ボランティアへの第一歩
みんなの笑顔が見たいから 自分も笑顔でいたいから
ボランティアへの第一歩
困っている人を助けたいと思う心や誰かの力になりたいという気持ちから始まるボランティア活動は、特別な人が行う活動ではありません。物質的な豊かさよりも心の豊かさが求められる現在、ボランティア活動は大きな広がりを見せています。今回の特集では、ボランティア活動とはどんなものなのか、その魅力は何なのかを、実際の活動やNPO法人の紹介を交えながらお知らせします。
- お父さん
- ボランティア活動をしているって話をときどき聞くんだけど、お父さんにもできるボランティア活動って、何かあるのかな?
- お母さん
- あら、ボランティア?私の友達に、ボランティアで人形劇をやっている人がいるわよ。自分たちで物語を考えたり人形を作ったり、とても楽しそうよ。
- ぼく
- 学校で週2 回、サッカーを教えてくれる近所のお兄ちゃんもボランティアなのかな。
- お父さん
- そうだね。ボランティア活動をしている人って、結構いるもんだね。
- ぼく
- ねえ、どうしてみんなボランティア活動をするんだろう?
- お母さん
- 人形劇をやっている彼女は、いじめの問題なんかを分かりやすく子どもたちに伝えたいからって、言ってたわ。難しい本を読むよりも劇で見たほうが分かりやすいでしょ。それにそこで仲間ができたり、終えた後の満足感があったり、子どもたちの笑顔が見られたりと、やりがいがあるらしいわ。
- お父さん
- 確かに、ボランティア活動をするほうも楽しそうだけど、受ける側も喜んでるよね。この間、おふくろもデイサービスでボランティアの人と話をしたり一緒にゲームをしたりして、とても楽しかったらしいよ。
- ぼく
- 僕も総合学習の時間に、介護サービスセンターでリコーダーの演奏をプレゼントしたよ。おじいちゃんやおばあちゃんたち、とても喜んでくれて、また来てねって言われて、うれしかったな。
- お母さん
- みんないろいろな形でボランティア活動をしているし、本当に誰でもボランティア活動はできるのね。きっとお父さんにもぴったりなボランティア活動があると思うし、私も何か始めてみようかしら。
- お父さん
- そうだね。どんな活動があるだろう?
ボランティアってなぁに?
ボランティア活動とは、社会のために自分ができることを自分の意思で行うことで、暮らしや心の豊かさを向上させる重要な活動です。
ボランティアの今昔
以前は「人や社会のために役立つことをする活動」と認識されてきたボランティア活動も、最近では個人の自己実現の場であったり、社会参加の場であったり、人間的成長の場であったりと多くの意味を持ち始めています。
ボランティアの社会的役割
これまで公共的なサービスは行政が担うものであるという考えの下に、公平で画一的な市民へのサービスが実施されてきました。しかし、近年は市民のニーズも多様化しており、また高齢者や障害者が住み慣れた家や地域で安心して暮らしていくためには、画一的なサービスでは対応できなくなっています。そのため、行政サービスの充実だけでなく、多様できめ細かなサービスを行えるボランティア活動が注目され、盛んになってきています。
ボランティア活動がもたらすもの
活動する人にとっては
これまでに実施した調査によると、活動を通して「友人、知人が増えた」「社会に対する視野が広がった」「生活に充実感が得られた」など、何かしらよかったと感じています。ボランティア活動では、満足感や充実感などお金では買えないものが得られます。
受ける人にとっては
ボランティア活動の主人公は、ボランティア活動を受ける人です。その人の「もっと心豊かに生きたい」という気持ちをボランティアが支えています。ボランティア活動は、受ける人に喜びや生活の潤いをもたらします。
ボランティア活動の主な性格
- 自発性・自主性
人から強制されるのではなく、自分の意思による積極的な活動 - 社会性・連帯性
誰もが幸せに暮らせるように、みんなで協力し、学び合う活動 - 無償性・無給性
お金では得られない出会いや感動、喜びを得る活動 - 先駆性・創造性
社会で何が求められているのかを考えながら、よりよい社会を自分たちの手でつくる活動
豊かな人格を形成するために
多くの学校が総合学習の時間にボランティア活動を取り入れています。学校で取り組んでいる活動には、高齢者との交流や地域環境美化などがあり、特に高齢者との交流では、心と心のふれあいの中から人の役に立つ喜びや相手を思いやる心などを学んでいます。
ほかにも、部活動として、ボーイスカウトの活動の一つとして、サークル活動として、多くの青少年がボランティア活動に取り組んでいます。彼らは自ら進んで積極的に活動に参加することで、教科書では学ぶことができない自ら企画する力、やり遂げた後の達成感、仲間と協力することのすばらしさなどを学んでいます。
こうした経験は、子どもたちの心を豊かにはぐくみ、子どもたちの成長に大きな影響を与えています。
どんなボランティア活動があるの?
