令和6年度第1回春日井市文化財保護審議会議事要旨
1 開催日時
令和6年10月15日(火曜日) 午前10時~正午
2 開催場所
中央公民館 第1集会室
3 出席者
-
会長
-
春日井自然友の会会長 長縄 秀孝
- 委員
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名古屋造形大学名誉教授 池田 洋子
東海工業専門学校講師 岩田 敏也
東海学園大学教授 小野 佳代
春日井郷土史研究会会員 高橋 敏明
中部大学教授 永田 典子
星城大学名誉教授 松原 隆治
- 欠席者
- 中部大学教授 森田 朋子
- 事務局
-
教育長 兒島 靖
教育部長 森本 邦博
文化財課 課長 北野 将好
課長補佐 浅田 博造
主査 牧野 陽子
統括主任 松浦 徹
- 傍聴者
- なし
4 議事
(1) 会長あいさつ
(2) 教育長あいさつ
(3) 審議会の運営について
5 報告
(1) 文化財課の事業概要
ア 令和5年度実施事業
イ 令和6年度事業計画
(2) 春日井市立郷土館の跡地の整備について
(3) その他
6 会議資料
7 議事内容
(1) 審議会の運営について
事務局から、会議は情報公開条例に規定する不開示情報は含まないため公開、議事録は要点
筆記とすることについて諮り、全員一致で承認された。
また、議事録等の作成に関する指針に基づき、長縄会長より髙橋委員が議事録署名人に指名
された。
8 報告内容
(1) 文化財事業の概要について
- 牧野主査
- 資料1に基づき説明した。
- 松原委員
- 文化財ボランティア養成講座について、応募者は、前期7人、後期1人となっているが、1人の人に対して開講したのか。
- 北野課長
- 1人の方に対して行った。
- 松原委員
- 手厚い指導ができたと思う。本年度、活動している文化財ボランティアは何人か。
- 北野課長
- 34人が活動している。
- 松原委員
- 現在、広報春日井で文化財ボランティア養成講座の参加募集をしているが、応募者数は何人か。
- 北野課長
- 5名の応募がある。
- 池田委員
- 親子体験教室を行った場所がわからないので、表に開催場所を加えて欲しい。
- 北野課長
- 意見のとおりとする。
- 髙橋委員
- 指定文化財、郷土芸能保存について、郷土芸能補助28団体とあるが、後継者の育成に対して市は何か指導しているのか。
- 北野課長
- 後継者の育成については、棒の手の出前講座を小学校で行っており、若い世代への浸透が見られる。また、広報(令和6年8月号)で郷土芸能の保存団体が特集記事として掲載された。今後も情報発信を継続していく。
- 髙橋委員
- 特別講座や古代史講座には、どれぐらいの申し込みがあるのか。
- 北野課長
- 会場定員99名に合わせ募集を行っている。毎回、定員を超える応募があり、受講者は抽選で決定している。
- 永田委員
- 玉川小学校の出前講座に同行した。4団体の方々が、非常に熱心に指導されていたし、子どもたちも非常に面白がってやっていた。今後も継続できたらよい。また、学校も協力的で、現場の先生方も直接参加するなど、非常にいい雰囲気だった。
- 松原委員
- 出前事業について、具体的にどういうことをやっているのか。
- 浅田課長補佐
- 小学校6年生の歴史の授業では、訪問先の校区にある遺跡などを紹介したり、実際に出土した土器を持参して、時代順に並べるクイズを取り入れている。
- 松原委員
- 子どもたちの反応はどうか。
- 浅田課長補佐
- 実際に土器に触れる体験ができ、非常によかったという感想を持っている。
- 岩田委員
- 文化財防火巡視は、問題はなかったか。
- 北野課長
- 特に問題はなかった。
- 岩田委員
- どのような観点で巡視しているか。
- 浅田課長補佐
- 巡視は、消防職員と文化財課職員で行っている。消防職員は防火設備や消火器の設置状況を、文化財課職員は指定文化財の保管状況等を目視や口頭で確認している。
- 岩田委員
- ボランティア養成講座について、平日で4回連続というのは、参加者が限られる。土曜日や日曜日の開催を検討してはどうか。
- 北野課長
