春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第1号)

ページID 1007175 更新日 平成29年12月14日

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第1 審査会の結論

平成15年3月19日開催の3月定例教育委員会及び同月26日開催の3月臨時教育委員会の会議録(以下「本件対象文書」という。)について、不開示とされた部分は、これをすべて開示すべきである。

第2 異議申立人の主張の要旨

  1. 異議申立ての趣旨
    本件異議申立ての趣旨は、春日井市情報公開条例(平成12年春日井市条例第40号。以下「条例」という。)第6条に基づく本件対象文書の開示請求に対し、平成15年6月30日付け15春教総第156号により春日井市教育委員会(以下「教育委員会」という。)が行った一部開示決定を取り消し、全部開示決定を求めるというものである。
  2. 異議申立ての理由
    異議申立人が主張する異議申立ての主たる理由は、異議申立書及び意見書の記載によると、おおむね次のとおりである。
    (1) 本件対象文書に記載された情報は、その議題から考えて、公開すべき内容であり、条例第7条第6号に該当するものとは考えられない。また、教育委員会の姿勢は、条例第1条に定められたその目的を逸脱するものである。
    (2) 教育委員会は、過去の開示請求においては、本件と同様に地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号。以下「地方教育行政組織法」という。)に基づき、会議を非公開と議決した部分についても一部を除き、開示した事実がある。
    (3) 本件の一部開示決定は、地方教育行政組織法に基づき、会議を非公開と議決した部分については、すべて不開示とするものであり、同法及び春日井市教育委員会会議規則(平成14年春日井市教育委員会規則第6号)に定められた会議公開の理念及び情報公開という社会の方向に反するものである。
    (4) 教育委員会は、春日井市情報公開審査会答申(平成14年度答申第1号及び第4号)に関し、審査会の判断と同じ理由により、原処分を取り消し、不開示とした部分を開示している。当該答申は、「条例第7条第6号への該当性は厳格に行う必要がある」等を述べているが、基本的にこれらの内容を教育委員会は了解したのではないか。本件の判断は、自ら追認した当該答申と矛盾するものである。
    (5) 情報公開請求に関する議題であれ、人事に関する議題であれ、開示が原則であると考える。もっとも常に全面開示という見解は持たないが、教育委員会のように全面的不開示は、極めて不当である。
    (6) 教育委員会の開示した会議録には、例えば、「内容の説明」「採択の結果、全員一致で承認可決」と記載されているが、これでは、開示されても市民には会議の内容が不明である。このような実態に加えて、地方教育行政組織法により、会議を非公開と議決したから、会議録は不開示となれば、市民にとって春日井市の教育は遠い存在となってしまう。
    (7) 教育委員会は、地方教育行政組織法の改正に伴う通知における「教育委員会が地域住民に対して積極的に情報提供を行い、教育委員会としての説明責任を果たすとともに、地域住民の教育行政に関する理解と協力を得る」(平成13年8月29日13文科初571事務次官通知)という言葉を理解していない。
    (8) 本件のような全面的不開示の状態では、細部にわたって公開すべき理由を主張することも不可能であり、情報公開・個人情報保護審査会に委ねるしか方法がない点を理解して欲しい。

第3 諮問実施機関の説明の要旨

諮問実施機関の説明を総合すると、本件対象文書を一部開示とした理由は、おおむね次のとおりである。

  1. 不開示とした部分は、開示することにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあり、かつ、人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため。
  2. 3月定例教育委員会の議題1、2、3及び7の部分並びに3月臨時教育委員会のすべての議題について、地方教育行政組織法第13条第6項ただし書を適用し、会議を非公開とした。教育委員会として非公開とした会議の会議録については、不開示と決定したものである。
  3. 地方教育行政組織法第13条第6項ただし書「人事に関する事件その他の事件について、委員長又は委員の発議により、出席委員の3分の2以上の多数で議決したときは、これを公開しないことができる。」の規定を適用し、非公開とした会議の会議録で人事に関する事件が含まれているため、条例第7条第7号エに該当する。