今、ボランティア活動をする人たちは、自分の個性を生かしてさまざまな活動をしています。ここでは、身近な場所でできる活動、趣味・経験を生かした活動などの中から、ほんの一部を紹介します。
地域のつながりの中から
地域の役に立ちたい、 地域で快適に暮らしたい、 地域で安全に暮らしたい。
ずっと暮らしていく場所だから、 笑顔あふれる地域で 気持ちよく生きていきたい。
地域で子育て
少子化や核家族化が進む中で、昔に比べて子どもたちがさまざまな人に出会い、経験する機会が減ってきています。そこで、地域の青年や親世代の人などが、自分の趣味や特技を生かしてスポーツや芸術を子どもたちに教えています。また地域のお年寄りが、自分たちの子どものころの遊びを伝える活動などもあります。地域に住むさまざまな人がかかわって、子どもたちを育てていく活動です。
写真:少年たちを熱心に指導
地域の環境
自分たちが住む地域を快適に保つための地域清掃は、昔からよく見掛けられる活動です。今は清掃だけでなく、地域を花や緑でいっぱいにする活動や、地域の自然を知りみんなで守っていく活動など、地域緑化・自然保護を視野に入れた活動を行っている人たちがいます。
写真:昔の遊びを楽しみながら伝承
地域の安全
避難場所や経路など、災害時にはマニュアルだけでは対応できないことが数多くあります。市内には、ボランティアで安全・安心にかかわる活動を行う「ボニター」がいます。ボニターは、地域の安全リーダーとして防犯や防災のさまざまな場面で活躍しています。
人とのつながりの中から
一緒に楽しい時を過ごしたい みんなの笑顔が見たいかけがえのない出会いが運んでくれた充実した日々に、感謝を忘れずに活動を続けていきたい。
福祉の現場で
障がい者やお年寄りなどの施設や家などで、手伝いをしたり話し相手になったりする活動があります。ふれあいや交流を通して楽しい時間を共有することが、お互いのゆとりにつながっているようです。ほかにも、障がい者とその家族を支え、障がいへの理解を深めるための勉強会を開催する活動などがあります。
写真:デイサービスセンターで楽しいおしゃべり
趣味を生かして
施設や地域でいろいろな人に作品や音楽などを鑑賞する機会を提供したり、誰もが楽しめるように教えたりするなど、サークル活動が広がった場合が多いようです。自分たちが楽しむだけでなく、周りの人とそのすばらしさを共感したり伝えたりできるところや、一人ではできないような活動ができるところなどに、魅力があるようです。
写真:グリーンピア春日井で来園者の目を楽しませるガーデニング
国際交流
市内には、留学や仕事で多くの外国人が住んでいますが、日本での暮らしに不安があったり、友人を増やす機会があまりなかったりします。そこで、地域の人たちとの交流会や相談を行う活動があります。また、留学生などをホストファミリーとして受け入れる活動もあります。
いつでも、どこでも、できることから
時間がとれない人、出掛けられない人、やれることが見つからない人でもできる小さなボランティア活動があります。
- ベルマーク
- 使用済み切手の収集
- 募金
- 献血・ドナー登録など
小さな勇気を育てよう まずは声をかけることから
困っている人に声をかけること、近所の人にあいさつすること。当たり前のことなのに、いざとなると声が出ない、手を差し出せないことってありますよね。でも「助けたい」「仲良くなりたい」そんな思いがわいてきたら、小さな勇気を出してみてください。「ありがとう」「どういたしまして」を笑顔で交わせたら、ボランティア精神の芽生えです。
「NPO法人」って知っていますか?
