春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(諮問第9号)

ページID 1007169 更新日 平成29年12月14日

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第1 審査会の結論

平成19年6月議会において出席参与が提案理由説明時に使用した文書(読み上げ原稿)(以下「本件対象文書」という。)について、不存在を理由に行った公文書不開示決定は、妥当である。

第2 異議申立人の主張の要旨

  1. 異議申立ての趣旨
    本件異議申立ての趣旨は、春日井市情報公開条例(平成12年春日井市条例第40号。以下「条例」という。)第5条に基づく本件対象文書の開示請求に対し、平成19年7月27日付け19春総第287号により春日井市長が行った不開示決定を取り消し、公開するとの決定を求めるというものである。
  2. 異議申立ての理由
    異議申立人が主張する異議申立ての主たる理由は、異議申立書、意見書及び口頭意見陳述によると、おおむね次のとおりである。
    (1) 情報公開の目的は、知る権利に基づく情報公開請求権を保障し、行政の市民に対する説明責任を果たすことである。
    (2) 議会に出席した市の職員は、市長の委任を受けた春日井市を代表する組織人であり、個人という立場はない。そして、その組織人が用いた文書(原簿)は、春日井市という組織の文書(原簿)であり、また議事録となる文書の原簿でもあり、議会という公の場所で公に用いた文書(原簿)である。
    (3) 議案説明には、個人という立場を挟む余地はなく、個人という責任も存在しない。
    (4) 公の議会という特別な場所において行う行為は、組織全体として責任を負うものであり、私的個人という立場で責任を負うものではない。かつ、春日井市長が責任を負うものであり、結果として、その文書は組織と共有するものである。
    (5) 出席参与は、この文書を元に議場で発言しており、これがなければ自分の言葉として何もしゃべることはできないのだから、その元データである文書は公文書である。
    (6) 議会は市民に説明するための場であり、その場で使用された書類は基本的に市民に公表しているものであり、議会という公の場で、傍聴の際に目に留まった書類は、公文書である。
    (7) 議会議事録が公文書であれば、その元データである文書に基づいて会議録が発現することは明白である。議事録の証拠である元の文書を保存しない行為自体、組織全体の怠慢である。
    (8) 以上のことから、この文書は、責任上、実施機関が共有して利用、保存しなければならない文書である。
    よって、本件対象文書は、春日井市という組織の文書であり、速やかに公開すべきである。

