春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第69号)

ページID 1028940 更新日 令和4年7月8日

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春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第69号)

第1 審査会の結論

 春日井市長(以下「実施機関」という。)が審査請求人に対して令和4年2月1日付けで行った3春建第668号公文書不開示決定(以下「本件決定」という。)については、結論において妥当である。

第2 事案の概要

 本件開示請求に係る対象公文書は、62春建第4-57にある「宅地造成に関する工事の許可申請書」及び副本にあたる「宅地造成に関する工事の許可通知書」の写しに係る一切の書類である。
 実施機関は、「宅地造成に関する工事の許可申請書」に関し本件決定を、「宅地造成に関する工事の許可通知書」(以下「本件許可通知書」という。)に関し本件決定と同日付け公文書一部開示決定(以下「本件別決定」という。)を行った。
 審査請求人は、この両決定のうち、本件決定を不服とし、審査請求を提起した。

第3 審査請求人の主張の要旨

  1. 審査請求の趣旨
    春日井市文書取扱規程からして、開示請求した対象公文書は存在しているはずであることから、開示決定を求める。
  2. 審査請求の理由
    審査請求人が主張する審査請求の主たる理由は、審査請求書及び意見書の記載によると、次のとおりである。
    (1) 公有財産である●●●●●●用地(●●●●●●●●●(●●●●●●●平方メートル))を事実上永久貸与する同意書に市長公印を押印しているような重要文書であれば、当然に永久保存文書である。
    (2) 市長公印が、「宅地造成に関する工事の許可申請書」に添付されている「宅地造成行為施行同意書」に使用されているので、市長公印使用簿を調べれば、公文書の所在が分かる。
    (3) 本件宅地造成許可申請案件(以下「本件許可申請」という。)は、「春日井市の宅地造成工事の手引」にある中間検査及び完了検査が未了である。春日井市文書取扱規程の保存期間等では、文書等の保存期間は、文書等が完結した日の属する年度の翌年度の初日から起算するとある。工事期間中である(中間検査及び完了検査が未了)本宅地造成工事に係る宅地造成工事許可申請書には、春日井市文書取扱規程は適用されないのか。
    (4) 「許可通知書」及び「施行同意書」の筆跡から、当時の担当者の一部は現在も在職中と思われるので、審査会の責任と権限による調査を強く望む。

第4 実施機関の説明の要旨

 弁明書及び口頭での説明を総合すると、おおむね次のとおりである。

  1. 平成29年2月18日付けで審査請求人から提出された公文書任意的開示申出書で「●●●●●●(●●●●●●●●●)東寄土留擁壁に係る一切(土地貸与(根拠・理由)、帰属、管理など)の書類」の申出があったが、申出時点において対象公文書を保有していなかったため、平成29年3月3日付け28春建第400号により、昭和62年度の宅造許可台帳(以下「台帳」という。)のみを開示した。
     また、平成30年4月9日付けで審査請求人から提出された文書により「土留め擁壁関係の書類無いということだが、春日井市文書取扱規程との兼ね合いどうなりますか」との質問について、平成30年4月25日付け30春管第42号により「春日井市文書取扱規程で定める文書保存基準表に基づき整理しておりますが、該当する申請書は見当たりません」と回答している。
     上記の経緯に加え、今般も不存在による不開示決定をしたもので、現に、請求対象公文書は現時点で確認できなかった。
     なお、本件別決定により審査請求人に開示した本件許可通知書(「宅地造成行為施行同意書」含む。)は、上記の経緯以降、本件許可申請の申請者(以下「本件造成主」という。)から提供を受け保有するに至ったものである。
  2. 当市の「公印使用認可簿(以下「認可簿」という。)」は、市役所内で春日井市長印等(以下「公印」という。)を使用する際に必要事項(公印を使用する文書の件名、発送先、使用者(職員の氏名等))を記載するものである。
     認可簿の保存期間は、現在の春日井市文書取扱規程に基づく運用では5年としている。これを、宅地造成行為施行同意書が交わされた昭和62年度当時にあてはめると、平成5年3月31日に保存期間満了を迎え、廃棄したものと考えられ、現に、昭和62年度当時の認可簿は現時点で確認できなかった。
  3. 台帳中の本件許可申請について、完了申請年月日・完了検査年月日・完了検査済証交付年月日の欄が空白であったことから、完了検査は未実施という認識でいる。また、本件許可申請の設計事業者に確認したが、同様の認識であることを聞き取りした。
  4. 宅地造成工事に関する文書は、完了検査実施後、その翌年度を起算として所定の期間(現在の春日井市文書取扱規程に基づく運用では5年間)保存するべきものである。本件に関して、本件造成主から本件許可通知書の提供を受けたことにより工事内容をある程度把握できているが、完了検査が未実施である本件対象公文書が現時点で滅失している状態は、文書管理上あってはならないことと考えている。

