春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第27号)

ページID 1007154 更新日 平成29年12月14日

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第1 審査会の結論

 春日井市長が平成24年7月23日付け24春環保第549号で行った公文書一部開示決定については、妥当である。

第2 異議申立人の主張の要旨

  1. 異議申立ての趣旨
     本件異議申立ての趣旨は、春日井市情報公開条例(平成12年春日井市条例第40号。以下「条例」という。)第6条に基づく開示請求に対し、平成24年7月23日付け24春環保第549号により春日井市長が行った一部開示決定を取り消し、不開示部分全ての開示を求めるものである。
  2. 異議申立ての理由
     異議申立人が主張する異議申立ての主たる理由は、異議申立書、意見書及び口頭意見陳述によると、おおむね次のとおりである。
    (1) 騒音規制法(昭和43年法律第98号)第5条では、同法第2条に規定する特定工場等の規制基準の遵守義務が定められている。当該工場から発生する全ての音について、この規制基準を遵守する義務がある。にもかかわらず、これまで付近住民から苦情などが寄せられなかったことにより、騒音レベルの許容限度を守らず、長い間住民に迷惑をかけている。会社として無責任であり、道義もなく不良である。
    (2) 行政指導に従い、騒音レベルの許容限度を遵守して、社会からも認められ、同業他社との競争上の地位もより向上し、その結果、優良会社になる。信用度も増し、利益も上向きになる。法令は、事業者も住民も何人も守る義務と責任がある。また、それは公平である。なぜ、「当該法人が騒音の規制基準を遵守していない事実、騒音規制法に基づく行政処分とは異なる行政指導ではあるものの、市から指導を受けている事実が明らかとなり、事業者の社会的評価、名誉等が損なわれ、信用失墜などによる商取引などに影響を生じ、当該法人の正当な利益を害するおそれがある」として、法令違反をする事業者を擁護するのかわからない。よって、条例第7条第3号に該当することはない。
    (3) 当該工場は、「騒音防止対策の改善計画」を提出しているが、計画、対策の方法、実施日などを明記せず、その内容は不備、不足であり、会社として全く無責任である。行政も適切に指導すべきである。行政指導又はその手続きの適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第7条第7号に該当するとしているが、このような改善計画を受理し、また、今までの対応の仕方及び行政指導も適正に行っていないことから、この理由には該当することはない。
    (4) 会社は平成24年9月26日に行政指導に従わず、改善計画ではなく、 「騒音防止対策の進捗報告」を提出している。その中で、LPガス補充時の作業音に係る騒音対策は、LPガス設備を覆うブロック壁の追加工事を実施としているが、これはブロック壁を追加で設置したのみであり、覆うような対策は取っていない。よって、騒音もあまり変化していない。排水処理プラントの稼働音に係る対策は、敷地境界の壁の設備上部の隙間を塞ぐ工事を実施としているが、これも騒音は低減していない。その他の記載についても対策や計画などを一切示さずに報告している。会社は指導を無視するような通常では考えられない対応をしている。
    (5) 実施機関は、不開示理由説明で、「工場の騒音の主音源としている排気ダクトを工場中央部に向けて延長する騒音防止対策を実施するなど対策が講じられた」としているが、これは単に熱風、排気ガス、その他の物質などを東南方面に向けて排出していたものを、西方面に排出するために延長したものであり、騒音防止対策を講じたとは言えない。
    (6) 実施機関は、環境基本法についても色々説明しているが、その中で環境基準の値が著しく超過していないなどと説明している。基準値よりも著しく超過している場合は何dBであるかを説明すべきである。
    (7) 環境基本法に基づく説明の中で、諮問実施機関は、開示請求者が、工場から50mほど離れた地に居住しており、現状の工場から発する騒音レベルを勘案すると請求者宅に安眠を妨げる、日常会話に支障をきたすなど生活環境が阻害されている実態があるとは言い難いと説明している。騒音規制法及び県民の生活環境の保全等に関する条例(平成15年条例第7号。以下「県条例」という。)による規制基準の許容限度を事業者が守っていれば、そもそも行政指導も行政処分もする必要はない。
    (8) 平成14年に環境政策課で受付けた届出書に記入された騒音の値が、県条例の騒音の規制基準を超過しているにもかかわらず、届出書は受理されている。今まで10年近く騒音について、行政指導を行わず放置していた。また、事業者も届出書を提出したのみで対策も改善も行わず、今日に至っている。市は工場の敷地境界線において、騒音規制法基準を超過している事実を確認しているとしているが、これも平成14年からずっと規制基準を超過していたことになる。10年もあれば、この件は全て基準値になったと考えられる。このような指導をしていて公にすることにより、行政指導又はその手続きの適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるということには該当しない。
    (9) 不開示とした事業者情報については、一般的には特段の事情がない限り、公開されても当該法人の正当な利益を害することにはならないと考えられるが、本件対象文書は、市に工場の騒音に関する苦情が寄せられたこと及び工場が市の指導を受けている事実を記すものであることから、前述する一般的な考え方は適用できないとしている。しかし、どのような理由にせよ、法に抵触している。また、それによって市の指導を受けることは当然であり、事実を記すものであっても開示すべきである。
    (10) 法を守る人、守らない人との違いを公にすることにより、正当な利益を害するおそれがあるとはいえない。法に抵触すると市より指導を受けるのは当然である。実施機関は、公表することによって今後、事業者の任意の協力の下、行政指導の実施及び改善に係る速やかかつ適正な改善対応が困難となるおそれがあると説明しているが、条例では事業者は任意で騒音規制基準などを守るようには定めていない。行政指導があれば、それに従うのが当然である。行政は速やかかつ適正に行うべきである。

