令和3年度第2回春日井市いじめ問題対策委員会議事録

ページID 1027833 更新日 令和4年4月21日

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1 開催日時

令和4年3月7日(月曜日)午後2時~午後3時15分

2 開催場所

春日井市役所9階 教育委員会室

3 出席者

委員

  • 中部大学 花井 忠征
  • 愛知県弁護士会 植村 元雄
  • 春日井市医師会 牧野 景子
  • 愛知県臨床心理士会 堀 英太郎
  • 愛知県社会福祉士会 吉田 朋美 

事務局

  • 春日井市教育委員会 教育長 水田 博和
  • 教育部長 西野 正康
  • 学校教育課 課長 大城 達也
  • 主幹 南 英雄
  • 指導主事 坂田 安男
  • 指導主事 津谷 英子
  • 課長補佐 山口 千夏
  • 主査 上野 陽介

4 議題

春日井市のいじめの現状及び対策について

5 会議資料

事例検証の資料は、個人情報保護のため非公開としています。

6 議事内容

 議事に先立ち、教育長の挨拶を行った。
次の項目について確認及び報告を行った。

1 会議の公開について
 事務局から、資料1及び資料2に係る会議は個人情報を取り扱わないため公開とすること及び検証事例はいじめの特定の恐れがあるため資料は回収し非公開とすることについて諮り、承認された。
2 議事録について
 事務局から、議事録は要点筆記で委員全員の確認、議事録署名人は、委員長と委員長が指名する委員の2人とすることについて諮り、承認された。
3 傍聴者について
 事務局から、傍聴者はいないとの報告を行った。
4 議事進行について
 事務局から、規則に基づき議事進行は委員長が議長として行うことを報告した。
5 議事録の署名について
 議事録署名人として、花井委員長が植村委員を指名した。

