所得金額
所得金額とは
前年の1月1日から12月31日までの1年間のいろいろな収入から必要経費や給与所得控除額などを差し引いたものです。
所得税と同じく次の10種類の所得金額により市民税・県民税を計算します。
1 事業所得
自分で事業を営んだり、農業などから生じる所得で、次の2種類に分けて取り扱います。
営業等所得
卸売業、小売業、製造業、修理業、建設業、金融業、運輸業、サービス業など、いわゆる営業から生じる所得のほか、弁護士、医師、芸能人、生花の師匠、プロ野球選手、漁業などの事業から生じる所得です。
営業等所得の金額=収入金額-売上原価-売上原価以外の必要経費(青色専従者給与額又は事業専従者控除額を含む。)-青色申告特別控除額となります。
(注)家内労働法に規定する家内労働者や外交員、集金人など、特定の方に対して人的役務の提供を行うことを業務としている方は、「家内労働者等の必要経費の特例」を受けられる場合があります。詳しくは、国税庁ホームページを参照してください。
農業所得
農産物の生産、果樹などの栽培、養蚕、農家が兼営する家畜、家きんの飼育や、わら加工品その他これらに類するもの、酪農品の生産などの事業から生じる所得のことです。
農業所得の金額=収入金額-必要経費(青色専従者給与額又は事業専従者控除額を含む。)-青色申告特別控除額となります。
2 不動産所得
貸家、貸事務所、貸室、アパート、貸ガレージ、貸宅地、借地権設定、貸船舶、貸航空機、ネオンサイン設置などによる所得です。
不動産所得の金額=収入金額-必要経費(青色専従者給与額又は事業専従者控除額を含む。)-青色申告特別控除額となります。
3 利子所得
預貯金や公社債の利子、公社債投資信託や貸付信託の収益の分配金などによる所得をいいます。
一般的に利子所得に対しては、原則としてその支払時に20パーセント(所得税15パーセント、県税5パーセント)の税率により源泉徴収され、その課税関係は終了しますので、確定申告は必要ありません。ただし、国外の銀行等に預けた預金の利子などで、源泉徴収されないものなどは申告する必要があります。
利子所得の金額=収入金額となります。
(注)平成29年度以降は、公社債のうち、国債や地方債などの「特定公社債等」の利子所得は申告分離課税の対象となります。
4 配当所得
株式の配当、出資の配当、企業組合・農事組合法人などの剰余金の分配、証券投資信託(公社債投資信託を除きます。)の分配金などによる所得をいいますが、次の点に注意してください。
配当所得は次の区分により源泉徴収され、申告方法も変わります。
(1)上場株式等の配当
この配当所得は、所得税が源泉徴収され、県民税についても、道府県民税配当割として特別徴収されます。
申告をしないで源泉徴収(特別徴収)だけで納税を済ませることもできますが、申告をして配当控除や配当割額控除の適用を受けることもできます。 詳しくは、下記の参考ページを参照してください。
適用される税率
所得税15%、県民税5%
(注)発行済株式等の総数等の5パーセント以上に相当する数又は金額の株式等を有する個人が支払を受ける上場株式等の配当等については、この制度の対象となりません。次の(2)に該当します。
(2)上場株式等以外の配当等
所得税では20パーセントの税率によって源泉徴収されますが、市民税・県民税は源泉徴収(特別徴収)されません。この配当所得は、原則として総合課税の対象です。
(注)内国法人から支払を受ける配当等で、1銘柄につき1回に支払を受けるべき金額が10万円に配当計算期間の月数を乗じて12で除して計算した金額以下のものは、所得税においては確定申告をしなくてもよいこととされていますが、市民税・県民税においては、総合課税の所得として申告をしなければなりません。
(注)私募公社債等運用投資信託及び特定目的信託(社債的受益証券に限る。)の収益の分配については、所得税15パーセント(市民税・県民税5パーセント)の税率による源泉徴収(特別徴収)だけで納税が完結する源泉分離課税の対象とされています。
配当所得の金額=収入金額(源泉徴収等をされる前の金額)-借入金の利子となります。
参考ページ
5 給与所得
俸給、給料、賃金、歳費、賞与などの所得のことです。
給与所得=給与収入金額-給与所得控除額となります。
ただし、特定支出をした場合、その年の特定支出の額の合計額が「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、その年分の給与所得金額は次の式によって求めた金額とすることができます。
