春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第64号及び諮問第66号)

ページID 1019605 更新日 令和2年2月12日

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春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第64号及び諮問第66号)

第1 審査会の結論

 春日井市議会(以下「実施機関」という。)が審査請求人に対して令和元年5月21日付けで行った31春議第91号公文書不開示決定(以下「本件第一決定」という。)、同日付けで行った31春議第106号公文書不開示決定(以下「本件第二決定」という。)及び同年7月31日付けで行った31春議第336号公文書不開示決定(以下「本件第三決定」という。)については、結論において妥当である。ただし、本件第二決定については、春日井市議会議員親睦会規約(以下「規約」という。)及び議員親睦会の預貯金口座(通帳)(以下「通帳」という。)を想定した公文書不開示決定の理由付記がなされていないことから、これを補記した決定に変更する等の対応をすべきである。

第2 事案の概要

 本件第一決定に係る開示請求の対象公文書は、春日井市議会議員親睦会(以下「議員親睦会」という。)事務担当者の平成29年度及び平成30年度における議員親睦会事務に係る勤務(従事)時間と単価であり、本件第二決定に係る開示請求の対象公文書は、議員親睦会に係る全ての文書(平成25年度~平成31年度)であり、本件第三決定に係る開示請求の対象公文書は、議会事務局が作成した議員親睦会に係るパソコン上のデータの全て(平成30年度・31年度)及び議員親睦会長から議会事務局に「依頼」している「依頼文」の全て(パソコンデータ含む)(平成30年度・31年度)(議員親睦会規約第8条によってのもの)(議会事務局が保存しているもの)である。
 実施機関は、本件第一決定に係る対象公文書については作成していないとし、本件第二決定に係る対象公文書については作成後、適宜議員親睦会に移管しており、開示請求時点において保有していないとし、本件第三決定に係る対象公文書については作成後、適宜議員親睦会が所有するUSBに移しており、開示請求時点において保有していない及び依頼が口頭で行われており取得していないとし、春日井市情報公開条例(以下「条例」という。)第11条第2項の文書不存在として、それぞれの決定を行った。

第3 審査請求人の主張の要旨

  1. 審査請求の趣旨
    本件第一決定から本件第三決定の取消しを求めるものである。
  2. 審査請求の理由
    審査請求人が主張する審査請求の主たる理由は、審査請求書及び口頭意見陳述の内容によると、次のとおりである。
    (1) 本件第一決定について
    議員親睦会なる私的団体の事務を、議会事務局長が同団体会長から私的に依頼され、これを受託し、現実に部下に執行させているにも関わらず、その事務に年間何時間ぐらい従事しているかを把握していないということはあり得ないことであり、あってはならない管理体制である。
    (2) 本件第二決定及び本件第三決定について
    ア 議員親睦会なる私的団体から議会事務局長が依頼を受け、それを受託し、公務員を使用(部下に命令)して業務をさせる決定をした瞬間から公の業務になる。公の業務の依頼であれば、議会事務局はその依頼文を持っているはずであり、依頼が口頭であっても直ちにその内容を文書化し記録することは、文書事務の手引6頁の、行政機関への意思表示の効力は「その通知が相手方に到達したときに生ずる(民法第97条第1項)」に示されている。また、議会事務局が作成した文書について、それらの文書を議員親睦会に移管したとしても、当然に、「作成した文書」は事務局内のパソコンに残っているはずである。同手引の「第2編第1章2基本ルール」で、「(1)文書を私物化しないこと」としており、勝手に削除するなどということはあってはならない。
    イ 春日井市電磁的記録取扱要領(以下「要領」という。)(電磁的記録台帳の作成等)では、「第4条2 文書主任は、電磁的記録を作成し又は取得したときは、当該記録を管理台帳に登録するものとする」としている。
    (3) 本件各決定に共通する点について
    ア 本件第一決定における決定理由を「作成していないため、不存在」とし、本件第二決定における決定理由を「作成後、適宜議員親睦会に移管しており、開示請求時点において保有していないため、不存在」としており、「作成していない」とした本件第一決定と「作成している」とした本件第二決定の内容が相反しているため、文書作成基準(文書作成の手引き)に違反している。
    イ 本件処分は、公文書の開示義務を定めた、条例第3条及び7条の規定に違反しており、違法である。また、本件処分により、審査請求人は市民・納税者としての知る権利を著しく侵害されている。
    ウ 今回の不開示に関して、市議会議長から「弁明書」が出されたが、これが市議会議長から市議会議長宛に出されており、この行為は利益相反である。

