春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第35号)
第1 審査会の結論
春日井市教育委員会が平成25年4月3日付け24春教学第2578号で行った公文書不開示決定については、妥当である。
第2 異議申立人の主張の要旨
- 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、春日井市情報公開条例(平成12年春日井市条例第40号。以下「条例」という。)第6条に基づく開示請求に対し、平成25年4月3日付け24春教学第2578号により実施機関が行った不開示決定を取り消し、全ての開示を求めるものである。 - 異議申立ての理由
異議申立人が主張する異議申立ての主たる理由は、異議申立書及び意見書によると、次のとおりである。
(1) 校長等は、委員会に公務出張として出席していた。指摘するまでもなく、その内容として公務性がなければならない。
(2) 要するに、公務出張は「学校運営にかかわる公務としての内容が含まれている場合」に認められるものであり、校長会(任意団体)の運営等に携わる場合、いかなる場合においても、公務出張扱いが許されているわけではない。
(3) 法制委員会のテーマは以下のごとくである。
第1回(平成24年4月17日)「法制委員会の年間計画等について」
第2回(平成24年7月11日)「学校運営上の諸問題について」
第3回(平成24年11月20日)「学校運営上の諸問題について」
(4) 平成23年度第2回のテーマは「学校運営に係る法制面の整備の在り方について」であり、第3回のテーマは「学校運営に係る法制面の現状と課題について」というものであった。これら研究テーマは、どう考えても、校長等の手に余るテーマであり、平成24年度は何を「しゃべりあっていてもよい」無難なテーマ「学校運営上の諸問題について」に変更したと思われる。
(5) 年間計画の策定をどれほど詳細に行ったか不明だが、結果は第2回、第3回共に「学校運営上の諸問題について」という、甚だ幅の広いテーマ設定を第1回委員会において行った。このような場合、常識的に考え、担当者が「原案」を持って参加したものと推察されるから、テーマ等検討に、3時間も4時間も必要とするのか疑問である。「計画等」の「等」部分に多くの時間を割いたのであれば、何を行ったのか明らかにすべきであるし、最初から出張依頼文書に明記すべきであった。
(6) 上記のようにテーマは「学校運営上の諸問題について」である。学校運営にかかわることは、学校という組織体を念頭に置けば分かるように、基本的に、学校職員全体に関係することも多く、本件関係文書も組織的文書であると考える。百歩譲って、「学校運営にかかわる公務」であっても、当該文書を公にできない場合があるかもしれないが、「全て公にできない」などということはあり得ない。校長といえども、基本的に勤務中に学校運営上の問題について研究した内容を隠す必要はない。
(7) 「勤務時間中の市校長会の活動については、公務として認められているものであるが、市校長会の委員会の運営内容については関与しておらず、委員会で作成された文書については、実施機関として保有するものではなく」などという主張は、服務監督権者としての責任放棄である。
(8) 愛日小中学校長会第5回郡市代表会のテーマも「(1)学校運営と当面する諸課題について」というものである。「学校運営」について研究したものであるから、少なくとも当該部分は開示されて当然である。もっとも、(1)のテーマは見せかけであり、実は純粋に任意団体としての業務のみを、つまり「(2)愛日小中学校長会研修会について」の打ち合わせを行ったのであれば、開示することは無理である。しかし、法に抵触する。
(9) 尾張小中学校長会法制委員会全体研修会のテーマは、「当面する法制上の課題に関すること」というものであり、講師は、愛知県教育委員会の課長補佐である。当日、資料が配布された事実がある。単純な話である。校長等が公務の一環として、法制上の問題を学習しただけのことである。教職員と共有し、さらに学べばよいのである。開示されて当然である。
(10) 校長会はその会費を公費(負担金)として得ている。この負担金支給は、校長会が、まさに教育行政の一翼を担っている団体であることの証左である。
