令和3年度第2回春日井市いじめ・不登校対策協議会議事要旨

ページID 1028114 更新日 令和6年1月10日

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1 開催日時

令和4年3月15日(火曜日)  午後3時から午後4時15分

2 開催場所

春日井市役所9階 教育委員会室

3 参加者

委員

願興寺礼子

森 尚子

内藤 昇

𠮷田 眞

山口 力

伊藤 仁

安藤 透

長濱浩昭

疇地正人

鈴木幸子

加藤美幸

三浦博子

教育長
水田博和
事務局

大城達也

南 英雄

坂田安男

津谷英子

山口千夏

上野陽介

堀江侑帆

三浦敬一朗

4 欠席者

委員

野口幸久

若杉祐子

鈴木克幸

5 議題

 (1)令和3年度いじめ・不登校対策協議会事業報告

 (2)いじめ・不登校対策に関する意見交換

6 議事内容及び決定事項

(1)令和3年度いじめ・不登校対策協議会事業報告

【事務局】
 事業報告
【会長】
 先に設置されている6校で見られる登校支援室の効果や利用している生徒の様子について教えてほしい。
【委員】
 目指してきたことは「心の居場所」。人とのつながりを大切にしたほっこりする場所を校内につくること。登校できなかった生徒が登校できるようになれば目標達成。コンセプトはヒュッゲ(デンマーク語で居心地の良い空間)。
 具体的な事例として、利用していた卒業生は「みんなに会えなくなるのが寂しい。毎日楽しかった。みんなのおかげで最後に楽しい中学校生活を送ることができた」という言葉を残して卒業していった。友達とトラブルになり2か月ほど登校できなくなった中1の生徒は、担任から登校支援室を紹介され体験入室。本人も登校支援室の雰囲気が気に入り、正式利用。毎日登校できるようになった。母親に対しても本人が「学校に見に来てほしい」と話し、母親も実際に登校支援室の様子を見ることができ、安心につながった。別の中1の生徒は中学校入学当初は登校することができなかった。担任が登校支援室を紹介し、父親が送迎。支援室の支援員や教員による本人を認めるあたたかな言葉がけによって本人も登校できるようになった。支援室で過ごすうちに学習やゲームに参加するようになり、授業にも参加できるようになってきた。4月から行事に参加できていなかった中2の生徒は、担任から進路説明会について声をかけられ、支援室を利用している生徒同士で一緒に出席しようとする雰囲気がうまれ、当日は不安や緊張を感じながらも出席することができた。
 こういった様子から少しずつ、心のエネルギーが回復してきたのではないか、と実感している。支援室を居場所としている生徒は何人もいるので、今後も「心の居場所」であり続けたいと思う。
【委員】
 6校運営してきたが、2部屋で運営している学校、教室1部屋の学校、以前は特別教室だった広い部屋で運営している学校、それぞれである。2部屋使用している学校は一方をコミュニケーションを図りながらのんびり過ごす部屋。もう一方は一人で過ごしたり学習支援を集中して受けたりする部屋にしている。実際に生徒が自分自身の判断でその2部屋を使い分けている。教室1部屋で運営している登校支援室でも生徒たちは自然体で過ごしている。その中で疲れてきた生徒はソファやカーペットに横になったり、周りの生徒もその状態を認める温かい雰囲気となっている。広いスペースを使用している学校はパーテーションで区切り、それぞれのブースを自分自身の判断で使い分けている。
 この2年間で登校支援室が果たしてきた役割を4点にまとめた。1点目、いろいろなタイプの人と関わる中で自分から声を発し心の安定を図ることができた。2点目、心のエネルギーが回復し、自分から学習や行事に参加してみようという気持ちがうまれてきた。心のエネルギーを蓄える場所となった。3点目、個々の課題解決とそのためのチーム支援を本人の納得の上で行うことができた。4点目、すぐに効果が出るわけではないが、出席日数や在校時間の増加など個々の成果は日に日に感じられる。
 役割が見えてきたところであるが、今後も練り上げていきたい。
【会長】
 登校支援室を利用している生徒と他の生徒との関わりや接点、利用生徒以外の生徒の利用についてはどのようになっているのか。
【委員】
 他の生徒たちに登校支援室のことを周知はしてあるが、募集は意識して行っていない。説明を求められたときは丁寧に説明して理解を促す。利用していない生徒との接点で挙げられるのは給食。自分で取りに行くことができる生徒もいる。周りの目や声を気にして自分で教室に取りに行くことはできないが、友人が持ってきてくれるケースもある。だんだん心のエネルギーが回復し、授業に参加したときに級友と会話することで嬉しさを感じて教室復帰していく生徒もいる。
【会長】
 教育支援センターと登校支援室の連携についてはいかがか。
【副会長】
 これまでも不登校の児童生徒が来る居場所として「適応指導教室 あすなろ」という名称であったが、今年から登校支援室ができたのでセンター的な役割も果たしており、「教育支援センター あすなろ」となった。「あすなろ」から登校支援室を居場所として学校復帰した生徒や登校支援室と「あすなろ」を併用している生徒もいる。登校できる生徒は登校支援室、登校が困難な生徒はあすなろへ、と分けることもよいが、生徒に合わせて併用するなど、生徒自身にとって良い方法で利用していくことが大切だと思う。

