株式会社東海メディカルプロダクツ 医療機器の研究開発業(ワークライフバランス)

ページID 1009916 更新日 令和1年10月9日

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バルーンカテーテルの画像

今回紹介する企業は、「株式会社東海メディカルプロダクツ」です。
若くして他界されたお嬢さんの心臓病をきっかけに素人ながら不屈の精神をもち、欧米型の医療機器しかなかった時代に、日本人の体型にあった国産初のIABP用バルーンカテーテルの開発に成功し、心臓病で倒れた多くの患者さんの命を救命救急で救うことを実現した企業です。今では冠動脈治療、透析治療、肝臓がん治療、脳血管治療、大動脈瘤治療など、全身領域へとその製品開発は広がっています。
さて、どのような会社でも出産や育児を理由に退社してしまう女性が多いのは共通の課題となっています。この会社でも命を預かる医療機器であるカテーテルを製造する技術は一朝一夕で身につけることができるようなものではないため、社員の技術は会社にとって非常に重要なものであり、社員が退社してしまうことは大きな損失になります。
そのような中、株式会社東海メディカルプロダクツでは、会社にとってかけがえのない社員が、子育てしながら働き続けることができるよう、託児を幼稚園と提携して行ない、その保育料の一部についても支給をしています。
託児場所の確保については働き手の自己責任という企業が多い中、何故企業自身が託児場所を確保することになったのか等、お話を伺いました。
(説明)カテーテルとは、医療用に用いられる中空の柔らかい管のこと。血管、消化管や尿管などの管腔部、及び胸腔や腹腔などの体腔などに挿入し、血管の拡張、塞栓による治療、薬液や造影剤などの注入点滴、体液の排出に用いる。

1人でも多くの生命を救うために「確かな本物」の医療機器を作り出す

株式会社東海メディカルプロダクツ代表取締役 筒井宣政氏

代表取締役の顔写真

[「確かな本物」の製品づくりに向けて]
「医療機器製造という特殊な分野での会社経営への思いについてお聞かせいただけますか?
この会社の経営は命に関わること、1人でも多くの人を救う為に、「確かな本物」を作るということに徹してきました。
世の中の企業は、利益追求が目標になっていることが多いように思います。もちろん当社も、利益がなければ経営が成り立ちませんが、それが最大の目標ではありません。「確かな本物」を追求することが経営の根幹にあります。そのためには他社への外注や技術に頼ったりすることはせず、自らが汗水を流して仕事をしなければなりません。「ウサギと亀」の亀のようにこつこつ努力して目標に進み、ウサギのようにトントン飛んで昼寝をしたりするようなことがない仕事ぶりが大切だと考えています。そのことが「確かな本物」の製品づくりに生かされます。

[当社の「ワーク・ライフ・バランス」の取り組み]
最近「ワーク・ライフ・バランス」が叫ばれていますが、今回取材させていただいた「託児」については、旧来は働き手の自己責任で解決する風潮が強かったように思います。何故他に先駆けていち早くこのような取り組みをされたのでしょうか?
子育て期にある社員は朝から夜まで働くのは大変で、残業など行うことも困難ですが、子どもがいるときこそ一番お金がかかる時期なので働いて給料を得たいはずです。しかし、子どもが小さくて預けることもままならないため長時間働けない。このような状況で社員からは託児施設を求める声がありました。
だが実際には我々の企業規模では託児施設を作るというのも、保育士を多く雇うのも大変。であれば近隣の保育園や幼稚園に協力を願えないだろうかと考えました。早速隣にある幼稚園へお願いに伺ったところ、企業に託児所が出来て園児を囲われてしまうより、企業と協力をすることで入園をお願いできるのは大変嬉しいことなので、是非協力させて欲しいとの言葉をいただきました。
当社としてもご協力いただけるのならと、子どもの安全を確保するためAED(自動体外式除細動器)を寄付させてもらうことにし、尚且つ社員へも保育料の一部を会社から負担することで「幼稚園と社員と会社」の3者にとって非常に良い取り組みとなりました。

[小さくてもきらっとひかる会社に向けて]
このような取り組みを展開されながら、今後の会社展望についてどのようにお考えかをお聞かせください。
「向こう三軒両隣」という言葉にあるように自社の敷地だけでなく周辺道路の清掃も行ない、わが社も地域の一員であるという自覚をしております。そして命を預かる「良い確かな本物」の製品を作り続け、小さくてもきらっとひかる会社にしたいと考えています。
また、今後は日本の科学技術の一分野として、医療機器産業を自動車に続く愛知県の主力産業としていけたらと思います。医療機器自体は普段から使うものではないにせよ、人の生活において重要なものには違いないものであり、愛知県にはそのための土台となる精密機器、化学、繊維、大学など様々な分野が揃っております。こうしたことから、将来的に連携していくことができる地域であり、今後は再生医療などの最先端医療とも連携していくことで世界へ通用する役立つものを作れるはずです。そのために各企業界への呼びかけに尽力しております。

