令和3年度第1回春日井市文化財保護審議会議事要旨

ページID 1026102 更新日 令和3年12月22日

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1 開催日時

令和3年7月15日(木曜日) 午後1時30分~3時

2 開催場所

中央公民館 第7集会室

3 出席者

会長 

春日井自然友の会会長   長縄 秀孝

委員

名古屋造形大学特任教授  池田 洋子

東海工業専門学校講師   岩田 敏也

東海学園大学教授     小野 佳代

春日井郷土史研究会会員  高橋 敏明

中部大学教授       永田 典子

星城大学特任教授     松原 隆治

中部大学教授       森田 朋子

欠席者
なし
事務局

教育長        水田 博和

教育部長       西野 正康

文化財課 課長    村松 一秀

     課長補佐  鵜飼 淳

     主査    加藤 朝子

     統括主任  松浦 徹

傍聴者
なし

4 議事

(1) 会長選出、職務代理者の指名
(2) 会長あいさつ
(3) 審議会の運営について
 

5 報告

(1)  文化財事業の概要
  ア  令和2年度実施事業
  イ  令和3年度事業計画
(2)  文化財調査報告
  ア 春日井市立郷土館
  イ 指定文化財候補(開催日当日は非公開)
 

6 会議資料

7 議事内容

(1)  委嘱状交付
    会議に先立ち、各委員に委嘱状を交付した(感染症対策のため、机上への事前配布とした)。
(2)  会長選出、職務代理者の指名
    委員の互選により、長縄秀孝委員が会長に選任され、長縄会長により松原委員が職務代理者に指名された。
(3)  会長あいさつ
    長縄会長があいさつを行った。
(4)  審議会の運営について
    事務局から、報告(2)文化財調査報告 イ 指定文化財候補については、個人及び法人の財産に関する情報が含まれ、情報公開条例第7条第4号に掲げる不開示情報に該当するため非公開、議事録等の作成に関する指針に基づき、議事録は要点筆記とすることについて諮り、全員一致で承認された。また、長縄会長より高橋委員が議事録署名人に指名された。

8 報告内容

(1)  文化財事業の概要について
  事務局より別添資料に基づき説明があった。
  次のような質疑応答・意見があった。

高橋委員
勝川遺跡の本発掘調査は、いつ、どこを調査したのですか。
文化財課長
年度末に行いました。城北線「勝川駅」の南側に集合住宅を建てるということで調査いたしました。
高橋委員
わかりました。何かありましたか。
文化財課長
不明確な部分はありますが、古代の竪穴が4棟ほど確認されました。

(2)  文化財調査報告 ア 春日井市立郷土館について
 事務局より、春日井市立郷土館を調査するに至った経緯について概要説明があった。
 岩田委員より、春日井市立郷土館の変遷及び現在の建物の間取り等の状況について説明があり、次のとおり調査報告があった。

岩田委員
明治天皇の巡幸の際、御小休所として使用されたため、昭和13年に聖蹟として国の史跡に指定されましたが、昭和23年に全国的に聖蹟指定が解除され、現在は市の指定になっています。史跡としての指定であり、建造物としての指定ではありませんので、建造物を今後どうしていくか考えるときに、史跡と建造物の文化財の意味の違いを考える必要があるかと思います。
建物自体として評価すると、近世末期の町家建築の遺構となるわけですが、かなり改造が多く、建築的質が際立って良いとは言い難いものです。すでに建造から150年以上経ち、かなり老朽化が進んでいます。造作などの修繕・改修は度々実施されていますが、構造的な補強はされていませんので、市の公開施設として、安全性・耐久性が現状ではかなり問題があるかと思われます。
「郷土館」としては既に一定の役割を果たしたと言ってよいのではないかと考えられ、新しいことを考えていく必要があるのではないか、また、多額の公費を費やして今後も施設の存続を図るべきかを検討する必要があるのではないかという感じを持ちました。

