学校と地域のつながり ~地域と創るみんなの学校~
市では、「地域の子どもたちは学校と地域で育てる」ことを目的に、新たな取り組みとして、学校と地域が一体となった学校づくりを進めています。
今回の特集では、「コミュニティ・スクール」と「地域クラブ活動」の取り組みについて紹介します。
コミュニティ・スクールとは
地域住民や保護者、地域で活動する団体、校長などからなる「学校運営協議会」を設置している学校のことです。
市では、令和6年5月に、藤山台小・中学校を一体的に市内初のコミュニティ・スクールとして指定しました。
藤山台学校運営協議会は、両学校長をはじめ、PTAや体育振興会、地区社会福祉協議会、藤っ子応援団などのさまざまな団体の委員で構成されています。
協力関係から連携・協働体制へ
これまでの学校では、「目指す子ども像」の実現に向け、地域や保護者の協力のもと、教員が中心となり教育活動を行ってきました。
一方、コミュニティ・スクールでは、さまざまな団体が一体となり、「どのような子どもに育ってほしいのか」「どのような学校や地域にしていきたいのか」などのビジョンや目標を共有し、その実現に向け、それぞれの立場でできることについて協議します。
その後、学校運営協議会で話し合ったことを地域コーディネーター(地域学校協働活動推進員)が調整し、地域学校協働活動を展開します。
地域学校協働活動とは
地域全体で子どもの成長を支える活動です。藤山台小・中学校では、主に、次のような活動が行われています。
■ 花壇の整備
■ 本の読み聞かせ
■ 図書室の整備
本の補強など
■ トイレの清掃
清掃方法のアドバイス
■ 高蔵寺高校との連携
夏休みの勉強会など
■ 登校の見守り
学校と地域で子どもを育てるメリット
コミュニティ・スクールを導入し、学校と地域が一体となることで、次のようなメリットが期待できます。
■ 子どもの成長を多角的に支援
地域全体で、さまざまな視点から子どもたちの成長をサポートできます。
■ 地域全体の活性化
協働活動を通じて、地域の住民同士で顔見知りが増えたり、新たな出会いが生まれたりすることで、地域全体の活性化につながります。
■ 教員の負担軽減
地域住民や団体の協力により、教員の負担が軽減され、より充実した教育活動を行うことができます。
■ 多様な学びの機会の提供
地域の力を活用することで、子どもたちは学校だけでは得られないさまざまな学びの機会を得ることができます。
魅力的なまち Made in FUJIYAMADAI
藤山台小・中学校がコミュニティ・スクールを導入し、学校と地域の関係が「報告・支援」から「連携・協働」の関係になれたことが一番良かった点だと感じています。地域から学校へさまざまな提案がしやすくなるだけでなく、学校から提案を受ける機会も増えるようになりました。また、子どもたちからの挨拶も多くなり、今まで以上に顔の見える関係ができています。
これからも信頼関係を維持・構築していくためには、学校と地域、保護者、地域ボランティアの方など、皆さんの理解と協力が必要不可欠です。地域の皆さんがそれぞれにできることを、無理なく楽しく続けられるよう、地域コーディネーターを中心に地域の輪を広げていきたいです。
将来的には、市内外の人たちから「藤山台は地域全体で子育てしている」と言われる魅力あるまちにしていきたいと思っています。そして、地域の皆さんに支えられ、育っていく「Made in FUJIYAMADAI」の子どもたちが、これからの社会で活躍し、「また藤山台に戻りたい」と思えるような温かい地域にしていきたいです。
地域クラブ活動とは
学校を中心に行ってきた部活動は、少子化や担い手不足の影響により、これまで通りの活動を維持することが困難になりつつあり、「部活動の地域展開」の取り組みが全国的に始まっています。これは、部活動の運営を学校から地域に展開し、地域の文化・スポーツ団体やボランティア団体、地域住民などが協力して指導や運営を担うことで、子どもたちが将来にわたり、文化・スポーツに親しむ機会を確保していく取り組みです。
