深見医院（第3回都市景観賞）

主要用途　医院併用住宅
規模　地上2階建
構造　鉄筋コンクリート造
完成時期　2001年11月

昨今の新築される医科・歯科診療所の建築には、思わず目を覆いたくなるものが多い。街並みや景観に対する配慮や調和など考えもしなかったと言わんばかりに、その建築の存在のみを主張しようとするデザインのものが乱立している。しかし、そういう中にあってこの作品は好感が持てる。角地に建つこの建築は、コンクリートの打ち放しが清潔で洗練されたイメージを演出しているし、個性的でありながらも過度な自己主張を感じさせないところが良い。また歩道に面して置かれたベンチ、植栽が穏やかな雰囲気を周辺に与えている。この外観が美しく保たれることを期待するところである。歴史の新しいまちであっても、美しく統一性のある街並みを形成していこうとする意志は、建築家にも施主にも必要なものであり、責任でもある。深見医院が今回受賞した理由と意味は、建築が単体としての自己主張よりも街並みを形成する一要素として、いかにあるべきかを問うきっかけとなることを期待するところもあると理解してほしい。
（水尾 衣里）