令和2年度第1回春日井市いじめ問題対策委員会議事録
1 開催日時
令和2年10月19日(月曜日)午後2時~午後3時
2 開催場所
春日井市役所9階 教育委員会室
3 出席者
委員
- 中部大学 花井 忠征
- 愛知県弁護士会 植村 元雄
- 春日井市医師会 牧野 景子
- 愛知県臨床心理士会 堀 英太郎
- 愛知県社会福祉士会 吉田 朋美
事務局
- 春日井市教育委員会 教育部長 松原 眞一
- 学校教育課 課長 大城 達也
- 主幹 兒島 靖
- 指導主事 坂田 安男
- 課長補佐 長谷川 英輝
- 主査 仲野 高弘
4 議題
「(仮称)春日井市いじめ重大事態発生時の調査等対応の手引き」の策定について
5 会議資料
- 資料1 「(仮称)春日井市いじめ重大事態発生時の調査等対応の手引き」の概略について (PDF 254.7KB)
- 資料2 (仮称)春日井市いじめ重大事態発生時の調査等対応の手引き (PDF 536.4KB)
- 資料3 委員の事前意見等一覧表 (PDF 120.8KB)
- 資料4 春日井市いじめ防止基本方針(平成29年2月) (PDF 835.9KB)
- 資料5 いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(平成29年3月 文部科学省)(外部リンク)
- 資料6 子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂版)[概要](平成26年7月 文部科学省)(外部リンク)
6 議事内容
議事に先立ち、教育部長の挨拶を行った。
また、次の項目について諮問及び報告を行った。
- 会議の公開について
事務局から、会議は個人情報を取り扱わないため公開とすることについて諮り、承認された。 - 議事録について
事務局から、議事録は要点筆記で委員全員の確認、議事録署名人は、委員長と委員長が指名する委員の2人とすることについて諮り、承認された。 - 傍聴者について
事務局から、傍聴者はいないとの報告を行った。 - 議事進行について
事務局から、規則に基づき議事進行は委員長が議長として行うことを報告した。 - 議事録の署名について
議事録署名人として、花井委員長が牧野委員を指名した。
議題 「(仮称)春日井市いじめ重大事態発生時の調査等対応の手引き」の策定について
【事務局】
「(仮称)春日井市いじめ重大事態発生時の調査等対応の手引き」の策定について、令和3年度からの運用開始を目標として内容を審議するため、資料1から資料6に基づき説明。
【植村委員】
資料3のナンバー2の質問に関連して、教職員の児童生徒に対する差別的な発言などの不適切な行為について、教育委員会はどのような方針で取り扱うのか。
【事務局】
教職員の児童生徒に対するいじめ等の不適切行為は、職務上の指導対象となっているため、内容次第では懲戒処分の対象になる場合があります。
【堀委員】
4点の意見がある。
1点目は、手引き(資料2)の目的とする調査について、いじめの有無を判断することではないということでよいか。手引き(資料2)1頁の第1章の3「重大事態の調査は、民事・刑事上の責任追及やその他の争訟等への対応を直接の目的とするものではなく、いじめの全容解明や対処、再発防止が目的であることを認識し、常にいじめの防止等の体制を見直す姿勢をもつ。」と記載があるが、実例として被害児童生徒と保護者は、重大事態の調査目的をいじめの有無を決める行為だと認識していることが多く、教育委員会や学校との間で理解が異なっていることで問題となることも多く見受けられる。このため修正する必要はないものの、重大事態の調査はいじめの有無を決めるものではないという前提を記載することが望ましいと考える。
他の自治体はどのような内容となっているか。
【事務局】
手引き(資料2)は、いじめ防止対策推進法や国の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の趣旨と同様に、いじめ重大事態発生の原因や、いじめが重大事態に至った過程等の客観的事実を明確にするとともに学校の対応について検証し、対処や再発防止策を全校の共通理解とすることを目的として策定しています。このため、いじめの有無を判断したり、加害児童生徒の行為に対する処罰を審判したりすることが目的ではありません。
また、他の自治体の状況については、資料1別紙の県内13市の調査結果のとおり、いじめ重大事態専用の手引きを策定している市はなく、各市が策定したいじめ防止基本方針に基づいて対応するとしたり、国の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を使用したりするとの回答を得ています。しかし、実際に重大事態が発生した時、教育委員会と学校は、被害児童生徒や調査自体に対して迅速かつ適切な対応が求められることから、本市独自の手引きの策定が必要と判断しています。
【堀委員】
2点目として、手引き(資料2)2頁の第2章の1について、「把握した事案に対する重大事態の認定主体は、教育委員会又は学校とする。」との記載があるが、被害児童生徒やその保護者が重大事態と申立てがあった事案について、教育委員会や学校が重大事態であるかを決定するという意味でよいか。若しくは同章の4に「被害児童生徒・保護者から「いじめにより重大な被害が生じた」という申立てがあったとき(「いじめ」という言葉を使わないが、人間関係により心身の異常や変化を訴える場合を含む。)は、重大事態の発生とする。」との記載があることから、被害児童生徒やその保護者からの申立ては、全て重大事態として扱うという意味でよいか。
【事務局】
