春日井市こどもの権利条例(こども向け)
このル―ルにこめられたおもい(前文)
こどもはみんな、自分で成長する力をもって生まれてきます。この社会の未来をつくる大切な存在です。
こどもはみんな、生まれたときから幸せに生きる権利があります。一人ひとりの考えや意見、個性が大切にされます。
でも今の社会には、虐待(ぎゃくたい)、体罰(たいばつ)、いじめ、ヤングケアラー(※)など、こどもの権利が守られていない問題がおきています。
(※ヤングケアラーとは、家で大人がするような家族のお世話や家事をたくさんしていることによって、遊んだり休んだりする時間が少なくなっているこどものことです。)
そこで、こどものみんなのおもいを知るために、アンケートをしたり、話し合いの場をつくったりしました。そこでは、こどもたちから、大人たちに向けてこんな願いが出ました。
・意見を聞いて、受けとめてほしい
・相談にのってほしい
・いっしょに話し合ってほしい
・考えや個性を大切にしてほしい
また、こども同士であっても、いじめや友達の個性を否定するなど、お互いの権利を大事にできていないときがあることに気付きました。
そこで、こどもたちも、「自分たちにできること」を考えました。
・自分の意見も、相手の意見も大切にする
・まわりの人に相談する
・自分がされたり言われたりしていやなことは、ほかの人にしない
このルールは、こうしたこどものみんなの考えをまとめたものです。こどもと大人がふだんからよく話し合い、まちのみんなでこどもの権利を守ることによって、こどものみんなが幸せに育つことができるのです。
「何のためにルールをつくるの?」(第1条)
春日井市は、まち全体でこどもの権利を守ることによって、こどもが豊かで幸せに育つまちをめざしています。
そのために必要なこととして、このルールで次の3つのことをはっきりさせることにしました。
1. こどもにとって大切な権利ってどんなもの?
2. こどもの権利は、だれがどうやって守るの?
3. こどもの権利を守るために、だれがどんなことをするの?
「このルールに出てくる人たち」(第2条)
次の人たちがこのルールで出てきます。
このあとで説明する「こどもの権利は、だれがどうやって守るの?」で、それぞれの人たちの説明をします。
1. こども
2. 大人
3. 保ご者
4. 学校の先生たち
5. 地いきの人
6. 事業者
「こどもにとって大切な権利ってどんなもの?」(第3条~第6条)
こどもはみんな、生まれたときから1人の人間として大切な権利(人として当たり前に「してもらえること」「していいこと」)をもっています。
このルールでは、特に大切な権利を4つのグループにまとめています。
1つ目のグループ「安心してくらす権利」(第3条)
こどもには1人ひとりが大切にされて、安全に、安心して生活できる権利があります。
たとえば、こんな権利があります。
○ 命が守られること(危ないことにあわない)
○ 健康にくらせること(病気のときに病院に行ったりできる)
○ 大切な存在として、愛情をもって育てられること(愛されて、わかってもらえる)
○ 自分らしくいられる場所があること(家や学校など、ほっとできる居場所がある)
○ こまったときに相談できて、助けてもらえること
○ たたかれたり、いじめられたり、こわいことをされたりしないこと(体も心も守られる)
○ 差別されたり、理由もなくいやなことをされたりしないこと
2つ目のグループ「自分らしく生きる権利」(第4条)
こどもには1人ひとりが大切にされて、自分のままでいられる権利があります。
たとえば、こんな権利があります。
○ 自分らしさが認められ、大切にされること(それぞれの良さや個性を大事にしてもらえる)
○ 自分のことを自分で決められること(自分の気もちや考えを大切にできる)
○ 自分のひみつが守られること(勝手にのぞかれたり、言いふらされたりしない)
○ 自分が大切に思ったり、自信をもっていることが、ばかにされたり、きずつけられないこと(うわさや悪口で、心をきずつけられない)
3つ目のグループ「主体的に参加する権利」(第5条)
こどもには、自分に関係することについて、自分の思いや考えをだれかに伝えることができる権利があります。
たとえば、こんな権利があります。
○ 自分の意見を言えること、そしてその意見を大切にしてもらえること
○ 考えるための情報を教えてもらえること(知りたいことを知ることができるように助けてもらえる)
○ 友だちや仲間をつくって、いっしょに集まったり活動したりできること
4つ目のグループ「豊かに育つ権利」(第6条)
こどもには、心も体も元気に、のびのび育つために大切な権利があります。
たとえば、こんな権利があります。
○ きちんとごはんを食べられること
○ 心と体をしっかり休められること
○ 遊ぶこと
○ 勉強したり、いろいろ知ったりできること
○ 文化や芸術、スポーツ、自然にふれて、いろいろなことを経験すること
「こどもの権利は、だれがどうやって守るの?」(第2条、第7条~第13条)
このルールでは、こどもの権利をみんなで協力して守っていくために、こどもだけじゃなく、大人やまわりの人みんながそれぞれやることを決めています。
大人がやること(第7条)
このルールに出てくる「大人」とは、こどもに関わるこども以外のすべての人のことです。
大人がやることは、次の2つです。
○ こどもは権利をもっている大切なひとりの人間だと認め、こどもの権利を大切にすること
○ こどもの気持ちや考えを大切にするため、こどもの話をよく聞いて、話し合い、こどもの希望を全てかなえられなかったとしてもその理由を説明して別のアイディアを考えるなど、そのこどもの心によりそうこと
こどもがやること(第8条)
このルールに出てくる「こども」とは、次のどれかに当てはまる人のことです(※18歳を超えている人でも、まだ18歳になっていない人と同じようにこどもの権利を認める必要がある人は、このルールでは「こども」となります。)
・春日井市に住んでいる、まだ18歳になっていない人
