令和4年度第2回春日井市いじめ・不登校対策協議会議事要旨

ページID 1031937 更新日 令和6年1月15日

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1 開催日時

令和5年3月17日(金曜日)  午後3時から午後4時20分

2 開催場所

春日井市役所9階 教育委員会室

3 参加者

委員

願興寺礼子

森 尚子

山口 力

内藤 昇

丸山聖司

高橋 純

野口幸久

𠮷田 眞

長濱浩昭

鈴木幸子

教育長
水田博和
事務局

大城達也

加藤喜英

石川和男

津谷英子

梶原和行

上野陽介

堀江侑帆

4 委員以外の出席者

窪野明子(春日井警察生活安全課少年係)

伊藤仁(登校支援室指導員)

疇地正人(登校支援室指導員)

5 議題

 (1)令和4年度いじめ・不登校対策協議会事業報告

 (2)いじめ・不登校についての状況報告及び意見交換

6 会議資料

7 議事内容及び決定事項

(1)令和4年度いじめ・不登校対策協議会事業報告

【事務局】資料に基づき説明

(2)いじめ・不登校についての状況報告及び意見交換

【会長】
 不登校対策として今年度、市内15校に登校支援室が設置されたが、生徒の様子やその効果について教えてほしい。
【委員】
 今年度登校支援室が設置された学校の事例を報告する。当該中学校では10名の利用があり、内5名については登校ができていない状況、残りの5名については登校はできているが保健室利用や早退を繰り返していた生徒である。後者の場合で、登校支援室の利用を機に、自分に合った学習や活動をすることで笑顔が増え、欠席することなく一日元気に生活できるようになった生徒もいる。支援室が設置されていなかった場合、不登校になるおそれのあった生徒である。不登校の初期対応ができた事例であると感じている。
【委員】
 他校においても同様の効果が見られている。授業や学校行事へ参加し教室復帰につながった生徒や、登校支援室の利用で昼夜逆転生活が解消し、生活リズムを取り戻した生徒もいる。また、人間関係の構築や会話が苦手な生徒が支援員等との関わりの中で自分の考えを表現できるようになったり、自身の趣味や特技をさらに磨くことで自分に自信をもてるようになる効果も見られた。さらに、登校支援室での過ごし方についても、初めは何をするか自分で決められなかった生徒が利用を重ねるうちに、支援員の助言を得て自ら計画的に過ごすことができるようになる様子も見られた。
【会長】
 登校支援室が全中学校に設置されたことで教育支援センターの利用に変化があったか。また、登校支援室と連携していることがあれば教えてほしい。
【委員】
 教育支援センターの在籍数は、2月時点で小学生7名、中学生6名だったが、現在は中学3年生が卒業したことで小学生7名、中学生3名となった。小学生の人数が中学生を上回ったのは今年度が初であり、中学生の見学者数も昨年度の約半数となっている。学校には行きたいが教室には入れないと感じている子にとって登校支援室が居場所になっていると感じた。
  登校支援室との連携については、不登校対策ネットワーク会議に出席し情報交換を行っている。また、登校支援室と教育支援センターを併用している生徒もいるため、生徒の対応の中で情報共有がなされている。
【会長】
 登校支援室の運用にあたり、教職員の意識や通常学級での生徒との関わり方において何か変化があれば教えてほしい。
【委員】
 登校支援室では教職員が必ず在室している状態にしているが、教室では見られなかった生徒の新しい一面や活動に取り組む姿をみることで教員の視野が広がっている様子があり、通常学級での生徒との関わりにおいても教員の見方や捉え方の幅が広がってきていると感じている。
【会長】
 保健室は児童生徒の居場所の一つとなっているが、子どもたちの様子や相談の傾向、その対応状況について教えてほしい。
【委員】
 体の不調を訴えて度々来室する子は心にも何か悩みを抱えている場合が多い。特にコロナ禍では家庭で過ごす時間が増えており、SNS中心の生活になっている。それに伴い、友達と上手く関わりがもてない、教室に居場所を見つけられない、という生徒がよく来室している。また、保護者との関係やヤングケアラー等の家庭環境で悩む生徒も多くいる。コロナ禍における家庭環境の変化が、子供たちの生活に大きく影響しているように感じている。
