医療法人さくら会 歯科医院、健診クリニック(かかわる全ての人を幸せにする取り組み)
医療法人さくら会
今回紹介する企業は、医療法人さくら会です。
医療法人さくら会は、全国に17医院(春日井市内に6医院)を展開し、歯科や健診クリニックを運営する医療法人です。
今回は、医療法人さくら会を創設した理事長 黒瀬 基尋さんと総務課長 山下 弘将さん、人材開発室室長 中村 萌乃さんに経営理念である「かかわる全ての人を幸せにする」のもと行ってきた取り組みについてお話を伺いました。
-本日はよろしくお願いします。
経営理念として「かかわる全ての人を幸せにする」を掲げたきっかけを教えてください。
理事長 黒瀬さん(以下、黒瀬)「春日井市で開業する以前は、勤務医として歯科で働いていたのですが、診察の傍ら日々進歩する医学について勉強したり技術を磨いたりと自身のスキルアップを行うには、勤務医のままでは難しいと感じることが多々ありました。
そこで、自身で歯科を開業し病院全体で、診察やスキルアップしやすい環境をつくることにしました。しかし、いざ開業してみると毎日の多忙さやスタッフのケアに追われ理想的な環境を作ることが出来ませんでした。
そのような状況の中で、「三方善」という言葉に出会い、理想的な環境を作るためには、自身の周りの「患者様」「働くスタッフ」「地域社会」等の「かかわる全ての人を幸せにする」ことが必要だと気付き、経営理念として「かかわる全ての人を幸せにする」を掲げました。」
-全ての人を幸せにする経営、とてもすばらしい考えですね。
全ての人を幸せにするために様々な取り組みを行っていると思いますが、例えば、どのようなことを行っているのか教えてください。
黒瀬「患者様のために一番力を入れているのは予防歯科の促進です。子どもの頃から予防歯科に取り組むことは将来的に虫歯だけでなく、心臓病など他の病気にかかるリスクも軽減し、50年で医療費が450万円も削減されるといった試算があるほど重要なことです。
そのため、虫歯でなくても定期的に健診や予防のために病院に来たくなるような仕組みづくりを行っています。
例えば、子どもの喜ぶような病院にするために建物のデザインをデザイナーに依頼し子どもの心を掴む可愛らしいものにしたり、待ち時間に子どもが退屈しないよう遊べるスペースを全ての病院に作ったり、頑張って受診した子どもたちへのプレゼントを用意したりしています。
このような楽しい体験を通じて、子どもたちに病院を好きになってもらえたらいいなと思っています。
また、予防歯科は子どもだけでなく、大人も今後の虫歯や将来の病気リスクを軽減させるために必要なことです。そのため、子育て世代の方でも通いやすいように、一部の病院では診療中の託児サービスを実施したり、患者様への説明をしっかり行うために治療の説明に特化した「トリートメントコーディネーター」を今年から配置したりするなど、様々な取り組みを行っていますので、多くの方に予防歯科に取り組んで頂きたいです。」
-患者様の将来のことを考えて予防医療を促進しているんですね。
病院の雰囲気もとても楽しそうなので、通うのが楽しみになりますね。
働くスタッフや地域社会の幸せのために行っていることについても教えてください。
黒瀬「患者様の幸せための取り組みと関連性が高いので、先に地域社会に対する取り組みについてお話しすると、月に1回、地域の子どもたちに楽しんでもらうためのキッズイベントを開催しています。
キッズイベントは、当院に通院歴のない方でも参加できるイベントで開催する季節に合わせた楽しい催しを行っています。現在は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から人数を制限し予約制にしたり、開催を見送ったりすることもあるのですが、例年は毎回たくさんの子どもたちに参加していただき大変好評をいただいています。
このイベント自体は参加費無料ということもあり、採算は取れていないのですが、普段お世話になっている地域に還元したい、子どもたちを楽しませたい、歯の大切さを知ってもらいたいとの思いで実施しています。」
-イベントの開催は周辺地域を盛り上げることにも繋がるので、市としてもうれしいです。
では、働くスタッフの幸せのために行っていることについて教えてください。
黒瀬「働くスタッフには、できる限り働きやすい環境で働けるように、仕事の知識を身につけるための研修等の支援や心身をケアするための有給休暇の取得促進を行っています。