第4 実施機関の説明の要旨

弁明書及び口頭での説明を総合すると、本件対象文書を不開示とした主たる理由は、おおむね次のとおりである。

  1. 本件第一決定について
    1日の勤務時間が決められており、この決められた時間、午前8時30分 から午後5時15分までの間で与えられた業務を行うため、何の業務にどれだけの時間を使ったかどうかという管理はしていない。
  2. 本件第二決定及び本件第三決定について
    議員親睦会長が保管しており、議員親睦会から文書作成の依頼があれば、議員親睦会長が保管するUSBメモリを一時的に預かり、作成作業を行っている。作成終了後はUSBメモリに保存し速やかに返却している。要領第2条(定義)「職員が組織的に用いるものとして、市が保有しているもの」にも該当しないことから、電磁的記録として取り扱っていない。したがって不存在としたことは妥当である。また、文書作成の依頼に関し、依頼は口頭で受けていることから文書は取得しておらず、依頼を受ける内容も軽易なものであることから、文書化するほどの必要性は認識していない。
     議員親睦会自体はあくまで任意団体であるため、当団体に関する文書は公文書ではないと考えている。また、議員親睦会長からの文書作成依頼に基づく事務について、事務分掌にあるその他円滑な議事運用と個々の議員の政務活動のサポートに基づくものと位置づけ、公務として捉えている。また、規約の中に慶弔の関係でサポートするような規定がある。実態としては、文書等の作成におけるサポート、具体的には毎年恒例の行事の開催文書についてUSBメモリ内に保存された既存の文書中の日付等を手直しする程度の役務の提供を年に数回行うほどのものであり、文書の保存の必要性は認識していない。文書は保存していないため、電磁的記録管理台帳も作成していない。
     なお、文書作成依頼から作成した文書を保存したUSBメモリの返却までの一連は、議員親睦会長と個々の職員とのやり取りで完結することとなる。
  3. 審査請求人が主張する本件第一決定及び本件第二決定の相反について
    本件第一決定及び本件第二決定に係る対象公文書では、「文書」の性質が全く異なることから、「作成していない」「作成している」と相反することについては、別段問題ない。

第5 調査審議の経過

  1. 令和元年5月21日 本件第一決定及び本件第二決定の通知をした日(諮問第64号)
  2. 令和元年7月31日 本件第三決定の通知をした日(諮問第66号)
  3. 令和元年8月19日 審査請求のあった日(諮問第64号)
  4. 令和元年9月3日 実施機関から弁明書を収受(諮問第64号)
  5. 令和元年9月6日 諮問のあった日(諮問第64号)
  6. 令和元年10月17日 審査請求人の口頭意見陳述、実施機関の説明及び審議(諮問第64号)
    審査請求のあった日(諮問第66号)
  7. 令和元年10月25日 追加調査に基づく審査請求人及び実施機関からの回答を収受(諮問第64号)
  8. 令和元年11月7日 審議(諮問第64号)
  9. 令和元年11月11日 諮問のあった日(諮問第66号)
    実施機関から弁明書を収受(諮問第66号)
  10. 令和元年12月19日 審査請求人の口頭意見陳述及び資料の提出、実施機関の説明並びに審議(諮問第66号)
  11. 令和2年1月8日 追加調査に基づく実施機関からの回答を収受(諮問第64号及び諮問第66号)
  12. 令和2年1月20日 審議(諮問第64号及び諮問第66号)