  以前に比べて子どもの問題が多様化、複雑化しているということが実感としてあるため、保健室では養護教諭が子どもの体や心の不調に寄り添いながら、担任や保護者と連携を取りつつ、必要に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、あるいは、登校支援室の利用等についても検討し、個々の状況に応じて支援に当たっている。
  不登校の支援というのは目に見え辛く変化が表れにくいことではあるが、支援を積み重ねることで、生徒自身の成長や社会的自立につながることを目標とし日々対応している。
【会長】
 いじめ・不登校相談室において、今年度の相談の特徴等を教えてほしい。
【委員】
 令和5年2月現在では、いじめ相談が10件、不登校相談が186件となっており、いじめ相談については昨年度の2倍である。不登校相談の内訳としては、中学校は121件から56件に減少、小学校は78件から114件に増加している。中学校の不登校相談件数の減少は登校支援室設置の効果ではないかと考える。また、近年の小学校の不登校相談件数の増加傾向から、不登校の始まりが低年齢化している印象がある。
 相談の特徴としては「誰に相談していいのかが分からない」と感じ孤立している保護者が多い。担任だけでなく管理職や養護教諭、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを相談先として提示することもあるが、保護者への周知が十分なされていないのではないかと感じる。 
 また、いじめ相談では「加害者やその保護者に対して学校がどのような指導をしているのか分からない」というものが多い。そのため被害者の不安が大きくなっており、対応の見える化について検討が必要だと感じている。
 不登校については、保護者が子どもの将来を不安視してしまうため、多様な学習方法があること、多様な進路先があることを伝えている。
【会長】
 スクールカウンセラーが関わっている事案の最近の状況を教えてほしい。
【委員】
 不登校やいじめの問題等様々な事案があるが、最近の傾向としては、保護者が子どもの話を聞く時の対応で、学校との関係が複雑になっている事案を多く見かける。
 子どもは事実を話している場合と、本人なりの捉え方で話している場合がある。保護者が子ども以上に感情的になり過剰な同調をしてしまうことで、子どもの視野が狭くなってしまい、自分の非を認められなくなってしまうこともある。子どもの心の免疫を育てるためにも、保護者へ向けて聞き方の大切さを発信していく必要があると感じる。例えば、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーがPTA総会で子どもとの関わり方をテーマに話をする等の働きかけも良いのではないかと感じる。
【会長】
 家庭教育コーディネーターの今年度の取り組みから感じられること、また、実際に利用した保護者や子どもからの声を教えてほしい。
【委員】
 まず、ホームフレンドとは、ボランティアの学生と一緒に不登校の子の自宅に家庭訪問をし、話し相手になったり遊び相手になったりすることで子どもの力を引き出す活動であり、子どもが自信を持ち一歩前に踏み出せるきっかけを後押しするものである。教員の立場ではなく身近にいるお兄さんお姉さんが寄り添ってくれることが子どもにとっては安心につながっていると実感している。
 今年度の状況については、春日井市内の小中学生10名を対象として家庭訪問を定期的に実施した。内訳は中学生が3名、小学生が7名であり、その内、中学生2名が卒業した。2名ともいわゆる校長室での第二卒業式に出席ができ、成長が感じられた。その2名は進学先が決まっており次のステップへ非常に意欲を持って臨んでいる様子が見られた。また、小学生も3名卒業し、少しずつ自信をつけて放課後に学校へ行ったり、教室で担任の先生と話をすることができるようになり、中学校への登校意欲も高まっている。4月は、新しい学年、クラス、先生と、学校に気持ちを向けさせる絶好のチャンスであるため、子どもが一歩踏み出す後押しが出来ればと考えている。
 次に、各機関の連携として、不登校対策ネットワーク会議を開催している。教育支援センター、スクールソーシャルワーカー、登校支援室指導員、指導主事と2か月に1回定期的に情報交換を行っている。先程説明したホームフレンドの多くは、教育支援センターやスクールソーシャルワーカーから繋がっている。
 また、ホームフレンド活動で家庭訪問した際に、登校支援室や学校の様子を発信できるため、情報交換の重要性を実感している。
【会長】
 いじめの相談先の一つとして、子どもの人権SOSミニレターの傾向や気になることについて教えてほしい。