議題 春日井市のいじめの現状及び対策について

【花井委員長】
 各校実施のいじめに関するアンケートについて、事務局より説明を求める。
【事務局】
 資料1に基づき説明。
【花井委員長】
 資料2ページ(5)本人からの訴えによる被害把握の状況において、教育相談アンケートによるいじめ被害把握状況の学校数と、いじめ認知件数の学校数に差があるが、どのようなものか。
【事務局】
 教育相談アンケートによる把握は、いじめが疑われるもの含めている。また、いじめ認知件数については、教育相談アンケート以外の方法によるいじめ被害把握を含めたものとなっている。
【花井委員長】
 令和2年度に認知したいじめの解消状況等について、事務局より説明を求める。
【事務局】
 資料2に基づき説明。
 検証事例の概要について、事例1は加害児童に発達の課題が疑われ、加害者に支援が必要な事例、事例2と事例3は集団内により被害者と加害者が入れ替わっていじめが認知された事例、事例4はSNSによるいじめを認知し、いじめ解消後に被害者は別室登校となった事例、事例5はいじめを機に被害者が転校した事例、事例6は自閉症の被害者がいじめ被害を自覚していない事例、事例7は被害者の私物が校内で切られ、捨てられていたが加害児童が不明な事例であることを説明。
【植村委員】
 事例7について、その後に被害は確認されていないか。
【事務局】
 臨時の学年集会を開いて学年指導を行い、その後に被害は確認されていないと学校から聞き取っている。
【花井委員長】
 被害状況に私物が切られているとあるが、刃物に対する指導はどのようにしているか。
【事務局】
 全国では刃物が使われる事件もあったが、持ち物検査を行うことはしていない。ハサミやカッターナイフなど授業で使用するものは、各生徒が所持している。検証事例とは別の案件だが、ハサミを使ったいじめのあった学校で、授業で使用する時間以外はハサミを学校が預かることがあった。
【花井委員長】
 事例6についてはいかがか。
【牧野委員】
 自閉症や発達障害と診断される子どもの中には、小中学校時代の出来事を数年後にいじめ被害と認識する場合もある。本人が被害を認識した時、当時の先生方がよく対応してくれたと感じられるとよい。本人が嫌な思いをしていなくても、第三者が本人は嫌な思いをしていると感じるような出来事があったときは、本人が訴えていると同様に対応してもよいのではないか。
【事務局】
 今年度に報告のあったいじめに、被害者が辛い思いをしていると第三者から報告があったものもある。
【花井委員長】
 自閉症の子どもなどが通常学級に所属することが多く見られるようになったが、年齢が上がるにつれて先生の目から隠れていじめが起こり、本人が被害を訴えられないことがある。本人が言葉として発信できないことを承知して関わっていく必要がある。
【吉田委員】
 全ての事例がどの地域でも起こり得て、解消が難しい事例だと思う。報告事項の中に、いじめられた児童生徒に対応し、教職員や学校対応以外の対応としてスクールカウンセラー、市教育委員会、スクールソーシャルワーカーや関係機関との連携がある。
 事例4や事例5のように重大事態となり得るようないじめに対しては、連携はどのようになっているか。
【事務局】
 学校では、いじめの対応にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等と連携することはされている。市教育委員会は、事例4や事例5のように重大事態となり得る内容の報告に対し、対応等を学校に確認している。
 事例2と事例3では、実際に担任教諭を中心に養護教諭、心の教室相談員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが連携して対応している。
【吉田委員】
 いじめの対応で連携することも重要だが、いじめの背景を把握するために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが見立てで関わることができるとよい。
 事例6では加害者の保護者に対して指導が未実施となっているが、どのような理由で未実施となっているか。
【事務局】
 被害児童の保護者と学校が話し合い、いじめに対する指導ではなく障害特性の理解を進めることとしたため、加害者の保護者に対する指導は未実施となっている。
【吉田委員】
 報告書に指導や報告がない場合の理由を記載する箇所があるのはよいことであり、きちんと内容を記載するよう伝えるとともに、内容が不適切である場合等には学校に声かけしていけるとよい。
【事務局】
 学級・学年指導の有無を記載する項目に、無しのみ記載されている報告書もあり、報告を受けた担当者から再確認している。被害者や保護者が指導を望まないため実施していないことが多いが、その場合でも個別のいじめの状況に対する指導ではなく、一般的な内容でいじめに対する指導を行っていると確認することが多くあり、指導内容に記載するよう学校に伝えている。また、その他の指導の項目においても、加害者の気持ちに寄り添いながら観察を続け必要な指導を行う等の学校が実際に行っている内容を記載するよう伝えている。
