春日井市情報公開審査会答申(諮問第3号)

ページID 1007178 更新日 平成29年12月14日

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第1 審査会の結論

春日井市現職教育委員会(以下「現職教育委員会」という。)に属する各委員会の会議記録(以下「本件対象文書」という。)について、不存在を理由として不開示とした決定は、妥当である。

第2 異議申立人の主張の要旨

  1. 異議申立ての趣旨
    本件異議申立ての趣旨は、春日井市情報公開条例(平成12年春日井市条例第40号。以下「条例」という。)第6条に基づく本件対象文書の開示請求に対し、平成14年8月2日付け14春教学第309号により春日井市教育委員会(以下「市教育委員会」という。)が行った不開示決定(不存在)について、異議があるとするものである。
  2. 異議申立ての理由
    異議申立人が主張する異議申立ての主たる理由は、異議申立書及び意見書の記載並びに口頭意見陳述の結果によると、おおむね次のとおりである。
    (1) 本件対象文書の開示請求以前に異議申立人が既に入手した「2001年度現職教育委員会会議記録」及び市教育委員会担当者の説明によれば、現職教育委員会に属する各委員会に海外研修等を始めいくつかの部分において決定が委ねられ、その決定に基づき各研修等が実施されたのであるから、市教育委員会が本件対象文書を保有していないとは考えられない。
    (2) 上記(1)の資料の記載事項の一部に空欄があったこと等から本件対象文書の開示請求を行い公文書不存在の決定を受けたが、例えば、各種委員会が海外研修参加者を決定するということは、春日井市の予算執行を前提とするものであり、一切報告書等が存在しないということは考えられない。この場合、研修参加者の選定基準が不明確であることが公になることをおそれて、開示しなかったのではないかと予想する。
    (3) 他の各種委員会においても、予算執行にかかわるものもあり、また、会議記録が作成され、その内容が市民に開示されるべきものであることは明白である。
    (4) 仮に市教育委員会が主張するように現職教育委員会が独立した団体であり、市教育委員会では保有していない文書であるならば、現職教育委員会の全体会の会議記録についても公文書不存在としてすべてが不開示処分されるべきと考えざるを得ないが、実際には当該会議記録は開示されている。
    (5) 市教育委員会は、現職教育委員会が独立した団体である旨主張するが、以下の点から事実に反する。
    ア 「春日井市の教育30年記念誌」(昭和57年春日井市教育委員会発行)の組織図により市教育委員会の配下にある組織である。
    イ 現職教育委員会の委員が市教育委員会により委嘱されている。
    ウ 現職教育委員会の委員は、校長、教頭、教務主任、校務主任、教育長、学校教育課長、指導主事で構成され、事務局は指導主事が担当している。つまり、市教育委員会が仕切っている。
    エ 現職教育委員会において、すべての事業計画案等を示したのは市教育委員会である。
    オ 独立した団体であるはずの現職教育委員会の開催について、教育長名で文書を出し開催の主体となっている。一般論として開催の主体は現職教育委員会委員長である。
    カ 委託契約締結日に選任されていない現職教育委員会委員長の記名・押印がなされている。
    キ 現職教育委員会の開催日時と同日同時刻に全く別の場所で市教育委員会の定例会議が開催されており、現職教育事業基本計画についてという議題が市教育委員会で承認可決されたか不明な段階で現職教育委員会に委託がされていた。
    (6) 規約を持たないという不透明な団体である現職教育委員会と委託契約を結ぶことが許されるのか。

第3 諮問実施機関の説明の要旨

諮問実施機関の説明を総合すると本件対象文書を公文書不存在により不開示とした理由は、おおむね次のとおりである。

  1. 現職教育委員会は、春日井市とは独立した団体であり、開示請求に係る文書は、当市教育委員会では保有していない。
  2. 現職教育委員会の事業内容等は、委託の範囲において行われるものであり、委託事業完了後に結果の報告が義務付けられているが、それ以外には独立した団体である現職教育委員会に対し、会議録の作成又は提出を義務付けている規程等は存在しない。
  3. 現職教育委員会は、研修事業等を委託している独立した団体であり、その事業の運営については委託事業の性格上、委託を受けた範囲内で委託先の現職教育委員会の責任において自主的・効率的になされている。
    現職教育委員会では、年2回全体会を開催しており、1回目に市教育委員会から現職教育の基本計画が現職教育委員会に提示され、2回目に現職教育の成果について市教育委員会への報告が行われている。この全体会については、現に会議録が作成されており、事業の成果である報告書とともに会議録が提出され、市教育委員会において取得し、保管されている。
  4. これに対し、現職教育委員会の下にある各種委員会は、事業を円滑に実施するため内部調整や実践活動を行う集団であって、専門的な部会と位置付けられているものであり、現に会議録は作成されていないし、前記2のとおり会議録の作成又は提出が義務付けられているものでもない。
  5. また、各種委員会の会議録を市教育委員会において取得し、組織的に用いるものとして、保有していることはなく、各種委員会の会議録に係る公文書は不存在である。

