春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第18号)
第1 審査会の結論
春日井市教育委員会(以下「市教育委員会」という。)が平成21年6月5日付け21春教学第301-2号で一部開示決定を行った「臨時保護者会記録」(以下「本件対象文書1」という。)「保護者の皆様」(以下「本件対象文書2」という。)(以下、本件対象文書1と本件対象文書2を合わせて「本件対象文書」という。)については、本件対象文書1のうち別紙に掲げる部分を除き、開示すべきである。
第2 異議申立人の主張の要旨
1.異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、春日井市情報公開条例(平成12年春日井市条例第40号。以下「条例」という。)第6条に基づく開示請求に対し、平成21年6月5日付け21春教学第301-2号により市教育委員会が行った一部開示決定を取り消し、開示しないこととした部分をすべて開示するよう求めるものである。
2.異議申立ての理由
異議申立人が主張する異議申立ての主たる理由は、異議申立書及び意見書によると、おおむね次のとおりである。
(1) 不開示とされた校長等の名前については、職務遂行上の情報であり、校長等の名前を開示しても当該個人の権利利益を不当に侵害するおそれはないから、校長等の名前は開示されるべきである。また、学校は一つの公的組織体であるから、特段の理由がない限り、学校名も開示されるべきである。
(2) 市教育委員会は、「学校名が特定されると、当該校の生徒の中に不祥事を起こしたことを指摘された者が在籍していたことが明らかになるからである。それは、当該校の評価が低下して生徒や保護者の名誉を著しく損なう不利益となるからである。」と一部開示理由説明書(以下「説明書」という。)に記す。この記述から推察すると、説明書の一部開示の理由にある「関係する個々人」の不利益は、どうも不特定の「生徒や保護者」の不利益を指しているようであるが、この指摘が事実ならば、条例上不開示情報とされるべき「個人に関する情報」を誤解するものである。当該個々人を明確にした上で、どのような不利益をもたらすおそれがあるのか、明らかにすべきである。
(3) 本件開示請求の背景となった事件を知れば分かるように、そもそも、生徒や保護者に直接的・間接的に人権侵害とも言いうる不利益をもたらしたのは、誰であるのか。当該校長をはじめとする教員ではなかったのか。市教育委員会は、当該校長らの個人名が明らかになることを回避するために、生徒や保護者の不利益性を主張しているだけである。
(4) 市教育委員会は、説明書において、不開示の理由として、「諸会の開催に関して、その運営を適正に遂行していく上で悪影響を及ぼすおそれがあるため。」と記す。しかし、これは「公文書一部開示決定通知書」の記載と異なる。「会」が「諸会」と書き換えられ、「支障となるおそれ」が「悪影響を及ぼすおそれ」と書き換えられた。市教育委員会から異議申立人に対して、正式な「変更」説明はなされていない。これは、不開示理由の変更であり、容認できない。
(5) 「諸会」とは、どのような会を指すのか。当該校における会を指すのか、それ以外の会を指すのか、あるいは、事案内容を異にする会までも指しているのか、全く不明である(臨時保護者会は、1回で終了したはずである。)。また、「悪影響を及ぼす」というのは、どのような点を想定しているのか、これも全く不明である。意味不明な「諸会」における、意味不明な「悪影響」の発生を根拠にした「不開示」処分は、理解しがたい。市教育委員会は、春日井市情報公開条例解釈運用基準に記された、「なお、「支障を及ぼすおそれ」は、単なる抽象的な可能性では足りず、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を生じることについて、法的保護に値する蓋然性が認められなければならない。」(「情報公開事務の手引き」34頁)の文を理解するべきである。
(6) 市教育委員会は、本件対象文書1について、「公開されることを予定して作られたものではない。」という。しかし、本件対象文書1には、134世帯の保護者が参加したとの記録があり、参加者が保護者会の状況を、知人等不特定多数の者に伝えることは否定できない事実であることを考慮すれば、市教育委員会の右主張が、重要な意味を持つものとは考え難い。
(7) 市教育委員会は、「本会では、保護者との協力関係・信頼関係を築き、教育活動に反映させていこうというねらいも含んでいた。そのため、質疑では、保護者の正直な思いが率直な言葉で述べられており、議事録はそれを記録している。もし、本会の記録をそのままに開示することになれば、今後同様の会議を開く場合に保護者の率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれが強い。」という。まず、生徒・保護者との協力関係・信頼関係にヒビを入れたのは、学校側(教職員)であったことを確認しておきたい。それゆえに、臨時保護者会は学校側の謝罪から始まっていたのである。このことから推察すると、保護者の率直な言葉は、「学校側に対する厳しい内容」も含まれるのではないかと思われる。それゆえに開示したくないのではないか、と疑問は湧く。不開示という事実を前提に「率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ」などと結論付けられても、納得できるものではない。