 現在の報告書の様式を使用して約2年が経ち、提出された報告書に対し、記載内容などを細かに伝えながらよりよい報告となるよう取り組んでいる。
【堀委員】
 1年間に300件程度のいじめが認知されていると事務局から説明があったが、これは学校現場の教職員が日ごろから子どもの声を拾っている成果である。市教育委員会から学校現場に対し、教職員の成果であることを明確に伝えられるとよい。
 対応の難しさでは、いじめに該当し得る状況があっても、被害者やその保護者がいじめを受けていると自覚しなければいじめと認知されないため、どこまで積極的に関わるかの判断が難しいと思う。今回の検証事例では、事例6はいじめ被害の自覚がなく、事例7は加害者が特定されないため指導内容が限られている。学校現場では多数のいじめに対応する中ではあるが、そのような事例にこそ危なさが潜んでいると考え、市教育委員会でフォローするとよい。
 学校は警察を呼ぶことは躊躇するかもしれないが、事例7では加害者を特定するために警察を呼ぶことも検討してよいのではないか。また、学年集会を開き指導したと報告があるが、内容の詳細を確認する必要があり、被害者のケアの必要性と内容なども確認されているとよい。詳細を確認する事例の選別は難しいかもしれないが、市教育委員会で取り組めるとよいのではないか。
 事例5のように転校でいじめの再発は防止できることはあるが、送り出す際に、学校から転校が残念とのメッセージが発せられ、本人がそのメッセージを受け止めているか否かにより本人の人生には大きな違いが生じる。そのような内容まで市教育委員会でも確認されるとよいのではないか。
【花井委員長】
 事例5では、市教育委員会と学校のやり取りはどのようか。
【事務局】
 学校から適宜状況の報告を受け、被害者や保護者の気持ちも考慮した対応がされていることを確認している。
【花井委員長】
 事例7では刃物が使用されているが、以前に関わっていた子どもに、ナイフで脅され傷つけられた中学生がいた。その生徒はナイフを所持して登校するようになり、それは保護者が持たせていた。そのようなことが水面下で起きることのないよう、学校と市教育委員会は適切に介入することが必要である。
 事例2では被害者が死にたいと発言している。大学では死にたいと発信する学生に敏感になっており、カウンセラーが対応するようにしている。小学生が死にたいと発言することに対し、学校内の教職員だけで対応することは難しい。
【事務局】
 検証事例に限らず、教職員に対し死にたいと発信する子どもはある。今年度でも自殺念慮のある生徒があり、ケース会議を開催し、卒業した小学校の教員とスクールカウンセラー、在籍する中学校の教員とスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが情報共有して本人や保護者のケアを行った例があった。
 また、今年度には自殺念慮のある児童生徒の発見、対応について各学校の生徒指導担当が集まる場で市教育委員会の担当から周知した。
【花井委員長】
 事例2と事例3では、本人及び保護者への指導や報告が未実施となっている。被害者と加害者が入れ替わる中で、指導が事態を悪化させることも想定され対応が難しいことと思うがいかがか。
【牧野委員】
 関わる児童を別々のクラスに配置できるか、学年が1クラスのみでクラス替えもできない状況か、学校規模により対応は違ってくるかと思う。事例2と事例3では、被害者は被害を発信し、学校も発信を把握できている。そのような状況下では、慎重に観察することが対応になってくるのではないか。
 いじめは5か月から7か月で解消されている。検証事例にある解消と判断された理由を見ても明確な判断理由で解消としていると思う。いじめ解消と判断したものの中には、数年後に再度いじめが起こることも考えられる。その際、保護者は学校が過去にいじめがあったことを把握していると考えている。学校が把握していない場合には保護者が学校に不信を感じるため、関わる教職員が替わっても過去のいじめを確認できるようになっているか。
【事務局】
 学年が変わる毎に担任教諭は申し送り事項を作成している。いじめの被害と加害に関することも申し送り事項に含めるよう市教育委員会から指導している。学校もいじめ被害の再発防止を考慮している。
【牧野委員】
 1年前のいじめは引継ぎされるものと思うが、小学校であれば6年間の在籍があり、何年も前のいじめがきちんと申し送りされているか。
【事務局】
 申し送り事項は6年間引き継がれることとなっている。即答できないことはあるが、確認できるようになっている。
【吉田委員】
 資料1にアンケートによるいじめ被害を把握する工夫がある。よい効果が出ている取り組みを他の学校に共有することを行っているか。
【事務局】
 学校現場では、アンケート前の促しの声かけは回答を誘導することを懸念して行わないこともあり得る。工夫した取り組みの周知は今後行っていきたい。
【堀委員】
 アンケートは内容も重要であるが、実施時の声かけにより記載されるものは大きく変わる。資料1、3ページの確認内容の概要にあるように、小さなことでも記載する等の声かけは非常に効果的であり、各学校に伝えることができるとよい。
