行政不服審査
行政不服審査法に規定される不服申立制度のうち、審査請求について説明しています。
行政不服審査制度
1 はじめに
本市から受け取った通知書等に、次のような教示文が記載されているのをご覧になったことはありますか?
「この処分について不服がある場合は、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、春日井市長に対して審査請求をすることができます。」
このような教示文付きの通知書等に記載された処分に不服がある場合、不服の申立て(審査請求)を行うことができます。
2 審査請求について
行政の違法又は不当な処分その他公権力の行使から国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保する仕組みとして、行政庁の処分又は不作為に不服がある者(審査請求人)が、審査権限のある行政庁(審査庁)に対して不服の申立てをすることができる制度です。この制度は、行政不服審査法(平成26年法律法第68号。以下「法」といいます。)に基づき行われます。
類似の制度として、裁判所における「行政訴訟」がありますが、行政不服審査制度は、訴訟よりも簡易迅速な手続であり、審査請求自体に費用はかかりません。
3 行政不服審査法の改正について
行政不服審査法が改正され、平成28年4月1日に施行されました。主な改正点は、次のとおりで
す。
- 不服申立手続の審査請求への一元化
従来の異議申立手続は、原則として、審査請求に一元化されました。 - 審理員制度の導入
審理員とは、処分庁(処分を行った行政庁)と審査請求人の主張を第三者的な立場から公正に審理する者です。本市においては、候補者である課長級の職員のうち、処分に関与しなかった者の中から、事件に応じて指名されます。 - 第三者機関への諮問手続の導入
本市においては、弁護士や大学教授により構成される「春日井市行政不服審査会」を設置し、審理員の意見や処分の違法性、不当性について審議します。 - 審査請求ができる期間の延長
審査請求期間が60日から3か月に延長されました。
4 審査請求をすることができる人
- 処分を受けた人(申請に対する処分が行われない不作為の場合は、当該処分の申請をした人)
- 第三者に対する処分によって、権利利益の侵害を受ける(おそれのある)人
5 審査請求をすることができる事項
審査請求は、行政庁の処分に対して(法令に基づき行政庁に対して処分の申請をした場合は、行政庁の不作為について)行うことができます。(法第2条)
審査請求できる処分には、原則として、通知に教示文があります。
※ 制度に対する意見表明や苦情の申立てなどは、審査請求の対象外です。
6 審査請求の方法
- 審査請求書の作成
ア~キの項目は、必ず記載してください。(法第19条第2項)
ア 審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
イ 処分の内容
ウ 処分があったことを知った年月日
エ 審査請求の趣旨
オ 審査請求の理由
カ 処分庁の教示の有無及びその内容
キ 審査請求をする日付
※ なお、次の様式に従い、口頭意見陳述や行政不服審査会への諮問の希望の有無についても、審査請求書に記載するようにしてください。口頭意見陳述を希望する場合や諮問を希望しない場合については、別途書面を提出してください。
<書式1> 審査請求書
<書式2> 口頭意見陳述申立書(口頭意見陳述の希望者のみ)
<書式3> 行政不服審査会諮問不要申出書(審査会への諮問を希望しない者のみ) - 審査請求書の提出
ア 審査庁が春日井市長である場合
(ア) 処分庁が本市の機関である場合 処分を行った課に1部提出してください。
(イ) 処分庁が本市の機関でない場合(本市の指定管理者など) 総務部総務課に2部提出してください。
イ 審査庁が春日井市長でない場合
教示文に記載された、審査庁となる行政庁に2部提出してください。 - 証拠物件の添付
審査請求書を提出する際に、関連する証拠を添付することもできます。 - 審査請求についての留意事項
審査請求を提起しても、裁決で取り消されるまでは、処分は有効です。
<書式1> 審査請求書
<書式2> 口頭意見陳述申立書(口頭意見陳述の希望者のみ)
<書式3> 行政不服審査会諮問不要申出書(審査会への諮問を希望しない者のみ)
7 審査請求の期限
原則として、審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に行う必要があります。また、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、たとえその事実を知らなくても、審査請求をすることはできません。(法第18条)
8 審査請求の流れ
審査庁が春日井市長である場合、審査請求書提出後の流れは、次のとおりです。
- 審査請求書の審査
審査請求書は、審査庁(総務部総務課)に送られ、その記載内容について審査されます。不備があれば審査請求人に補正していただくことになります。(法第23条) - 審理員の指名(法第9条)
書類の審査後、審査庁は、審理員(前記「3 行政不服審査法の主な改正点について」参照)を指名します。 - 審理手続(審理員による手続)(法第2章第3節)
審理員は、処分庁と審査請求人に対し、それぞれ弁明書と反論書の提出を求めます。審理員は、これらの書類や証拠資料に基づき、処分の違法性、不当性について審理します。
なお、審査請求人が希望する場合、審査請求人が口頭で意見を述べる機会(口頭意見陳述)が設けられます。審査請求人は、審理員の許可を得たうえで処分庁に説明を求めることができます。
審理員が必要な審理を終えたと認める場合(弁明書又は反論書が提出されない場合も含む。)審理員は、審査請求人に審理を終えた旨を通知します。
審理手続が終結すると、反論書や証拠を審理員に提出することができなくなります。 - 審理員意見書の提出(法第42条)
審理員は、得られた証拠をもとに、処分が違法又は不当でないかどうか見直します。審理員の判断は、審理員意見書としてまとめられ、審査庁に送られます。(審査請求人には、行政不服審査会に諮問する際に、審理員意見書の写しが送られます。) - 行政不服審査会への諮問・答申(法第43条)
審理員意見書を受け取った審査庁は、第三者機関である行政不服審査会に諮問し、意見を求めます。(審査請求人が諮問を希望しない場合は、この手続きを省略します。)
審査会は、審理員の意見や審査庁の考えが正しいかどうか審査します。審査会で得られた結論は、答申書として審査請求人にも送付されます。 - 裁決(法第2章第5節)
審査庁は、審理員意見書や審査会からの答申の内容を踏まえ、裁決書を作成し、審査請求人に送付します。
※1 特定の行政委員会(教育委員会など)が行った処分に関する審査請求については、審理員の指名及び行政不服審査会への諮問は行われません。(法第9条第1項第3号、第43条第1項第1号)
※2 公の施設の利用に関する処分などに対する審査請求は、行政不服審査会への諮問はされず、代わりに春日井市議会に諮問されます。(法第43条第1項第2号、地方自治法第244条の4)
※3 情報公開・個人情報保護や固定資産の評価に対する不服申立てなど個別の法令に規定があるものについては、それぞれの法令に基づいた手続きとなります。
9 裁決の種類
裁決には、次の3種類があります。
- 認容 処分が違法又は不当であることを認め、取消し又は変更を処分庁に命じるもの。取消しの裁決がされたときは、本市は改めて処分を行います。
- 棄却 処分に違法又は不当な点がないことを認め、主張を退けるもの。
- 却下 法に従った審査請求がされていないものとして、審査請求を退けるもの。
10 参考資料
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