平成24年度第2回春日井市いじめ・不登校対策協議会議事要旨
1 開催日時
平成25年2月27日(水曜日) 午後3時から午後5時
2 開催場所
教育委員会室
3 参加者
- 委員
武藤久枝
田中稔朗
澤田孝子
山下尚美
後藤哲夫
間地恵美
杉浦極
大柳勝美
恩田敏久
水口義雄
森田のり子- 教育長
木股哲夫
- 事務局
纐纈伸二
吉田啓介
4 議題
- 平成24年度いじめ・不登校対策協議会事業報告
- いじめ・不登校についての近況報告・意見交換
5 会議資料
6 議事内容及び決定事項
(1) 平成24年度 いじめ・不登校対策協議会事業報告
ア 事務局事業報告
イ 具体的活動報告
小・中学校スクールカウンセラー、市いじめ・不登校相談室、適応指導教室指導員より
(2) いじめ・不登校対策についての状況報告及び意見交換
- 不登校への支援は、児童・生徒の在籍する学校が主として行うものなので、適応指導教室では学校との連携を大切にしている。また保護者とは,これまで学期末に行っていた懇談会を、カウンセラーとの相談の際に持つようにし、連携を深めた。
相談員は相談に関わる研修事業に積極的に参加し見識を広めた。このことは、様々な関係者と面識ができることで、今後の連携に役立つものと思われる。適応指導教室は,現在、20名が在籍している。本日は「3年生を送る会」を少年自然の家で行ったが、卒業生だけでなく在校生も4月には学校復帰し、全員のお別れ会になることを願っている。 - 不登校対策として、尾張教育事務所では「家庭教育研修会」を小学校で行った。できるだけ多くの保護者に聞いてもらえるよう、就学時検診の中で研修会を設定した。
今年度は「食育」について伝え、家庭教育の充実を図った。また、子育て世代に向けての研修として「職場内研修会」を実施し、保護者の意識を高める活動をした。また、不登校児童・生徒への支援として、ホームフレンド派遣している。家庭訪問により児童・生徒の遊び相手、話し相手になるなどして、不登校の状況改善に効果を上げている。更に、子育てで悩みを持つ保護者の支援として、子育てネットワーカーを派遣している。
学校も不登校対策として様々に努力をしているが、最近の傾向として、家庭に起因する問題点が多く、対応に苦慮している。 - 基本的に小中学生を対象とした相談であるが、高校生の相談が増加している。また、医師などから相談を受けることもある。
相談員として気になることは、不登校児童・生徒が、家庭生活の中でゲームに熱中していることである。ゲームの中では、日常生活では得られない満足感があると考えられる。一説には「ゲームは癒しの空間である」と肯定的な見方もあるようだが、不登校児童・生徒には、ストレスのある現実の世界で、自ら一歩を踏み出す力が培われなければならない。ゲームを長時間することにより生活が不規則になることも不登校が長期化する要因となっているのではないか。家庭での過ごし方、ゲームの問題は不登校対策に対して大きな課題であると考えられる。 - 中学校にもいじめや友人トラブルはあるが、多くの場合、担任を中心に早期発見、早期解決されている。残念ながら不登校生徒は少なくない。SCに関わってもらいながら解決に向けて努力をしている。保護者の精神的なダメージも大きいので、保護者に対するケアも必要である。中学校は卒業すれば義務教育を修了することとなる。生徒には社会体験を積ませることが必要で、学校としても焦りがあるが、年度末・年度初めは学校復帰のチャンスなので、不登校生徒が前向きになれるよう、学校も地道に取り組んでいきたい。
- 小学校においても担任が日頃から児童のようすを観察することにより、トラブルに対して早期発見・早期解決ができていることが多い。不登校児童は少ないが、年々少しずつ増加しているように思われ心配である。子どもたちが楽しく学校に来られるよう努力していきたい。
- いじめ対策として保健委員会でミニアンケートを行い、いじめの早期発見や生徒理解に役立てている。校長講話を行うなど、期に応じて様々な取り組みをしており、生徒の道徳意識は少しずつ高まりを見せている。今後もコミュニケーション力を身に付けさせる活動など地道に取り組んでいく必要があると考える。
- 相談に来る保護者自身がいろいろな問題を抱えている場合があり、対応に苦慮している。子育ての知恵や力といった面で、保護者をサポートしていく必要性は大きい。
このような地道な活動が子どもたちの大きな支えとなっていると思う。 - ここ数年で子どもたちの様子に変わってきている。それぞれが様々な問題を抱えていて、相談も年々難しくなっている。それでも適応指導教室では、指導員とカウンセラーが協力して子どもたちを支えている状況である。