第3 諮問実施機関の説明の要旨

 諮問実施機関の説明を総合すると、本件開示請求を一部開示とした理由は、おおむね次のとおりである。

  1. 開示しないこととした部分
     法人名、所在地、代表者氏名及び印影
  2. 開示しないこととした根拠規定
    (1) 公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位等を害するおそれがあるため、条例第7条第3号アに該当する。
    (2) 事業者の任意の協力の下、行政指導の実施及び改善に係る速やかかつ適正な改善対応が困難となるおそれがあるため、条例第7条第7号に該当する。
  3. 不開示の理由について
    (1) 騒音規制法第5条では、「特定工場等を設置している者は、当該特定工場等に係る規制基準を遵守しなければならない。」として、規制基準の遵守義務が規定されているが、この義務違反に罰則の規定は設けられていない。
    (2) 騒音規制法第12条では、「特定工場等において発生する騒音が規制基準に適合しないことによりその特定工場等の周辺の生活環境が損なわれると認めるときは、市は当該特定工場等を設置している者に対して、改善等の勧告をすることができ、この勧告に従わないときは、改善等を命ずることができる。」とされている。また、「騒音規制法の施行について(昭和44年1月30日厚生省第30号通知)」では、「この勧告の要件としては、特定工場等において発生する騒音が規制基準に適合しないことのみではなく、それによって周辺の生活環境が損なわれると市区町村長が認めることが必要であること。周辺の生活環境が損なわれるかどうかは特定工場等の周辺の生活環境の実態、暗騒音などの状況に即して判断するものとすること。」とされている。したがって、周辺の生活環境が損なわれるかどうかの判断は、騒音発生時間帯やその発生頻度、周辺の生活環境の実態、苦情の申出の有無、暗騒音等の状況など個々の具体的なケースを勘案して市町村長が認めることとなる。
    (3) 工場の騒音レベルについては、工場の敷地境界線おいて、騒音規制法に基づく規制基準(昼間50dB、朝・夕45dB、夜間40dB)の値を超過しているものの、環境基本法(平成5年法律第91号)に基づく環境基準の値(昼間55dB、夜間45dB)を著しく超過している状況になく、開示請求者以外の近隣住民から騒音に係る公害苦情の申出はない。環境基本法に基づく環境基準とは、「騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準」として定められたもので、都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づく用途地域の区分ごとにおいて設定した騒音レベルの行政上の目標値であり、住居近傍の屋外における静穏保持の見地からも望ましいレベルとされている。
    (4) また、開示請求者は、工場から50mほど離れた地に居住しており、現状の工場から発する騒音レベルを勘案すると、請求者宅において安眠を妨げる、日常会話に支障をきたすなど、生活環境が阻害されている実態があるとは言い難い。こうした状況から、市は「現状にあっては、工場の騒音によって周辺の生活環境が損なわれている。」とは判断せず、騒音規制法に基づく改善勧告、命令による行政処分を行っていない。しかし、市は、工場の敷地境界線において騒音規制法規制基準を超過している事実を確認しているため、工場に対して「法規制基準を遵守するために必要な騒音防止対策について検討し、改善対策計画を市に提出すること」を内容とする指導を行政指導として行っている。なお、行政手続法(平成5年法律第88号)及び春日井市行政手続条例(平成8年条例第37号)では、行政指導の一般原則として「行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」と規定されている。
    (5) 今般、不開示と判断した事業者情報については、一般的には、特段の事情がない限り、公開されても当該法人の正当な利益を害することにはならないと考えられるが、本件対象文書は、市に工場の騒音に関する公害苦情が寄せられたこと及び工場が市の指導を受けている事実を記すものであることから、前述する一般的な考え方は適用できない。
    (6) 春日井市生活環境の保全に関する条例(平成19年条例第54号)第52条では、勧告に従わない場合の公表規程を設けており、この公表については不利益処分と位置づけ、「公表する場合には当該公表をされるべき者にその理由を通知し、その者が意見を述べる機会を与えなければならない。」ことを規定している。このように、市は、「公表」については不利益処分に該当すると判断しており、この「公表」と同等の効果を持つ「情報開示」についても、不利益処分と同様に実質的な懲罰に値すると判断している。
    (7) なお、今般の公文書開示請求については、開示請求者がいわゆる公害苦情申出者であることから、これまでの市の指導経過及び工場の対策状況を逐次口頭で報告してきたところであり、本件対象文書の事業者情報についても、開示請求者は既に知り得る情報である。しかし、当該公文書の開示を判断するに当たっては、開示請求者と公害苦情申出者が同じであり、公文書に記す情報を既に知り得ている特殊な条件を除外して行う必要があり、当該公文書に掲げる事業者情報を開示する場合には、「当該法人が騒音の規制基準を遵守していない事実、騒音規制法に基づく行政処分とは異なる行政指導であるものの市から指導を受けている事実が明らかとなり、事業者の社会的評価、名誉等が損なわれ、信用失墜などによる商取引などに影響を生じ、当該法人の正当な利益を害するおそれがある」と判断し、条例第7条第3号アに該当する。
    (8) なお、工場から発する騒音レベルや規制基準の遵守状況については、工場の敷地境界線において、常時誰でも騒音計によって測定し、把握することができ、また、騒音は感覚公害であることから工場周辺の住民等の感覚によって、その騒音レベルを知ることができる。したがって条例第7条第3号ただし書には該当しない。
    (9) また、相手方の任意の協力のもと実施した行政指導、指導に基づく改善に係る回答書について、不利益処分と位置づけている公表と同様な効果がある情報開示を行うことは、行政手続法等に掲げる行政指導の一般原則によるものではなく、また、公表することによって、今後、事業者の任意の協力のもと、行政指導の実施及び改善に係る速やかかつ適正な改善対応が困難となるおそれがある。こうしたことから、条例第7条第7号に該当すると判断する。
    (10) 以上により、本件対象文書を条例第7条第3号及び第7号に該当するとして一部開示決定をしたことは妥当である。