第6 審査会の判断

  1. 審査会が行った追加調査について
    令和元年8月19日付けで提出された審査請求書の添付資料に記載された、「議員親睦会親睦旅行 請求書」、「平成29年度 議員親睦会費収支明細」、「春日井市議会議員親睦会規約」及び「市議会議員親睦会の開催について」(以上4点を「追加調査文書」という。)並びに通帳について、審査請求人及び実施機関に対し調査を行ったところ、回答は次のとおりであった。
    (1) 審査請求人の回答
    追加調査文書も含め「議員親睦会に係る全ての文書」の公開を求める。
    (2)実施機関の回答
    ア 規約
     議事課長個人が所有しているダイアリー(スケジュール帳)に、縮小コピーしたものを貼り付けた状態で保有している。当該ダイアリーは通常議事課長が携帯しており、仮に議事課長の机上に置かれていた場合も、他の職員が見ることはない。規約を保有した経緯は、当時の議員親睦会長から自己の便宜のため取得したものであるが、常時保有していなくても業務が滞るといったことはなく、必要の都度親睦会長から提供を受ければ事は足りる。したがって、公文書との認識はない。
     なお、議事課長以外の議事課職員で、規約を保有している職員はいない。
    イ 通帳
     議事課内の手提げ金庫内で保管しているが、当該手提げ金庫は、執務時間中は議事課内で管理し、執務時間終了後は市役所内にある会計課内の金庫で保管している。そのような管理体制から、あくまで安全確保の観点で当該手提げ金庫を利用しており、公文書との認識はない。
     なお、当該手提げ金庫内には、通帳以外に、領収印、他の通帳等他の業務で使用するものも保管されている。また、通帳は、議員親睦会長又は副会長からの依頼があった時のみ使用しており、その依頼は口頭である。
    ウ 「議員親睦会親睦旅行 請求書」及び「平成29年度 議員親睦会費収支明細」
     前者は議員親睦会が開催する親睦旅行に関する、旅行会社からの旅行代金の請求書であり、議会事務局はその取得には関わっておらず保有していない。
     後者は、議員親睦会長から会派代表者宛の文書(議員親睦会会計報告)に添付された議員親睦会の各種活動に関する収支明細であり、議会事務局は議員親睦会会計報告も含めその作成に関わっている。関わり方としては、議員親睦会長から議会事務局職員への口頭での依頼により、議員親睦会長が保管するUSBメモリ及び作成に必要となる領収書等が綴られたファイルを一時的に預かり、作成作業を行っている。作成終了後は議会事務局のパソコンには保存せず、議員親睦会のUSBメモリに保存し速やかに返却している。また、提供を受けた領収書についても写しをとらず返却している。
  2. 対象公文書の存否
    (1)本件第一決定に係る対象公文書の存否
     実施機関の説明によれば、1日の勤務時間が決められており、この決められた時間の間で与えられた業務を行うため、特定の業務に要した時間の管理は行っていないということであり、この説明に特段の不合理な点は認められない。また、議員親睦会に係る業務は、毎年恒例の行事の開催文書についてUSBメモリ内に保存された既存の文書中の日付、名前等を手直しする程度の作業や議員親睦会会計報告及び会費収支明細の機械的な作成、議員親睦会から預かっている口座の入出金程度の軽微な役務の提供を年に数回行うとのことであり、そうであれば、あえて当該事務に係る従事時間を記録するといった必要性は見受けられない。
     よって、本件対象公文書は、実施機関において保有しているとは認められず、保有していないことについても妥当性が認められる。
    (2)本件第二決定及び本件第三決定に係る対象文書の存否
    ア 議員親睦会から依頼を受け実施機関が作成した文書について
     実施機関は、対象文書について、議員親睦会長が保管しており、議員親睦会から文書作成の依頼があれば、議員親睦会長が保管するUSBメモリを一時的に預かって作成作業を行い、作成終了後はUSBメモリに保存し速やかに返却している旨主張している。併せて、対象文書の具体例として毎年恒例の行事の開催文書(「市議会議員親睦会の開催について」を含む。)を挙げ、定例的な文書における日付等の手直しをする作業を、年に数回行っている旨主張している。なお、上記開催文書の作成名義は議員親睦会である。