■ 学校教育の充実
部活動が教員の過重労働の一因となっている問題があることから、部活動を改革することで、教員の負担が軽減され、本来の教育活動に専念できるようになります。その結果として、学校教育の充実につながることが期待できます。
市の地域クラブ活動
市では、「中学校の休日の部活動改革」の取り組みを進め、令和5年10月に休日の部活動を廃止し、市教育委員会が管理運営する「地域クラブ活動」を設立しました。
今後、令和10年の夏までに地域などを運営主体とした活動への展開を目指し、地域クラブコーディネーターが中心となり、環境整備を進めていきます。
また、平日の学校部活動については、学校を中心とした部活動を活用しながら、地域へ展開していくかの検討を進めていきます。
■ 新たな地域クラブ活動の創設と選べる環境づくり
地域クラブ活動の設立に伴い、これまでの学校部活動には無かった「女子サッカークラブ」を創設しました。地域クラブ活動では学校の枠を越えて参加することができるため、一つの学校では活動が困難な種目も地域クラブとして活動できるようになりました。
令和6年度には、子どもたちから要望の多かった「ダンスクラブ」を市内2か所で創設しました。また、他の活動についても、自分の学校に参加したい地域クラブ活動が無い場合は、近隣にある地域クラブ活動に参加することができるようになりました。
地域クラブ活動のQ&A
Q1.地域の指導員ってどんな人なの?
A1.各種目に携わった経験があり、面接や各種研修を受けた人です。
※ 兼職兼業の教職員の場合もあります。
Q2.活動場所まではどのように行くの?
A2.保護者の判断のもと、自転車や公共交通機関などを利用します。
Q3.大会やコンクールには出場できるの?
A3.大会やコンクールの主催者は、地域クラブの出場を認める方向です。
ダンスクラブ
大手小学校と石尾台中学校を活動場所として活用し、ダンスに興味がある生徒が、ダンス経験豊富な指導員のもと楽しく活動しています。
複数の中学校の生徒が集まることで、仲間の輪が広がります。両クラブが一緒に練習することもあり、今年の春日井まつりでは合同チームでダンスを披露しました。
interview
主体性を持って活動してもらうために
平日は会社員をしながら、月に2回程度、地域クラブの指導員として活動しています。生まれ育った春日井で子どもたちにダンスの魅力を伝えられることや、地域で子どもたちの成長を見届けられることにやりがいを感じています。
活動する中では、「うまくなりたい・強くなりたい」など目標を持つことは大切ですが、一番大切なのは、「社会性を養う」ことではないかと考えています。そのため、主体性を持ち、自ら考えて行動してもらえるよう、「全ては教えない」指導法を心掛けています。ダンスクラブは今年の4月に立ち上がったばかりですが、子どもたちには、人との関わりやつながりを大切にし、さまざまな経験を積んでもらいたいと思っています。
吹奏楽「春日井ジュニアウインドウエスト」
主に味美中学校と知多中学校の生徒が集まり、合同で活動しています。
合同になったことで大人数になり、迫力のある演奏が可能となりました。双方の学校の生徒との交流も深まり、活動の幅が広がっています。
また、指導員も充実し、楽器演奏に長けた9人から交代で指導を受けられるようになったため、さまざまな視点での専門的な指導を受けられています。
interview
持続可能な地域クラブを目指して
少子化や教員の働き方改革を背景に、「地域クラブ活動」が誕生して1年3か月が経ちました。しかし、それまで行われてきた学校部活動との違いは、まだ多くの方に理解されていないように感じます。
子どもたちが文化・スポーツにいつでも気軽に親しむことができる機会や場を、このまちに暮らす皆さんとともに創っていくことがコーディネーターとしての役目だと考えています。学齢期だけでなく、人生を楽しく、いきいきと過ごすことにもつながる「持続可能な地域クラブ」を目指して、今後も活動を続けていきたいです。