研修等の支援については、当院の教育部が研修内容を企画運営し、スタッフの属性(ドクター、歯科衛生士、歯科助士、受付など)それぞれに合わせ、採用時から定期的に集合研修やフォローアップ研修を行っています。
その他にも外部の勉強会への参加費の補助や新たにドクターや歯科衛生士を目指すスタッフへの奨学金支援なども行っています。
また、一人のドクターが勉強した内容をさくら会全体のドクターでシェアし、知識を共有化することや、スタッフが講師となり開催する無料の勉強会なども行っており、多くのスタッフが積極的に知識を深めてくれています。」
人材開発室 中村さん「有給休暇については、休暇の申請がシステムに打ち込むだけとシンプルであるため、取得率は約70~80%程で、ほとんどのスタッフが有給休暇を消化しています。
また、子育てをしながら働いているスタッフは、子どもの体調不良等で急に休暇となることも多いですが、全国に17医院を展開している当院の利点を生かし、スタッフが不足した病院には、他の病院から一時的にヘルプに入り、その日の業務をカバーするなど、みんなで助け合っています。このような環境が整っていることも休暇を取得しやすくなっている要因の一つです。
さらに、現在では男性スタッフの育児休暇の取得も促進しており、申請があればいつでも取得可能な状態です。」
-「かかわる全ての人を幸せにする」ために本当に多くの取り組みをされているのですね。
では、これらの取り組みに対する院内のスタッフや周囲(社外)の反応等がわかれば教えてください。
総務課長 山下さん(以下、山下)「先日行った当院のスタッフを対象にしたアンケート調査では、70%以上のスタッフが上司や同僚との関係が良好であると答えており、医院内の人間関係や空気感が良いことが分かりました。
その理由としては、理事長がとても話しやすく誰にでも優しいため、その教育を受けてきた各医院長も、話しやすく誰にでも優しい方ばかりとなり、相談や報告などを気軽に行えるコミュニケーションの取りやすい環境になっていることが要因です。
周囲からの反応で顕著に感じているのは、新卒採用の際、学生さんの多くが予防医療に興味を持ち、患者様のために当院が行っていることに感銘を受けてくれるケースが多いことです。さらに、学生さんの中には、若いうちから研修や勉強会で多くのことが学べ、キャリアアップができる研修環境に好感を持ってくださる方も多くいる印象です。」
-取り組みの効果がいろいろな側面から感じられてうれしいですね。
今後、取り組みたいことや幸せにするために考えていることがあれば教えてください。
山下「当院には、育児休暇中のスタッフや子育てをしながら時短勤務で働いているスタッフが多く在籍しています。採用においても、春日井市の「就労促進助成事業補助金」を利用するなど、子育て中の女性の雇用に力を入れているのですが、時短勤務であるため開院時間中に仕事をあがることになり、気まずいなどの声を聞くことがあります。フルタイムのスタッフは、誰しもが経験することなので気にしていないのですが、やはり心情的に申し訳ないという思いを持たれる方が多いようで、時短勤務のスタッフのみで完結する業務を整備していきたいです。
例えば、訪問歯科として、施設などを訪問し検査や診断を行うチームを時短勤務のスタッフのみで編成し、誰もが気兼ねなく働ける環境が作れたらいいなと考えています。」
-最後に、今後春日井市を盛り上げるための意気込みをお願いします。
黒瀬「「かかわる全ての人を幸せにする」ために様々な取り組みを行っていますが、現状に満足はしていません。今後も三方善をより追及し春日井市を医療の現場から盛り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いします。」
-本日はありがとうございました。
★会社概要
会社名: 医療法人さくら会
創立: 設立 平成24年12月19日
代表者: 理事長 黒瀬 基尋
事業内容: 歯科、健診クリニック
本店所在地: 春日井市篠木町8-8-1
統括事務所: 春日井市篠木町8-8-3
電話: 0568-41-9977
社員数: 535名(男性:107名 女性:428名)(令和4年11月現在)
平均年齢: 約34.4歳
取材日 令和4年11月2日現在の情報となります。
参考
市内在住の、一度出産や子育て、介護などのために離職した女性や、65歳以上の方、障がいがある方を採用した事業者に対し補助金を交付する制度です。