国が「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を策定する過程においても、被害児童生徒やその保護者からの申立ての全てを重大事態として扱うことについての是非が議論されていますが、国は被害児童生徒やその保護者からの申立ては、全て重大事態として調査すると結論付けています。このことから手引き(資料2)では、被害児童生徒やその保護者が重大事態と申し立てれば、学校がどのように判断していても重大事態と捉えて調査することとしています。本市の重大事態の定義は、国の定義を準用する中で相当の期間の欠席を30日から7日に短縮しており、教育委員会と学校はいじめを認知した時点で、重大事態の定義と照合して積極的な認定をすることが重要であると考えています。29日の欠席であるため重大事態に認定しなかったという国が引用している事例もあるとおり、重大事態の定義は消極的に解釈することも可能です。このため手引き(資料2)では、牧野委員の意見を参考に、欠席日数は達していなくとも心身に重大な被害を受けていることを考慮して重大事態に認定するといった、総合的な判断を行うことによって積極的に重大事態を認定することとしています。
【堀委員】
一般的に重大事態の調査は大規模である。被害児童生徒やその保護者が重大事態だと申し立てた場合は、重大事態として調査する必要があるものの、複数の申立てがされた場合に、その全てを重大事態として調査することは、教育委員会や学校の大きな負担となり、調査の実施が困難となることも想定されるが、教育委員会としてはどのように考えているか。
【事務局】
被害児童生徒やその保護者からの申立てを否定することはできませんが、あらゆる事案の重大事態の調査を第3者機関による大規模な調査とすることは、適切な調査方法ではないと考えています。このため手引き(資料2)では、学校と支援チームで迅速に行う基本調査といじめ問題対策委員会により大規模に行う詳細調査の2段階としています。基本調査の結果をいじめ問題対策委員会に報告し、真相究明が果たされていると判断された場合は調査完了とすることで、迅速な調査や負担の軽減を図ることとしています。
【堀委員】
3点目として、手引き(資料2)5頁の第6章の2(5)について、アンケート調査の記載があるが、様式は策定されているか。
【事務局】
アンケート調査の様式については、事前に策定することも検討しましたが、1件1件の内容が異なる重大事態の事案では、被害児童生徒とその保護者の意向や事案に適した質問をアンケートに盛り込むことが重要です。しかし事前に様式を策定した場合に、調査内容の硬直化を招く恐れも考えられたことから、手引き(資料2)では様式を策定しないこととしました。
【堀委員】
調査方法は聞き取りとアンケートに大別されるが、重大事態発生直後に実施する場合が多いため、事前に調査方法やアンケート様式の素案を策定しておくことが望ましい。被害児童生徒やその保護者からは、真相究明には個人が特定されないことで積極的な記載が期待できる無記名式のアンケート調査を希望される場合があるが、記入者が特定できないため、その後の調査が困難となる弊害も発生する。実際には、初めに記名式のアンケート調査を実施し、結果に納得できない被害児童生徒やその保護者からの希望で、再度無記名式のアンケート調査を行う事例が多いため、アンケート様式の素案は、記名、無記名の両方を策定しておくことが望ましい。
また自治体によっては、アンケート調査の前に保護者全員に実施是非の判断を確認する場合もある。これは、同意を得ずにアンケート調査を実施した結果、当事者以外の保護者に不快感を与えることを防止するためである。
【事務局】
いじめ重大事態の事案はさまざまであるものの、被害児童生徒やその保護者の心情に寄り添うことが重要であり、アンケート調査の実施や内容についても意向を反映することが必要だと考えています。しかし現実として、重大事態発生から非常に短期間でアンケート調査を実施する必要があることを考えると、事前にアンケート様式の素案を策定しておくことで、重大事態発生後にアンケートの策定を開始するよりも時間が省け、その時間を被害児童生徒やその保護者の意向をアンケートに反映することに費やすことができることから、アンケート様式の素案策定について検討します。
【堀委員】
4点目として、手引き(資料2)11頁の第10章の2について、加害児童生徒への指導等とあるが、加害児童生徒に対するさまざまな支援が、いじめの再発防止に効果的である。手引き(資料2)の実効性を高めるためにも、指導に加えて支援の項目を追記すべきである。
【事務局】
加害児童生徒に対する支援について内容を検討し、項目を追記します。
【花井委員長】
堀委員からの意見に関する修正について、事務局はどのような見解であるか。
【事務局】
いただいた意見のうち、手引き(資料2)の修正が必要となるものは、アンケート様式の素案策定と加害児童生徒に対する支援項目の追記であると認識しています。教育委員会としては、子どもたちのためにも実効性の高い手引き(資料2)の策定を目指していますので、内容を検討し修正を行う考えにあります。このため次回の第2回いじめ問題対策委員会において、今回の意見に基づく修正を盛り込んだ内容で再度の審議をいただきたいと考えますが、委員会の判断をお聞かせください。
【花井委員長】
事務局から第2回いじめ問題対策委員会において再度の審議をしたいとの提案があったが、これに異議はないか。
【各委員】
異議なし。
【花井委員長】
異議なしのため、今回の議題については、第2回いじめ問題対策委員会で再度の議題とする。
【事務局】
委員会より第2回いじめ問題対策委員会における再度の審議について承認をいただきました。再度の審議では、今回の意見に基づく修正部分は見え消しで、追記部分は朱書きで記載し、委員の皆様に事前に確認いただくとともに意見照会を行い、そこでいただいた意見についても反映した内容で審議いただきたいと考えますので、御協力をお願いします。
その他(事務局からの報告)
【事務局】
今回、委員から意見をいただきました手引き(資料2)については、内容を検討し、次回の第2回いじめ問題対策委員会で再度審議いただきます。開催は来年2月頃を予定していますので、引き続き支援をいただきますようお願いします。
上記のとおり第1回春日井市いじめ問題対策委員会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、委員長及び牧野委員が署名及び押印する。
令和2年11月10日
委員長 花井 忠征
署名人 牧野 景子
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