 アンケートは各学校が必要と考える項目で作成するほうがよいが、死にたい気持ちを問う設問は少ないのではないか。生まれてきてよかったかと問う設問はよく考えられた設問と思う。このような設問も他の学校の参考となるよう取り上げてほしい。
 私の経験として、死にたいことがあるかと直接問う設問は学校では使いにくく、どこか遠くに行きたいと思ったことがあるかを問うと多くの思いを拾うことができる。また、養護教諭と話し合い、人生積んだと思ったことがあるか問う設問とした時、今の子どもたちがよく使う言葉であり効果的な設問となった。教職員が意味あるアンケートにしようと考え作成し、声かけすると子どもたちの反応はよいものとなる。
 タブレット端末を利用してアンケートを実施することで集計の負担が軽減される。アンケート集計は教職員にとっても負担が大きかったと思われるので、タブレットが活用されるとよい。
 保護者と学校の協働にアンケートの実施は効果が見込まれるが、保護者向けのアンケートを実施する学校が少ないことに理由はあるか。
【事務局】
 教育相談アンケートは教育相談の前に実施し、教職員はその後の教育相談でアンケートの回答に対応することができる。保護者については保護者会がアンケートへの対応の場として想定されるが、議題が多くあり保護者向けアンケートへの対応に時間を割くことができないことが要因の一つとなっている。
 全ての学校が、保護者に取り組みに対する評価を問う学校評価を行っている。評価対象にはいじめに関する取り組みも含まれている。
【堀委員】
 学校評価については、一部の保護者から辛辣な意見をもらうことがあり、学校は怖さを感じている。保護者に記載してもらうことで協働に効果があることが学校に認識されるとよい。
【事務局】
 遠くに行きたいと思ったことがあるか、人生積んだと思ったことがあるかの問いに対し、あると回答した子どもにどのように接するとよいか。
【堀委員】
 あると回答した子どもは気持ちを発信しているので、どうしたと声かけすればよい。気持ちが落ち込んでいそうだが、あると回答していない時は配慮した声かけが必要となる。遠くに行きたいと思うことは誰でもありそうなので、声かけのきっかけとして使うことができる。
【花井委員長】
 事例4はSNSに関するいじめであり、SNSに関するものは多いか。
【事務局】
 各学校の生徒指導担当者が集まる場で聞くと、小学校を含むほぼ全ての学校でSNSに関する問題がある。いじめと判断できないが生徒指導上の問題行動として把握しているものを含めるとSNSに関するものは非常に多い。
【花井委員長】
 前回の会議内で春日井市は全国平均と比較していじめが少ないとあったが、各学校においては、いじめがあると意識していじめ対応に取り組んでいただきたい。
 最近聞いた話だが、格闘技を習っている子どもが小学校内で友達に習った格闘技を使ってしまい、いじめに発展した例があった。学校では子ども同士で野次ることやちょっかいを出すこともあろうが、教職員には叱るではなく、良いことと悪いこと、約束を守ることについて教えながら学級経営をしていただきたい。
 その他協議事項はあるか。
【事務局】
 いじめの認知件数が少ないことについては、生徒指導の担当者にいじめと認知する実例を複数あげて説明し、年度当初から振り返り再検証するよう依頼した結果、いじめの認知件数が増加している。
 いじめの解消に関し、資料にあるとおり解消の判断には約6か月の期間を要している。いじめ解消の判断がされないまま中学校を卒業した場合、進学先の高等学校等にいじめ被害を申し送ることや本人に心身の苦痛を確認すべきか判断に迷う。
【植村委員】
 申し送る内容はいじめ被害に関するもので加害者を特定する内容が含まれているか。また、進学先に申し送ることに同意を得て行うのか。
【事務局】
 申し送る内容に加害者を特定する内容は含まず、被害者本人と保護者の同意を得て申し送る。
【植村委員】
 個人情報保護に関しては、特定される個人情報に対し、対象となる個人と保護者が同意しており問題はない。実際に申し送りを行っていくには、県教育委員会等の進学先を所管する機関と調整しておくほうがよい。いじめを受けやすい子はあるので、申し送りはできるほうがよいと思う。
【堀委員】
 被害者の進学先での安定した学校生活のために申し送ることは必要と考えるが、本人がいじめられたことを屈辱と感じており申し送りを拒絶するなど、拒否する例はあるであろう。植村委員の発言のとおり本人と保護者の同意は必ず必要である。
【事務局】
 いじめを認知した中学校が、いじめ解消と確認するために卒業後の進学先の様子などが分からないまま本人に連絡することは躊躇することがある。
【牧野委員】
 解消と判断できないが、特段の事情がなければ終了という判断はできるのではないか。いじめと認知した全ての事例を解消と判断することを目指すのは難しいのではないか。
【花井委員長】
 以上で全ての議題を終了する。

 上記のとおり第2回春日井市いじめ問題対策委員会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、委員長及び植村委員が署名する。

令和4年4月19日

委員長 花井 忠征
署名人 植村 元雄

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