平成23年度国民健康保険運営協議会議事録(7月21日開催)
1 開催日時
平成23年7月21日(木曜日)午後3時から午後4時
2 開催場所
春日井市役所3階 304会議室
3 出席者
- 委員
青山倫子 岡島務 齋藤隆司 加藤智彦 後藤俊治 佐治昌子 熊谷三映子 林美和子 犬飼毅 野村浩司 小原明美 内田謙 熊野義樹 浅野登 村上慎二郎 広瀬茂 内藤泰典
- 事務局
近藤副市長 鈴木健康福祉部長 川本保険医療年金課長 山口課長補佐 伊藤課長補佐 望月課長補佐 鈴木主査 加藤主査
4 議題
- 国民健康保険事業の状況について
- その他
5 会議資料
6 議事
【青山倫子会長】
- 本日の出席委員は、20名中17名で協議会規則第5条の規定により半数以上の出席を得ており、会議は成立している。
- 議事録署名者に加藤智彦委員と野村浩司委員をお願いする。
議題1 「国民健康保険事業の状況について」
【川本保険医療年金課長】
- 会議資料に基づき、次のとおり説明した。(説明要旨)
国民健康保険事業は、平成20年4月に大きな制度改正を行い、後期高齢者支援金としての保険料負担や、前期高齢者医療の財政調整制度の創設、特定健診、特定保健指導の実施など事業運営が大きく変わった。本市においても制度改正に伴い、税率、課税限度額の改定を行い、適正な事業を行ってきた。
平成22年度の状況として、国保の平均加入世帯数は46,610世帯で、平成21年度に比べ、271世帯、0.6%とやや増加となっている。一方、平成22年度の平均被保険者総数は81,284人となり563人、0.7%の減少となる。このうち、65歳から74歳までの加入者である前期高齢者が484人、1.8%の増加となっており、加入者の高齢化を示している。
平成20年度以降の国保加入者は、それまでの老人保健対象者を除く75歳未満の方となっており、世帯数は微増、被保険者数は微減で、その傾向は従来と変わらない状況である。また、23年4月末現在の被保険者数は47,097世帯、81,400人で、双方とも前年度に比べ、やや増加しているが、これは加入・脱退の総数において、年度末に退職した方が、この4月に多く加入した結果と考える。
2の医療費は、20年度以降、先ほどと同様に、75歳未満の方の診療代や薬代となっているが、総医療費および年間一人当たりの医療費とも前年度に比べやや増加しており、医療費の高額化が続いている状況である。特に年間一人当たりの医療費のうち、退職被保険者の伸び率の割合が7.2%と、前年度と同様に高い増加を示し、高齢者医療費の増加は深刻である。
3の保険税の収納状況は、国民健康保険事業では、国民健康保険推進員や短期証の活用、コンビニ納付、財産調査や差押え、インターネット公売等により収納率の向上に努めてきたが、平成20年度以降、比較的収納率の高い75歳以上の方が、国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行したこと、ならびに失業者の加入増加や加入世帯の家計の悪化から、収納率は現年度分、過年度分とも低い割合となっている。
平成22年度現年課税分の収納率については90.35%となり、前年度に比べ0.33ポイントの上昇となったが、これは収納額の増加によるものではなく、所得減少や失業者の軽減額の増加により調定額が減少したことが要因のひとつと判断できる。経済情勢の低迷により、被保険者全体の保険税負担税能力が低下していることから、今後も春日井市国保事業の財政状況が非常に厳しい状況であると推測できる。
(2)滞納者繰越分の不納欠損額については、滞納処分することができる財産がない等の理由により納税義務を消滅させたもの、法定期限の翌日から5年間経過したことにより時効消滅となったものである。現年課税収納額の低下の同様の理由から22年度欠損額は6億9,600万円となり、21年度と比べ約5,400万円、8.4%の上昇となっている。
4の平成22年度決算は、現在、調整を進めており、現在、見込みである。まず、歳入では、1の国民健康保険税が約4.9億円減少しており、退職者医療にかかる3の療養給付費等交付金も約2.2億円減少している一方、65歳以上の医療費の財政調整である4の前期高齢者交付金が約15.7億円増加したことや共同事業交付金が約1.3億円増加しており、21年度に比べ合計で約4億6,500万円の増加となっている。