(2)いじめ・不登校対策に関する意見交換

1. 保健室での児童生徒の様子や相談状況について
【会長】
 最近の児童生徒の様子や相談の傾向、連携体制について教えてほしい。
【委員】
 ここ数年、コロナ禍の影響を受けている。本人の意図に関係なく欠席期間が長くなってしまうため、その後の登校に対する不安や体調に関する不安など、不登校には至らなくても不安要素を抱えている生徒は多い。そのような状況の中で保健室の利用や相談件数は増えている。友達関係だけでなく家族の問題についても相談件数は増えている。深刻なものについては、スクールカウンセラーにつないだり、家庭に関するものは教頭や管理職と相談しながらスクールソーシャルワーカー(SSW)と連携して対応している。
2. いじめ不登校相談室へ寄せられる相談について
【会   長】
 いじめ不登校相談室に寄せられる相談についての最近の傾向について教えてほしい。
【委員】
 2月末でいじめに関する相談は5件。不登校に関する相談は199件。昨年度と比べると不登校に関する相談は95件増加。一昨年と比べると6件増加。昨年度なぜ相談件数が少なかったかというとコロナ禍の影響で誰もが学校に行くことができない状況があったことから不登校であることに不安を感じることが少なかったからではないか、と想像する。相談を受けていて感じたことは不登校に関して相談する保護者は孤立しネガティブな考えを持っていること。子どもが不登校になると、進学もできない、社会に戻れないと保護者が思い込んでしまっている。不安に寄り添い、情報を提供するなど、保護者へのアプローチが大切。
3. スクールカウンセラーに寄せられる相談について
【委員】
 ヤングケアラーの問題について着目されるようになった。担任や管理職も把握しておらず、ケアが全くできていないケースもある。完全不登校の裏にヤングケアラーにかかる深刻な問題をかかえていることもある。どのように把握し、対応しているのか教えてほしい。
【事務局】
 ヤングケアラーが主訴ではないが、いろいろ話を聞いていく中で、保護者が家庭を維持できないことで結果的にヤングケアラーに関する問題と分類できるケースは多い実感はある。「ヤングケアラーはいませんか?」と学校に聞くことはしていないが、相談活動をすすめている中で、ヤングケアラーという課題が見えてくることは多い。また、今年度ヤングケアラーに関する調査があったことで学校現場でも意識し、「ヤングケアラーかもしれない」と相談されることも増えてきた。
【委員】
 子ども自身が自分をヤングケアラーと思っていないことが多い。ただ、あまりにも大変な問題なので、教育相談をどう充実させいくか。家庭まで入っていくのか。個々によって違うが「お父さん、お母さんは元気?」と聞くだけで安心につながることもある。保護者が相談に来なくても子どもが問題である状況を理解し相談に来ることで好転していくこともある。そういった面でもSSWは重要。
 担任に起因する不登校も見られる。担任の発する言葉から不登校になることもある。不登校に対する取り組みは信頼と安心。温もりある学級づくりが不登校の解決につながる。
 落ち着きがない児童生徒に対して「薬を飲めば落ち着きますよ」という先生が増えている傾向がある。保護者は飲ませたくないが担任に言われて「病院へ行かなければならない」と囚われてしまっている状況も見られる。余裕がないのか「こうあるべき」が強いのか。やはり温かさが一番大切だと思う。
【会長】