- 次年度の開催日については、文化財ボランティアの会と調整する。
- 松原委員
- 出前授業について、昭和の初め頃の生活は今日と全く異なるが子どもたちの理解を促すための、何か道具を持っていくのか。
- 浅田課長補佐
- 昭和初期の扇風機やアイロンなどの民具を持っていき、現在の道具と比較できるようにしている。
- 松原委員
- 史跡見学について、文化財課に申し出ればバスを用意してもらえるのか。
- 浅田課長補佐
- 交通機関等については、見学する団体に手配をお願いしている。
(2) 春日井市立郷土館の跡地の整備について
- 牧野主査
- 資料2に基づき説明した。
- 岩田委員
- 建物の解体については了承しているが、市史跡の指定は継続した上で、跡地を整備するという認識でよいか。
- 北野課長
- 史跡の指定は解除せず、郷土館の跡地は、史跡及び歴史的背景を活かした広場として整備を進める。
- 髙橋委員
- 郷土館の跡地の整備について、市に寄せられている具体的な意見について教えて欲しい。
- 北野課長
- 昨年度、地元の方に郷土館の跡地の整備について意見を伺ったところ、地元の方々が集うコミュニティ広場やフリースペース、トイレなどを整備して欲しいという意見が多くあった。
- 岩田委員
- 市としては、郷土館を解体することで、郷土の歴史を知る施設がなくなるということを認識していると思うが、今後、新たな郷土館や博物館などの施設が必要と考えるが、どのように考えているか。
- 北野課長
- 郷土館という歴史を伝える施設はなくなるが、現時点では、どういう形で市の歴史を伝えていくのか、具体的な方向性は決まっていない。歴史を伝える手法については、引き続き検討していく。
- 岩田委員
- 審議会としては、「ぜひ建物を作って欲しい」という意見を常に持って、市に働きかけていきたい。
- 長縄会長
- 歴史を伝える施設の問題は大切なことなので、事務局の方でも検討して欲しい。
- 髙橋委員
- 30万人都市で、歴史を伝える施設がないのは多分春日井市だけだと思う。現在の民俗考古展示室は、昭和50年代の初めに開設され、その後、展示面積も拡充してない。ぜひ資料館建設を前向きに検討して欲しい。
- 池田委員
- 資料2郷土館の跡地の整備で、説明看板にQRコードを掲示とあるが、明治天皇の座った場所とか建物の構造についてわかる内容か、単に、建物の外観を見るだけのものなのか。
- 北野課長
- 明治天皇がどの部屋で、どこに座ったのかがわかる建物内部のVRを考えている。
- 池田委員
- 明治天皇は庭から入られたが、なぜ玄関から入らなかったのか、この点が歴史上、重要なポイントだが、今の人たちにはわからないと思う。また、なぜこの家を選んだのかなど、そういう内容にも触れて欲しい。
- 松原委員
- 郷土館以外にも、昔の宿場町をイメージさせるような古い建物がまだ何件か残っている。説明看板を立てさせてもらうなど、何か考えているか。また、町並みの整備は観光やまちづくりの関連部局と協力して、歴史的な雰囲気づくりを検討できないかと思う。郷土館単独ではなくて、宿場町全体を視野に入れて、施設を作れればと思う。
- 長縄会長
- 松原委員の意見は、本当に大事だと思う。坂下については、説明看板が各所に設置されており、昔の町の様子がわかる。これは、地元と市が協力して作ったのか。
- 北野課長
- 看板は、地元が設置したもので、今後、下街道の解説看板を制作する際には、坂下を始め、勝川・内津の歴史も紹介したい。
- 長縄会長
- 「下街道歴史ひろば」を整備するにあたり、松原委員の視点も含めて、検討できたらと強く思う。同時に、ひろばを作った後に、どういう形で地元の協力を得ながら、みんなで育てていくのか、また、春日井市の宝としていくことが大事だと思う。
- 北野課長
- 単なる広場ではなく、「歴史ひろば」としての整備コンセプトを持って進める。コンセプトを地元に説明し、共通理解を得た上で、ひろばの維持管理を主体的に担うような形をとれないか。地元の人たちが愛する「歴史ひろば」を作り上げたい。
(3) その他について
- 牧野主査
- 密蔵院多宝塔について報告した。
- 小野委員
