株式会社ISOWA 段ボール製造機械の専業メーカー(世界一社風のいい会社を目指した取り組み)

ページID 1029310 更新日 令和6年1月10日

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株式会社ISOWA

 今回紹介する企業は、株式会社ISOWAです。

 株式会社ISOWAは、段ボール製造機械の専業メーカーで、創業から100年以上の歴史を持つ業界では有名な製造業の会社になります。
 今回は、企業理念である「自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける、世界一社風のいい会社」に誓約した働き方改革の推進や職場環境の整備について取締役製造本部長 塩見さんと工程管理セクション セクション長 石黒さんにお話を伺いました。

取締役製造本部長 塩見さん(左) 工程管理セクション セクション長 石黒さん(右)
取締役製造本部長 塩見さん(左) 工程管理セクション セクション長 石黒さん(右)

-本日はよろしくお願いします。
働き方改革の推進について、具体的にどのような取り組みを行っているのか教えてください。

 取締役製造本部長 塩見さん(以下、塩見)「当社では、現社長が就任した約20年前に掲げた企業理念を基に、社員満足度を高めるための様々な取り組みを行ってきました。
 その中で、最近では有給休暇取得率を年間付与日数の6割以上取得することと時間外労働の削減を目標として掲げ、社員一丸となった協力体制のもと目標達成に邁進しています。
 以前から当社には、有給休暇を比較的取得しやすい環境ではあったのですが、社員がどれだけ休んでいるかは客観的にわかりづらく、取得率の把握は現場では難しい状況でした。しかし、この目標を掲げてからは、職場内に有給休暇取得表を張り、誰がどれだけ取得しているか一目でわかるようにすることで、互いに声を掛け合い有給休暇の取得を促す環境が生まれ、取得率が数年前の47%から90%を超えるまでに上昇しました。」

有給休暇取得状況共有のための有給休暇取得表(サンプル)
有給休暇取得状況共有のための有給休暇取得表(サンプル) 

-有給休暇取得表の掲示はシンプルな改善策ですが、社員間で情報が共有できるので効果的ですね。
 時間外労働の削減についてはどのような取り組みが行われているのですか。

 塩見「世の中で働き方改革が叫ばれ生産性向上の必要性が求められる中で、業務の見直しや効率化、社員間での事務負担の均一化などを行い時間外労働の削減に努めてきました。
 しかし、業務の中には販売したダンボール製造機械の修理・保守など、お客様の業務に合わせて対応するため、休日や夜間に社員を待機させ、有事の際に対応しなくてはならないものもあります。そのような業務で発生する時間外労働を少しでも減らせるよう、修理などの依頼を待つのではなく、お客様に消耗品やメンテナンスパーツの在庫を持ってもらうことや、お客様の会社で簡単な修理ができる人材を育ててもらえるようサポートを行うことなどの予防保全に力を入れ、休日や夜間の待機人員を減らし時間外労働を削減しました。
 これらの努力により、8年ほど前は月平均45時間以上あった時間外労働が現在では月平均20時間程度となっています。」

 

-取引先のお客様の協力を得て、地域全体で働き方改革に取り組んでいるんですね。
 その他、社員の幸せのために行っている取り組みはありますか。

 塩見「有給休暇の取得率向上にも関連する話なのですが、当社には保存有給休暇制度というものがあります。これは、年間の繰り越し上限日数を超え、本来消滅してしまう有給休暇を保存有給休暇として積立し、育児・介護・病気等の休職期間に充当できるという制度になります。
 保存有給休暇の積立に上限日数は無く、社員が自分のライフプランを考えるきっかけとなり将来に備えて有給休暇をあえて残し積立を行う社員もおり、有給休暇を今使うか将来のために残すかの選択できるため、社内から好評をいただいています。
 その他にも、社内のいつでも誰でも利用できる休憩スペースにお菓子を設置し、それとともに募金箱を置き10円ずつ集め、貯まったお金を募金したり、社長おすすめのマッサージ師を月1回会社に呼び誰でも無料でマッサージを受けれる日を作ったり、年齢に応じて推奨している人間ドックにおいて、配偶者の受診代金も会社が負担するといった制度まであります。
 なお、人間ドックは再検査となった場合、再検査を受信しないと人間ドックの受診代金は従業員負担になるといったルールになっており、再検査やその後の生活習慣改善にも一役買っています。
 また、社員のキャリア形成について、3年前からマイスター制度を取り入れています。これは、昇進に伴い管理職への道に進むか、現場の職人としてのスペシャリストの道に進むかを選べる制度で、これにより社員にあったキャリア形成が可能となります。
 その他、毎年の人事評価に関しては、社員各々にマイビジョン(目標)を宣言してもらい、工場の見えるところに掲示し社員間で共有、それを基に社員の成長に対する評価を公明正大に行い給与に反映させています。
 自身の『マイビジョン』が掲示されることで、各々の目標に対する意識も強くなりますし、しっかりと給与に反映されているので社員のモチベーションアップにもつながっています。」