     議会事務局が行った業務が上述のとおりとすると、文書の作成名義が議員親睦会であり、その作業内容は比較的軽微な文書の修正であるといえ、そうであれば、あえてUSBメモリ内のデータを実施機関が管理するパソコンに保存したり、印刷して別途管理する必要は必ずしもない。この点は、確定した収支内容に基づいて機械的に作成する議員親睦会名義の議員親睦会会計報告及び会費収支明細についても同様である。USBメモリが、議員親睦会という任意団体が管理しているものであることを考え合わせると、対象文書はUSBメモリごと議員親睦会に返却されたため、実施機関において保有していないとする実施機関の説明は首肯できる。
     また、議員親睦会の行事の開催などの調整、決定及び収支の確定は議員親睦会、その決定または確定事項の文書への反映は実施機関という役割分担からすると、議員親睦会に係る業務のうち、実施機関が関わる部分は軽易な事務作業領域のみといえる。そのような役割からすると、文書の保存の必要性がないと判断しUSBメモリごと議員親睦会に返却していたとする実施機関の運用は、文書管理の運用を逸脱したものとまではいえない。現に、春日井市文書取扱規程(以下「規程」という。)第3条には、文書等の作成の例外として処理に係る事案が軽微なものである場合を規定しており、作成を要しない(内容が軽微である)文書であれば、保存の必要性も高くないといえる。
     よって、対象文書は、実施機関において保有しているとは認められず、保有していないことについても妥当性は認められる。
     なお、このことは、対象文書が「公文書」に該当するか否かに関わらず、結論において変わらない。
    イ 議員親睦会長から議会事務局への「依頼文」について
     実施機関は、依頼は口頭で受けていることから文書は取得しておらず、依頼を受ける内容も軽易なものであることから文書化するほどの必要性は認識していない旨主張している。
     議員親睦会長からの依頼内容は上記第6.2(1)のとおりであり、文書の比較的軽微な事務作業であったり、通帳からの引出し程度である。そうであれば、その依頼が議員親睦会長から口頭で行われたとしても、社会通念に照らし特段の不合理な点は認められない。
     また、議員親睦会長からの依頼の後、実施機関が依頼内容を文書化しなかった点についても、規程第3条の文書等の作成の例外事由として想定されたものといえる。
     よって、本件対象公文書は、実施機関において保有しているとは認められず、保有していないことについても妥当性が認められる。
    ウ 規約について
     実施機関は、対象文書について、議事課長個人の便宜のため取得し、議事課長個人のダイアリー(スケジュール帳)に、縮小コピーしたものを貼り付けた状態で保有している旨主張している。
     「公文書」とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文 書で当該実施機関の職員が組織的に用いるものとされている(条例第2条第2号)が、実施機関の主張からすると、対象文書が「職務上取得した文書」であることは明白であるため、「組織的に用いるもの」の該当性を検討する。この点、「組織的に用いるもの」の該当性は、当該文書がその作成又は取得に関与した職員個人段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において業務上必要なものとして利用、保存されている状態のものかどうかを、その実態を踏まえて判断することとなる。
     実施機関の主張を総合すると、議事課長が、規約を「職員個人段階 のもの」として保有していることに疑いはない。また、上記のとおり、当該規約(コピー)が貼り付けられているのは、議事課長個人のダイアリー(スケジュール帳)であって、他の職員が容易に見ることのできない私的領域内において保有しているものであることが認められる。机上に置かれていたとしても、他の職員が見ることはないという実施機関の主張も、ダイアリー(スケジュール帳)という物の性質上、不自然なものとはいえない。
     したがって、対象文書が組織において利用、保存されている状態であるとはいえない。
     なお、実施機関が行う議員親睦会に関する業務が公務である以上、その公務の根拠となる規約は、業務上必要なものと捉えることも可能であり、その点においては「組織的に用いるもの」に該当するものといえなくもない。しかし、実施機関は規約が手元にないからといって業務が滞るといったことはないと主張しており、このことは、実施機関が行う議員親睦会に関する業務が、行事案内や会計報告など定例的なものであったり、慶弔に関する事務など定型的なものだけであって業務の範囲に属するか判断に迷う事案ではなく、かつ軽易な業務を担当していることによっても一応裏付けられる。