すばらしい展望ですね。今後もご活躍をされ、医療機器の分野が益々発展することを期待しております。本日は貴重なお時間をありがとうございました。

実際に託児をお願いしている社員の方にご意見を伺いました

カテーテルの製作画像

託児であれば保育園という選択もあるが、職場の隣に託児の幼稚園があるのはどのような気持ちになりますか?
子どもの親としては幼稚園か保育園に通わせた方が良いと思っています。でも保育園は働く親に配慮した施設となっていますが、幼稚園はそのようになっていません。
この会社では働く親として幼稚園を選択できるので良いと思います。仕事を探しているときに保育園も考えていましたが、求人広告にこの企業には提携託児の幼稚園があり、保育料も支給していただけるとのことで興味を持ちました。
親としては実際すぐ隣に園があるので休み時間には様子を見ることが出来ますし、子どもも親の姿が見えなくてもこの建物に親がいるという安心感を得ていると思います。

お子さんの様子はどうでしょう?
子どもは小さいので、親が仕事にいって不安で泣いたり、急に病気になって調子が悪くなってもすぐ近くに親がいるという安心感を感じて幼稚園で生活しているようです。もちろん私がすぐ隣の会社で日中は仕事をしていることを知っているので、前を通ると「ここでいつも仕事をしているんだよね」と言ってくれます。
また、仕事場から子どもの日中の様子が見えることがあるのですが、見えた様子を家に帰ってから話してあげると、親が見ていてくれたことが非常に嬉しい様子ですね。

先程病気の話がありましたが、実際に帰ることになってしまったことはありますか?
ありますね。
当時は熱がその後に上がってしまったので、会社に早退を申し出ました。この会社はそういった際に大変協力的で、早退を促してくれるので非常に助かっています。また、普段すぐ隣に勤めており、調子が悪くなってしまったらすぐ駆けつけることができるので良いです。

早退をするときに業務が残っている場合もよくあると思いますが、それに対して社内のサポート体制はどのような感じですか?
次の日に延ばしてもよい仕事は自分が翌日に行います。でもその日にどうしても仕上げなければならない仕事があるときは、他の方がサポートをしていただけるのですごくありがたいです。また、休暇は有給休暇をパートでも取得しています。

お子さんは、幼稚園の他の子より帰りが遅いことに関して何か違いを感じていますか?
特に感じていないようです。むしろ帰る時間が遅いことで幼稚園で多く遊べるのは嬉しいらしく、勤務終了後に私が迎えにいっても「まだ遊んでいきたい」と言われたりすることもあります。託児の子どもさんは他にもみえますので疎外感を感じることもないようですね。

今は幼児ということで幼稚園の託児がありますが、小学生になると託児としてはなくなりますが、会社としてはどのように対処されているのでしょうか?
低学年だと帰宅時間が早いので、勤務時間を変えることができます。時間については会社と相談の上で決めています。午後2時で勤務時間を区切る人もいれば、学童対応ということで定時まで勤務される方もみえます。また、小学生の間は残業を出来ないと事前に決めておく場合もありますね。

こういった環境であれば集中して製品づくりに取り組めますね?
当社の製品は人の体に入る精密製品なので、私たち社員の製造技術はかけがえのないものと思います。会社の理念通り、生産性よりも品質重視の生産をしています。当社のより良い環境が末永く製品づくりに携わっていくことができることに感謝しています。

貴重なお話をありがとうございました。

ワーク・ライフ・バランスの取り組み

託児制度

託児場所  旭ヶ丘幼稚園、旭ヶ丘第二幼稚園、あさひにこにこ保育園
託児時間  午前8時15分から午後6時まで(保育園は午前7時から午後7時まで)
対象者    自社雇用パート(週5日、一日7時間以上の勤務者対象)
補助金

  1. 入園時補助 20,000円(入園時 幼稚園のみ)
  2. 保育料補助 10,000円(毎月)

採用条件の緩和

本人の就業時間については子どもの状況によって考慮しています。幼稚園に送ってから出社したいとか、残業はなしで定時に退社して子どもを迎えに行きたいなど、始業終業時間の相談に応じています。

会社概要

会社名
株式会社東海メディカルプロダクツ
設立
1981年10月
資本金
8475万円
代表者
代表取締役 筒井宣政(つつい のぶまさ)
所在地
春日井市田楽町更屋敷1485番地
電話
0568-81-7954
従業員数
151人(正社員58人、パート93人)

社員の集合写真

会社建物画像

(注意)
記事内容は全て平成21年3月現在のものです。

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産業部 経済振興課

電話:0568-85-6242
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