休憩スペースに設置されたお菓子と募金箱
休憩スペースに設置されたお菓子と募金箱 
工場に掲示されている社員各々のマイビジョン宣言
工場に掲示されている社員各々のマイビジョン宣言 

-ユニークな取り組みを多く行っているんですね。
 では、少し話題を変えて社員のために行った職場環境の整備について教えてください。

 工程管理セクション セクション長 石黒さん(以下、石黒)「一昔前、当社の工場は冷暖房が稼働しているものの、夏は暑く冬は寒い従業員には少し厳しい環境となっていました。
 しかし、毎日頑張って働いてくれている社員のために、もっと良い環境にできないかとの考えから、工場の屋根や壁にリフレクティックス(2層のプチプチシートをアルミで挟んだ建築資材)という遮熱素材を施工し、夏は太陽光を97%反射し熱を室内に入れず、冬は室内の熱を内側に反射させ魔法瓶のように暖かさを維持する快適な工場を実現させました。
 この工事による職場環境の改善は会社の内外を問わず大変好評で、社員からは『働きやすくなった。』、『社員が大切にされていることを改めて実感した。』などの声をもらっています。また、快適な職場環境を多くの会社に広めたいとの思いからリフレクティックスの販売代理店業を始め、好評をいただいていたお客様と実際に成約したケースもあり、職場環境の改善だけでなく当社の売上にも貢献しています。」

工場の屋根へのリフレクティックス施行の様子
工場の屋根へのリフレクティックス施行の様子 

-先ほど、工場内を見学させていただきましたがとても涼しくて驚きました。このような働きやすい環境で仕事のできる社員の皆さんがうらやましいです。
 また、見学した際とても明るいと感じたのですが、照明についても何か取り組まれているのですか。

 石黒「5年ほど前に事務所と工場の照明をLED化しました。主な目的は老朽化した照明器具の更新と省エネだったのですが、全体が明るくなり仕事がしやすくなったことで、社員のモチベーションアップや品質・生産性の向上、事故の無い安全な職場の実現という副次的な効果が発揮されました。
 また、本来の目的である省エネについては、事務所は年間130万円、工場は年間270万円の節電となり、削減した電気代を使い、新たに工場内にエアコンを3台増設し職場環境の向上を図りました。」
 

照明LED化前の工場内の様子
照明LED化前の工場内の様子 
全体が明るくなった照明LED化後の工場内の様子
全体が明るくなった照明LED化後の工場内の様子 

 -削減された電気代を新たなエアコンのために使うとは、社員の皆さんのために様々な取り組みを行っているISOWAさんらしいですね。
 では、次に今後の目標や新たに取り組みたいことなどがあれば教えてください。

 塩見「働き方改革の視点で言えば、完全フレックスタイム制の導入を考えています。現在はコアタイム(必ず出勤しなくてはならない時間)有のフレックスタイム制を導入していますが、これをコアタイム無しとすることで、より自由にそして計画的・効率的に働ける環境を目指しています。
 省エネや最近話題の脱炭素の視点では、工場の屋上面に太陽光発電を設置する計画が現在進行中です。この太陽光発電により年間約139tの二酸化炭素の削減が見込まれています。」

 

 -今後の構想も盛りだくさんですね。数年後さらに素敵な会社になっているISOWAさんを楽しみにしています。
 最後に、春日井市の他の企業に、伝えたいことやPRしたことがあれば教えてください。

 塩見「当社は企業理念である「自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける、世界一社風のいい会社」のもと、様々な取り組みを行っていますが、他の企業様の中には、働き方改革に対して何に取り組んでいいのか、何から手を付けたらいいのかわからないという状況の方もいらっしゃると思います。
 当社でも同様の悩みがありましたが、様々な改善点を見出すために定期的な協議会を開催し社員との対話を大切にしています、その内容に真摯に向き合い対応することで働き方改革や社員満足度の向上を進めています。
 当然すべての提案内容に応えられるわけではないですが、少なくとも頭ごなしに否定されるような環境ではなく、提案がしやすい社風であり続けるよう努力しています。提案しやすい環境があれば、現場で働く社員ならではの改善案が出てくることもありますし、社長自らが工場内を回り、『ここが暗い、ここが暑い』など情報を集めてくることもあります。
 こうした、改善案に対応していくうちに自然と働きやすい会社に近づいていくと思います。春日井市には素晴らしい会社が多くあります。私たちもより良い会社となるように頑張っていきますので、一緒に春日井市を盛り上げていきましょう。」

 -本日は取材にご協力いただきありがとうございました。

 

★会社概要
 会社名 : 株式会社ISOWA
 創立 : 創業1920年10月  設立年月日 1952年12月25日
 資本金 : 1億円
 代表者 : 代表取締役 磯輪 英之
 事業内容: 段ボール機械の設計、製造、販売
 所在地 : 春日井市西屋町66番地
 電話 : (0568) 34-1821
   社員数 : 268名(男性:241名 女性:27名)(2021年8月現在)
 平均年齢: 約43歳

株式会社ISOWA
株式会社ISOWA 

取材日 令和4年6月21日現在の情報となります。

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電話:0568-85-6240
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