第4 調査審議の経過

 審査会は、本件異議申立てについて、以下のとおり調査審議を行った。

  1. 平成24年7月23日 開示決定等の通知をした日
  2. 平成24年9月5日 異議申立てのあった日
  3. 平成24年9月24日 諮問のあった日
  4. 平成24年9月24日 諮問実施機関から意見書を収受
  5. 平成24年10月23日 異議申立人から意見書を収受
  6. 平成24年11月29日 異議申立人の口頭意見陳述、諮問実施機関の説明、審議
  7. 平成25年1月10日 審議
  8. 平成25年2月14日 審議

第5 審査会の判断

  1. 本件対象文書について
     本件対象文書は、諮問実施機関が春日井市内の特定の工場(以下「本件工場」という。)について騒音規制法の規制基準を超える騒音を発していると認めたことから、本件工場を経営する法人(以下「本件法人」という。)に対して行った行政指導に係る通知文書「騒音防止に関する改善について(通知)」及び、これに対する本件工場からの回答文書「騒音防止対策の改善計画」である。
  2. 不開示事由について
     本件対象文書のうち法人名、その所在地、代表者氏名及び印影について不開示とした理由について、諮問実施機関は、条例第7条第3号及び第7号に該当する事由があることを挙げている。
     そこで、まず、同条第7号の該当性について検討する。
  3. 条例第7条第7号該当性について
    (1) 条例第7条第7号の趣旨について
    条例第7条第7号は、柱書きにおいて、「市の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」と規定し、市の機関又は国等が行う事務又は事業の適正な執行を確保する観点から、公にすることにより、事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を不開示とすることを定めている。また、同号アからオまでには、事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むことが想定される事項が例示されている。今回、実施機関は、同号アからオまでの例示事項への該当性については主張していないため、同号柱書きに規定する事由の存否について判断するものとする。
    (2) 「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」の有無について
    ア 「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、事務又は事業に関する情報を公にすることによる利益と支障とを比較衡量した結果、公にすることの公益性を考慮してもなお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度のものである場合をいう(「情報公開事務の手引き」(以下「手引き」という。)49頁)。また、「支障を及ぼすおそれ」は、単なる抽象的な可能性では足りず、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を生じることについて、法的保護に値する蓋然性が認められなければならないと解すべきである。
    イ 本件対象文書の内容及び諮問実施機関の説明に照らすと、本件工場は、騒音規制法第5条に規定する規制基準(「特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準(昭和43年厚生省・農林省・通商産業省・運輸省告示1号)」)を遵守できていないものと認められる。
    このため、諮問実施機関は、本件法人に対し、「法規制基準を遵守するために必要な騒音防止対策について検討し、改善計画を市に提出すること」を内容とする行政指導を行っているものであるが、行政指導は、相手方が任意にこれに従うことによりその効果を得るものであり、相手方の自発的な協力が不可欠なものである。
    本件では、繰り返される行政指導や本件のような情報公開請求が原因となって、本件法人が諮問実施機関に対して不信感を持ち始めていると認められることに照らすと、本件の情報公開請求について、本件法人を特定する情報をも公開した場合には、今後本件法人からの任意の協力が得られなくなるおそれがあることが確かに認められるといえる。