(8) 本件対象文書1の「質疑等」部分が全面的に不開示とされているが、まさかその中に、生徒の個人名が記され、当該生徒の行動状況(万引きや喫煙)が記されているとも思えないので、全面的な不開示は容認できない。
(9) 市教育委員会は、「本会の記録をそのままに開示することになれば、今後同様の会議を開く場合に保護者の率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれが強い。その結果、学校運営に関し、生徒及び保護者と学校との信頼関係を前提とした適正かつ円滑な事務の遂行に支障を生じさせるおそれが強い。」という。簡単に「同様の会議」というが、どのような意味合いで述べているのか、今回と同様に、教職員が人権問題等を起こした場合のことを言っているのか、校内で発生する事件で、保護者会が開催されるすべての場合を言っているのか、全く不明である。
いずれにしても、開示・不開示は、事件の性質や公文書に記載された具体的事実を条例に照らし合わせ判断されるべきものであり、前提にすべき事実を欠いたまま、一律に「事務の遂行に支障を生じさせるおそれが強い。」などといいうる、市教育委員会の条例理解が異議申立人には理解できない。
(10) よって、条例第7条第2号及び第7号に該当しないため、請求どおり開示されるべきである。
第3 諮問実施機関の説明の要旨
諮問実施機関である市教育委員会の説明を総合すると、本件対象文書の一部を不開示とした主たる理由は、おおむね次のとおりである。
(1) 市教育委員会は、本件対象文書について、学校名、校長・教頭・教務主任・学校教育課長・指導主事の名前、臨時保護者会での質疑応答時の内容及び学校の電話番号を不開示とした。
(2) 本件対象文書1は、臨時保護者会の議事録であり、学校名、校長・教頭・教務主任・学校教育課長・指導主事の名前及び臨時保護者会での質疑応答時の内容部分が含まれている。また、本件対象文書2は、生徒及びその保護者を対象として、校長がアンケート問題の説明と謝罪を記したものであり、学校名、学校長・教頭の名前及び学校の電話番号部分が含まれている。
(3) 本件対象文書は、もともと学校内の関係者を対象として作成されたもので、部外者に公開されることを予定して作られたものではない。特に、本件対象文書1は、公開を前提としない集会(保護者と学校関係者の集まり「臨時保護者会」)の議事録であり、慎重な取扱いが必要である。
(4) 臨時保護者会では、保護者との協力関係・信頼関係を築き、教育活動に反映させていこうというねらいも含んでいた。そのため、質疑では、保護者の正直な思いが率直な言葉で述べられており、議事録はそれを記録している。もし、臨時保護者会の記録をそのままに開示することになれば、今後同様の会議を開く場合に保護者の率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれが強い。その結果、学校運営に関し、生徒及び保護者と学校との信頼関係を前提とした適正かつ円滑な事務の支障を生じさせるおそれが強い。
(5) なお、校長等の職員の名前や学校の電話番号を不開示としたが、その理由は、学校名が記載されていなくても校長名や電話番号から学校名を特定することは可能であり、学校名が特定されると、当該校の生徒の中に不祥事を起こしたことを指摘された者が在籍していたことが明らかとなり、当該校の評価が低下して生徒や保護者の名誉を著しく損なう不利益となるからである。
(6) 以上により、当該校が特定できる学校名、校長等の職員の名前、学校の電話番号を開示すると、関係する個々人に対して不利益となるおそれがあるため、条例第7条第2号の不開示情報に該当し、また、本件対象文書1の臨時保護者会での質疑応答時の内容を開示すると、諸会の開催に関して、保護者の率直な意見の交換が不当に損われるおそれが強く、その運営を適正に遂行していく上で悪影響を及ぼすおそれがあり、その結果、学校運営に関し、生徒及び保護者と学校との信頼関係を前提とした適正かつ円滑な事務の遂行に支障を生じさせるおそれが強いため、条例第7条第7号の不開示情報に該当するため、本件対象文書につき一部開示決定としたことは妥当である。
第4 調査審議の経過
審査会は、本件異議申立てについて、以下のとおり調査審議を行った。
- 平成21年 6月 5日 開示決定等の通知をした日
- 平成21年 6月11日 異議申立てのあった日
- 平成21年 9月1日 諮問のあった日
- 平成21年 9月18日 諮問実施機関から意見書を収受
- 平成21年 9月22日 異議申立人から意見書を収受
- 平成21年10月19日 諮問実施機関の説明、審議
- 平成21年12月 2日 審議
- 平成21年12月25日 審議
第5 審査会の判断の理由
1.本件対象文書について
異議申立人が、一部開示決定を取り消し、開示しないこととした部分をすべて開示するよう求めている文書は、平成21年3月9日に当該校の校長が開催した臨時保護者会の議事録である本件対象文書1及び臨時保護者会の開催後に生徒及びその保護者に対して校長がアンケート問題の説明と謝罪を記載し配付された文書である本件対象文書2である。
本件対象文書1は、次の項目で構成されている。