・市外から春日井市内の学校に通っている、まだ18歳になっていない人
・市外から春日井市内の会社やお店に通って働いている、まだ18歳になっていない人
こどもがやることは、次の2つです。
○ 自分の権利を、できるだけ正しく知ること
○ 自分だけじゃなく、ほかの人にも同じ権利があると分かって、大切にすること
保ご者がやること(第9条)
このルールに出てくる「保ご者」とは、親や、親の代わりにこどもを育てている人のことです。
保ご者がやることは、次の2つです。
○ こどもにとっていちばんよいことを考えて育てること
○ こどもが自分の権利を理解できるよう、また、こどもがほかの人の権利も大切にできるよう助けること
学校の先生たちがやること(第10条)
このルールに出てくる「学校の先生たち」とは、学校や保育園・幼ち園の先生、習いごとを教えてくれる先生など、こどもが勉強したり育つために通う場所の先生のことです。
学校の先生たちのやることは、次の2つです。
○ こどもが自分から学べて、元気にのびのび育つように支えること
○ こどもが自分の権利を理解できるよう、また、こどもがほかの人の権利も大切にできるよう助けること
地いきの人がやること(第11条)
このルールに出てくる「地いきの人」とは、こどもが生活している地いきに住んでいる人たちや、春日井市内でこどものために活動している人のことです。
地いきの人のやることは、次のことです。
○ こどもが地いきで安全に安心してくらせるように見守り、助けること
事業者がやること(第12条)
このルールに出てくる「事業者」とは、春日井市内にある会社やお店の責任者のことです。
事業者がやることは、次の2つです。
○ 子育て中の人が、子育てをしながら働くことができる環境をつくること
○ こどもの権利が守られるように、気をつけながら仕事をすること
市役所がやること(第13条)
このルールに出てくる「市役所」とは、春日井市役所やそこで働く職員のことです。
市役所がやることは、次の2つです。
○ みんなと力を合わせて、こどものための取り組みを行うこと
○ みんながそれぞれやることができるように、必要な助けをすること
「こどもの権利を守るために、だれがどんなことをするの?」(第14条~第20条)
このルールでは、こどもが安心して自分らしく育つことができるように、みんなで協力してこどもの権利を守り、こどもを助けるための取り組みを決めています。
子育てしている家族への支え(第14条)
市役所や学校の先生たちは、次のことに取り組みます。
○ 保ご者がこどもの権利を守りながら安心して子育てできるように手助けをします。
○ お金や病気、人との関係などのこまったことでなやんでいるこどもや家族が安心してくらせるように、必要な手助けをします。
こどもの居場所をつくる(第15条)
市役所、保ご者、学校の先生たち、地いきの人、そして事業者は、次のことに取り組みます。
○ こどもが安心して自分らしくすごせて、友だちと会えたりいろいろな体験をすることができる場所をみんなでつくったり、こども自身がつくろうとした時に手伝ったりします。
虐待(ぎゃくたい)や体罰(たいばつ)をふせぐ(第16条)
市役所、保ご者、学校の先生たち、地いきの人、そして事業者は、次のことに取り組みます。
○ こどもがひどいことをされたり、たたかれたりすることがないように、児童相談所などと協力しながら、早く見つけて止めるようにします。
○ もしこどもがひどいことをされたり、たたかれたりしたら、大人たちが力を合わせて、すぐにそのこどもを助けます。
いじめをふせぐ(第17条)
学校の先生たち、市役所、保ご者、そして地いきの人は、次のことに取り組みます。
○ こどもがいじめを受けないように、しっかり見守り、気になることがあったらすぐに気づくようにします。
また、学校の先生たちや市役所は、次のことに取り組みます。
○ こどもがいじめを受けたら、すぐにそのこどもを守って助けます。
○ いじめた子には、いじめた理由やそれまでのできごとをよく聞いて、本人が困っていることがあれば手助けをします。また、どんな理由があってもいじめをしてはいけないことをしっかりと伝えます。
人それぞれのいろいろなちがいを認め、大切にする(第18条)
市役所、保ご者、学校の先生たち、地いきの人、事業者、そしてこどもは、次のことに取り組みます。
○ 生まれた国や見た目、性別、信じている宗教など、人それぞれのちがいについて、みんなで認め合って大切にします。
また、市役所や学校の先生たちは、次のことに取り組みます。
○ 思い込みによる決めつけや差別が生まれないように、ちがいがあることは当たり前であること、ちがいを認め合うことの大切さを学ぶことができる取り組みをします。
意見を言ったり、いっしょに考えたりできる(第19条)
市役所は、次のことに取り組みます。
○ 春日井市が行うこどものための取り組みについて、こどもが意見を言ったり参加したりできる機会をつくります。
また、学校の先生たちや地いきの人は、次のことに取り組みます。
○ 学校や地域で行うこどもが参加する活動について、こどもが意見を言ったり参加したりできる機会をつくります。
権利が守られていないときの助け(第20条)
市役所は、次のことに取り組みます。
○ こどもの権利が守られていないときは、保ご者や、いっしょに相談したり手助けしてくれる人たちと協力しながら、そのこどもに合った形で、相談にのったり、助けたりします。
【もっと知りたい人へ】実際の条例を読んでみよう!
条例は、国のルールである法律と同じように、誰が読んでもルールの意味を間違いなく読み取れるようにするための決まりにしたがって書くことになっています。上で解説したそれぞれの条文の意味を、この書き方の決まりのとおりに書いたものが、この条例です。ただし、前文については、ルールそのものではなくルールができた背景を書く部分なので、こどもも大人も、できるだけ多くの人に読んでほしいと思い、この書き方の決まりを知らなくても読める文章にしました。
ぜひ、実際の条例も読んでみてください!