- 新聞記事は、とてもセンセーショナルであった。多宝塔の中には、市の指定文化財になり得る仏像がある。それ以外にも指定相当の仏像などの文化財が複数あるため、少しでも早く市の指定にしていくことが望ましいと思う。また、多宝塔を美術品として売却するのか、宗教施設として売却するのか。売却するとしてもどのように売却するのか、また、中の仏像も一緒なのか市は、把握しているのか。
- 北野課長
- 美術品として売却を考えているようだ。売却に関しては、県とも情報共有をしている。宗教法人の財産に関する問題でもあり、詳細については把握していない。
- 髙橋委員
- 多宝塔について、春日井市が購入することはできないか。もしくは、江南市の曼陀羅寺の整備を参考にして、宗教施設以外を市が公園として借り上げ、整備してはどうか。多宝塔を売却するのであれば、現地に残すことを条件にしないと間違いなく解体してどこかに行ってしまう。「春日井市の文化財」といって最初に浮かぶのは二子山古墳と多宝塔だと思うので、今ある場所に残すことが一番よい。
- 小野委員
- 「春日井市の文化財」という視点では、密蔵院は、仏像や絵画など貴重なものがたくさんある。秋期に虫干しを兼ねて公開すると、拝観料を得られるレベルの寺だと思うが、そういう動きもない。文化財が何の活用もなく、置かれている状態である。文化財を売却し、市外へ流出すると歴史がバラバラになってしまうので、何とか考えていただきたい。実際に密蔵院に行ってみると建物も隙間風が入って仏像の保存環境もよいとは言えない。何か手を打たないといけない状態だと思う。
- 岩田委員
- 多宝塔は、宗教法人の所有物であり、売却は、本山の許可が必要だと思う。密蔵院が所有する全ての文化財を調査して、価値を明らかにし、指定するなど保存していくべきである。今回の件は、国・県指定文化財も含むので、文化庁や県にも動いてもらい、調査をする機会になるのではと考える。
- 小野委員
- 退休寺には、新しく県指定になった仏像があるが、訪れた人が理解できるよう、看板を設置して欲しい。
- 北野課長
- 説明看板については、来年度の予算要求をしており、認められれば設置する考えである。
- 髙橋委員
- 昨年、円福寺の仏像が、県の登録有形文化財になった。市でも登録文化財制度が導入できないのか。
- 北野課長
- 制度を整備していけば、市の登録文化財は可能になると思う。
- 髙橋委員
- 最近、戦争遺跡が注目されており、春日井市にも軍事工廠で、唯一、残っているのが名城大学農学部の建物である。市としても重要な建物だと市民にアピールするために、登録文化財にしてはどうかと思う。
他にも、下街道の内津と勝川に、立派な商家が残っている。所有者の理解により、原形が維持されている。この3件については登録文化財にしてもいいと思う。
特に内津の鵜飼邸には、民具が数多く残されており、登録文化財として保存し、公開できないかと思う。
指定文化財の名称で、以前から気になっているのが、史跡「十五の森」である。史跡となっているが、伝説として残すのであれば、「伝説地」を付けた方がいいと思う。
文化財説明看板について、例えば、内々神社の社殿の説明について、内容が専門的すぎて一般の方にはわからない。図を入れるなど、理解できるような工夫をしないといけない。二子山古墳も、築造当時の石で葺かれていた様子がわかるような説明内容にした方がよい。 - 北野課長
- 看板を更新する機会には、伺った意見を参考に対応する。
- 小野委員
- 県の登録制度は始まったばかりだが、この制度は、市の指定には至らないが、価値があるものを登録により保存していこうというものである。他市の例もあるが、建物を移築する場合、何の指定にもなっていないと、市民から大反発がありとても大変のようだ。価値のあるものは、登録しておくことが非常に大事であり、県の制度を利用したり、市の指定についても検討して欲しい。
上記のとおり、春日井市文化財保護審議会の議事の経過及びその結果を明確にするためにこの議事録を作成し、会長及び出席者1人が署名する。
令和6年11月14日
会長 長縄 秀孝
署名人 高橋 敏明
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