- 日時・会場
- 参加者保護者数
- 会の概要
このうち、諮問実施機関が不開示とした部分は、(1)に記載されている学校名、(3)に記載されている校長・教頭・教務主任・学校教育課長・指導主事の名前及び(3)のうち、4.質疑等の内容である。
また、本件対象文書2のうち、諮問実施機関が不開示とした部分は、学校名、校長・教頭の名前及び学校の電話番号である。
2.本件対象文書の一部を不開示とした理由について
諮問実施機関は、条例第7条第2号及び第7号に該当すると説明しており、同号以外には不開示事由該当性を検討すべき条項はないと考えられる。
したがって、以下では、条例第7条第2号及び第7号該当性について検討する。
3.条例第7条第2号該当性について
(1) 条例第7条第2号本文は、「個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」(以下「個人情報」という。)を不開示とするとしている。他方、同号ただし書アからエにおいては、上記のとおり特定の個人が識別され、又は他の情報と照合することにより識別され得るものを事項的な不開示情報として定めた上、一般的に当該個人の利益保護の観点から不開示とする必要のないもの及び保護利益を考慮しても開示する必要性の認められるものを例外的に不開示情報から除くこととしている。同号ただし書ウにおいては、「当該個人が公務員である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分」を不開示とする個人情報から除くものと規定している。
(2) 本件対象文書1は、臨時保護者会の議事録であり、諮問実施機関は、学校名、校長・教頭・教務主任・学校教育課長・指導主事の名前及び臨時保護者会での質疑応答時の内容の部分を不開示とした。また、本件対象文書2は、生徒及びその保護者に対して校長がアンケート問題の説明と謝罪を記載した文書であり、学校名、校長・教頭の名前及び学校の電話番号を不開示とした。
(3) これらの者は、いずれも公務員であり、かつ、本件対象文書はこれらの者の職務の遂行に係る情報を内容とするものであるから、これらの者にとっての個人情報であることを理由に、第2号に基づき不開示とすることはできない。
この点、諮問実施機関は、学校名、校長・教頭・教務主任・学校教育課長・指導主事の名前や学校の電話番号を不開示とした理由について、校長・教頭の名前や学校の電話番号から学校名を特定することが可能であり、学校名が特定されると、当該校に不祥事を起こしたことを指摘された生徒が在籍していたことが明らかとなり、当該校の評価が低下して生徒や保護者の名誉を著しく損う不利益となるためと説明する。
(4) しかしながら、文書の開示によって一定の集団に不利益が及ぶおそれがあるとしても、そのことによって、第2号所定の個人情報への該当性が認められることになるものではない。
第2号では、上記のとおり、「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。」も不開示情報として定めているが、これは、カルテ、反省文など個人の人格と密接に関わる情報や未発表の著作物など、特定の個人に関する情報について、当該特定の個人の権利利益の侵害のおそれをしんしゃくして不開示情報としているものであって、諮問実施機関が挙げる「所属校が特定できる」といった理由は、何ら第2号にいう「個人に関する情報」への該当性の説明となるものではない。
(5) また、学校教育課長・指導主事の名前については、学校名を特定し得る情報でもないのであるから、そもそも上記(3)で諮問実施機関が述べている理由すら当てはまらない。
(6) よって、本件対象文書に記載されている情報には、第2号所定の不開示情報は存在しない。
4.条例第7条第7号該当性について
(1) 条例第7条第7号本文は、「市の機関又は国若しくは地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの。」を不開示とすると規定している。
同号は「次に掲げる」と例示した支障のほか、他の支障についても個別に判断されるものとし、「当該事務又は事業の性質上」とは、当該事務又は事業の内在的性格に照らして保護する必要がある場合のみ不開示にすることができるとし、また、「当該事務又は事業」には、同種の事務又は事業が反復される場合の将来の事務又は事業も含まれるものと解される。
(2) 諮問実施機関は、本件対象文書については、学校内の関係者を対象として作成されたもので、部外者に公開されることを予定して作られたものではないとし、特に、本件対象文書1は、公開を前提としない集会(保護者と学校関係者の集まり「臨時保護者会」)の議事録であり、慎重な取り扱いが必要であると説明する。
また、臨時保護者会は、保護者との協力関係・信頼関係を築き、教育活動に反映させていこうというねらいも含んでおり、質疑では、保護者の正直な思いが率直な言葉で述べられていて、本件対象文書1をそのままに開示することになれば、今後同様の会議を開く場合に保護者の率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれが強く、学校運営に関し、生徒及び保護者と学校との信頼関係を前提とした適正かつ円滑な事務の支障を生じさせるおそれが強いとし、同号の不開示情報に該当すると説明する。