(11) 行政と一体化した負担金交付団体である春日井市小中学校長会は、補助金交付団体にも増して、その活動内容が開示されてしかるべきである。多額の公費を支出するが、当該団体は、「任意団体」であるから関知せずなどという実施機関の姿勢が許されるはずはない。
(12) その他、市の別会計から、校長が加入する全国校長会の会報代(小学校長会は『小学校時報』、中学校長会は『中学校誌』を発行)等、研修費の名目で、様々、支出・補てんをしている。
(13) 負担金交付等の実態を見れば明らかなように、校長会は一般にいう任意団体ではない。今仮に、校長会の活動内容が、純粋な懇親的活動に限定された場合、実施機関は、行政機関として従前どおり推進できるのか。
(14) 「春日井市小中学校長会規約」に「市教員会・教育文化連盟・中小体育連盟の会長は、幹事会に出席する」とある。ここでは、一例として「中小体育連盟」について述べる。「中小体育連盟」が、上部の「県中小体育連盟」と一体となって、「中学校生徒の体育大会の開催」等計画・実行している(愛知県中小学校体育連盟規約第5条)。また、同規約第26条によれば、教育委員会事務局に各支部を置くことになっているが、実施機関の事務局職員が、大会参加事務を始めとして、全てを担っているのかといえば、そうではあるまい。
(15) つまり、現状は、校長会・教頭会・教科研究会(春日井市では、「教職員研修委員会」)等の組織が(それら中心的団体は校長会であるが)、市教育行政の一翼を担うことによって成立していると言える。本当に、それら組織の市教育行政に係わる部分を排除し、現状どおり春日井市の教育行政が推進できるならば、市教委は、そのように宣言し、校長等を学校の業務に専念させるべきである。
(16) 校長会は単なる任意団体ではない。多額の負担金が毎年、何のチェックもなく支払われている。そして、開示を求めている文書は、校長が公務出張により取得し、また、その内容は「学校運営」に関するものであり、当該校長の職場で共有されるべき文書である。開示されなければならない。
第3 諮問実施機関の説明の要旨
実施機関の説明を総合すると、本件開示請求に対し公文書不存在により不開示とした理由は、おおむね次のとおりである。
- 不開示理由について
開示請求に係る公文書を作成及び保有していないため、条例第11条第2項に該当する。 - 春日井市校長会法制委員会について
春日井市校長会法制委員会(以下「法制委員会」という。)は、任意に組織される春日井市小中学校長会(以下「校長会」という。)に設置される委員会であり、関係機関及び諸団体に対する連絡折衝及び情報交換、研修等の活動を行っている。委員である校長は、公務出張の扱いで自ら出張命令を出して参加している。実施機関としては、法制委員会の開催については公務として認めているが、運営内容については関与しておらず、使用する資料については、作成し保有していない。 - 愛日小中学校長会郡市別代表者会について
愛日小中学校長会郡市別代表者会(以下「愛日代表者会」という。)は、任意に組織される愛日小中学校長会(以下「愛日校長会」という。)が開催する郡市別の代表者による会であり、学校運営に関する諸課題に対する情報交換、研修等の活動を行っている。代表者である校長は、公務出張の扱いで自ら出張命令を出して参加している。実施機関としては、愛日代表者会の開催については公務として認めているが、愛日代表者会の運営内容については関与しておらず、愛日代表者会で使用する資料については作成し保有していない。 - 尾張小中学校長会法制委員会について
尾張小中学校長会法制委員会(以下「尾張法制委員会」という。)は、任意に組織される尾張小中学校長会(以下「尾張校長会」という。)に設置される委員会であり、関係機関及び諸団体に対する連絡折衝及び情報交換、研修等の活動を行っている。委員である校長は、公務出張の扱いで自ら出張命令を出して参加している。実施機関としては、尾張法制委員会の開催については公務として認めているが、尾張法制委員会の運営内容については関与しておらず、尾張法制委員会で使用する資料については作成し保有していない。 - 本件対象文書について
本件対象文書は、平成24年度校長会会長が、法制委員会の各委員宛てに会議の出席を依頼するために作成された3つの文書、愛日小中学校長会会長が、愛日小中学校長会郡市代表者宛てに会議への出席を依頼するために作成した文書及び尾張小中学校長会会長並びに同法制委員会委員長が尾張小中学校長会郡市法制委員宛てに会議への出席を依頼するために作成した文書に記された各「内容」に関する全ての文書であり、表題は次のとおりである。