     よって、議事課長が保有する規約は「組織的に用いるもの」に当たらないため、公文書とは認められない。ただし、公文書として保有していないことについての妥当性は、第7記載の付言のとおりである。
    エ 通帳について
     実施機関は、通帳は議員親睦会長又は副会長からの依頼があった時のみ使用しており、使用していない場合は議事課が管理する手提げ金庫内に保管している旨主張している。
     議員親睦会が任意団体であること及び議員親睦会長からの依頼がない限り実施機関として通帳を使用することがないことを考慮すると、実施機関の通帳に対する実質的な管理権限は認められず、保管場所についても、単に保管上の便宜のために議事課が管理する手提げ金庫としたものといえる。
     よって、通帳は、実施機関が公務の範囲内で議員親睦会から預かったとしても、公文書の該当要件である「組織的に用いるもの」に該当しないため、公文書とは認められない。ただし、その保管方法については疑義があり、第7記載の付言のとおりである。
    オ 「議員親睦会親睦旅行 請求書」及び「平成29年度 議員親睦会費 収支明細」
     実施機関は、前者はその取得には関わっておらず保有していない、後者はその作成に関わっているものの保有していない旨主張している。
     前者について、議員親睦会に対する旅行会社からの旅行代金に関する請求書であれば、旅行会社が実施機関に請求することは通常考え難く、その取得に実施機関が関わっていないことは首肯できる。なお、議員親睦会長が必要な金額の引出しを実施機関に依頼するにあたり、議員親睦会が請求書の原本又は複写した副本を実施機関に提供することも考えられなくもないが、実施機関としては、議員親睦会長からの依頼に基づき必要な金額の引出しを行えば事足りるものであり、あえて実施機関において請求書の原本又は複写した副本を取得していると疑う事情は見受けられないし、その必要性もないといえる。
     後者については、収支明細自体が毎年度作成する定例的なものであり、実施機関の役割が日付の修正や確定した金額の入力程度であることに鑑みれば、実施機関が担った役割は比較的軽微な作業であるといえる。よって、その作業後、議員親睦会に返却し、実施機関において保有していないことや、その運用の妥当性は上述したアのとおりである。
  3. 結論
    以上により、本件第一決定から本件第三決定については、上記第1記載の審査会の結論のとおり判断した。
     なお、審査請求人は、実施機関が提出した弁明書について、市議会議長から市議会議長宛に出された行為が利益相反である旨主張している。しかし、行政不服審査制度では、処分庁(処分をした行政庁)及び審査庁(審査請求がされた行政庁)を区別し、処分庁から審査庁に対して弁明書を提出することが通常の手続きとなる。本件の場合、処分庁及び審査庁ともに議会であるため、弁明書を市議会議長から市議会議長宛としたことは、利益相反ではなく、手続上の結果であることを申し添える。

第7 付言

 規約について、現在の保有状態において公文書とは認められないことは上記第6.2(2)ウ記載のとおりである。しかし、本件で争点となった議員親睦会に関する業務については、春日井市議会事務局処務規程に明文化されていないながら、同規程中の「その他議会及び議事に関すること」と、議員親睦会の活動趣旨が一致するとの実施機関の判断により、実施機関にとっての公務と捉えられている。そうであれば、議員親睦会の活動趣旨を確認できる規約は、実施機関にとっての公務を根拠づけるものであり、現状のような公文書としての取扱いをしなかったことが違法又は不当というものではないものの、公文書として組織的に用いることを検討すべきであった。
 また、通帳について、公文書とは認められないことは上記第6.2(2)エ記載のとおりである。しかし、議員親睦会という任意団体の所有物(文書)を、預け入れや返還を文書に記録しないまま他の公文書及び公務で使用する物品等と同様の状況で保管していることは、その性質上適切とはいえないため、預け入れや返還を文書に記録した上で、一定程度の区別をする等保管方法を再考する余地がある。

第8 答申に関与した委員

 尾関栄作、高松淳也、富田隆司、森幸子、金井幸子

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