藤原教長筆今城切
藤原教長筆今城切
ふじわらののりながひついまきぎれ
平安時代 25.2×16.0センチメートル
古今和歌集の断簡で、もとは冊子本。各ページの周囲に薄墨で枠を書き、その中に文字を書いる。飛鳥井雅縁(あすかいまさより1358~1429)がこの写本の奥書を写したものがあり、それで藤原教長(1109~1180)が69歳のときに書いたものとわかる。藤原教長は平安時代末期の貴族で、保元の乱に敗れた後、僧侶になり観蓮(かんれん)と名乗った。力強い書風で、今城切の他に「二荒本後撰集(ふたらぼんごせんしゅう)」「長谷切(はせぎれ)」などの筆跡が残っている。
古今和歌集巻第十八 雑歌下
だいしらず よみびとしらず
よのなかはなにかつねなるあすかゞは
きのふのふちぞけふはせになる
いくよしもあらじわがみをなぞもかく
あまのかるもにおもひみだるゝ
かりのくるみねのあさぎりはれずのみ
おもひつきせぬよのなかのうさ