歳出では、2の保険給付費が約7億円で、7の共同事業拠出金が約2.8億円増加している一方で、3の後期高齢者医療支援金が3.5億円の減少、10の前年度繰上充用金が約6.7億円減少しており、合計で約9,700万円の支出増加となっている。
その結果、平成22年度の歳入歳出決算額において、収支は約12億6,700万円の不足額となっており、21年度の約16億4,000万円の不足額から約3億7,000万円下回る見込みである。
5の平成23年度保険税率等の状況であるが、20年3月に条例を改正し、現在の医療保険分、後期高齢者支援分、介護保険2号分それぞれ所得割、資産割、均等割、平等割については記載のとおりである。また、課税限度額については、23年1月に答申をいただき、23年度から限度額を引き上げている。
6の平成23年度の課税状況では、(1)の課税状況表の最下段の保険税の調定額は約79億9,600万円で、昨年度に比べ、約0.2%、1,800万円の減少となっているが、一昨年度と比べ、約7.5%、6億4,400万円の大幅な減少となっている。
(2)の応能応益割合についても、21年度と比較すると、所得割額の大幅な減少を反映しており、応益割合が約2.3ポイントの減少となっている。
(3)の限度額超過世帯数については、所得総額の減少と合わせ、本年度より課税限度額を68万円から73万円引き上げたことで、約19.6%、846世帯の減少となっている。
(4)の軽減世帯数については、約3.3%、535世帯の増加となっている。また、(5)その他軽減世帯数は、国保から後期高齢者医療に移行した方がある世帯で、同一世帯の国保加入者がある世帯にかかる軽減措置である。7割5割2割軽減の16,653世帯と特定世帯軽減の合計は19,766世帯となり、当初世帯数47,097世帯のうち、約42%にあたる世帯が軽減されていることになる。
課税状況をはじめ、限度額超過世帯数、軽減世帯数いずれの数値も昨今の景気低迷を反映した状況である。
7の特定健診・特定保健指導については、平成20年4月から国民健康保険など各医療保険者に糖尿病などの生活習慣病を予防し、メタボリックシンドロームの該当者および予備群を減少させることを目的に、当該健診の実施が義務づけられ、本市でも、40歳から74歳までの方を対象に実施している。実施目標は平成20年2月に策定した「春日井市特定健康診査等実施計画」に設定する特定健診及び特定保健指導にかかる本市の各年度の目標値である。3の受診状況は、国に報告している法定報告ベースによる数値で、平成22年度末の実施状況は、特定健診の受診率が33.1%、特定保健指導の実施率が12.2%となっている。いずれも目標値に届いていない状況である。
平成23年度の特定健診等の実施予定については、特定健診は4月から12月において、特定保健指導は4月から翌年3月において行うこととしている。受診券については、受診者がスムーズに受診できるよう、誕生月を基本に、5月・7月・9月の年3回に分けて発送することとしており、春日井市医師会、市の健康管理事業団への委託により実施するものである。
(8)の1.の保険税課税限度額の改正は平成23年4月1日に施行された地方税法施行令の一部改正によるものである。負担感の強いといわれる中間所得層の負担を軽減するために課税限度額が引き上げられるもので、医療分を50万円から51万円、後期高齢者支援分を13万円から14万円、介護納付金分を10万円から12万円へ、合計で4万円引き上げるものである。改正内容は、下のイメージ図に示すように、改正後の実線と改正前の線で囲まれた三角形部分、つまり中間所得層の負担に配慮した部分にあたる負担が減少し、図の右側の引き上げの矢印のあたる台形部分に移行するものである。春日井市は現在、限度額合計を73万円としているが、仮に改定した場合、限度額の影響を受ける方は、医療分では年間所得約700万円以上の世帯となっており、平成22年度の状況では約2.1%、1,000世帯となっている。税額では医療分、支援金分、介護分を合わせて約3,500万円の増額になると見込んでいる。ちなみに県内37市のうち、すでに14市が23年度課税分から限度額を引き上げている。