給与所得=給与収入金額-給与所得控除額-特定支出金額の合計額のうち給与所得控除額の2分の1を超える部分の金額
また、給与所得と公的年金等に係る雑所得が双方ある方や、給与等の収入金額が850万円を超える方で特別障害に該当する方、年齢23歳未満の扶養親族を有する方または特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する方は、総所得金額を計算するうえでの給与所得金額は次の式によって求めた金額とすることができます。
総所得金額における給与所得=給与収入金額-給与所得控除額-所得金額調整控除額
給与所得金額の求め方及び所得金額調整控除の詳細については、次のページを参照してください。
参考ページ
6 雑所得
ここに掲げる他の所得にあてはまらない所得をいい、次の3種類に分けて取り扱います。
1 公的年金等に係る雑所得
国民年金、厚生年金、企業年金、恩給などによる所得です。
ただし、遺族年金や障害年金などは非課税所得として課税の対象にはなりません。
公的年金等に係る所得の金額=公的年金等の収入金額-公的年金等控除額となります。
参考ページ
2 業務に係る雑所得
原稿料や印税、講演料、ネットオークションなどを利用した個人取引若しくは食料品の配達などの副収入よる所得です。
業務にかかる雑所得の金額=収入金額-必要経費となります。
(注)家内労働法に規定する家内労働者や外交員、集金人など、特定の方に対して人的役務の提供を行うことを業務としている方は、「家内労働者等の必要経費の特例」を受けられる場合があります。詳しくは、国税庁ホームページを参照してください。
3 その他の雑所得
生命保険契約等に基づく年金、税金の還付加算金など他の所得にあてはまらない所得です。
その他の雑所得の金額=収入金額-必要経費となります。
7 譲渡所得
資産の譲渡による所得をいい、総合課税による譲渡所得と分離課税による譲渡所得に分けて取り扱います。
総合課税による譲渡所得
ゴルフ会員権や機械、船舶、特許権、漁業権、書画、骨とう、貴金属などの資産の譲渡から生ずる所得のことです。
短期の譲渡所得は、譲渡した資産の保有期間が5年以内のもの、長期の譲渡所得は保有期間が5年を超えるものです。
総合課税の譲渡所得の金額=収入金額-必要経費(取得費、譲渡費用)-特別控除額(最高50万円)となります。
(注)総合課税の長期譲渡所得の金額は、その2分の1の額が総所得金額になります。
分離課税による譲渡所得
土地や借地権など土地の上に存する権利、建物、その附属設備、構築物の譲渡所得や、株式等の譲渡による所得を言います。
参考
総合課税とは 給与所得や事業所得などその他の所得と総合して、一般の税率を適用して税額を計算する課税方法です。
分離課税とは 譲渡所得など、他の所得と区別し、その所得だけに特別の税率を適用して税額を計算する課税方法です。
8 一時所得
生命保険、火災保険の満期返戻金、懸賞当せん金品、競馬、競輪の払戻金、法人から贈与を受けた金品など、営利を目的とする継続的行為から生じた所得でなく、労務や役務に対する報酬でもなく、資産の譲渡による所得でもないもので、一時的な性質をもっている所得です。
一時所得=収入金額-必要経費-特別控除(最高50万円)となります。
(注)一時所得の金額は、その2分の1の額が総所得金額になります。
9 退職所得
退職金、退職手当など。
退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×2分の1となります。
(注1)所得税が源泉徴収される退職金等に係る市民税・県民税は、特別徴収により納税が行われるため、申告の必要はありません。
(注2)退職所得に係る市民税・県民税は、給与所得などの他の所得とは区別し、支払いがあった年に課税されます。
(注3)勤続年数が5年以下の人に支払われる退職手当等については、上記の計算と異なる場合がありますので、次のページを参照してください。
10 山林所得
所有期間が5年を超える山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによる所得です。
山林所得=収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)となります。