藤原俊成筆御家切
藤原俊成筆御家切
ふじわらのしゅんぜいひつおいえぎれ
平安時代 24.6×14.4センチメートル
古今和歌集の断簡で、もとは冊子本。藤原俊成(1114~1204)が書いた古今集は御家切のほか、顕広切(あきひろぎれ)・昭和切・御物本古今集・了佐切(りょうさぎれ)の5種類が現存するが、そのうち御家切は比較的若いころに書かれたものである。俊成の書は晩年になるにしたがって独得の鋭さが目立ってくるが、御家切はおだやかな書風で書かれている。俊成は歌人としてたいへん優れ、多くの人に尊敬された。俊成の子孫の冷泉家(れいぜいけ)は代々歌道の御家と呼ばれ、その家に伝えられたので「御家切」と呼ばれる。
ねぬるよのゆめをはかなみまどろめば
いやはかなにもなりまさるかな
ふむやのやすひではことばたくみにて
そのさま身におはずいはゞ秋人のよきゝ
ぬきたらむがごとし
ふくからにのべのくさきのしほるれば
むべ山かぜをあらしといふらむ