「こどもまんなか」のまち春日井をめざしてまいります。
 こどもにとって大切な権利を保障するため、こどもの意見を取り入れながら、(仮称)かすがいこども権利条例を制定いたします。また、こどもを支える全ての方がこどもの育ちに必要な情報をより得やすくなるように、子育て支援情報の発信を強化してまいります。
 保護者の就労の有無に関わらず保育園などを利用できる「こども誰でも通園制度」については、令和8年度の国の制度化に先駆け、一部の施設で試行的に実施してまいります。
 4月には、牛山保育園がリニューアルオープンするとともに、施設整備を支援した民間保育園の開園により、低年齢児の受け入れと特別支援保育の実施園を拡大いたします。10月からは、第2子以降の3歳未満児の保育料について、全額又は一部の無償化を実施してまいります。
 また、保護者の利便性向上や保育士の負担を軽減するため、キャッシュレス決済の導入を始め、民間保育園などにおけるデジタル化を支援してまいります。
 子どもの家については、低学年でも利用できない児童が多い不二・小野・西部子どもの家の定員拡大に向けて増築するとともに、全ての子どもの家で、夏休みなどの長期休業期間中の開始時間を早めてまいります。
 こどもの学習・生活支援については、経済的に困窮する世帯のこどもの学習意欲や学力の向上と居場所の確保のため、実施場所を増やし、定員を拡大してまいります。
 学校教育については、全てのこどもたちへ質の高い教育を提供するため、これまでも先進的に取り組んできたICTを活用した教育をさらに充実してまいります。水泳指導の充実と教員の負担軽減のため、小学校全校において、民間プールを活用した授業を実施してまいります。また、スクールソーシャルワーカーを増員するとともに、不登校対策として、一部の小学校において、登校支援室を試行的に設置し、こどもたちに寄り添った支援を強化してまいります。
 学校施設については、小学校の特別教室に空調機の設置を進めるとともに、老朽化が進む学校において、計画的にリニューアル工事を実施してまいります。
 少子化が進行する中、本市においても、児童生徒数の減少により、クラス替えができない規模の学校が増加していくことが懸念されます。こどもたちにとって、より良い教育環境を実現するためには、適正な学校規模を確保することが重要であり、検討の対象となる学校について、保護者や地域、関係者の皆様と共に、具体的な方向性の議論を積み重ねてまいります。
 学校給食については、食材費の高騰が続いており、栄養バランスや量を確保した給食を維持することが困難な状況であることから、給食費の値上げを実施いたしますが、国の臨時交付金を活用し、引き続き、保護者の皆様の負担額を据え置いてまいります。また、多子世帯の経済的な負担を軽減するため、春日井市立小中学校に通う児童生徒が3人以上いる保護者に対し、3人目以降の給食費の無償化を実施してまいります。
 西部地区新調理場については、PFI事業者を選定するなど、整備に向けて準備を進めてまいります。

市民活動・文化・スポーツ

 次に、市民活動・文化・スポーツについてであります。

 地域における市民活動を始め、文化芸術活動やスポーツは、あらゆる世代の方にとって心身の健康やいきがいづくりにつながると考えております。
 本年1月には、高齢者のいきがいづくりと継続的な社会参加を促進することで、いきいきとした毎日を過ごす一助となるように、かすがいいきいきポイント制度を開始したところであります。今後は、一人でも多くの方にご利用いただけるように、ポイント付与の対象となる施設や事業を拡充してまいります。
 また、地域で活動される皆様の環境づくりも重要であります。鷹来公民館が9月にリニューアルオープンするとともに、市民活動支援センターにおいては、市民活動の運営に関わる人材の発掘や育成を行いながら、活動団体の自立や協働への支援のあり方について検討してまいります。
 文化の振興については、市民の皆様の文化芸術活動を支援するとともに、東部市民センターにおいて、文化や芸術に触れる機会を充実してまいります。また、視覚障がいなどがある方の読書機会を充実するため、オンラインで図書の音訳データなどを利用できるサピエ図書館を活用してまいります。
 スポーツの振興については、照明設備をリニューアルした中央公園グラウンドが4月にオープンするとともに、令和8年度のアジア競技大会開催に向けて、総合体育館の機能向上のための改修工事を行い、スポーツに親しむ環境を充実してまいります。
 また、こどもたちに運動の楽しさを実感してもらえるように、中部大学や春日井商工会議所と連携し、スポーツイベントを開催してまいります。

都市基盤・産業

 次に、都市基盤・産業についてであります。

 利便性の高い良好な住環境は、本市の発展を支える礎であります。これまでに築いてきた都市基盤と豊かな自然を活かしつつ、市民の皆様が安全安心で快適な暮らしができるまちづくりを進めてまいります。
 JR春日井駅周辺については、地域の皆様の意向を踏まえ、引き続き市街地総合再生計画に基づき、魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。また、JR高蔵寺駅については、北口駅前広場の再整備に向けて実施設計を行うとともに、名鉄春日井駅については、令和9年度の完成をめざし、土地区画整理事業と連携して、駅舎と自由通路を整備してまいります。
 公園の再整備については、本市を代表する総合公園である落合公園の実施設計に着手し、市民の新たな交流や憩いの場としてさらなる魅力を創出してまいります。また、地域に親しまれる空間としての魅力向上に向けて、高森山公園の改修工事を進めてまいります。
 道路整備については、愛知県による北尾張中央道の整備にあわせ、東山大泉寺線の工事に着手するほか、引き続き、鷹来線の用地取得を進めてまいります。
 土地区画整理事業については、引き続き、熊野桜佐地区や西部第一・第二地区の円滑な運営を支援してまいります。
 公共交通については、高齢化が進行する中、路線バスやタクシーは市民の移動手段として重要な役割を担うことから、事業のさらなる活性化に向けて、国の臨時交付金を活用し、交通事業者の運営を支援してまいります。
 住まいや暮らしを取り巻く課題が複雑化している中、誰もが安心して暮らすことができ、未来へと住み継がれるまちを実現するため、住生活基本計画を策定いたします。