第5 調査審議の経過

  1. 令和4年2月1日実施機関が本件決定の通知をした日
  2. 令和4年2月24日 審査請求のあった日
  3. 令和4年3月17日 実施機関から弁明書を収受
  4. 令和4年3月22日 諮問のあった日
  5. 令和4年4月6日 審査請求人から意見書を収受
  6. 令和4年4月 27 日 実施機関の説明、審議
  7. 令和4年6月 15 日 審議

第6 審査会の判断

  1. 本件許可申請に係る前提
     実施機関の説明によると、本件許可申請に係る完了検査が実施されていないとする判断は、現在保有している台帳への記載状況及び本件許可申請の関係者への聞き取りによるものとしている。
     台帳への記載状況からすれば完了検査は実施されていないものと推認され、 本件許可申請の聞き取りの内容とも整合するため、完了検査は未実施であると認められる。
    よって、本件に関しては完了検査が未実施であることを前提に検討する。
  2. 本件対象公文書の存否
    (1) 実施機関の説明によると、宅地造成許可申請に係る文書は、宅地造成許可申請案件ごとに、完了検査合格後に完結し、保存期間を設定するとしており、この運用自体は、昭和62年度当時の春日井市文書取扱規程に基づく運用として不自然な点は認められない。
     一方で、審査請求人は、本件対象公文書には、公有地を事実上永久貸与する同意書が付属されており、そのような重要文書であれば当然に永久保存文書である旨を主張している。しかし、実施機関が行う宅地造成工事の許可事務は、宅地造成等規制法(昭和36年法律第191号)に基づき、申請される宅地造成工事が技術的基準に適合するものであるか等を確認し許可を行う事務であり、市有地における宅地造成工事であること又は同法に基づく宅地造成工事の施工に市が同意していることにより文書の重要性及び取扱いが変わるものではない。よって、宅地造成工事許可事務の一般の運用に従い、完了検査が実施されているか否かにより、文書の存否を検討することとする。
     実施機関は、昭和62年度に受付された宅地造成許可申請案件のうち完了検査を実施していないものを編さんしたファイル(以下「未完了ファイル」という。)を現在でも保有している。また、昭和62年度の台帳によると、本件対象公文書の申請年月日は●●●●●●●●●、許可年月日は●●●●●●●●●●と記載されており、本件別決定により開示した本件許可通知書の通知日と一致することから、本来であれば本件対象公文書は昭和62年度の未完了ファイルに編さんされているべきものと考えるのが合理的である。
     上記により、審査会事務局において、本来編さんされるべき昭和62年度の未完了ファイルに加えて、実施機関による編さん誤りを考慮して対象を拡げて調査したが、本件対象公文書は確認できなかった。
     また、審査会事務局において、昭和62年度当時に実施機関(建築指導課)に在籍し、かつ、現在も在職中の職員2名に、当時の宅地造成許可申請に関する事務処理状況並びに本件許可通知書及び「宅地造成行為施行同意書」の筆跡に関し聞き取り調査をした。しかし、当該2名とも当時の宅地造成許可申請に関する事務処理を直接担当していなかったため、当該事務処理状況を把握しておらず、また、当該筆跡についても心当たりはないとのことであった。
    (2) 実施機関の説明によると、認可簿は、公印を使用する際に必要事項(公印を使用する文書の件名、発送先、使用者(職員の氏名等))を記載するものであり、現在の春日井市文書取扱規程における保存期間は5年とされるものである。また、春日井市公印取扱規程を確認したところ、認可簿への記載事項は、昭和 62 年度当時と現在で特段の差異は見受けられない。
     認可簿の記載事項及び用途に変更がないことからすると、昭和62年度当時の認可簿の保存期間を現在と同様5年と推測する実施機関の説明には合理性があり、昭和62年度当時の認可簿を保有しているとは認められない。
     また、仮に昭和62年度当時の認可簿を保有していたとしても、その記載事項は前述のとおりであり、本件対象公文書の存否につながる情報は記載されていない。
  3. 結論
     以上により、本来であれば本件対象公文書が編さんされているべきファイル及び編さん誤りを考慮したファイルに本件対象公文書が編さんされておらず、他に本件対象公文書が存在することを推認させる事実も見受けられないため、本件開示請求の時点において本件対象公文書は存在したとは認められない。よって、本件決定については、上記第1記載の審査会の結論のとおり判断した。

第7 付言

 昭和62年度当時の春日井市文書取扱規程における文書の保管期間等は、当該文書が完結した日の属する年度の翌年度の初日から起算すると規定されており、 結果的に本件対象公文書が同規程どおりに運用されていなかったことは実施機関の説明のとおりである。同規程の遵守という観点は当然のこととして、宅地造成に関する事務の適正履行という観点からも、本件対象公文書が不存在であることは、文書管理上不適切であるといわざるを得ないため、当該事務に係る適切な文書管理に努められたい。

第8 答申に関与した委員

 尾関栄作、高松淳也、富田隆司、森幸子、金井幸子

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