2.の高齢者の窓口負担軽減の延長については、国の70歳代前半の被保険者等にかかる一部負担金等を軽減特例措置実施要綱の一部改正により窓口負担の軽減措置を継続するものである。国民健康保険上2割となっている70歳から74歳の方の窓口負担について、1割とする軽減特例措置を平成22年度に引き続き平成23年4月1日から平成24年3月31日の1年間、国の負担において延長するものである。なお、窓口での一部負担金の区分は、年齢により図のようになっており、70歳、74歳の方でありましても、同一世帯内でいずれかの方の市県民税課税所得が145万円以上の場合は、3割負担となっている。ただし、この課税所得が145万円以上であっても、収入金額が一定額以下の場合は、申請により1割負担となる。
国民健康保険事業の今後については、平成20年の制度改正から3年が経過したが、数年後に後期高齢者医療制度が廃止され、国民健康保険と被用者保険に戻る予定となっている。現在、関連法案の成立が不透明な状況であり、新制度の開始は早くとも平成26年3月の予定となっている。税率の設定や保険給付費の負担等事業運営上への大きな影響があり、その際は運営協議会でも審議いただくこととなる。
議題1 「国民健康保険事業の状況について」の質疑応答
【浅野委員】
資料の4ページ、平成22年度の決算収支見込の約12億6700万円の不足について、この赤字補填をどのように措置されているのか。
【川本保険医療年金課長】
地方自治法の規定に従い、繰上充用ということで、翌年度の保険税収入を繰り上げて対応する措置をとっている。これは6月議会で報告させていただいたとおりである。
【内田委員】
制度の変わった平成20年以降、一般、退職それぞれの一人あたりの金額がいずれも相当伸びており、特に退職者については21年度、22年度に大きく増えている。一般被保険者の場合は今まで退職被保険者に入っていた65歳以上の方が移ったために医療費が増加することが理解できるが、退職者の場合はむしろ1人あたりの医療費が下がってもいいのではないかと思われる。このあたりの理由分析について説明を求める。
【川本保険医療年金課長】
退職者医療制度の対象者は平成20年度以降、60歳から64歳の退職者本人が3,400人位で、あとの400人が被扶養者である。この医療費の増加理由の一つとしては、退職被保険者が24,000人から3,800人に減少し、分母が小さくなったことで、一部の方に高額な医療費がかかると平均額が引き上げられることも要因かと思う。また、60歳から64歳の年齢のため、退職してから入られる方がほとんどで、勤めている間にはなかなか医療機関に受診できず、生活習慣病を発症する確立の高い中で生活を続けた結果、退職後に発症して医療費が高額になることも考えられる。
【内田委員】
2008年(平成20年)1月17日開催の国保運営協議会資料の料金改定による収支見込みでは、20年度に税率の引上げによりかなりの税収のプラスを見込んでいたが、実際にはその後、経済状況が大きく変わったことでかなりの影響を受けたと思う。それでも、累積赤字見込が22億円だったが、今回の22年度収支見込では、12億6,000万円と、約10億円減り、大きく累積赤字の金額が変わってきている。このあたりの説明を求める。
【川本保険医療年金課長】
平成20年の医療制度改正に合わせて税率を改定したが、景気低迷による税収の影響があるにもかかわらず、決算不足額は20年度が約23億円、21年度が約16億、22年度は約12億7,000万円となった。累積赤字を順次、減少させてきた大きな理由の一つには、退職者医療制度から前期高齢者制度に変わり、65歳から74歳の方の医療費負担の仕組が大きく変わったことが挙げられる。前期高齢者交付金は21年度の概算交付が54億円であったものが、22年度には前々年度の精算分も含めて70億円となり、約15億円増加した。この交付金は、20年度から始まったもので、被用者保険も含めた全保険者を対象とする65歳以上の高齢者の加入率から決定されるため、高齢率の高い国保に交付金が多く出ることとなり、赤字額を抑えることとなった。