 春日井市でも是非、ヤングケアラーへの支援制度を構築してほしい。
 担任に起因する不登校は防ぐことが可能。教員研修などで「先生が不登校の原因になってしまう」という認識を持ってほしい。
  落ち着きがない児童生徒への投薬についても、落ち着かない要因をしっかりとらえることが大切。ひまわり相談に関わっている小児科医から研修会でお話ししていただくことも企画していってはどうか。
4. 家庭教育コーディネーターの取り組みについて
【会長】
 家庭教育コーディネーターとしての立場から感じられることがあれば教えてほしい。
【委員】
 不登校対策のひとつにホームフレンド活動がある。気持ちが外に向かない不登校の子どもが多い。担任に対しては緊張を強いられる児童生徒もボランティアの学生には自分を出しやすいという面もある。学生が不登校児童生徒と関わっている間に家庭教育コーディネーターとして保護者と懇談をする。保護者の心が安定していないと子どもの不登校の状況は改善しない。保護者がネガティブにならないよう、保護者の話をうけとめている。
   SSWや登校支援室の担当者と連絡会を定期的に行い、この子にとってはどの選択肢が一番有効な手立てなのか、情報共有をしながら有機的なネットワークづくりをすすめていく。
5. 警察署に寄せられる児童生徒の相談や対応について
【会長】
 警察に寄せられるいじめの相談内容や対応状況について教えてほしい。
【委員】
 春日井署として聞いているいじめ事案は1件もない。補導件数なども減少している。一方で家庭に起因する相談や児童相談所へ通告する件数は増加している実感はある。
6. 保護者から見たいじめ・不登校
【委員】
 いじめられても先生が助けてくれるから不登校を防ぐことができた、ということもある。子どもの1対1のけんかから、相手が仲間を組んで1対10のいじめになることもある。弱い子がひとりりぼっちになることもある。先生たちが見てくれることがとても安心。クラスでひとりぼっちでも部活などの友達が救いになることもあるが、コロナ禍でつながりが制限されているこの状況は親として心配。
  我が子が不登校となるとやはり親としては心配。先生の対応が不登校につながってしまうこともあるし、先生に助けられて不登校を防ぐこともある。この機会に、さまざまないじめや不登校に対する対策や取り組みについて知ることができて良かったと思う。
【会長】
 保護者の中には具体的な取り組みについて知らない方も多い。もっと知っていただくことも必要。

【会長】
 コロナ禍前後で子どもたちの認知発達に大きな差があるという研究結果がある。今後、大きな影響を受けた子どもたちが小学校にあがってくることを学校は認識していかなければならない。また、制限の多い学校生活の中で子どもたち同士で喜びや悲しみを体験しあう場面が減っている。子どもたちは大きな影響をうけていることを認識しながら今後も取組をすすめていくことが大切である。

 

 上記のとおり、令和3年度第2回春日井市いじめ・不登校対策協議会議事の経過及びその結果を明確にするために、この議事録を作成し、会長が署名する。

令和4年4月21日

春日井市いじめ・不登校対策協議会

                                  会長    願興寺 礼子
                                副会長   森 尚子

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