最近ボランティアとともに「NPO」という言葉を新聞などで見掛けるようになりました。NPO(Non Profit Organization )は、直訳すると非営利組織。営利を目的とせず公益のために活動する民間団体のことで、ボランティア団体もNPOに含まれます。NPO法人とは、特定非営利活動促進法(NPO法)により法人格を取得した団体のことです。
ボランティア活動の高まり
利益を追求する企業や公平であることを求められる行政では提供できない社会サービスがあります。そのサービスの担い手となるボランティア団体などが活動を発展させていくことは、社会全体としても必要なものになってきました。
また、変化し続ける社会のニーズに柔軟に対応して、新たな団体が組織され、社会サービスが生み出されていく、このようなことが盛んになるためには、団体が活動しやすい環境を整えることが必要になりました。
法人でないことによる不便さ・困難さ
団体の活動が盛んになってくると、その活動を継続したり発展的なものにしたりするためには、活動の拠点となる事務所や活動に関する経費の管理などが必要になります。しかし、事務所を借りたり通帳を作ったりするときは、個人名義(代表者など)で行う必要があり大変でした。
NPO法が施行
NPO法の施行によりボランティア団体などは、NPO法人になることで組織的な活動をしやすくなりました。この法律では、新たな社会サービスの担い手としてのNPOが、健全に発展し公益が増えることを目的としています。
- 保健、医療、福祉の増進
- 社会教育の推進
- まちづくりの推進
- 観光の振興
- 農山漁村、中山間地域の振興
- 学術、文化、芸術、スポーツの振興
- 環境の保全
- 災害救援
- 地域安全
- 人権の擁護、平和の推進
- 国際協力
- 男女共同参画社会の形成の促進
- 子どもの健全育成
- 情報化社会の発展
- 科学技術の振興
- 経済活動の活性化
- 職業能力の開発や雇用機会の拡充
- 消費者の保護
- これらの活動を行う団体の運営や活動に関する連絡、助言援助
あなたもボランティア始めてみませんか
ボランティア活動は、活動をする人にも受ける相手にも「心の豊かさ」をもたらします。さあ、あなたも始めてみませんか。
始める前に知っておきたい 心構え1
名脇役になろう
どんなよいことでも、相手が望まない活動は迷惑です。ボランティアは相手(主役)に合わせた名脇役で。また「してあげる」という発想ではなく、協力者であるという立場で、絶えず尋ねる姿勢、学ぶ姿勢が必要です。
始める前に知っておきたい 心構え2
プライバシーを大切に
秘密を守るということは、信頼にもつながります。活動中に相手の悩みなどを聞くこともありますが、他言してはいけません。宗教や政治に関することも個人のプライバシーです。
始める前に知っておきたい 心構え3
無理せず気長に
自分の力量に合わせて無理のない計画を立て、生活リズムに合った活動を長く続けていきましょう。
始める前に知っておきたい 心構え4
あなたひとりではありません
頑張りすぎて家族に負担が掛かったり職場に迷惑を掛けたりしては、本末転倒です。自分でできる範囲の活動を心掛けましょう。また、職場・学校などで理解と関心を持ってもらうことが、ボランティアの輪を広げることにもつながります。
始めてみたくなったら!
自分のやりたい活動があれば、勇気を出して始めてみましょう。しかし「どこから始めればいいのか分からない」、そんな人はボランティアセンターへどうぞ。
- ボランティア相談
ボランティアコーディネーターが、あなたと一緒にあなたにピッタリなボランティア活動を探します。
とき/火曜日から金曜日 午前9時から午後5時まで
ところ/市民活動支援センター(ささえ愛センター)
問い合せ/市民活動支援センター(ささえ愛センター) (電話0568-56-1943 0568-84-3600)へ - ボランティアサロン
アドバイザーを交えて、より楽しく活動するにはどうしたらいいかを話し合ったり、情報交換したりしています。
とき/奇数月の第2水曜日
ところ/参加者に合わせていろいろな地域で開催 - ボランティア活動保険について
「ボランティアで掃除をしているときに誤って花瓶を落としてしまった」「ボランティア活動中に転んでけがをした」こんなときのために、ボランティア活動保険がありますので、利用してください。
問い合わせ/市社会福祉協議会ボランティアセンター(電話0568-85-4321)へ