第4 調査審議の経過

審査会は、本件異議申立てについて、以下のとおり調査審議を行った。

  1. 平成15年6月30日 開示決定等の通知をした日
  2. 同年7月4日 異議申立てのあった日
  3. 同年7月28日 諮問のあった日
  4. 同年7月28日 諮問実施機関から意見書を収受
  5. 同年8月8日 諮問実施機関から補充説明書を収受
  6. 同年8月14日 異議申立人から意見書を収受
  7. 同年9月22日 諮問、審議
  8. 同年10月31日 審議

第5 審査会の判断の理由

  1. 本件対象文書について
    本件対象文書は、3月定例教育委員会及び3月臨時教育委員会の会議録であり、春日井市教育委員会会議規則に基づき、議題、質問、討議した者の氏名、要旨、決議事項等が記載されたものである。
    このうち、諮問実施機関が不開示とした部分は、地方教育行政組織法第13条第6項ただし書の規定を適用し、非公開とした議題(3月定例教育委員会の議題1、2、3及び7並びに3月臨時教育委員会のすべての議題)に係る教育委員及び事務局職員の発言者の氏名並びに発言内容である。
  2. 会議の非公開と会議録の開示
    (1) 諮問実施機関は、「教育委員会として非公開とした会議の会議録については、不開示と決定した」ことを不開示とした理由としているので、個々の情報の不開示情報該当性を検討するに先立ち、まずこの点について検討する。
    (2) 従来、地方公共団体の情報公開条例の中には、合議制機関情報について特別の不開示規定を設け、当該合議制機関が議事運営規程や議決により不開示の決定をした場合、当該情報の個別具体的な性質、内容を問わずに不開示とする例があった。
    このような不開示規定は、合議制機関の情報を情報公開条例の対象から除外するという効果を実質的にもつものであり、本市の条例においては、合議制機関情報について特に不開示規定を設けず、条例第7条第6号により、個別具体的な利益衡量により開示の是非を判断する立場をとっている。
    したがって、教育委員会が非公開とした会議の会議録を不開示とする旨の決定を理由として、当該会議録を不開示とすることは認められず、個別に条例第7条の不開示情報該当性を検討していく必要がある。
  3. 不開示情報該当性について
    (1) 条例第7条第6号の該当性
    諮問実施機関は、非公開とした議題に係る発言者の氏名及び発言内容(以下「本件不開示部分」という。)を開示することにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある旨を主張している。
    しかしながら、当審査会が本件対象文書を見分したところによれば、本件不開示部分には、開会・閉会の辞、開示請求のあった公文書の件名、議題、事務局が説明をした旨の表示、当該議題の承認の可否、会議の進行に関する情報が記載されているにすぎず、実際に審議内容に係る具体的な記述がなされているものとは認められない。
    このように審議内容に係る具体的な記述がない以上、本件不開示部分を公にすることにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとは考えられない。
    したがって、本件不開示部分は、条例第7条第6号に該当するとは認められない。
    (2) 条例第7条第7号の該当性
    諮問実施機関は、非公開とした会議の会議録で人事に関する事件が含まれていること等を理由に条例第7条第7号エに該当する旨を主張している。
    一般に、市の機関等が行う人事管理(職員の任免、懲戒、給与、研修その他職員の身分や能力等に関すること)に係る事務は、当該機関の組織維持を公正かつ円滑に図る観点から行われ、一定の範囲で当該組織の独自性を有するものである。そこで、人事管理に係る事務に関する情報の中で、例えば、勤務評価や人事異動、昇格等の人事構想等を公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保、管理が困難になるおそれがある場合に、このような情報を不開示とすることは考えられる。
    しかしながら、当審査会が本件対象文書を見分したところによれば、本件不開示部分には、人事異動や委員の任命及び委嘱に関する議題が含まれているものの、上述したように当該議題に係る審議内容について具体的な記述がなされているものとは認められない。
    このように審議内容に係る具体的な記述がない以上、本件不開示部分を公にすることにより、人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるとは考えられない。
    したがって、本件不開示部分は、条例第7条第7号エに該当するとは認められない。
  4. 本件一部開示決定の妥当性
    以上のことから、本件不開示部分は、条例第7条第6号及び第7号に規定するいずれの不開示情報にも該当しないものと認められるので、上記第1記載の審査会の結論のとおり判断した。

第6 答申に関与した委員

小林武、昇秀樹、異相武憲、堀口久、鵜飼光子

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