第4 調査審議の経過

審査会は、本件異議申立てについて、以下のとおり調査審議を行った。

  1. 平成14年9月5日 諮問のあった日
  2. 同年9月26日 諮問実施機関から理由説明書を収受
  3. 同年9月30日 異議申立人から意見書を収受
  4. 同年10月10日 異議申立人から意見書を収受
  5. 同年10月28日 諮問実施機関の職員からの口頭説明聴取、異議申立人からの口頭意見陳述、審議
  6. 同年11月13日 諮問実施機関から補充説明書を収受
  7. 同年11月22日 諮問実施機関の職員からの口頭説明聴取、審議
  8. 同年12月11日 異議申立人から意見書を収受
  9. 同年12月13日 審議
  10. 平成15年1月8日 異議申立人から意見書を収受
  11. 同年1月24日 審議

第5 審査会の判断の理由

  1. 現職教育委員会について
    地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第45条では、市町村教育委員会は、県費負担教職員については、都道府県教育委員会の行う研修に協力するとともに、自ら研修を実施することができる旨が定められている。
    市教育委員会では、教職員の資質の向上、使命感の高揚と自覚を促し、学校教育の充実を図るため、各種の専門的な研修及び研究を実施することを目的に、現職教育研修調査事業等を行っており、これらの事業等を受託しているのが、現職教育委員会である。
    現職教育委員会の団体としての性格について、諮問実施機関は春日井市とは独立した団体であると説明しており、これに対し異議申立人は「春日井市の教育30年記念誌」(昭和57年春日井市教育委員会発行)に記載されている組織図により、現職教育委員会は市教育委員会の配下にある組織であって、諮問実施機関の説明は事実に反していると主張している。
    そこで当審査会において調査したところ、春日井市教育委員会事務局等組織規則(昭和49年春日井市教育委員会規則第1号)第3条及び第4条において課及び担当の設置並びに事務分掌が規定されているが、現職教育委員会に関する定めはなく、春日井市行政組織図(平成14年4月1日現在)においても異議申立人が主張するような現職教育委員会が市教育委員会の配下にある組織であるといった内容は確認されなかった。また、現職教育委員会と春日井市とでは、現職教育研修調査事業につき委託者を春日井市とし、受託者を現職教育委員会とする委託契約を締結しており、委託契約書第2条において教科等研究、管理教職員研修、教職員研修等12項目について委託する事業内容が定められている。このことからも、現職教育委員会は、春日井市とは別個の独立した団体であると考えざるを得ない。
    よって、現職教育委員会が春日井市とは独立した団体であるとする諮問実施機関の説明は、理由があると認められる。
  2. 開示請求に係る公文書の不存在について
    諮問実施機関は、現職教育委員会の下にある各種委員会が内部調整や実践活動を行う集団であって、専門的な部会と位置付けられているものであり、本件対象文書である各種委員会の会議記録は現に作成されておらず、また市教育委員会において本件対象文書を取得し、組織的に用いるものとして、保有していないと主張している。諮問実施機関の口頭説明及び当審査会の調査の結果により把握した事実は次のとおりである。
    現職教育委員会の組織は、多様かつ専門的な事業を円滑に進めるため、当該現職委員会の下部組織として、教科研究会、教科外研究会、教育研究会運営委員会、特別委員会、常設委員会等の各種委員会が設置されており、これらの各種委員会は、事業を円滑に実施するための内部調整や実践活動を行う集団であって、専門的な部会と位置付けられている。
    現職教育委員会の運営に当たっては、年2回全体会が開催されており、1回目に市教育委員会から現職教育の基本計画が現職教育委員会に提示され、2回目に現職教育の成果について市教育委員会への報告が行われている。この全体会については、現に会議記録が作成されており、事業の成果である報告書とともに会議記録が提出され、市教育委員会において取得し、保管されており、当該会議記録は条例第2条第2号の公文書に該当し、開示されている。
    これに対し、現職教育委員会の下にある各種委員会については、当該各種委員会に対し本件対象文書である各種委員会の会議記録の作成又は提出を義務付けている規程等は存在しないものと認められ、現実に会議記録の作成、保存を行っていないとしても特段不自然ではないものと認められる。
    また、開示請求に係る公文書の存否について、市教育委員会学校教育課が保有するファイル一覧のうち、現職教育委員会に関連するファイル6件を当審査会が実際に確認した結果、当該各種委員会の会議記録に相当するものの存在は認められなかった。
  3. 本件一部開示決定の妥当性
    以上のことから、本件対象文書が存在すると認める理由はなく、不存在を理由とした不開示決定は妥当であると認めた。

第6 答申に関与した委員

小林武、昇秀樹、異相武憲、堀口久、鵜飼光子

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