家庭の様子も様変わりしてきている。多忙な大人たち、携帯電話やゲームの影響もあり会話やふれあいの時間が少なくなってきているのではないか。友だちを遊びに誘いたくても自分から声をかけることができない子、友だちと合わせようとするあまり、自分の考えを言うことができない子、小学生のコミュニケーション力も心配な状況である。小学校の不登校数は少ないが、小学校の段階から不登校対策を行っていかなければならないようすである。 - 家庭教育に関する研修会に参加し、春日井でも同じ内容の研修を行った。いじめに対する保護者の思いとして、学校や先生、教育委員会への期待が大変大きいことがわかった。
ピアニスト辻井伸行氏の母、辻井いつ子氏の講演は、愛情深く、子を認めながら育てたという内容であった。親の気持ちとしては「あまやかしてはいけない」とばかり考えがちなので、とても参考になった。
子どもたちもそれぞれがいろいろな環境の中で様々な問題を抱えている。問題行動を起こす子、孤立する子、いじめられる子…、中にはそのような友だちを助けようと頑張っている子もいる。それでも子どもたちは先生の声がけでなんとか頑張っている。
担任、主任だけでなく、誰か先生が受けとめてくれれば、支えてくれていれば子どもたちは頑張れる。救われる。やはり学校への期待は大きい。
いじめ・不登校問題には家庭環境が大きく影響しているが、そのようすはそれぞれ異なり、保護者の考え方や学校に対する要求も三者三様である。学校の先生の苦労がわかる。 - 法務局では人権擁護の観点からいじめ対策の事業をしている。「子ども人権SOSミニレター」は、学校におけるいじめや家庭での虐待について手紙で相談を受けるものである。事業はH18年度から始まっている。
また、電話相談としては「子どもの人権110番」がある。人権啓発活動の一環として行っており、6月24日から30日までは強化週間として、夜間の相談にも対応してきた。メールによる相談も受けている。
啓発活動としては、人権擁護委員による人権教室を6月と11月に実施した。人権に関するアニメを見せるなど行った。また、全国中学生人権作文コンテストを行っている。応募される作品には優秀な内容のものが多い。賞を受けた作文は、HPでも紹介しているので、道徳教育に利用してほしい - 最近感じていることとして、まず、母親のようすが変わってきているのではないか。特に「関わる力」が弱くなっているのではないかと心配している。保護者は、概ね、働くこと、生活することで大変忙しいという印象がある。様々な面で余裕のない保護者が増えているので、市の相談窓口の役割は大きい。
また、発達障がいやその疑いがある子の増加が指摘されている。相談は、コミュニケーション力の不足などによるトラブルについてのものが多い。ただし、それが発達障がいに起因するものなのか、家庭環境に起因するものなのかはわかりにくい状況である。ADHD等の傾向が見られる子が、相談の継続により改善してきた事例もあるが、残念ながら長期化している子もいる。このような子どもたちに対して、受け皿が十分とはいえないので、今後の課題として検討が必要である。
ネットゲームなどの子どもたちへの影響については判断が難しい。確かに子どもたちにとってゲームの世界は「安住の地」となっていて、ゲームをしている間は家庭でも手がかからないということはある。しかし、どこかで子どもたちの背中を押すことが必要となってくる。そのタイミングについては、見極めは難しいが。 - 発達障がいの子にどう関わるかという問題については、臨床心理の面だけでなく、生物学的な面を考慮する必要があると聞いた。このような子へのカウンセリングは、時には押したり、また時には引いたりしながら行っていくことが大切である。ゲーム依存の子どもたちに対しても、大人が、アクティブに、根気強く関わっていく必要がある。いっしょに遊び、考えてくれる大人が必要である(プレイセラピー)。カウンセラーとしては保護者といっしょに考え、取り組んでいきたいので、カウンセリングを受けに来てもらいたい。
- 発達障がいへ等の対応は「受容」だけでは難しく、スモールステップでソーシャルスキルトレーニングを行うことが効果的であると言われている。小学校3,4年生ぐらいまでは(特に、学習に遅れがなく比較的おとなしい子の場合は)、問題が先送りされてしまう傾向にある。やがて、小学校5,6年生になるとコミュニケーションにずれがあることを自覚できる(同時にゲームへの没頭が加速する時期)ため、この時期に相談にかかる場合が多いが、できるだけ早期に対応することが望ましい。
平成25年2月27日
春日井市いじめ・不登校対策協議会
委員長 田中 稔朗
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