 事務局より、文化財保護審議会での郷土館のあり方についての今後の検討の進め方について概要説明があった。
 春日井市立郷土館について、質疑応答・意見はなかった。


(2)  文化財調査報告 イ 指定文化財候補について
  小野委員より、指定文化財候補について次のとおり説明があった。

小野委員
今回指定候補となっている彫刻3件はいずれも円福寺というお寺に伝わったものです。円福寺は春日井市白山町にある、天台宗の別格本山で、境内は丘陵地帯の斜面地に広がっています。丘の上に観音堂があり、そのすぐ裏に白山神社が隣接しています。明治の神仏分離令が出るまでは円福寺が白山神社の別当職を務めていました。
この度指定候補となっているのは、木造十一面観音菩薩立像、僧形坐像、女神坐像の計3点となります。いずれも白山信仰に関わる像ということになり、本来は白山神社に祀られていた御神像であったと考えられます。春日井の地にかつて白山信仰が栄えたことを物語る像として非常に貴重であり、この地に白山の神を勧請した、呼び寄せたという、その時期が果たしていつなのかということを考える上でも非常に重要な像ととらえることができます。
よってここに以上3体を市の文化財として指定し、保護・保存し、後世に伝えていくことが望ましいと考えております。
以上審議のほどお願いします。

 次のような質疑応答・意見があった。

高橋委員
これらはいわゆる仏教関係のものの可能性は一切ないのですか。
小野委員
姿形からして神像彫刻だと考えられます。
僧形坐像が神像でありながら十一面観音像とほぼ同時代にほぼセットとして作られており、十一面観音像も神の本地仏としてとらえ、3体とも白山神社に伝わった可能性が極めて高いと考えられます。
高橋委員
白山神社・円福寺の創建よりも、この像は時代的にもっと後ですね。そうすると、もともと白山信仰があそこにあったわけではなく、土着の信仰があったところに、全国的な白山信仰の流行があって、入ってきたということになりますね。
小野委員
おそらく、白山信仰で像が作られるという全国的な流れからしても、まず円福寺というお寺があり、そこに白山信仰が入ってきて、その時に神像も一緒に作られるようになったと考えられます。
白山信仰の専門家に聞くと、地形的にも白山信仰の形を残していて大変貴重で、そこに白山信仰の彫刻があるのがまたすごいとおっしゃいます。遅くとも女神像が作られた12世紀頭には白山信仰が栄えていたことが確認できる大変重要な像だということをご教授いただきました。
永田委員
白山信仰には、白山比咩(ひめ)神社があり、確か菊理媛という女神が祭神で、山岳信仰では山の神として知られています。今回の女神も、その可能性があるわけですか。
小野委員
あると思いますが、今のこの像の形だけで美術史的に言えるかというと、ちょっとわかりません。この形からして一般的な女神像と比べて何か特別な特徴があるかといったらありませんが、神社にずっと祀られていた女神像としては、この形でいいだろうと思われます。
岩田委員
だいぶ傷んでおり欠損もひどく、だから文化財の価値がないわけではないと思いますが、3つが残って一体になっているという意味に対する評価であれば、より一層指定の条件を満たしている、価値があるのかなと思います。現在、どのような祀られ方をしているのですか。
文化財課長
今は収蔵庫があって、そこに収められています。八百比丘尼像は別に八百比丘尼堂というものがあり、その中に収められたようなので、その時にかなり傷んだようです。
森田委員
調査に入られた県史の方での評価はどうだったのでしょうか。
小野委員
神像については「神像」、僧形坐像に関しては「僧形八幡なのか」とか、そういう簡単な記述しかありません。
調査は入っているので、大事な像だということは認識されているのですが、指定にはかかっていないということですね。
文化財課長
今回の3件につきましては、円福寺さんの方にも報告させていただいて、文化財の指定の申請書を出していただきます。第2回審議会の時に皆様に実物を見ていただきまして、答申を出すというような動きで進めたいと考えております。

 上記のとおり、春日井市文化財保護審議会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、会長及び出席者1人が署名する。

令和3年8月12日

会長  長縄 秀孝
署名人 高橋 敏明

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