    ウ しかし、仮に、本件法人が諮問実施機関による行政指導に従わない姿勢に転じた場合に、諮問実施機関が行政処分や罰則の適用といった強制力のある手段に出ることができるのであれば、諮問実施機関としては、行政指導という手法を採り続ける必要がないことになる。そして、そうであるならば、本件について諮問実施機関の主張するような不開示事由は当てはまらないこととなる。
    騒音規制法は、工場の騒音が規制基準を超えている場合、第12条第1項に基づいて改善勧告を、当該改善勧告にも従わない場合には同条第2項に基づいて改善命令を発することができるものとしている。さらに、この改善命令に違反した者に対しては同法第29条に基づき刑罰を科すことができる。もっとも、同法第12条は、改善勧告を発する要件として、「発生する騒音が規制基準に適合しないことによりその特定工場等の周辺の生活環境が損なわれると認めるとき」と規定しているため、単に騒音が規制基準に適合していないというだけでは足りず、騒音が規制基準に適合していないことにより「周辺の生活環境が損なわれる」と認められることが必要となる。
    この点を本件について見ると、本件工場の騒音について、現在、本件工場の直近に居住する住民から苦情申立てがなされているとの事実は認められない。また、本件工場の騒音の程度は、たしかに騒音規制法の規制基準は超過していると認められるものの、環境基本法第16条第1項に基づいて定められている環境基準(騒音については、平成10年9月30日環境庁告示第64号「騒音に係る環境基準について」)については、これを超過しているとの事実は確認されていない。これは、騒音規制法の規制基準が変動騒音についてはおおむね最大値を取ることに対し、「騒音に係る環境基準について」では、等価騒音レベルによって評価することとなっていて、本件においては騒音の最大値は大きいものの、それが短時間にとどまるためであると考えられる。
    これらからすると、本件について、諮問実施機関が、現状では「周辺の生活環境が損なわれると認めるとき」に該当しているとまではいえず、行政処分権限の発動は無理であると判断していることは、首肯できるものといえる。
    エ そうすると、諮問実施機関にとっては、本件法人の任意の協力の下に行う行政指導が、本件工場の周辺環境の改善を図っていくための唯一の手段ということになる。そして、本件法人を特定する情報を開示することで本件法人の協力を得られなくなるおそれが高いことからすれば、周辺地域の生活環境の向上を図るという本来の目的が達成できなくなるおそれも高いということとなり、環境改善のための行政指導の適正な遂行に支障を及ぼすおそれについて、単に抽象的な可能性にとどまらず、法的保護に値する蓋然性があると考えられる。
    このことに加えて、平成24年11月29日開催の審査会における諮問実施機関の質疑応答、及び、その後に行った審査会の調査によると、春日井市においては、本件と同様に、騒音規制法の規制基準を超える騒音を発している事業所に対して行政指導という手段でしか周辺環境の改善を図ることができない事案が他にも複数存在するほか、騒音規制法の規制基準を超える騒音を発しているが同法による規制の対象外の事業所等であるため、行政指導によって改善を図るしかないという事案も数十件存在することが認められる。このことからすると、行政指導に係る書面について当該事業者等を特定する情報も公開されるということになれば、これら他の事案及び将来発生する同種の事案に対して行われる行政指導の適正な遂行についても妨げになるおそれがあると考えられる。
    これらのことから、本件対象文書のうち本件法人を特定する情報については、事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると判断される。
  4. 結論
     以上により、本件対象文書のうち本件法人を特定する情報である法人名、所在地、代表者氏名及び印影については、条例第7条第7号に該当すると認められる。そうすると、同条第3号の該当性について判断するまでもなく上記各情報は不開示とすべきこととなる。
     よって、上記第1記載の審査会の結論のとおり判断した。

第6 答申に関与した委員

 異相武憲、昇秀樹、堀口久、近藤真、吉岡ミヤ子

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