(1) 第1回春日井市校長会法制委員会の開催について(案内)(平成24年4月10日付け)
(2) 第2回春日井市校長会法制委員会の開催について(案内)(平成24年7月4日付け)
(3) 第3回春日井市校長会法制委員会の開催について(案内)(平成24年10月22日付け)
(4) 第5回愛日小中学校長会郡市代表者会の開催について(平成24年5月18日付け)
(5) 尾張小中学校長会法制委員会全体会研修会の開催について(平成24年7月11日付け)
異議申立人は上記5つの文書に記載のある5つ内容に係る関係資料の提示を求めているものである。 - 実施機関の判断について
勤務時間中の校長会の法制委員会、愛日代表者会及び尾張法制委員会(以下「法制委員会等」という。)の活動については、公務として認められているものであるが、法制委員会等の運営内容については関与しておらず、法制委員会等で使用する資料については、実施機関として作成し保有するものではなく、本件対象文書について原処分のとおり不開示決定をしたことは妥当であると考えている。
第4 調査審議の経過
審査会は、本件異議申立てについて、次のとおり調査審議を行った。
- 平成25年4月3日 開示決定等の通知をした日
- 平成25年4月7日 異議申立てのあった日
- 平成25年5月28日 諮問のあった日
- 平成25年5月28日 実施機関から意見書を収受
- 平成25年8月23日 異議申立人から意見書を収受
- 平成25年10月23日 審議、実施機関の説明
- 平成25年11月27日 審議
- 平成26年1月6日 審議
- 平成26年2月24日 審議
第5 審査会の判断
- 本件対象文書について
異議申立人が本件開示請求において求めている公文書は、校長会に設置された法制委員会が平成24年度に開催した委員会、愛日校長会が開催した代表者会及び尾張校長会が開催した研修会の各出席依頼文に記載されている「内容」に関する全ての文書であり、各依頼文の件名は次のとおりである。
(1) 平成24年4月10日付け「第1回春日井市校長会法制委員会の開催について(案内)」
(2) 平成24年7月4日付け「第2回春日井市校長会法制委員会の開催について(案内)」
(3) 平成24年10月22日付け「第3回春日井市校長会法制委員会の開催について(案内)」
(上記(1)から(3)までの文書を以下「法制委員会文書」という。)
(4) 平成24年5月18日付け「第5回愛日小中学校長会郡市代表者会の開催について(以下「愛日代表者会文書」という。)
(5) 平成24年7月11日付け「尾張小中学校長会法制委員会全体研修会の開催について」(以下「尾張校長会文書」という。) - 校長会及び法制委員会について
校長会は、「春日井市小中学校長会規約」によれば、春日井市小中学校長を持って組織し(同規約第2条)、春日井市の教育の伸展と会員相互の研修等を目的として設立された(同規約第3条)任意団体である。
活動の内容としては、教育に関する調査研究、学校相互の連絡連携、関係機関・諸団体に対する連絡折衝及び情報交換等であり(同規約第4条)、これらの事業を遂行するため、10の委員会を設置しており、その中の1つが法制委員会である(同規約第8条)。
法制委員会は、平成24年度は小中学校長14名で構成されており、実施機関の説明では、学校経営の正常を保つため、各校の現状の情報交換、制度改正等に対する理解を深めるための学習会などを行っている。
実施機関は、各校長の勤務時間中の校長会及び各委員会の活動は公務として認めている。校長会及び各委員会の活動に対する直接的な補助金、負担金の支出は行っていない。 - 愛日校長会及び尾張校長会について
愛日校長会は、「愛日小中学校長会規約」によれば、愛日地方各郡市の小中学校長会をもって組織し(同規約第4条)、愛日地方小中学校の連絡を密にし、義務教育の振興を図ることを目的(同規約第3条)として設立された任意団体である。また、尾張校長会は、「尾張小中学校長会規約」によれば、尾張地区各郡市小中学校長会をもって組織し(同規約第4条)、尾張小中学校の連絡を密にし、義務教育の振興を図ることを目的(同規約第3条)として設立された任意団体である。なお、実施機関は、校長会が愛日校長会及び尾張校長会に参加するために、両校長会に対して負担金を支出している。 - 実施機関の不開示理由について
(1) 法制委員会文書について