【内田委員】
20年度の資料と比較すると前期高齢者交付金は増えており、このペースでいけば累積赤字は2、3年でなくなるように予測されるがどうか。
【川本保険医療年金課長】
21年度と22年度を比較しても、収支の改善は3億7,000万円ぐらいで、現行のままでも2、3年では無理である。また、今後は医療費が伸びる一方で、保険税収入が景気低迷の影響から、数年先も横ばいが続くと見込まれる。さらに、医療費は高齢化によって昨年度から比較しても全体で4%ぐらい伸びており、今後、赤字が減少していくことは厳しい状況である。
【内田委員】
特定健診や特定保健指導の実施状況では、平成21年度実施率が29.7%だが、市の計画は45%でかなりの隔たりがある。平成24年度の国の目標値が65%である。平成25年からは、実施率の低い市は後期高齢者支援金が加算され、ひいては保険税が増加する場合もあるとしている。健康維持には積極的な健診が必要だが、ペナルティをかけて支援金を加算していくことになるのは納得いかない。まじめに行った人までも影響を受けるのは問題があると思う。現在、市の目標からかけ離れているが、どのように取り組んでいるのか。
【川本保険医療年金課長】
特定保健指導については、平成20年度から保険者に義務付けられたもので、無料で受診できることなど、PRを積極的に行っているものの、なかなか受診率が伸びていない。
傾向としては、特に54歳以下の方が、身近に症状が表れないことや健康に対する意識が低いことから、受診率が低い。
取組としては、医療費通知や納税通知書に啓発記事を掲載したり、町内会や医療機関にポスターの掲示等行ってきた。また、当初は受診券をがん検診と別々に出していたが、同時受診できるように統一の受診券に変更したり、未受診者にはハガキ等で受診勧奨をしている。今年度もこのような取組みを引き続き実施しているが、さらに、本年は受診券の発送を例年より一月ずつ早め、受診の有効期限を発送の2か月後から12月末までとして、受診しやすい環境に変えている。また、健康管理センターや保健センターでの集団健診を年10回実施しており、土曜日実施を3回に増やしている。
また、「支援金の増加」に関する件については、受診率が伸びないことから「お願い」と言う意味で掲載してもので、これは「高齢者の医療の確保に関する法律」において、特定健診等目標値が達成しない場合は平成25年度から支援金を10%の範囲内で加算・減算するという規定によるものである。現在は後期高齢者医療制度の廃止法案が出ていないため、この規定は残っているが、その内訳は具体的に示されていない。
【内田委員】
特定保健指導の積極的支援と動機付け支援だが、全体で12.6%と対象者に対して少ないようである。特に積極的支援は問題がある方で、本来ならすぐにでも医療機関に行くべき人だと思われるが、窓口負担の不安があるのではないか。
【川本保険医療年金課長】
積極的支援、動機付け支援とも、対象者には利用券を発行し、無料で指導を受けていただくようご案内を差し上げている。また、期間をすぎても来院されない方には電話等でご案内、勧奨しているが、なかなか皆さんが行っていただくというところまでつながっていない状況である。
議題2 「その他」
【川本保険医療年金課長】
東日本大震災の本市国保への影響として、被災地から春日井市へ転入され国保に加入した方が一世帯あり、国保税と一部負担金を減免することになっている。
また、5月8日から15日までの1週間、被災地への災害派遣で当課の保健師1名が岩手県大槌町釜石保健所管内で、愛知県の保健活動支援として活動してきた。
各委員にその他の意見等のないことを確認し、閉会とした。
上記のとおり、平成23年7月21日(木曜日)開催の国民健康保険運営協議会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、会長及び出席委員2人が署名する。
平成23年8月19日
会長 青山 倫子
署名者 加藤 智彦
署名者 野村 浩司
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