第3 諮問実施機関の説明の要旨

諮問実施機関の説明を総合すると、本件開示請求に対し公文書不存在により不開示とした理由は、おおむね次のとおりである。

  1. 不開示の理由
    開示請求に係る公文書を作成取得していない。また、開示請求者が開示請求する文書は、議会出席参与個人が議場で説明を行うためにのみ作成したものであり、実施機関において共有されるなど組織的に用いられる文書ではないため、条例第2条第2号に規定する公文書には該当しない。よって、開示請求に係る公文書は存在しない。
  2. 本件対象文書について
     本件対象文書は、平成19年第3回市議会定例会において、執行機関である市長が提出した議案の提案理由を説明する際に、条例第2条第1号に規定する「実施機関」の職員である議会出席参与が自ら発言するときのため、備忘を目的として作成された資料である。
  3. 公文書の定義について
    (1) 条例第2条第2号では、公文書とは「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」と定義されている。
    (2) ここでいう「組織的に用いるもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において事務上必要なものとして利用・保存されている状態のもの(組織共用文書)をいう。
  4. 本件対象文書の公文書該当性について
    (1) 本件対象文書を含め議会出席参与が議場において使用する読み上げ原稿(以下「読み上げ原稿」という。)は、自らが所管する部署に属する議案の提案理由を説明する際に、説明内容の過不足、誤り等が発生することを未然に防ぐこと等を目的として備忘的に作成され、使用した私的な文書であって、当該職員個人の便宜を図るためにのみ作成されたものである。作成に当たっても、市長等管理監督者の指示があるものではない。
    (2) また、読み上げ原稿は、出席参与相互において共有されていたり、他の職員に引き継がれるといったように職務上必要なものとして利用するといった事実もなく、飽くまで出席参与個人のみの利用にとどまるものであって、組織的に利用される文書ではない。なお、市議会における出席参与の発言内容は、議会事務局が調製する議会会議録で確認することが可能であり、過去の発言内容等の追跡は容易であることから、読み上げ原稿を組織的に利用する必要がなく、組織として不都合が生じることはない。
    (3) さらに、読み上げ原稿は、上記(2)のとおり組織において利用されているものではないことから、作成者である出席参与が自ら保存、廃棄の判断を行うものであり、課共用キャビネット等で保存されているといった組織共用の実態はない。
    (4) 以上のとおり、読み上げ原稿は、上記3(2)に述べた組織共用文書に該当せず、条例第2条第2号の公文書に該当しない。
    したがって、本件対象文書は、読み上げ原稿のうち、平成19年第3回市議会定例会において使用されたものであるため、条例第2条第2号の公文書に該当せず、開示請求に係る公文書は存在しない。
  5. 異議申立人の主張について
    (1) 異議申立人は、一連の主張において、公務員の職務上の行為とそれに付随する文書は不可分一体であり、実施機関の職員の行為に伴って発生する文書のすべてが条例第2条第2号に規定する公文書に該当すると主張していると思われるが、条例では、職務上の行為に伴って発生する文書のすべてを公文書として開示請求の対象としているわけではない。条例第2条第2号の定義は、組織共用文書であることを要件として明示し、これに該当しないものがありうることを想定した規定であり、何もかもを対象とする趣旨ではない。
    (2) 議会議事録が公文書であれば、その元のデータに基づき議事録が発現することは明白であり、議事録の証拠である元の文書を保存しない行為自体、組織全体の怠慢であるとの主張についても、読み上げ原稿は、会議録の証拠となるものではなく、証拠ということであれば、それは議場における議会出席参与の発言そのものであると考える。

第4 調査審議の経過

審査会は、本件異議申立てについて、以下のとおり調査審議を行った。

  1. 平成19年7月27日 開示決定等の通知をした日
  2. 平成19年8月9日 異議申立てのあった日
  3. 平成19年8月22日 諮問のあった日
  4. 平成19年9月4日 諮問実施機関から意見書を収受
  5. 平成19年9月13日 異議申立人から意見書を収受
  6. 平成19年9月28日 諮問実施機関の説明、異議申立人の口頭意見陳述、審議
  7. 平成19年10月31日 審議
  8. 平成19年12月5日 審議

