伝藤原公任筆石山切
伝藤原公任筆石山切
でんふじわらのきんとうひついしやまぎれ
平安時代 20.0×15.8センチメートル
京都の西本願寺に、柿本人麻呂・紀貫之ら36人の歌人の歌集が伝わっていて、「西本願寺本三十六人集」と呼ばれている。昭和4年に、その内の「貫之集下(つらゆきしゅうのげ)」と「伊勢集」が切断されたものが「石山切」である。西本願寺本三十六人集は藤原定実(さだざね)・定信(さだのぶ)父子を始め何人かで分担して書かれているが、この断簡は伊勢集で、筆者は明らかではない。料紙にさまざまな技法で美しい装飾が施された部分が多く、工芸史上でも貴重な資料である。
ともどもとだにし(た)はれぞせし
ともどもとしたふなみだのかはみづは
いかなるいろかしてながれけむ
ひと
はるがすみはかなくたちてわかるとも
かぜよりほかにたれかとふべき
めにみえぬかぜをこゝろにたぐへつゝ
やらばかすみにあかれこそせめ