ア 異議申立人は、本件対象文書について、条例第2条第1号に規定する「実施機関」の職員である教職員が公務で出張して出席した際に取得した文書であり、公文書であると主張している。
一方、実施機関は、法制委員会への参加を公務として認めているが、法制委員会で取得した文書については、学校内で共用する文書として管理しておらず、組織共用性がないとして条例第2条第2号に規定する公文書に該当せず、開示請求に係る公文書は存在しないと主張している。
イ 条例第2条第2号では、開示請求の対象となる「公文書」を「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」と定義している。よって、本件対象文書が上記要件に該当するか否かについて検討する。
(ア) 「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」の該当性について
「職務上作成し、又は取得した」とは、実施機関の職員が自己の職務の範囲内において作成し、又は取得した場合をいう。
法制委員会への参加を公務として認めているという実施機関の説明から、法制委員会に出席するということは職務上の行為と言うことができる。よって、法制委員会で配付された文書は、実施機関の職員が職務上取得した文書であると認められる。
(イ) 「当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」の該当性について
「当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において事務上必要なものとして利用・保存されている状態をいう。
法制委員会文書は、実施機関の説明から、法制委員会に出席した校長が資料として受け取り、法制委員会終了後に持ち帰ったものであるということができる。
また、持ち帰った資料については、出席した各委員が個人的に管理していると実施機関は説明している。当審査会では、実施機関を通して、本件開示請求に係る資料の提出を依頼し、法制委員会文書については、ファイル1冊の提出を受けた。
実施機関から提出されたファイルには、平成24年度に開催された法制委員会14回分の資料がつづられているが、ファイル名や年度が記載されておらず、個人的なファイルであると判断される。当審査会において、法制委員会資料を見分したところ、内容は法制委員会の各開催日の次第であり、それに加え、4月17日開催分には「週休日の振替について」、7月11日開催分には「夏季休業中の勤務について」、11月20日開催分については「平成25年度教職員定期人事異動方針」が添付されている。4月及び7月の添付文書は、開催日の次第の一部分をさらに細分化した次第に過ぎず、11月の添付文書は市教委事務局が愛知県教育委員会から受け、各小中学校へ送付した資料の写しである。これらの資料は校長の自主的な研修として用いられたものであり、校長個人の事務の便宜のために保有しているものであって、実施機関として事務上特段必要とするものとまでは言えない。
また、管理実態について、実施機関を通して調査したところ、ファイルを提出した委員以外は既に廃棄していたが、保有時点では、校長室内の鍵のかかる机やロッカーで管理しており、学校内での情報の共有は一切行っていないとのことであった。このことからすると、法制委員会文書は、保有時点では組織的に用いるものとして登録されているファイルにつづられているものではなく、組織で共有する書庫等で保管されているものでもなかった。当該資料の保存、廃棄等の取扱いは法制委員会の委員であった校長個人の判断によって行われ、前述のとおり、ほとんどの委員が廃棄している。以上のことから、法制委員会文書は、組織において事実上支配されている状態にはなく、組織的に保有されているとは言えない。
ウ よって、法制委員会文書は、条例第2条第2号本文の「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」には該当するものの、「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」に該当しないことから、条例第2条第2号に規定する「公文書」の要件を満たしていないと解される。
(2) 愛日代表者会文書及び尾張校長会文書(以下「愛日代表者会文書等」という。)について
ア 当審査会では、実施機関を通して、会議に出席した委員に、本件開示請求に係る資料の提出を依頼したところ、愛日代表者会文書等については出席した委員が年度末に既に廃棄しており、現存しなかった。