第5 審査会の判断の理由

  1. 本件対象文書について
    (1) 本件対象文書は、平成19年第3回市議会定例会において、議会出席参与である部長等が自ら所管する部署に関する議案の提案理由を説明する際に、議場で読み上げ原稿として用いた文書であり、14件の議案について、財政部長を始め8人の部長等が使用したものであると認められる。
    (2) 本件対象文書について当審査会が実態調査を行ったところ、次の事実が確認された。
    ア 文書の保存の有無及び保存方法について
    まず、平成19年9月27日に、当審査会事務局が本件対象文書の保存状況について調査した。
    その結果、平成19年第3回市議会定例会で実際に提案理由説明を行った8人中、6人分の文書については、職員個人のファイルや机の引き出し等で保存されていることが確認された。他方、残り2人分の文書については、既に廃棄されていた。
    また、春日井市における組織共用文書の管理については、春日井市文書取扱規程(平成13年春日井市訓令第4号)第7条の規定により文書管理システムを用いて行われていることから、当審査会事務局において、平成19年度において文書管理システムで管理しているすべての文書及びファイルについて、「提案理由説明」、「市議会」等の関連用語で検索し、確認したが、本件対象文書に該当するものは見当たらなかった。
    イ 文書の体裁及び内容について 
    次に、当審査会において、本件対象文書のうち現存する6人分の文書を実際に検分した。
    その結果、これらは、ワードプロセッサを使用して作成したものに、追加的に手書きで字句の書き込み等がされているものであって、表題、作成年月日、作成名義の有無はまちまちで、文書の体裁には統一性がみられなかった。使用されている文字のポイントは、通常の文書と比べて全般的に大きく、行間についても広く取られている傾向が見られた。
    内容について、平成19年第3回市議会定例会の議案書の内容と照らし合わせてみたところ、議案の内容以上の内容が盛り込まれているものとは言えず、議案の要点を説明する内容になっているものと認められた。
  2. 本件対象文書の公文書該当性について
    (1) 異議申立人と諮問実施機関との間には、本件対象文書が条例により開示請求の対象となる「公文書」に該当するか否かについて争いがある。
    条例第2条第2号は、開示請求の対象となる「公文書」を、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」と定義している。
    (2) そこで、以下においては、本件対象文書が、上記要件に該当する文書であるか否かについて検討する。
    ア 「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」の該当性について 
    条例第2条第2号に規定する「職務上作成し、又は取得した」とは、実施機関の職員が自己の職務の範囲内において作成し、又は取得した場合を意味するものである。 
    平成19年第3回市議会定例会において、議会出席参与である部長等が議案の提案理由を説明するという行為は職務上の行為であって、本件対象文書は、実施機関の職員が職務上作成した文書であることは明らかである。
    したがって、本件対象文書は、条例第2条第2号に規定する「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」に該当する。
    イ 「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」の該当性について
    条例第2条第2号に規定する「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」とは、作成又は取得に関与した個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において業務上必要なものとして利用、保存されている状態のもの(組織共用文書)を意味するものである。 
    本件対象文書の利用方法について、諮問実施機関は、議会出席参与が議場において使用する読み上げ原稿であり、出席参与相互において共有されていたり、他の職員に引き継がれるといった事実はなく、飽くまで出席参与個人のみの利用にとどまるものであると説明している。 
    しかるに、実際に検分した本件対象文書は、上記1(2)イに記したとおり、その体裁及び内容から判断する限り、議案書記載の議案を各出席参与が議場で口頭説明するに当たり、読み上げるために利用することを専らの用途とするものと解されるものであった。この点、仮に口頭説明の内容が別途の方法で記録されないとすれば、本件対象文書を組織で共用したり、他の職員に引き継いだりする必要性も出てくると考えられるが、市議会については議会会議録が作成されることから、このような利用の必要性も考え難い。また、議会会議録の作成に当たって、読み上げ原稿として用いた文書を参照するような実情があれば、本件対象文書が組織共用文書性を帯びる可能性も出てくると考えられるが、当審査会事務局において議会会議録の調製を所管する議会事務局議事課に議会会議録の調製方法を確認したところ、議会会議録は、議会事務局職員が会議出席者の発言内容をテープに録音し、このテープのコピーを業務委託した専門業者に送付した上で、反訳、印刷、製本するものであって、会議録調製に当たり読み上げ原稿を参照するような実態はないとのことであった。 
    これらのことからすると、本件対象文書が飽くまで出席参与個人のみの利用にとどまり、出席参与相互において共有されていたり、他の職員に引き継がれるといった事実はないとする諮問実施機関の説明は、特段不合理なものではないと認められる。 
    また、本件対象文書の管理・保存については、円滑な組織内共用を可能にするための文書管理システムでの管理は採られておらず、職員の個人ファイルや机の引き出し等で保存されていた。さらに、一部の文書については、読み上げを行った議会出席参与個人の判断で既に廃棄がなされていた。 
    これらのことからすると、本件対象文書は、利用の面のみならず、管理・保存の面でも、組織共用文書性が欠ける文書であると認められる。
    (3) よって、本件対象文書は、条例第2条第2号本文前段の「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」には該当するものの、条例第2条第2号本文後段の「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」に該当しないことから、条例第2条第2号に規定する「公文書」の要件を満たしていないと解される。
  3. 以上のことから、本件対象文書は、条例第2条第2号に規定する「公文書」には該当しないと認められるので、上記第1記載の審査会の結論のとおり判断した。

第6 答申に関与した委員

異相武憲、昇秀樹、堀口久、熊澤香代子、近藤真

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