(3) 一方、異議申立人は、諮問実施機関の同号の適用理由において使用する「会」や「諸会」の対象とする会議等(以下「会」という。)について、会が特定されたものではなく、また、本件の臨時保護者会は今後繰り返し開催される会合ではなく、会に対する「支障となるおそれ」や「悪影響を及ぼすおそれ」が意味不明であるとし、同号の該当性はないと主張する。
(4) 以上の主張を踏まえて考察するに、たしかに、諮問実施機関が意味する会が具体的にどのようなものを指すのか明確になっているとはいい難いものの、本件の集会のように、学校にとっての重大事が発生した場合に、保護者が集まって校長等の学校関係者から事情の説明を受け、討議をするために会合を開くということであれば、同種の会合が今後も反復して開催されることは、当然あり得ることである。
また、その種の会合については、その性格上、公開を前提とせずに開かれるのが通例であると考えられ、これらの会合における議事が後日文書で公開されるということは、出席した保護者は通常予期していないことであろうし、また、公開されるということがあらかじめ分かっていれば、当該集会における率直な意見交換に一定の範囲で支障が生ずることも容易に予測されるところである。
以上の限りでは、諮問実施機関の説明にも妥当性があるものである。
(5) しかし、公文書として当該集会の議事が記録されている以上は、単に上記のような可能性があるというだけで当該文書を不開示とし得るものではなく、条例に照らして不開示事由の有無が決せられなければならないことは言うまでもない。条例第7条第7号にいう「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの。」とは、事務又は事業に関する情報を公にすることによる利益と支障とを比較衡量した結果、公にすることの公益性を考慮してもなお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度のものである場合をいうものと解される。本件対象文書についても、上記の解釈に照らして開示・不開示の判断がなされる必要がある。
ところで、本件対象文書のうち、本件対象文書1の4.質疑等以外の部分及び本件対象文書2については、諮問実施機関が不開示としたのは学校名及び教職員名、電話番号の部分だけであり、これらが条例第7条第7号該当性を備えるとは到底考え得ない。したがって、以下では、本件対象文書1の4.質疑等の記述に上記したような第7号所定の不開示事由該当性があるか否かを検討していく。
(6) まず、本件の保護者会が非公開の会合として開かれたという点については、たとえ会合自体が非公開のものであっても、必ずしも会議録の不開示を意味するものではなく、そのことのみをもって、本件対象文書中の質疑応答に係る記載について、不開示事由に該当するものと解することはできない。個々の文書が作成当時に開示を予定したかどうかを条件として不開示の扱いをするならば、情報公開制度は形骸化することになるし、憲法第57条第2項及び国会法第63条において、国会が秘密会を開いた場合でも、その会議録のうち特に秘密を要すると認められるもの以外はこれを公開すべき旨を規定していることからも、会議の非公開が必然的に会議録の不開示を意味するものでないことは明らかだからである。
したがって、本件対象文書1中の質疑応答については、個別具体的な内容を見て第7号該当性の判断をする必要がある。
(7) 保護者会における質疑応答の内容については、教職員の説明・回答や保護者の質問・意見として通常想定される範囲内のものであれば、たとえそれが開示されたとしても、参加した保護者にとって不測の不利益がもたらされたり、今後催される同種の会合における率直な意見交換に著しい支障が生じたりするとまでは考えにくく、そのような内容の記述については、第7号該当性は否定されると解すべきである。
他方、保護者の率直な心情の吐露や、生徒や保護者など一部の者に係る不利益な事実についての言及など、この種の集会として通常想定される質疑応答の範囲を超えた発言がなされている部分があれば、当該部分を公にすることは、そのことの公益性を考慮してもなお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度に達する場合もあるものと解され、その場合には、当該部分については第7号への該当性を肯定すべきものと考えられる。
(8) 以上の基準に照らして本件対象文書1の4.質疑等の内容を検討するに、 まず、別紙に掲げた部分以外の内容については、本件に関する教職員の説明・回答や保護者の質問・意見として通常想定される範囲内のものであり、不開示にすべき理由は見当たらなかった。
他方、別紙に掲げた部分(いずれも保護者の発言内容)については、本件に関して通常想定される質疑応答の範囲を超えた発言内容であり、当該部分を公にすることは、そのことの公益性を考慮してもなお、当該事務又は事業の適正な遂行に及ぼす支障が看過し得ない程度に達していると判断された。
したがって、これらの部分については、第7号該当性を肯定し、不開示とするのが妥当である。
5.結論
以上のことから、本件対象文書については、上記第1記載の審査会の結論のとおり判断した。
第6 答申に関与した委員
異相武憲、昇秀樹、堀口久、近藤真、吉岡ミヤ子