 公共下水道事業については、引き続き、上条地区での整備を進めるとともに、下市場地区の実施設計を行ってまいります。また、浄化センターの統廃合に向けて、官民連携の手法を導入し、接続管の整備を進めてまいります。
 産業の振興は、地域資源の有効活用を促進し、地域の活力を生み出すことから、まちづくりの原動力となっております。春日井商工会議所や中部大学を始めとした関係機関と連携し、市内企業の新規事業や新たな価値の創出に向けて、スタートアップ企業との共創を促進してまいります。
 また、物価高騰が続く中、市民の経済的な負担の軽減と地域経済の好循環を図るため、国の臨時交付金を活用し、春日井市商店街連合会などが実施するプレミアム付き商品券の発行を支援してまいります。
 企業誘致については、春日井インターチェンジ周辺大泉寺地区企業用地の売却を進めるとともに、春日井インター北企業用地の取得に向けて、地権者や関係機関の皆様と協議し、着実に進めてまいります。
 農業振興については、優良な農地を保全するため、将来の地域農業のあり方を示した地域計画を本年3月に策定し、市農業委員会やJA尾張中央などの関係機関と共に、地域の農業者の団体を支援してまいります。

環境

 次に、環境についてであります。

 2050年カーボンニュートラルの実現は、行政だけではなく、市民や事業者の皆様と共に取り組んでいかなければならない課題であります。
 家庭における省エネ化の促進と環境意識の向上のため、引き続き、地球温暖化対策機器の設置や省エネ改修などを支援するとともに、環境について学ぶ機会を創出してまいります。また、事業所におけるエネルギー使用量を削減するため、省エネ設備の導入を支援するほか、省エネ行動や脱炭素経営のセミナーを開催してまいります。
 ごみの減量や資源化を推進するため、家庭用生ごみ処理機購入費の補助対象を拡大するとともに、ごみステーションへのごみ出しが困難な方を支援するため、さわやか収集の対象要件を緩和してまいります。
 クリーンセンターについては、将来に向けての安定した運用のため、引き続き、第2工場の基幹的設備の改良工事を進めるとともに、ごみの持ち込みの円滑化のため、ごみの受け入れ体制を見直してまいります。
 更新時期が近づく衛生プラントについては、し尿や浄化槽汚泥の処理を継続的に実施するため、次期施設整備のあり方について検討してまいります。

行財政運営

 次に、行財政運営についてであります。

 本市の財政状況は、社会保障費の増大に加え、公共施設の維持・更新に要する経費の増加などが見込まれるため、歳入・歳出の徹底的な見直しや経営資源の効果的・効率的な配分が必要であります。今後も、事業の必要性や効果の検証、経費の精査、受益者負担の見直しなど、行政サービスのあり方について検討していくとともに、ふるさと納税やクラウドファンディングなどの制度を活用し、歳入のさらなる確保に努めてまいります。また、DXを推進し、業務の効率化や事務の改善に取り組んでまいります。
 本市では、「行かない・書かない・待たない」窓口の実現に向けて、市役所閉庁時でもお住まいの近くで住民票などの証明書を取得することができるコンビニ交付サービスの利用を推奨しております。本庁舎に証明書の交付機を設置し、操作性や利便性を実感していただくとともに、利用を促進するため、コンビニ交付と交付機による証明書の発行手数料を時限的に減額してまいります。
 情報発信については、市民の皆様に市政情報が伝わるように、広報春日井の配布方法を見直すとともに、市公式LINEを活用し、必要とされる情報を的確に配信してまいります。

 

 昨年を振り返りますと、市内各地域では、これまでの取組を通して、市民の皆様がいきがいを見つけ、自分らしくいきいきと活躍されている姿を見る機会が増えたと感じております。市民の皆様が安全安心に幸せを感じながら暮らすことができる、これこそが市民生活の根幹であると考えます。
 これからの市政運営においても、「傾聴と対話」「交流と協働」「決断と実行」、多くの市民、事業者、関係者の皆様の声や思いを形にし、一つひとつの施策を着実に実行していく、その積み重ねこそが、市民の皆様との信頼関係につながっていくと確信しております。
 刻々と社会が変化していく中にあっても、私たち行政の最大の使命は、市民の命と暮らしを守ることであります。
 誰もが将来への夢や希望を抱くことができるまちであり続けるため、「命と暮らしを守り、幸せを創る」まちづくりの実現に向けて、全身全霊で市政運営に取り組んでまいります。
 市議会の皆様、並びに、市民の皆様の一層の御理解、御協力を心からお願い申し上げ、私の所信といたします。

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