【委員】
 法務局では人権擁護機関として、子どもの人権というのを重要なテーマとして取り組んでいる。その中で、法務局の職員や人権擁護委員による人権教室や、電話による相談、最近始まったLINEによる相談を実施している。また、手紙による人権相談として「SOSミニレター」というものがある。名古屋法務局春日井市局では春日井市、瀬戸市、小牧市、尾張旭市を担当しており、管内の小中学校の児童生徒から、今年度は現時点で61通のミニレターが届き、人権擁護委員が返答文を作成してお返ししている。数の傾向としては例年と同程度であり、内容としてはいじめ問題、不登校に関するもの等がある。春日井市内の小学生から不登校の相談があった時には、教育支援センターの紹介を行った。
【会長】
 警察に寄せられるいじめの相談について対応状況等を教えてほしい。
【委員】
 いじめの相談内容としては、無視された、殴られた等様々である。処罰を望み保護者と一緒に来る場合が多いが、14歳未満は刑事処分ができない旨説明している。
 またSNSでのいじめが増えており、学校空間だけでなく、全国の子ども同士でいじめが発生している。さらにSNSでのトラブルは保護者や教員が実態を把握しきれてない場合が多く、子どもにとっての新たな居場所になりつつあるSNSについて我々も意識的に学んでいく必要があると感じている。
【会長】
 各機関等の取り組みについて何か質問はあるか。
【委員】
 登校支援室とスクールカウンセラーの関わり状況について教えてほしい。
【委員】
 各学校の特色に応じた関係性を整えている。スクールカウンセラーが登校支援室に来室し生徒に声掛けをしている場面や不登校対策の会議にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが参加している場面を見かけている。
【会長】
 保護者の立場で感じることや、取組報告の内容について何か質問はあるか。
【委員】
 いじめによる不登校は難しい問題であると感じている。その中で、スクールサインの取組は良いと感じているが、活用実績等があれば教えてほしい。
【事務局】
 スクールサインについては、中学校では令和2年度から、小学校では令和4年度から活用が始まっている。中学校では始まった直後の令和2年度をピークに件数は落ち着いてきている。重要度としては中程度の相談が多いが、生命に関わるような緊急の相談については、休日も迅速な対応ができる体制を整えている。
【委員】
 緊急の相談は少ないのか。
【事務局】
 緊急の相談については各年度10件未満である。
【委員】
 スクールサインを効果的に活用することで、いじめの減少に繋がるのではないか。
  また、不登校について、先日の市議会で「不登校児童生徒に対して多様な学習機会の確保のための経済的支援制度の確立を求める意見書」が採択された。このことについてどのような影響があるか教えてほしい。
【事務局】
 学校に行けていない子どもがフリースクール等の民間の施設に通っている現状があるが、そのような施設に通うにあたり月平均33,000円かかるという文部科学省の調査結果がある。今回請願された内容は、その利用費用の支援及び施設の運営者への経済的支援という趣旨のものであり、市議会として国に提出することが採択された状況である。今後、国の政策として実施されることになれば、現状よりも民間の施設に通いやすくなり不登校の数字としては増える可能性もあるが、難しい問題であり現状では正確なことはわからない。
【委員】
 先程の保護者の聞き方の大切さについての話について、子どもの発言を素直に受け止めるべきかの線引きは保護者として非常に難しいと感じていることであり、他の保護者からも同様の悩みをよく聞いている。
【委員】
 聞いてもらえるだけで落ち着く子どももいる。同調しすぎない事が大切である。
【会長】
 予測困難な時代に生きる子ども達のために、今後も様々な取組や支援体制を整え、真摯に取り組んでいく必要がある。

 

 上記のとおり、令和4年度第2回春日井市いじめ・不登校対策協議会議事の経過及びその結果を明確にするために、この議事録を作成し、会長及び会長が指名する者が署名する。

令和5年3月31日

春日井市いじめ・不登校対策協議会

                                  会長    願興寺 礼子
                                副会長   森 尚子

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