当審査会として、愛日代表者会文書等が現存しない以上、本来的には、当該文書が公文書に該当するかどうかの判断をすることはできない。また、仮に当該文書が公文書に該当するとして実施機関がした不開示決定を不相当とし開示すべきとしても、現時点においては実現可能性がない。
イ そこで、当審査会は、愛日代表者会文書等が不存在であることの当否を判断するため、実施機関を通して、愛日校長会及び尾張校長会に、それぞれ文書の借用を依頼し、両校長会から借用することができた。
まず、愛日代表者会文書等は、法制委員会文書と同様、実施機関の職員が職務上取得した文書であると認められる。
次に、当審査会において、愛日代表者会文書等の見分を行ったところ、愛日代表者会文書は、平成24年6月22日に開催された第5回愛日小中学校長会郡市代表者会及び第1回郡市代表者・法制委員会合同会議で配付された次第であり、次第の内容から前者は、協議事項、連絡事項、後者は愛日校長会法制委員長の報告、協議事項及び情報交換があったことが確認できる。また、尾張校長会文書は、平成24年8月28日に開催された、尾張小中学校長会法制委員会全体研修会で配付された次第及び資料であり、次第からは、愛知県教育委員会教職員課の職員を講師に招き、研修会が開催されたことが確認できる。資料は、「法制上の課題について」と「勤務時間について」という表題の2種類が確認でき、前者は、勤務時間に関すること、労働安全衛生法、職員の健康管理に関すること、学校の管理責任に関すること、部活動に関すること及び休職に関することについての課題が羅列されており、後者は、勤務時間の割振りと時間外勤務命令に関して規則や通知を参考に記載されている。なお、「勤務時間について」の資料のみ「研修会参加者止まり」という記載がある。
愛日代表者会文書等は、校長の自主的な研修に用いられたり、参加校長が個人の事務の便宜のため、または自己研さんのために使用したりするものと言え、さらに、保有時点での管理実態について、実施機関を通して調査したところ、法制委員会文書と同様であることから、組織において事実上支配されている状態にはなく、組織的に保有されていたとは言えない。
以上により、愛日代表者会文書等は、利用の面及び管理・保存の面から、組織共用性に欠ける文書であると認められるから、法制委員会文書と同様、条例第2条第2号本文の「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」に該当するものの、「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」には該当しない。
従って、愛日代表者会文書等を出席した委員が個人の判断で廃棄したことが不相当と言えるものではない。また、その廃棄時期は年度末であり合理性が認められる。
よって、これらの文書が不存在であることは相当と認められる。 - 実施機関と校長会の関係について
校長会、愛日代表者会及び尾張校長会(以下「校長会等」という。)は、実施機関とは別組織の任意団体であり、その活動は実施機関の指揮監督の基にはなく、あくまでも自主的なものである。したがって、実施機関が校長会等の活動の全てを把握すべきと言うことはできない。
しかし、校長会等は春日井市教育の伸展向上を目的の一つとし、実施機関も、校長会の活動は、学校教育に必要であると、校長会に関する一連の異議申立ての中で述べており、事実、校長会等の活動が公務として認められており、また、実施機関が校長会の参加する愛日校長会及び尾張校長会といった上部校長会に負担金を支出していることから、校長会等の活動が教育行政の重要な役割を負っているとも言える。
したがって、校長会等の活動を公文書として記録、保有すべきかどうかは、その活動内容と教育行政との関連性、影響の大小・程度、市民に対する説明責任等の観点から判断すべきであり、本件対象文書は、かかる観点を踏まえてもなお公文書の要件を満たさないと判断したものであるが、実施機関は、校長会等の活動の内容が教育行政への影響や関連性が大きいと判断するものについては、それらに係る関係文書を適切に保有できるような対応に努めるべきであると言える。 - 結論
以上により、本件対象文書については、上記第1記載の審査会の結論のとおり判断した。
第6 答申に関与した委員
近藤真、堀口久、吉岡ミヤ子、高松淳也、富田隆司